2013/05/29

キングストリート駅の時代


今回のSoy Source 記事には、キングストリート駅のことを書かせていただきました。

1906年建設の、いろいろ折衷な美しい建物です。今年4月に復元の工事を終えてグランドオープンしたばかり。



駅を背にして見たシアトルのダウンタウン。駅前広場も綺麗になりました。


このジャクソン通り側の入口は長い事閉鎖されていて、今年1月まではアヌビス神が立ってたりもしましたが、クラシックな電灯も再現され、植え込みもできてウェルカムな広場に。

ちなみにこの電灯は、工事関係者からGumby というニックネームで呼ばれてたらしいです。
形が「ガンビー」というキャラに似てるのだそうです。


サンマルコ広場の塔を模したデザインの時計台。20 世紀初頭のころの駅にはこういうイタリアン風な意匠の駅が多かったそうです。浪漫時代ですね。


ここの入口から入っていくと、待合室の大ホールを見下ろす2階のバルコニーに出ます。


じゃじゃーん。

思わずおおー!と声が出る、まるで結婚式場のような豪華空間です。
 

2階廊下の天井です。

シアトル市のサイトに、2008年夏から始まった復旧工事の様子がくわしく動画つきで報告されています。
天井や壁の石膏の浮き彫りは、残っていた部分のをもとに型をとって流し込む方式で再現されました。

5月のはじめに行った時には、まだペンキ塗り立ての匂いがぷんぷんしていて頭がくらくらするくらいでした。


復旧工事の費用は、1000万ドルがシアトル市の特別目的税から、4000万ドルは連邦政府の Federal Transit Administration (FTA)と Federal Railroad Administration (FRA)、ワシントン州の交通局(Washington State Department of Transportation / WSDOT)、それとNGOの歴史ソサエティ(Washington State Historical Society)、 South Downtown Foundation、 4Culture contributeから集まった(明細はサイトでは明らかにされてませんでした)そうです。



市と州と連邦政府のエージェンシーから(省単位じゃなくて、同じ運輸省でもFTAとFRAから別々に)予算が少しずつついているってところが、すごくアメリカらしいプロジェクトの進め方だなあ、と思います。

そしてもちろん、それにNGOの寄付がついて、それから目的税の予算に住民のGo が出るという。

予算の42%は耐震補強に使われたとのこと。


美しいコンパスのモザイクがある、キングストリート側のエントランス。
この部分が最初にアムトラックとWSDOTの予算で修復されました。本当に綺麗。



現在この駅からはアムトラックの列車が発着してます。

シカゴ行きの「エンパイア・ビルダー」、北はカナダのバンクーバーと南はポートランドへ行く「カスケード」、それとロサンゼルスまで行く「コースト・スターライト」。

特急ではなくて各駅停車です(そもそも駅の数がそんなにない)。
ロサンゼルスまで36時間。シカゴまで47時間かかる。

1920年代でシカゴまで63時間だったそうですが、その蒸気機関車の頃とあんまり変わってない。インフラほとんど変わってないもんね。日本でいったら、「青春18きっぷ」で行くような超ローカル線の旅です。

でも、シカゴ行き列車乗ってみたい。



大鉄道時代の駅って、本当に今の空港以上に、華やかで別世界な旅の発着点だったんでしょうね。


実は3年ほど前、この駅からアムトラックでポートランドに行ったことがありました。

そのときはまだ復旧工事が始まったばかりで、駅は暗かった。


こんなんでした↑↑↑↑(2010年夏)。

天井は薄暗い蛍光灯をはめられたビニール素材で覆われて、暗い印象でした。
このビニールの天井が吹き抜けの壮大な天井を隠しているなんて、この時は全然知りませんでした。

奥のほう(コンパスのモザイクのある出入り口付近)だけに昔の優雅な駅の姿が残っていて、これは一体どうしたことか、と思ったものでした。
今思い返せば、3年前のその頃は、そこだけ復元工事が終わってたんですね。


高い優雅な天井やモザイクのタイルをビニールの安建材で覆って近代化した改造は、60年代〜70年代に行なわれたもの。
いったいなぜ?と思いますが、70年代には世の中の関心のほとんどは、合理的で近代的なものに吸いつけられていたんでしょうね。古臭い意匠を隠してしまうことが進歩のしるしと受け止められたんでしょう。




明るい午後にぜひ、行ってみてください。

これで構内に気のきいたカフェとレストランがあると良いのですがねー。シアトルとしたことが、まだコーヒーカートもありません。まずカフェとして集客したらどうでしょうか。

今年夏には、ファーストヒルの方に行く市電も近くから出るそうです。



球場わき側(1st アベニュー側)の入口。

アムトラック、21世紀に入ってから利用者が増えていて、特にオレゴン州とワシントン州では、こんな遅い列車にも関わらず、順調に伸びてるそうです。

高速鉄道の話ももう20年も前からあるのに全然進みませんが、WADOTもシアトル市交通局も公共交通機関に関してはやる気満々のようです。


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2013/05/28

スカジットの橋も落ちた



先日タコマ・ナローズの橋が落ちた話を書いてたら、メモリアルデー前の木曜日、シアトルの北にあるスカジット・ヴァレーでインターステート高速道路の橋が落ちて、びっくり。

2台巻き込まれて水に落ちたものの、幸い、重傷を負った方はいなくて、良かった。

オーバーサイズのトラックの積載物が橋梁に接触したんだそうですが。

そんなことで壊れるか!
とびっくりしてしまいますが、Business Weekによると「構造的に問題のある( structurally deficient) 」橋が、全米に

15万1497 


あるんだそうです。こえー。

日本でもつい半年前に高速道路トンネルの崩落事故がありましたね。

コンクリの構造物って子どもの頃は半永久なんだと思っていたけど。
 半世紀も経っていないビルやなにかが、意外にもう老朽化したり時代遅れになって取り壊されたりしてます。

文明って、案外長持ちしないんですね。

 

平和な人。


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2013/05/23

進撃の緑茶 


さいきんというかここ数年、伊藤園/ITOENがアメリカで頑張ってるなーと思っていたら、ついに先日スーパーで Sencha shot という製品を見つけて、つい買ってしまいました。

日本の小さい缶コーヒーの大きさ。「152MG of Catechin / TEA Antioxidants」と赤い囲み野中に書いてある。

味は、うん、普通にお茶でした。でもどうしても缶だけに金気があって、ペットボトルの「おーいお茶」のほうがおいしいと思う。

もちろん無糖です!

でもこれは、おやつ用のお茶というよりは見るからに健康食品扱い。ユンケルとか朝鮮人参とかなんとかゴールドみたいな、これ一気に飲むと抗酸化物質がたくさん取れちゃうよーという、そういう位置づけみたいですね。

検索してみたらやっぱりビタミンショップで売ってた。

しかし十年以上前、お店に並んでる「グリーンティ」といえばArizona 社のGreen Tea with Ginseng しかなかった頃を思えば、なんという進歩。

スーパーで梅の絵が描いてあるそのアリゾナ社グリーンティを見つけて、「わーいグリーンティだ!」と日本で売ってるペットボトルのお茶を期待して飲んだ瞬間の驚きときたら。

甘っ!

…それでもほかのジュースやソーダよりかは控えめの甘さなんだけど、緑茶に甘味って発想がなかったので、すごく驚いて、裏切られた気がしたものだった。

今では普通に無糖のお茶がCostCoで買えるようになりました。緑茶ティーバックも。
すごい。無糖ドリンクに「水」以外の選択肢はなかったもんね。
頑張ってね伊藤園さん!世界的な緑茶啓蒙活動を陰ながら応援しております。



カフェでグリーンティ・ラテも飲めるようになったし、抹茶の進撃も続いていますね。
 


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2013/05/21

5月の花とお菓子


 5月ももう半ばをすぎて、街中、花でいっぱいです。

 桜とモクレンが終わったら、ライラック、椿、ポピー、菖蒲、藤、そのほかもう何から何まで咲いてるかんじ。


先日日曜日にはとからさんの毎月恒例「通りゃんせ」で和菓子を購入してきますた。
今月のお菓子は、菖蒲と藤の花がテーマ。

どっちもまだ今年は写真に撮れてませんー。もう終わっちゃうよー。

かわりに、ある日のライラック。



青空が広がると若葉が輝いて花がそよそよ風に揺れて、この季節があるから人はシアトルに住んでしまうんですね(笑)。

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2013/05/20

タコマ橋が落ちたとき


前回でかわうそ君を見たタコマナローズにかかっている橋。

この橋は二代目。
初代は1940年に架橋されて、数ヶ月で落ちてしまったという、エンジニアなら知らない人はいないという有名な失敗例なのでした。

風に共振して、たまたま振動がどんどん増幅しちゃう構造になってたそうなんですけど、当時の記録フィルムを見るとほんとにすごい。ゴム製?と思うほどぺらんぺらんしてる。

橋が落ちた時の記録もちゃんと映像におさめられてます。



うちの息子も、高校の物理の授業でこのフィルムを見たといってました。

工事中からこんなにぺらんぺらんに揺れていたので、「Galloping Gertie」というあだ名がついてたというんだけど、このゼリーのように揺れる橋を車で通ろうという人がまだいたことがすごい。ていうか、この状態で開通させたところもすごいですね。

 橋が落ちた時の犠牲者は「車に取り残されたコッカースパニエル一匹」だけだったそうです。You Tube のコメント欄はこの犬のことで持ちきりでした。
なんでも飼い主が車から出そうとしたのだけど、怖がって興奮して噛みつくばかりで、どうにもならなかったとのこと…。リーシュぐらい積んどけよ、と今日だったら非難ごうごうになりそうです。





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2013/05/14

タコマ・ナローズのかわうそ君



Tacoma Narrows Park (タコマ・ナローズ公園)にいってきました。

ここです。(Aのとこ)


Narrows の日本語訳は「海峡」になっている辞書が多いけど、内陸すぎて全然「海峡」らしさがない。瀬戸内海あたりに多い 「水道」と呼ぶほうがしっくり来ますね。

タコマ水道。




 だって多分、向こう岸までの距離は浅草付近の隅田川くらいの感じだし。


そんなタコマ水道の公園には猫の額ほどのちっちゃな砂浜があって、天気の良い日だったので親子連れがピクニックに来てました。が、ちょっと外れのほうにはこんな人が!


かわうそ君だ! sea otter (らっこ)じゃなくて river otter のほう。
しっぽが長い。しっぽの先まで入れたら1メートル半くらいありそう。

今捕獲したばかりの平目?を両手に持って、頭からぼりぼり食べている。
すっごく丈夫な歯をお持ちのようで、骨を噛み砕く音がバリバリと小気味良く響いてました。


うーん、なかなかうまそうな刺身。 こんなとこに平目(だかカレイだか)がいるんですねぇ。こんな狭くてもやっぱり海なんだー。


5分くらいであっという間に食べつくして、また悠々と橋のほうへ泳ぎ去っていったのでした。


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2013/05/13

5月のフィニーウッド・アートウォーク


先週はすっかり夏の雰囲気で晴天続きでした。
月曜は5月だというのに華氏87度(30度C)に達したそうです。5月にこんなに暑くなったのは観測史上初らしい。どこへ行っても青葉の香りがいっぱいの一週間でした。

そんな金曜の夕方、まるで真夏の夕涼み的な午後7時。
フィニーリッジの「PhinneyWood アートウォーク」に行ってきました。

恒例、Kaoruさんの舞踏道中にお供しての写真撮影。


今回は笹竹を持った赤いキモノの二人の女に、「心」を持った青鬼、三味線と太鼓の楽隊が続く、女子ばかりの純粋ジャポネスクな五名編成でした。

 素敵すぎる着物と青鬼の背面。

 

レッドミル・バーガー前にて。ブルドッグにひたとみつめられる舞踏隊。


青鬼の心の対話。


 いつの間にかわさわさと繁っていたメープルの青葉の下に、異界の人形。


Kaoruさんの舞踏は次回は6月6日パイオニア・スクエアのSeattle Art Walk、7月7日七夕にもシアトルに本庭園のイベントに出演予定だそうです。

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2013/05/06

Cinco de Mayo の夕食




先週末から急に超快晴続きのシアトル。今日は気温が30度C近くまで上がって、すっかり一気に真夏気分。

日没も午後8時くらいになって、夜9時くらいまで空が明るい。


 Cinco de Mayo だったので。というわけでもないのだけど、なんとなく即席でメキシカンな食卓に。

友人夫妻がメキシコの豆の冷たいサラダを作ってくれました。



アボカドのチーズ焼き。ライムの絞り汁とタバスコとチーズをのせてオーブンで焼くだけの簡単おつまみだけど、うまいです。


外で食事するのが最高に気持ちよい季節になりました。

これがあの雨降りの灰色のくっらい街と同じだとは思えない〜。街中、花と緑でいっぱいの、明るく爽やかな5月です。




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2013/05/05

潮干狩りの浜辺の謎物体


ピュージェット湾の奥まった南端にある、ペンローズ・ポイント州立公園(Penrose Point  State Park )というとこに行ってきました。

湾(Sound)といっても太平洋からは直線距離で100キロ以上は内陸。

ほとんど川か湖のような、波立つこともない水。でもたしかに海水で、干潮になると海藻がびっしり生えた砂州が露出します。


潮干狩りの人がけっこういました。シーズンは3月1日から5月半ばまで。

牡蠣、あさり(manila clam)、horse clam(巨大あさり。ハマグリの殻を厚くしておいしくなさそうにした感じのやつ)、ナミガイ(geoduck)なんかが穫れるようです。

穫れてるのはほとんどがアサリでしたが、50センチくらいの穴を一心に掘ってる人も多かった。ナミガイ狙いかな。



むかしはこのピュージェット湾南端のあたりは小さな牡蠣がたくさん自生していて、この地域のインディアンの大切な食糧であったそうですが、乱獲でほとんどいなくなってしまいました。この公園では牡蠣とアサリを浜にplant )しています。

アサリは一日ひとり40個まで、牡蠣は18個まで。牡蠣の殻はその場で剝いて置いてかなくてはなりません。 殻が次の世代の牡蠣が育つのに必要なんだそうです。


ふじつぼさん。

砂州を歩いていると、砂地からぴゅうぴゅう水が噴き出してきます。アサリか。熊手がなくて残念。



プリンス様の衣装のような色合いのヒトデくん。


石をどかすと、下からわらわらと小さなカニやら、わけのわからない生物が出てきます。

そしてこの物体は一体なに?


最初、トイレをかぱかぱするプランジャーのゴム部品が流れてきたのかと思ったけど、あまりに数が多い。そして砂で出来ているようで、さわるとほろほろ崩れる。

なんだろうこれ。


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