2016/07/19

遠いところに連れていかれるコーヒー


銀座の裏通りにある小さな珈琲屋さん。
いっぱし珈琲スノッブ気取りのうちの息子が、東京の喫茶店文化を紹介しているオサレ雑誌でみつけたらしく、行ってみたいというのでたずねてみました。

普通の豆のほかに10年寝かせた豆を焙煎した珈琲を出している。

10年もののエチオピアをたのんでみました。1,200円なり。



使い込んだ木のカウンターの中で、生まれてこのかた休むことなく珈琲を淹れ続けているかのような寡黙な珈琲職人さんが、黙って小さなネルドリップで淹れてくれる。

薄い磁器のシンプルなデミタスカップに入って出てくるこのコーヒーは。

なんだか本当にすごかった。

脳がどうかしていると思われると何だけど、見たことのないどこか遠くの土地の風景が見える気がした。

これは単なる間抜けなたとえではなくて、本当にリアルな体験として、眼の前に知らない風景が見えた気がした。

繊細さと複雑さ、すっきりした明るさ、といった風味が、完璧な音楽を聞いたりすごい風景を見たり、といったようなときに脳が受け取るものと似た体験を創りだしたのかも。

音を聞くと色が見えてしまうとか、味に音がついてくるとか、そういう「共感覚」というのとちょっとだけ似ているかもしれない、と思ったりしました。

この次東京に行ったらまた必ず行きたい。1,000円でトリップできるなんて安いものw


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