2020/04/29

うまくいかない夫婦の話


一日ごとに木の葉が茂り、花もどんどん入れ替わり。ドッグウッド(ハナミズキ)の花(じゃなくてほんとうは総苞だけど)があっというまに満開です。

ひとつ大きな仕事が終わったらまた超ヒマになってしまった。しーんとしています。

だからといって積ん読本はちっとも減らず。そしてなぜか本棚を開けて(うちの文庫本用本棚は扉つき)ランダムに目についた、夏目漱石先生の『道草』を読み始めてしまいました。

面白かったです!
20代の頃に読んだはずだけれど何ひとつ覚えていなかった。

これ20代で読んだってわかるわけないわ。同じ本を読んでも、そのときそのときで受け取るものは違いますよね。

これは完成作品としては漱石先生最後の作品で(未完の『明暗』の前)、49歳だった漱石先生が自分の36歳の頃の出来事を振り返った自伝的作品。そして物語の中心は、うまくいかない夫婦仲です。

子どもの頃養子に出された先で、承認要求ばかり高くて素直な愛情を子どもに注げない毒親に辟易した思い出。

そして海外から戻り、教師となり、学問の世界で高い野心と自負を持つものの、その野心と自負に比例するほどの経済的余裕はないのに、過去の闇からころがりでてきたような毒親はじめ、親戚一同がお金をせびりにくる哀しさ。

夫婦ともにめちゃくちゃ我が強く、互いに思いやりはあるのに素直に譲ることのできない気性で、すれ違うばかりの夫婦仲。

主人公の健三さんに、漱石先生の筆は容赦なく切り込んでいきます。

「つまりしぶといのだ」
健三の胸にはこんな言葉が細君のすべての特色ででもあるかのように深く刻みつけられた。彼は外の事をまるで忘れてしまわなければならなかった。しぶといという観念だけがありとあらゆる注意の焦点になって来た。彼は余所を真っ暗にして置いて、出来るだけ強烈な憎悪の光をこの四字の上に投げかけた。細君は又魚か蛇のようにその憎悪を受け取った。(139)

13年前の自分をこれだけ冷静に、第三者的に見られるってほんとにすごいと思う。だから文豪なんですね。

お産間近で、今度は死ぬかもしれない、と弱音を吐く奥さんと健三さんの会話。

「女はつまらないものね」
「それが女の義務なんだから仕方ない」
健三の返事は世間並みであった。けれども彼自身の頭で批判すると、全くの出鱈目にすぎなかった。

これには漱石先生の女性観の一部がすごくよくあらわれてると思います。
この小説が発表されたのは大正4年、1915年。
女性には参政権もなく、女は子どもだけ生んで育てていればよろしい、夫や親の所有物であるというのが「世間並み」の価値観であったときに、近代人であった漱石先生はそれが「出鱈目」であることを感じつつもその世間並みの価値観の中に生きていて、その矛盾を痛切に感じていたのだと思います。この時代の矛盾はもちろんそれだけではなく、社会のあらゆる面で目について、漱石先生みたいな正義の人&美意識の人にとってはたいへんなストレスだったことだろうと思う。

ちょっとあまりにヒドイと思った箇所を。

一番目が女、二番目が女、今度生まれたのもまた女、都合三人の娘の父になった彼は、そう同じものばかり生んでどうする気だろうと、心のうちで暗に細君を非難した。然しそれを生ませた自分の責任には思い到らなかった。(209)
「同じものばかり」って……。
もうひとつ

その赤ん坊はまだ目鼻立さえはっきりしていなかった。頭にはいつまで待っても殆ど毛らしい毛が生えて来なかった。公平な眼から見ると、どうしても一個の怪物であった。
「変な子が出来たものだなあ」
健三は正直なところを云った。
「どこの子だって生れたては皆なこの通りです」
「真逆そうでも無かろう。もう少しは整ったのも生まれる筈だ」(242)

おい!娘にむかってなんてことを。でもこんなことを言っても、漱石先生の場合にはまったく嫌味でなくて、笑ってしまえるのは人徳。

奥様も漱石先生も、どちらもぜんぜん悪者ではないけれど、それぞれのしがらみによりそれぞれの立場でしかものを見られず、それで互いに期待している反応が得られずに癇癪を起こすという、うまくいかなさの機微をどうしてこう細かく容赦なく描けるものだろうか。冷徹すぎる。

わたしも36歳くらいのときに離婚しましたけれど、 元旦那もわたしも、当時は健三さんとお住さんどころではない、まったくもって小学生なみの我の張り合いをしていたものですから、そんな幼稚な応酬は精密に思い出したくもないし思い出そうとしたら相当に疲れそう。





夫婦のすれ違いっぷりを描いた作品では、最近は Netflixの『Marriage Story』もよかったなー。

これは20世紀初頭の健三さんとお住さんとはまた全然違う、21世紀初頭のアメリカの話だけれど、お互いに期待するものと自分が目指すものと自分の我の折り合いがつかなくなってだんだんねじれてくるところはおんなじ。

とても切ない話でした。俳優陣がみんなすごくよかったー。



きょうの夕虹。ひと雨ごとに緑が濃くなっていきます。



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2020/04/27

すぐに滅亡したほうがよいものと桜吹雪


先週の土曜日。お昼ころから晴れて風が強くなって、街中が花吹雪でした。



八重桜の濃いピンクの花びらが見渡す限り舞い上がって超豪華。
どちらの結婚式場でしょうかみたいなラブリーな午後でした。



いつも散歩するときには、携帯と小型の手帳とハンカチくらいしか入ってないトートバッグを下げて歩いてますが、帰ってみたら中に桜の花びらがたくさん入ってた。なんてメルヘンな。

そろそろ4月も末で、いつ経済を再オープンするのだという話が熱く語られてますが。

きっともう戻ってこないものもあるし、永遠に変わってしまったものもあるだろうし、新しい流れになっていくのは間違いないですね。
こんなものはいらなかったね、あのときに無くなるきっかけになったね、というのはたぶん後になってからわかるのだろうけど。

日本でいま、一番わかりやすい、すぐに滅亡したほうがいいものはハンコとFAXではないかと。

朝日のデジタル版で、休業要請が出ているさなか、ハンコを押しに会社に行かなければ行けない人がかなりいるという記事にあらためてびっくりしました。明治時代か!

先日もちょっとクライアントさんと話題にしてたのだけど、日本の会社の場合、少額でも紙の請求書を郵送で送れと要求してくる企業がけっこう多いのだそうです。数百万数千万単位の取引ならハンコついて収入印紙貼って送ってっていうのもわかるけど 、数万円の取引でそんなことやってたらその分事務処理経費がかかって仕方ないという…。



これをきっかけに、紙至上主義が変わらざるを得なくなるといいですね。

秦の始皇帝以来のはんこ文化は麗しいけれど、なにもカイシャでその文化を保存しなくてもよいと思う。御朱印とか卒業証書とか、活躍の場はほかにある。

 あとなくしたほうがいいのは、大統領制ですね。キャラクターを押し出した政治はもうほんとにみんなの時間の無駄だと思う。平和な時代にはそれもエンタメだったけれど、もうこんな時間のないときにシャレになりません。国のトップは「ウルトラマン方式」から「戦隊方式」に変えるべきだというのがわたくしの持論です。

政治家のいじわる発言も憲法で禁止したらいいよ。なくしたほうがいいのは意地悪と嫉妬と我執。国のトップがそれにまみれていてはね……。



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2020/04/25

今週のスーパーマーケット


冷蔵庫になにもなくなってきたので、仕事が終わった水曜の夜、1週間ぶりに買い物にいってきました。

日用品も不足してきたので久々に大型スーパーへ行ってみることに。彌生ちゃんハンカチの即席マスクをつけて、近所のFredMeyerというチェーンに行きました。大型店に行くのは5週間ぶりです。

ここは食料品と日用品だけでなく、衣料品もあり、ガーデニング用品もあり、外には植木のコーナーもありの、ウォルマートみたいないわゆる「ビッグボックス」店。

いまは全国チェーンのKrogerと合併してるけど、もともとはオレゴンのポートランドで創業した北西部のチェーン店で、こういうなんでも扱う大型スーパーのはしりだったそうです。

先週ニューヨークのマンハッタンに住んでいるクライアントさんと電話で話したとき、近くのスーパーがなんでもかんでも品薄で、卵は1ダース10ドルもする!という話をしてらしたけど、ここのスーパーはほぼすべて平常どおりの品揃えでした。

トイレットペーパーもあった!でも、4個入りで7ドルって高くないっすか??
そしてまだお一人様一個までの制限つき。

棚にはものがいっぱいだけど、ところどころ、いつものブランドがないのもありました。当然ながら、流通や生産が混乱しているのでしょうね。ていうか、どこもロックダウン中なのにもかかわらず、これだけ店いっぱいにモノが揃ってるのはすごい、と逆に感心しました。

いつも買うストアブランドの卵(1ダース3ドル弱)は品切れで、5ドル99セントの地元農場のオーガニック卵を買いました。1ドル50セントのクーポンがあったので4ドル半。でも高いなー。

卵は全国的に値段がつり上がっているようです。

中西部や西部の精肉工場のあちこちで従業員のコロナ感染が見つかり、(マスクなどの防護措置を一切手配せずに従業員を働かせたため、とワシントン・ポストが報道してます)牛肉や豚肉は最大25パーセント供給が減る可能性があるという話ですが、水曜日のシアトルのスーパーには豚肉も牛肉もベーコンも普通に並んでいました。

でもベーコンは今のうちちょっとだけまとめて買っておいたほうがいいかも…。これから手に入りにくくなるかもしれません。

お客さんの7割くらいはなんらかのマスクをしてました。

バンダナ巻いただけの人から、かなり力の入ったマスクの人までいろいろ。
おそろいのお洒落な布マスクをしてるカップルも何組かみかけました。



レジの列で前に立ってたおねえさんがお洒落でカッコよかった。サイズのぴったり合ったきれいな色のレインコートに、マジェンダ系の色のカールした髪を可愛くまとめて、マスクがまた、自作なのか、とってもお洒落。

美容院も行ってないし(そもそも近所の散歩以外どこにも出ていないし)ブローもせずアイロンも当てないぼっさぼさの頭を適当にとかして適当なレインジャケットをひっかけてでかけてしまった自分を大変反省しました。

帰ってきてからとりあえず前髪を切ってみた。

東京でもスーパーの入店制限が始まったそうですが、もともとのスペースが狭いから大変だよね。

アメリカはもともと週に1回まとめて特大カートにいっぱい食料品を買う家が多いけど、日本では小さな店にちょこちょこ寄って毎日品揃えを見て買い物をするのが普通なんだったよな、と、小池都知事の「買い物は3日に1度にしてください 」という呼びかけについての記事を見て思い出したのでした。

また日本の駅前スーパーで魚を買いたい。

ほんとだったら、昨日から東京にいるはずだったのに! 今頃、アジの干物とか焼き鳥とか桜餅とか駅弁とか食べてるはずだったのになー(涙) 

今年の後半になっても、不要不急の用件で日本に行くことができるのかどうか、かなり微妙ですね…。払い込んだ航空券代はいちおう「クレジット」にはなっているものの、夏以降の航空運賃が手の届く値段のままでいてくれるかどうか…。


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2020/04/23

またやってしまいました。


リラの花が咲き始めました。昨日から雨降りでしっとり。

10日ほどかかりきりだったプロジェクトがようやく昨日完了し、しみじみ解放感にひたっています。やっほぅ〜〜〜!!

この解放感が味わいたくて翻訳をやっているといっても過言ではない。そうでもないか。

でもお風呂に入る間もなく追いまくられて目をしょぼしょぼさせながら作業していても、結局のところは楽しいのだった。
翻訳の仕事って、M的なところがないときっと続かないと思う。

 

そんな渦中の週末、わたしにしては超早朝の6時半に起きて、仕事にかかる前に近所を一周散歩しようとでかけました。

その日は快晴。鳥の声に癒されて、は〜幸せ、となって短い散歩を終え、さて自分ちの前でポケットに入っていた鍵をだしたところ、あらびっくり。
それは車の鍵ではありませんか。

うちのドアは、よくあるボタン式のドアノブの鍵とドア本体についてる鍵の二段構えで、普段はついノブの鍵をかけてでかけてしまい、年に1度はかならず自分を家から閉め出して大変困ったことになるのです。

お向かいのカリッサちゃんちにも鍵を預けてあるのだけど、いくらなんでも小さな子のいるうちを訪ねるには早朝すぎると思い、車で5分くらいの近所に住んでるCTちゃんに電話。土曜の朝なんでまだ寝てたけど、幸い電話にすぐ出てくれました。

車で鍵を取りにいき、平和な眠りから叩き起こされたCTちゃんから鍵をうけとって、無事家に入れたのでした。ほんとに、くっそ忙しいときに限ってそういうことをやらかすんです。

以前ならこういうときに頭をかきむしり自分のボケ加減をののしったものでしたが、いくら責めても無駄に反省しても駄目なものは駄目だということがようやくわかってきて、対策にフォーカスすることに。
現在では車で10分圏内の友人知人4名に鍵を預かってもらっています。( ・´ー・`)どや

できない子を責めてもできるようにならないのでねー。なにしろ他人の靴を履いて旅に出てしまう人ですからね。50年以上つきあっているとだんだん慣れてくるものです。
 ( ・´ー・`)どや

まわりには迷惑なことですが、ほんとに心優しい人びとが生暖かい目でみまもってくれてるので、生きていけています、わたくし。感謝です。申し訳ございません。その代わりになにかの形できっと貢献してると思いたい。

火事を出したりうっかり人を殺さないようにだけは本当に気をつけようと思っています。いや本当に。



2日分の雨を吸って、八重桜がずっしり。花びらが多いだけに吸水率も高い。

葉っぱがでてきて、木の下を通ると桜餅の香りがします。桜餅食べたい〜!

TOKARAさんの和菓子がバラードのMIRO TEAで現在も入手できるそうなので、見に行ってみようかな。


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2020/04/21

例のおカネは届きましたか?


近所の八重桜並木。満開です。

数年前、通りのまんなかにこの公園ができたときにかなり伐採されてしまったものの、まだまだ見ごたえがあります。



ぽってり濃厚。

はー先週からちょっと大型のお仕事が入ってきてあたふたしてます。このご時世にありがたいのですが、降れば土砂降り。土砂崩れ寸前。このところいつもに輪をかけてぼーっと暮らしていたので、エンジンがかかるまでに大変時間がかかり、したがっておあとが大変なことに。



リンゴかな、姫リンゴかな。なんだかわからないけどラブリーです。
根元にはチューリップと水仙が植わっていてさらにラブリー。

一日一度か二度近所をヨロヨロ(文字通り)散歩するのがやっとの毎日、めいっぱい咲きまくっている花とロビンやシジュウカラの啼き声にひたすら癒やされます。

ところでボストンにいるうちの息子と話してたら、先週の水曜日に例のStimulus check(経済刺激対策の小切手)のお金、1200ドルが口座に振り込まれていたそうです。えー!
彼は銀行口座に振り込みだったけど、同じ会社の同僚のインターンの子たちは紙の小切手を受け取ったって。えー早いな!

これは、扶養家族でないアメリカ人と合法的居住者全員に1200ドル(収入により支給額は変わり、たとえば単身者の場合は年収7万5000ドル以上の収入があると金額が減ります)が支給されるというやつです。

そして気づいた。去年の確定申告、まだしてなかった。

ご存知のとおり、アメリカでは誰もが確定申告をして、還付金がある場合はIRS(税金の役所)から口座振り込みや小切手郵送で返ってきます。
このお見舞い一時金も、そのデータをもとにさくさくと全納税者に配られているわけなのです。

例年は4月15日が締め切りなのだけど、今年はコロナのために7月15日まで延びたのをさいわい、わたくし、まだやってなかったのです。個人事業主なので還付金はなく、納税しなくてはならないので、あとでいいならそうしよ〜、わーいラッキー、と思っていたのだった。ちくしょう、世の中うまい話はないな。いや違う、単に自分がダメダメなだけだった。

SBA(中小企業庁)を通して申し込めるEconomic Injury Disaster Loan (EIDL)は、申し込みが殺到し、数週間でもうサクッと資金が尽きてしまったそうで、新規の受付をしていません。ははは。

PPP(ペイチェック・プロテクション・プログラム)はいちおう銀行通して申し込んではみたものの、こっちも事務処理が山になっているそうで、それにやっぱり確定申告してないとサクッと突き返されそう。同業の個人事業主さんは、早々に申し込んだら翌週くらいには振り込みがあったそうです。やっぱり初動が早い人にはちゃんとリターンがあるのね。

まじでこの騒ぎで取りはぐれている翻訳料金がけっこうバカにならないので、ローンでいいから援助いただけるとたいへんありがたいのだけど。まずはほんとに早く動けよ、自分。

俺、この仕事おわったら申告するんだ…。て、こんなフラグを立ててどうする。

日本では牛肉券>お魚券>世帯ごと30万円>国民一律10万円支給、と大変興味深い紆余曲折があったようですが、とりあえず支給が決まって良かったですね。日本はソーシャルセキュリティーナンバーがないし確定申告する人も少ないから、手続きがけっこうめんどくさそうですが。



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2020/04/17

配達してくれてありがとう


いま大変なのは、病院のスタッフもだけど、食料品店の店員さんや、いろいろ配達してくれる人々。

とくに配達のみなさんには、リスク高いお仕事をして生活を支えてくれてるのに、 ノーコンタクトでドアの前などに置いていってくれるので、直接お礼を言う機会がありません。

東京のにゃを美画伯が、配達スタッフさんへの感謝の気持ちをあらわすステッカーを作成してくれました。

にゃんと英語版もあるよ! にゃを美先生のサイトでPDFをダウンロードできるので、インクジェットプリンターがある方ならば、カラーでプリントできます。

日本語版はこちら

英語版はこちら


サイズはクレジットカードより少し小さいくらい。
ドアや郵便受けが金属製のお宅なら、よくプロモーションでもらう冷蔵庫用のペラペラのマグネットに貼りつけてもいいかも。

イラストはもちろん、アマビエちゃんです。
にゃを美先生のブログで初めて知ったけど、ニューヨーカーガーディアンでも、アマビエちゃんが紹介されてたのね。

日本ではじわじわ感染者増えてるけど、まだオーバーシュートにはいたらず、致死率も低めに抑えられてるのはアマビエちゃん活躍のおかげかもしれませんねー。


 
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2020/04/15

自分のことしか考えられない病


きょうのニュースで、この国の大統領が、各納税者に支給される予定の1,200ドルの小切手に自分の名前を印刷させたというのを読みました。ほんとうは署名を入れたかったけど、IRSの小切手に署名する権限はないので、無理やり名前をプリントさせたという。

もう頭に来るのを通り越して笑っちゃった。
そんなに認めてもらいたかったら、自分のおカネをばらまけばいいのに。

ほんとにこの人って自分のことしか見えないんだね。

今日は「わしにはabsolute power(「絶対的な権力」)があるのじゃ」と会見で繰り返して、全国民をぽかーんとさせました。
「米国大統領になったら、その権威はトータル(完全)なんだよ。そういうもんだ。州知事なら知ってるはずだろ」

もちろん、大統領は王様ではないので、トータルな権威なんかありません。NBCのニュース番組では当然笑いものになっていたけれど、しかしそれでもそれでも、この人をまだ本気で支持している人がいるのが現実だとするとなかなか笑えません。

正気の人とは思えないのだけど。自分のことしか考えられない病気。
フォロワーとかFOXニューズの人はいったいどういうストーリーにとらわれているのでしょう。



近所の道路はどこも、チョークの絵がいっぱい。
午前中に散歩をすると、小さい子を連れたお母さんやお父さんとたくさんすれ違う。

うちの息子が今、幼稚園とか小学生とかだったら、と思うとほんと気が遠くなる。
いや中学生でも、高校生でも、この状況で子どもの教育や毎日のご飯やアクティビティに気を配らなきゃならないのは本当に気が重いことだと思う。



ゴボウをゲットできたので筑前煮をつくりました。れんこんもコンニャクも絹さやもなし。でもうまいー、ゴボウってどうしてこんなにうまいんだろう。



NETFLIXで『はたらく細胞』があった!
前にマンガ版をちょっとだけ読んだけど、アニメのほうがダイナミックで面白い。

ナイーブ細胞の変身に爆笑www

日本人の擬人化カルチャーはちょっとどうかしているレベル。誰かこれについて何か書いてる?

For now, let's deal with the virus!


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2020/04/14

驚異の年


ハーバード大のすぐ前にあったファンキーなたてもの。これ絶対狙ってるよね。
ピノキオ顔だし。

ハーバード大キャンパスの中の建物はあんまり面白いのを見かけなかったけど、これはほっこりしました。

なんの建物だかわからなかったけど、フラタニティ関連か、出版局みたいな感じでした。



アイザック・ニュートンは1666年にロンドンでペストが流行して大学が2年間休講になったときに万有引力の法則発見につながる思索を深めた、という内容の記事を、先週から5回くらいあちこちで読みました。

これとか。 若干25歳だったニュートンの「驚異の年」と呼ばれているそうです。はー25歳。

うちの25歳も暇を持てあましているようですが…。

宇宙の大法則を発見しなくてもいいけど、充実した時間になるといいよね。
3Dプリンターでなんかいろいろ作って、新しいテーマを掘ってるそうです。おおむね楽しそう。

みんな暇だ暇だというのだけど、わたしはたぶん動きがスローで気が散りやすいせいで、ちっとも時間が足りません。本の山もちっとも減らないし(逆に読めば読むほど増えていく不思議……)、観たいものも増える一方だし。

今週は大変ありがたいことに大きなプロジェクトが入ってきたので、回転数を上げなくては……。ここのところ、ますますのんびりモードになっていて、朝のルーティン始動にめちゃくちゃ時間がかかっている。まあ贅沢なことですね。いい加減おしり叩かないと。
 
このところ天気もよくて、世の中が静かなので鳥の声がよく響いてきて、朝から幸せです。
そしてつい二度寝する。いかーん。

いろいろな意味で驚異の年になりそうな2020年です。


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2020/04/13

鯛焼きとローン無返済期間


CTちゃんがダウンタウンの日系スーパー、ウワジマヤに行くので何か買い物あるかと聞いてくれたので、ゴボウと大根と白玉粉をおねがいしました。
ゴボウはたまに近所のバラードマーケットでも見かけるけど、大根はないのよ。

ウワジマヤがこれほど遠く感じるとは…。
そしたらCTちゃんがおまけに鯛焼きとお花も買ってきてくれた。うるうる。

珍しい八重の水仙です。高貴な香りだ〜。



イチゴいり鯛焼きでした。あの黄色いトラックのやつかな。

数千ドル残っててちびちび返済している学費(息子のじゃなくて自分の)をいつもどおりオンラインで払おうと思ったら、payment due(当月支払い額)が)ゼロになってた。あれっもう支払ったっけとおもったら、なんと、コロナのおかげで、4月から9月までの間は月々の返済をしなくてもよいことになっていました。いやもちろんその分あとに伸びるだけなのだけど、経済的に打撃を受けている人が多いことをおもんぱかって利子なしの無返済期間を設けてくれていたのでした。(もちろん通常通りの支払いも可能)

わたしが払ってるのはほんとに月々電気代以下の金額なのでそれほど大きなインパクトはないけれど、いまはとにかくなんでもありがたい。
こういうところ、アメリカの各種機関はフットワークが軽いというか対応が早いなと思います。
ほかの借金も無利子にしてくれたらいいのにー。 はいはい虫が良すぎますね。

でも同じ日にCar Tab(車検のようなもの、年間登録料)の請求書が来てて倒れそうになった。よっ、461ドル26セント!いつからCar Tabってこんなに高くなったのよ。これでは日本の車検なみではないか。

去年の10月から、ワシントン州ではハイブリッド車と電気自動車には75ドル上乗せされるようになっていたんですね。でもこの75ドルって、電気自動車用の充電ステーションに当てられるらしくて、充電しないハイブリッド車にはまったく関係のない話。釈然としないー。意味のないペナルティを課された気分。
ほかにもっと取るべきところがあるのではないか、ワシントン州。


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2020/04/12

書店の奇跡


ボストンの公共図書館には、すごい壁画がたくさんあります。

なかでも圧巻なのが、このジョン・シンガー・サージェントが30年をかけて制作したという(未完の部分もある)「Triumph of Religion」(宗教の勝利)。

19世紀末に建設された美しい旧館の最上階を飾る、壮大なシリーズです。

去年10月と今年2月に行ったとき、何度となく図書館に通って、 何度もこの壁画を見にこの3階に登りました。6回くらいは通ったと思います。


そのたびに、天井の絵を首が痛くなるまで見ながら(本当に痛かった)、いったいこれは何なのだろう、サージェントさんは何のつもりでこれを描いたのか、当時の人はこれについてどう思ったんだろうか、ということがますます気になってました。

エジプトやペルシャの宗教、ユダヤ教、キリスト教のモチーフがそれぞれ描かれて、キリスト教が中心ではあるけれど、「キリスト教の勝利」ではなくて「宗教の勝利」というタイトルがつけられている不思議。

そもそも「宗教」って何だと思っていたんだろう、どんな思いを抱いてこんな大作を手がけたんだろうか、サージェントさんは。

これについて書かれた論文でも載っている解説本がないかなと思って、ボストンの書店やミュージアムショップでずっと探していたのですが、見つかりませんでした。



そしたら、3月のはじめにニューヨークに行ったとき、STRAND Book Store になんと、そのものずばり、この壁画についての分厚い研究本があったのです。

メリーランド大学の美術史学の助教授が書いた本で、ずっしり2キロくらいの重さがあるもの。しかもしかも、これが、セール本で、たったの10ドルでした!

「公共」の場に宗教の絵を描くことの意味、公共性と信仰、19世紀末から20世紀初頭のアメリカの宗教観など、 すごく興味があるトピックが網羅されている。

本屋さんの天使が引き合わせてくれたとしか思えない。
帰りのスーツケースは幸いとっても余裕があったことだし、1秒も迷わず購入しました。

問題は、生きてる間にこれをちゃんと読む時間を取れるかどうかということだ。
引き合わせてもらったのだからちゃんと読まないとー(プレッシャー)。



この書店には、ケンブリッジの書店にもボストンの書店にもなかったカミュの『ペスト』も平積みされてました(「ノーベル賞受賞作!」というポップがついてた)。
うちの青年に読ませるために探してたので、こちらも速攻購入。

なんと心ある本屋さんなのだろうか。

東京にはこの規模の書店がいくつもあったけれど、だんだん少なくなってますね。
吉祥寺パルコのブックセンターもなくなっちゃったし(中学校時代からの行きつけ本屋だったのでかなりショックでした)。
でもでも、まだ日本には書店がとても多いのに帰るたびにほっとする。
心ある大小の本屋さんたちに、ぜひぜひぜひCOVID禍を生き延びてほしいです。




これは3年前に行ったときのだけど、「禁書になった本フェア」とか、面白いコーナーがいろいろ作ってあって、本好き書店員さんの熱を感じます。


あとここの本屋さんは、グッズの商品展開が上手!

トートバッグも片っ端から買いたくなるし、マグネット、しおり、ポーチ、ステッカーなど、 オリジナルグッズがどれもかわいい。もしかして日本の人がコンサルに入ってる?
観光客からもしっかりお金を巻き上げるべきですよ!!(巻き上げられた人が言う)。


前に買ったマグネットと今回買ったポーチ。

ねこ柄が多いのは、書店好きとねこ好きの相関関係をあらわしていますね。

応援でグッズでも買いたいところなのですが、4月12日現在、実店舗はもちろん、オンラインストアも休業中。

「Eギフトカード」 だけは購入することができます。

世界中の本屋さん、頑張ってください〜!ドカンと寄付できなくてごめんなさい。
心の底から応援してます。



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2020/04/10

ロックダウンいろいろ、マスクいろいろ


近所がチューリップだらけです。

このへんのおうちはガーデニング好きな人が多いので、こぢんまりしたお庭にいろんな花が咲き乱れていて、散歩が楽しい。

東京では「休業要請」をめぐって攻防があったようですねー。国は頑としてお金出しませんって言ってるのも、すごいな。

ロックダウンもいろいろで、息子のいるボストンでは夜9時から朝6時までの「curfew」(夜間外出禁止)が出ていて、公園もすべて閉鎖されています。

ホノルルでもこの週末は午後11時から午前5時の外出が禁止になったそうです。
ハワイでは、公園はすべて閉鎖されているけれど、ビーチは閉鎖されていません。

シアトルでは夜間外出禁止令は今のところ出ていないけれど、今週末、金曜の夕方から月曜朝まで、市内のおもな公園が閉鎖になりました。植物園も。お天気がいいと、そのつもりでなくても人が集まっちゃうのは自然な流れですからね。

ニュージーランドでは、市内でも別地域に移動することを禁じられていて、あちこちに検問所があるとか。効果が出ているようですが、アメリカでは今のところ、さすがにそこまで出来る自治体はないのでは。外出自粛には皆、おおむね素直に従っていますが、移動の自由を制限されたら暴れる人がでると思う。
 



買い物の回数を減らして、パントリーと冷蔵庫にあるものを使いたおす週間。けっこうなんとかなるものだ。

パントリーの奥から遠い昔に買ったライスペーパーを発掘したので、いろいろなものを包んでみています。おかずの残りとか。

リンゴを包んで焼いてきな粉をかけてみたら一見くず餅風に。もちもち食感がなかなかいける。
家にこもって手のこんだ料理をしてる友人が多いなか、ずぼらな私はこれがせいぜいのところです。


布マスクは、縫わなくてもよい30秒でできるハンカチマスクを使ってます。

去年東京の美術館で買った草間彌生ちゃんハンカチも活躍。使ったら煮沸消毒して干すだけ。超簡単でわたくし向き。


じつは、友人のかなぼんさんから、コロナ以前に有事に備えて備蓄していた秘蔵のN95マスクも頂いたのだけど、もったいなくてまだ使えてません。買い物ごときに使いたくなくて。いちおうハイリスクの人なので、人一倍気をつけるべきなのではあるけれど。

より差し迫った事態のときのためにとってあります。


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少し明るくなった


散歩ついでにバラードのダウンタウンまで行ってみました。

ロックダウン以来、商店のウインドウに板張りされていて終末的な光景になっていたのですが、その板の上にカラフルな絵が描かれていました。


セレクトショップのSeptemberは山脈風景に。


隣りのアートショップVenueはステンドガラスのきれいなパターン。
地元アーティストが分担をきめて、画材は近くのペイントショップが寄付したそうです。


むき出しの板が貼ってあるよりずっとよい。
板張りのままだと憂鬱で荒んだ印象になってしまうので、来る人が少ないとはいえ、街の気分が下方スパイラルになる。

バラードらしいキャラクターの、楽観的な外見になりました。


ちょっと民話の絵本みたいな雰囲気のハミングバード。


制作中のところもあった。


3月半ばから閉まっている映画館には「We Are All In This Together」「Reel Magic Will Return」とメッセージがかかげられています。


こちらは最近開店したばかりの雑貨屋さん。「グローバルなウイルスパンデミックがあるんだよ。うちに帰りな」と書いてありました。はい。帰ります。


信号制御システムボックスが新しいアートで飾られてました。
これはたいへんクオリティが高い。



ウイリアムモリス風の植物に、タコやバナナやトロピカルフルーツを配したお洒落ボックス。オランダの静物画みたいな。

Sarah Simonさんというイラストレーターの作品でした。


こちらもファンキーで素敵。オルカに赤イカ。バラードでは触手系が人気なのか。


赤いカエルくんもいました。これもクオリティ高い。

5月に、お店は開くのか。よい夏が来ますように。



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