2010/12/29

コーヒー・シティ


シアトルはCaffeinated City、カフェイン漬けの街、ときいてはいたけど、じっさい引っ越してみて、カフェの多さには本当にたまげた。シアトル市内のカフェの数は、クリーニング屋と歯医者と花屋を足したよりも多い、たぶん。同じ町内にこんなにたくさんあって、よくつぶれないものだと思う。カフェに何か特別の補助金でも出てるのかと思ってしまうくらい多い。

ホノルルにも素敵なインディペンデントなカフェがないではなかったが、地元資本のカフェは人口80万人のオアフ島全域あわせても、せいぜい10軒あまりだった。
シアトルでは、バラード町内(人口4万人強)だけでも、地元カフェの数が軽く10軒を超える。その上に全国チェーンのスタバやTully's もあるし、スーパーマーケット内にもカフェがある。

そうしてカフェの客にも経営者にも、シリアスなコーヒー通が多いのにも驚く。

コーヒー的に私が一番好きなのは、市内に3店舗、日本にも支店を出してるZOKA

ここのグリーンレイク店では、この秋、コーヒーのテイスティングをやっていた(写真は9月)。
たまたま行った時にやってたのでまぜてもらったのだけど、このときには同じエチオピアの豆を、1)水道水、2)濾過した水、の2種類で、水温を変えてドリップでいれたコーヒーのテイスティングをしていた。うーん、正直よくわかりませんでした〜…。
 
ZOKAのようなロースター直営のカフェもたくさんある。ロースターでないカフェも、ほぼ例外なく、シアトル地元ロースターのどれかから豆を仕入れている。



シアトルいち有名なカフェはここ。パイクマーケットのスターバックス1号店。
1971年に創業した本当の1号店はここじゃなくて、もう1ブロック先にあって、5年後に今のここに移転したとのこと。でもとにかくここが「ファースト・スターバックス」ということになっていて、いつも観光客が店の前で記念撮影し、狭い店内に行列をつくっている。


店の前にはかならず街角ミュージシャンが入れ替わりたちかわり、自主的に音楽を提供していらっしゃる。


 以前はこの店でしか買えない「パイクマーケット・ブレンド」がノベルティだったのだが、去年くらいから全世界で売り出してるようですね。


店内はほんとに狭くて、椅子もないカウンターのみ。


イタリアにもついにスタバが上陸するそうですねえ…。どんなメニューを出すのか。意外に「フラペチーノ」とかがイタリアのワカモノ達に受けて、年配者を嘆かせたりするのかもしれない。

わたしは、去年の暮れに浅草のスタバで飲んでみたら意外においしかった 「ほうじ茶ラテ」を、ぜひこちらでも売り出してほしい。アメリカでも「緑茶」が定着してきたから(砂糖入りのね)、いけると思うよー。

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2010/12/27

ジョージタウン

シアトル市の南端に近いあたりにある George Town。初めてここを車で通ったときはびっくりした。



シアトルのダウンタウンよりも南側は工場や倉庫が並ぶ殺風景な軽工業地帯なのだが、そこにとつぜん、赤レンガの建物群が現れる。高速道路の高架に近い、ほんの数区画なんだけど、そこだけ別の時代から来た建物がひとかたまりあり、そこにどれもこれもアクの強そうな店が入居していて、ただごとでない空気をかもしだしている。


ここは19世紀半ばから入植が始まった、シアトルでも一番古い町だという。
幹線道路沿いのこの建物は、19世紀のビール工場倉庫跡。さいきん取り壊されて、表の壁だけが残っている。夏には音楽や演劇のイベントをやったりもするらしい。


ビニール盤専門のレコード店、小さな出版社兼書店、楽器店、パブ、カフェなどが数軒寄り集まって、ボヘミアーンな雰囲気の一角を作り出している。


 1990年代後半になって、赤レンガ倉庫の広いスペースを発見したアーティストが集まりはじめ、スタジオを構えたりするようになった。




 愛するカフェ、All City Coffee。


Wi-fi は無制限使い放題。近所のアーティスト風や大学の先生風の人がラップトップや分厚い本を開いている。


気取らないシンプルな内装で、適度にくたびれた70年代風の椅子やランプが落ち着く。
バリスタ君の趣味なのか、夕方行くとSharon Jonesがよくかかってる。迫力の70年代風ソウル。この店のビニールばりの70年代風椅子に座ってシャロン・ジョーンズの歌を聴いていると、頭がくらっとして、一瞬、ここはどこ?と思ってしまう。空気が一瞬濃くなって、表のドアを開けて派手な花柄プリントにつけまつげのサイケデリック女子が入ってきそう。

 ここで初めて聴いたんだけど、70年代のレコードだとばっかり思っていたら、21世紀のバンドだった。 単なる真似じゃなくて、リバイバル。「ホンモノ」よりも洗練されていて、イキイキと、あり得ない空気を運んできてくれる。これほどこの店に似合う音楽はないよ。バリスタくんGJ!



この間は、ローカルアーティストの「可愛くないおもちゃ」展をやっていた。渋谷の女子高生にキモかわいい〜とか言われそうな人形たちとか。

 このすぐ南にはボーイングの試験飛行場があるので、次々に飛行機が通る。頭の上をボーイング最新型機がすれすれに飛んでいったりもする。愛すべき変な町。


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2010/12/24

雪山列車とクリスマスツリー



Macy's のショウウインドウのクリスマス飾りは毎年お決まりの、クラシックな 雪山列車。雪山のてっぺんに昇り降りするロープウェイもついている。かなりの年代ものと思われる。大人たちにはノスタルジーをかきたてられるディスプレイ。


小さなこどもたちにとっては、ぐるぐる回る列車がいつまで見ていても飽きないエンターテイメント。

シアトルは、雨のクリスマスイブになった。

シアトルの象徴、スペースニードルの上にも小さなクリスマスツリーが載ってます。


皆様にとっても素敵なクリスマス&新年でありますように。

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2010/12/23

ジンジャーブレッドハウス




クリスマスになると、食料品店やスーパーに「ジンジャーブレッドハウス」のキットが売り出される。

ジンジャーブレッドで壁や屋根を作り、キャンディやアイシングで飾り付けて楽しむモノで、食品売り場にあって食品を使って作るのだけど、食べるものでは、ないらしい。

Ballard の住宅街にあるこのおうちは、毎年自宅をそのジンジャーブレッドハウスに飾りつけ。築80年くらいの煉瓦作りの家が、ほんとにお菓子の家みたい。


毎年、少しずつグレードアップしていくようです。これだけの飾りを仕舞っておくのもけっこう大変でしょうね。

感謝祭が終わると、ガレージからはしごを取り出して屋根に電飾を設置する光景があちこちで見られる。ここの家のはわりと若い奥さんが一人ではしごに乗ってディスプレイを設置していました。

 シアトルはお店の飾りつけよりも、むしろ住宅街のほうが派手で凝ってるとこが多い。
日本のようにクリスマスが終わったらすぐ片付けて門松を出す、ということはなく、ツリーも新年明けて3日くらいまで飾っておく家が多い。年明けまで、町中でキラキラが楽しめる。


2010/12/21

沈んだ町の湖 



不思議な湖に連れていってもらった。

シアトルからは車で30〜40分くらいのところにある、Rattlesnake lake。


湖岸や水の中に、日にさらされて色あせた大木の切り株がてんてんと並んでいる。


昔、この湖の周りには小さな町があった。発電のために近くにダムを建設したところ、ダムの貯水池の地盤から水が漏れだして、この湖の水位がどんどん上がって、ひと夏で町がなくなってしまった。
History Link に当時(1915年)の写真が載っている。屋根まで水に浸かった家々。
その10年くらい前に、近くに鉄道が敷かれるのと同時にできた、新しい町だったらしい。建てたばかりのマイホームだったのね(涙)。


シュールな風景の中、犬のお散歩に来る人が多い。




切り株から新しい枝が出て、なんともいえない形の木になっているのもある。
なにかスピリチュアルな感じのする場所。


湖の水位は季節や雨量によって大変変わるのだそうだ。
夏にはボートを車で持ってきて魚釣りをする人もいるそうだけど、びゅうびゅう寒風の吹く12月の夕方には誰も湖上にはいなかった。

2010/12/19

季節限定


季節が変わるたびにめまぐるしく新製品があふれる日本とは違って、アメリカって季節限定の商品はあまりないんだけど、ハロウィーンとクリスマスとイースターの時だけはスーパーの棚がすっかり衣替えして、それぞれシーズンの色に包まれたチョコやキャンディがずらっと並ぶ。クリスマス色は赤、緑、金色…。

ハーシーのキスチョコもクリスマス仕様。キャンディケーンのもようのペパーミント入りホワイトチョコが可愛い。

シアトルの地元チョコレート会社 Theo chocolate のクリスマス用フレーバー。



サンタやトナカイのチョコはレトロなホイル包み。


いつもはコーヒーにお砂糖は入れないんだけど、スターバックスが赤いホリデー用カップを出す季節になると、スパイスの効いた甘いシロップ入りの「ジンジャーブレッド・ラテ」とか「ペパーミント・モカ」とかが飲みたくなる。季節限定に弱いんですねえ。

このへんのスタバには暖炉装備の店も多い。冷たい雨の夕方にはホイップクリームの乗った甘い飲み物をもって暖炉の前でぬくぬくするのがが嬉しい。

2010/12/18

アジア美術館


陽の短い午後、丘の上にあるシアトルアジア美術館 Seattle Asian Art Museum へ。

日本、中国、韓国、インドなどの美術品が収蔵されていて、展示点数は少ないけどゆったり見られる。入館料は「寄付のみ。suggested donation が7ドル」。

エントランスホールでは、中国の現代作家Wang Huaiqingのミニ回顧展をやっている。

よくわからないけど非常にシンプルな画面の中にいろんな方向に猛スピードで働く力が描かれている気がする。若い頃描いた労働者万歳なポスターもあって、大変面白かった。
中国というとつい簡単に一面的なイメージを探してしまいたくなりがちだけど、その中身にはほんとうに複雑な層があることが少し実感できた気がする。

はにわの時代のものから現代美術まで、アジア各地の美術品が幕の内弁当のようにちょこちょこと少しずつ展示されている。日本のものでは、浮世絵も数点。



ひすい色の古い中国のお皿がモダンな椅子に良く似合う。


ライブな表情とコスチュームがかっこいい唐代の四天王像は、いつかどこかで会った気がする。
奈良のお寺のお像たちと同世代なので、衣装や表現が似ているのだろう。

奈良京都のは皆木像だけれども、これは彩色陶器。いったいどんな巨大竃で焼いたのでしょう。
思いっきり踏まれても無表情なシカが、けなげ。

「あーはいはい、これは私の仕事ですから」と、卑屈になるわけでもなく、しゅくしゅくと職務をまっとうしているシカ君が少し眩しい。



建物は、1933年建造の美しいアールデコ様式。

もとは、ここがシアトル美術館の本館だった。今は、本館はダウンタウンのウォーターフロントにある。




正面入り口の吹き抜けガラスがドラマチック。

ちょうどここから夕陽が差し込んで、インドの神々の石像が照らされていた。



玄関脇にはらくだもいます。

2010/12/14

パイナップル・エクスプレス


シアトル周辺の北西部一帯は、週末から大雨にみまわれた。
感謝祭前に雪が降った頃とはうってかわって、気温は10度以上に上がり、季節はずれに生暖かくさえ感じる風が吹き、川があふれるほどの雨で、地滑り被害も出た。

週末から本格オープンを宣言していた近郊のスキー&スノボゲレンデも、雨に降られて一部オープンに切り替え。


 冬のこの時期に山の上にまで季節外れの雨を降らせるこんな嵐は、「Pineapple Express」と呼ばれている。ハワイ諸島から太平洋を北上して、生暖かい湿った空気をたくさん運んでくる嵐。




ハワイとシアトルの縁は深い。ハワイの知り合いで、たとえば甥だとか姪だとかおばさんだとか、誰かしらシアトル近郊に縁者がいるという人はすごく多いし、ハワイの高校を卒業ししてシアトルの大学に来る学生も多い。

シアトルの町中でも、ハワイの島やハイビスカスのステッカーを貼った車をよく見かける。

気候はずいぶん違うのに、何か、のんびりした空気がよく似ている。



人だけじゃなくて、雨までハワイからやって来るんですね。