2020/08/23

この四半世紀で一番感動したやつ


近所のおうちのかわいいリンゴ。

ここ最近、また近所の家が次々に売りに出されていて、しかもすごい勢いで売れています。 


 

このあいだ、うちの青年に読ませるためにに『風の谷のナウシカ』の英語版をアマゾンでぽちって購入しました。

青年、日本語で原作を読むのはかなりハードルが高いので…ww。高校で日本語履修したのにな。2年もな。

わたしは、宮崎駿作品の最高峰は、どのジブリの映画よりもこのマンガ版『ナウシカ』だと思います。



月刊『アニメージュ』に連載されていたもの。

今回、とっても久しぶりに全巻読み直してみて、あああ、これは私の原点であったなあ、とあらためて呆然としました。

いまだにこれ以上のものは読んでない気がします。

 第1巻は1984年発行。

最終巻7巻は、なんと、うちの青年が生まれた1995年の発行でした。阪神大震災と地下サリンの年。

完結までに11年かかってるんですね。 

その間、スタジオ・ジブリを立ち上げ、『ラピュタ』『トトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』などが制作されたので、連載もよく休止していたはず。 (わたしは雑誌は買ってなくて、単行本になってから読んでいました)

第2巻発行とほぼ同時に映画版の『風の谷のナウシカ』が公開されました。映画版の内容は2巻までを簡単にまとめたものです。

それでもじゅうぶん感動的だけど、原作はほんとうに深いです。

 

 


映画の公開は1984年3月11日(2巻の帯に書いてあった)。いまはなき、渋谷の東急文化会館の映画館に悪友チエコと一緒に見に行ったの覚えてる。号泣したかったけど恥ずかしくて泣けなかった19歳でした。チエコよ覚えているか。



 

青年は、靴のマテリアルなどのデザインのヒントとしても、ビジュアル面でいろいろインスピレーションを受けたようです。

 

 

 

この最終巻の終わり方、ほんとうに、すごい思想だと思うんですよ。

宮崎駿さん自身も、どこからこの結末がおりてきたのか、まったく覚えていないと言っているそうです。

3日かけて全巻読んで、かなり泣いた。

25年前に読んだ当時は最後の展開に心がついていけず、打ちのめされて消化しづらかったけれど、現在のコロナの時代に読むと、そのすごさがますまず水際立って感じられるし、今だからこそ純粋に素直に深いところで受け止められるように感じます。

ぜひぜひ読んでみてくださいませ。これ高校の課題図書にすべきだと思う。

 

「世界を敵と味方だけに分けたらすべてを焼き尽くことになっちゃうの」

 

「その人たちはなぜ気づかなかったのだろう、清浄と汚濁こそ生命であるということに」

 

「私たちの神は一枚の葉や一匹の虫にすら宿っているからだ」


これこそ、ほんとにNetflixとかでたっぷりお金をかけてミニシリーズにしてほしいのだけど、やっぱり宮崎さんが監督しないと、きちんとしたものはできないのだろうなあ。

ということで、コミックで読んでください。ぜひ。

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/19

プライベートビーチでハチに刺される


猛暑の日曜日のあと、また爽やかな夏が戻ってきたシアトルです。

極暑の中にいらっしゃる皆さん申し訳ありません。快晴で微風もあって、もう本当にものすごく快適です。永遠の5月のようです。秋冬の半年間は曇り空と雨なので、許してやってください。

日曜は猛暑になるという予報だったので、前日の土曜日にハイキングに行ってきました。

シアトルから北へ小一時間ほどのDeception Pass (デセプション・パス)。

 

 

もうひと頑張りでカナダ国境というところ。本土と橋でつながっていますが、ふたつの島のまんなかにある狭い海峡。グーグルマップ日本語版では「デセプション峠」と表示されますが、このPASSは峠ではなく「水路」が正解です。

ご覧の通りかなり内陸に入り込んだ内海なので「海峡」だとちょっと大げさですね。

前回行ったのはなんと、2013年の7月だった。M太郎ちゃんと一緒に行ったのでしたが今回は息子とふたり。

毎週末、デートもせずに母とつきあってくれてます。ふびんな子よ。


 

靴の制作に燃えている青年はいろんなテクスチャに興味があって、花崗岩とか木の幹の皮とかに釘付けになっていました。

 

 

素敵な木像は、サリッシュ部族の乙女

Civilian Conservation CorpsのInterpretive Centerは閉鎖されていましたが、キャンプ場とトイレは開いていて、快晴の週末だけにパーキングは満車。でも10分ほど待っていたら幸運にも空きが出て停められました。午後2時頃。朝型組が帰る頃合いだったのでしょう。

州立公園の利用料金は、1年間有効の「ディスカバリーパス」は30ドルで据え置きなのですが、デイユースの料金が10ドルに値上がりしてました。

そしてここも森林局とおなじくキャッシュを封筒に入れて名前を記入するアナログ方式です。カードが使えるペイステーションも1台あったけれど、故障中でした………。

シアトルの街なかの路駐課金は「Pay by Phone」というアプリで簡単にできるし、やる気になればすごく簡単にデジタル化できるはずなんですけどねー。

連邦政府や州はフットワークが重いですね。 

そういえば、連邦政府のIT入札とセキュリティを一元化して、各省庁でバラバラに運用されているサーバーも集中して効率化をすすめ無駄を省くという作業がオバマ政権のときに実行されはじめたはずなんですけど、あれは今、どうなってるんだろう。現政権下じゃグダグダになっているであろうことは予想がつくけど。

 

今回は、ロザリオ岬への短い散歩。ハイキングというほどの距離でもありません。

最初にここに来たのはさらに遡ること2013年2月。舞踏家で数学者の薫さんとご一緒したのでした。

あのサンドイッチ屋さんは健在かな。確認のために寄るつもりだったのにフリーウェイの出口を間違えてしまい、行けませんでした。


オリンピック半島もカナダも見える絶景の岬。

パーキングの前のビーチは大混雑でしたが、トレイルや岬の上は人影もまばら。

 

 

絶壁から下をのぞく青年。お母さんはお尻がむずむずして崖っぷちには近づけません。

カヤックやスタンドアップパドルボードの人たちがたくさんいました。カヤックいいなー。



やっぱり見ているだけで普通にこはい。やめて。

 

ロザリオ岬のすこし手前に小さな岬が突き出していて、そこの横がミニ入り江になっています。誰もいない!よしチャンス!

15メートルくらいか、ほぼ垂直の崖を降りなくてはならないのですが、岩や木の根などにつかまれるのでそれほど難易度は高くありませんでした。

しかし、崖を下りきって、やった!と思った瞬間に、ふくらはぎに鋭い痛みが。

細いトゲでも刺さったかと見ると、なんと黄色いハチが脚にくっついていて、思わず叫びました。
ミツバチではなくて英語でhornetとかyellow jacketというやつ、ウェストがしゅっと細くて黄色と黒の細い縞模様になっているやつです。種類はわからないけどアシナガバチくらいの大きさでした。

痛かった。

よく見ると、崖の一番下に巣があって、そこからハチのみなさんが忙しく出たり入ったりしていました。わたしはそのお宅の上を踏んづけたか玄関の前を通ったかして逆鱗にふれてしまったようです。

ハチに刺されたのは生まれて初めてかもしれない。記憶にある限りでは初めてです。

アレルギー体質ではないので、とりあえずハンドサニタイザーで消毒だけして(あまり意味ないと思うけど)我慢することに。抗生物質軟膏と抗ヒスタミン剤の軟膏を持ち歩くべきですね。

アレルギー体質のジェニファーちゃんやキリコちゃんはいつもかばんにエピペン注射薬を携帯してますが、こういうことがあるから必須よね。

息子はニヤニヤ笑って「通行料だ」と言う。

午後中ヒリヒリ痛かったけど、この入り江を午後中プライベートビーチとして独占利用させていただいたので、刺されただけの甲斐はありました。


 

おやつは、朝ベーカリーで買ってきたハムクロワッサン。
本はC.S. ルイスの『Mere Christianity』。そうか、第二次大戦中の原稿だったのね、と読み始めて気づく。

『ナルニア国物語』で有名な作家ですが、平易な言葉でキリスト教の真髄を大衆向けに語ることのできた人としても有名です。『ナルニア国物語』にもキリスト教のモチーフや教えが散りばめられているのはよく知られています。

今読むと、そのひたむきさが少し悲しい。

ロンドンが空爆されているさなかに、ラジオ番組のために話した内容を原稿にしたものです。 1章分しか読めず、すこし疲れた。 

 

 

打ち寄せる水が透明度100%。どこからやってきたのか、瑪瑙や水晶の小石もたくさんあって綺麗すぎる。またもや、ここも天国の海。

波にもまれて磨かれたこういうきれいな小石は「水磨礫」というそうです。すいまれき。


 

鳥の卵のようなすいまれき。

流木はたっぷり陽射しを吸収してあたたかく、その上に寝そべって本を読んでいると気持ちがよくて最高でした。
たまにボートやカヤックの人が通っていくのと、崖のうえから時々人がのぞき込む以外は完全に貸し切り状態。


 

青年も本を持ってきてちょっと読んでいたけど、それより流木でモビールを作るのに熱中しはじめ、2時間くらい制作にはげんでいました。

25歳だけど、5歳児のような真剣さ。
一銭にもならないことに全精力を集中できるのは、美点としておきましょう。

海中の岩の上に、作品1。

 


小石の浜に作品2。

こういう手作業や工作好きは、いったい誰に似たんだろうか。

わたしは小さい頃から絵を描くのは好きだったけど、立体のものを作るのは苦手で、なんでもすぐに面倒くさくなって放り出す性格でそれにうすうす罪悪感を感じて生きてきたので、靴でもモビールでも「制作」に集中できる青年に、吾が子ながら、偉いわねえ根気があって、と思う。

元夫もまったく根気のない性格なので、謎です。隔世遺伝か。金庫職人だったという母方の祖父(わたしの)かな。そういえば母方の祖母の父(わたしの曽祖父)もなんかの職人だったそうです。2〜3世代スルーして日本の職人の血がよみがえったのかな。地下足袋似合うし。

 

マドローナの木と松の木立ち。崖に生えている樹々の生命力発現すごい。水面と平行になって崖からまっすぐ張り出して生えてる、俺は重力に屈しないみたいな意思をかんじさせる松の木もありました。

またもや、爽やかすぎる天国先取りの週末でした。

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/16

夏の食卓と華氏99度

あちい!!

きょうのシアトルは、この夏いちばんの猛暑。

今年はじめて、扇風機を出してきて使ってます。

華氏でいくと99度というびっくりするような数字がスマートフォンに表示されてました。

摂氏では37度。一歩外に出るともわっ!と熱気に包まれる、あの東京の夏の気分がきょうはシアトルで味わえてます。でも暑いから外には出ない。

これでかき氷が食べられたら嬉しいのにな。



金曜日はミスターCTのお誕生日におよばれしました。

あいかわらずいつ行ってもショウルームのように隅々までぴっかぴかのCT家。
いつもながら大人っぽいテーブルです。

さかなのフライに、メキシコ風のスパイスもりもりトウモロコシ。

うつくしい夏の食卓でした。

デザートはレバノンのケーキ。トッピングはバラの花びらとピスタシオ。


  

ローズウォーターとオレンジブロッサムウォーターを使ったシロップをかけていただくというロマンチックなクリームケーキでした。

 

 

こちらはウチの昼食。モンブランのようにもりあげてみたざる蕎麦。

CT家とちがって卓上がごちゃごちゃしております。

 

 

卓上がさらにごちゃごちゃですが、このジンジャーエールが超うまでした! 

これにアイスクリームをいれてクリームソーダにしたら大満足のおいしさだったのですが、あっという間におなかがピーピーに(乳糖不耐症ぎみ)。

おいしいのになー (´;ω;`) 。

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/12

サラミパンケーキと彩雲

いただいたフラワーバスケットのなかから、派手な子たちをピックアップしてひとつにまとめました。このバラのオレンジ、ロマンチックな色ですね。

CTちゃんから蜂蜜をいただいた。お知り合いが蜂を飼ってるそうです。綺麗な薄い金色のローカル蜂蜜。すっきりしたクセのない甘みでとても上品。



せっかくなのでパンケーキを作ってみた。このあいだ特売で買ったサラミがあったので、サラミパンケーキにしてみました。あまり上品ではありませんが、おいしかったです。



今日の夕方、マーケットに買い物にいく途中で空を見あげると、頭上に彩雲が。

こんなスマートフォン写真じゃぜんぜんよくわかりませんが、ブルーがほんとうに輝くように鮮やかでそれはそれは綺麗でした。絹雲も尋常じゃないほどダイナミックで。

道ばたでストレッチしながら空をぽかんと見上げている、ちょっと声かけちゃいけない感じのアジア人のおばさんだったかと思います。

今日あたりからペルセウス座流星群が佳境にはいりますが、残念ながら明日あさっては雲が多いみたいです。

今週はじめの火星と月のコンビネーションはほんとに豪華でした。

惑星がずらっと並んだ空を見ていると、ガリレオの時代からまだ500年そこそこしかたってないんだな、人類の時間てまじ短いよ、としみじみ思います。

  

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/11

ブライダルベール滝

先週日曜日、近郊のBridal Vail Falls(ブライダルベール・フォールズ)という滝にいってきました。

前から行ってみたかった滝。

シアトルからは車で東へ小一時間です。

大人気のトレイルなので駐車場は満杯でしたが、なんとか路肩にスペースをみつけて停められました。トレイルヘッドのトイレはCOVIDのおかげで閉鎖されてました。悲しかった。

片道2マイル(3.2キロ)のかんたんコースですが、わたしは今体力がめっぽう落ちているため、上りは50メートル歩いてはゼエゼエして立ち止まり、すっかりおばあちゃんのペース。

うちの青年が根気よくつきあってくれました。

犬や小さな子どもを連れた家族とよくすれ違う、人の多い山道だったのに、なんと歩き始めてから数分で、トレイルの50メートルほど前方を黒いクマが横切ってびっくり。真っ昼間、午後1時頃です。

シェパードの倍くらい(…とわたしは思ったけど、うちの息子は3倍はあったといってます)の大きさで、まだ若いクマくんだったようです。山の上のほうから下りてきて、道を大急ぎで横切って、川のほうに駆けていきました。仲間やお母さんがいたら怖っ、としばらく固まってしまいました。でもどうやら、ひとり立ちした青年クマだったようです。

だいぶ登りきったあたりで、遠くの雪山が見えてきます。

3キロの山道を、約2時間かけてのぼりました。はー。

 

上のほうはこんなかんじの階段も整備されていて歩きやすかったです。赤ちゃんをかついで登ってるお父さんお母さんもいたし、3歳くらいの幼児を連れてる家族連れにも何組も遭遇しました。

滝に到着。

夏で、しばらく雨が降っていないので水量はおそらく普段よりも少ないのだろうけれど、それでも「花嫁のベール」というポエムな名前にふさわしくほんとに綺麗な、立派な滝でした。

大満足です。

谷のむこうに面白い形の山が見え、たった3キロ歩いただけなのに深山幽谷の気分が味わえます。

 

…とはいえ休日なのでこのくらいは混んでます。滝のまわりではなんとかかんとか2メートルのソーシャルディスタンスがかろうじて保てる感じでした。
中国人ファミリーとインド人ファミリーが多かった。

 

山から落ちてくる水は本当に綺麗で、見ていて飽きません。

 

やっぱり靴をぬいで足をひたしたくなります。

そんなに冷たくなくて、気持ちのよい清水でした。


シュワシュワ。なんだかんだ1時間以上、滝の下でのんびりしていました。

お弁当とおいしいお茶と本を持ってって一日過ごしたい。この日はお弁当作る気力はなくて、サラミとチーズとクラッカーと水だけを持っていきました。

滝の真下ちかくに立つとパワーがすごい。滝行というものをしたくなる人の気持ちがすこしわかる気がしました。しないけど。

ほんとに素敵な滝でした。 

いつも思うけど、こんな場所にさくっと小一時間でアクセスできるなんて、シアトルって恵まれた環境ですよね。

帰りは来た道を下るだけなのでさくさくと、半分の時間で。下りはたのしい。

しかし、引率の青年にいろいろとたしなめられました。

ちゃんとマスクをしろとか、むやみに道ばたの葉っぱとかきのこに触るなとか。

(ウルシ科のポイズン・アイビーとかポイズン・オークとかの、かぶれる草もいろいろあるので。)

完全に、保護者の役をもっていかれた。

波乗り翻訳者えりぴょんに報告したら大爆笑されたうえ、幼稚園生のような遠足帽子だけでなくて「このつぎはスモックも着てってください」と言われた。失礼な!スモックはたぶん似合いすぎるような気がして怖い。

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ