2017/07/03

雨とマグナム 



ニューヨーク滞在中、2回ほど大雨に降られました。


イーストビレッジからチャイナタウンのほうへ歩いて行こうとしたら雨脚があまりにも烈しくなり、途中で断念。
たまたますぐ近くにあった国際写真センター(International Center of Photography)
のカフェで雨宿り。
ついでに気軽な気持ちで展示を見たら、これがすごく良かった。雨に感謝。

Magnum Manifesto という、写真集団マグナムの設立から現在までの70年を三つの時代に区切って、テーマ別に振り返る展覧会でした。

パート1の1947年から68年までは「Human Rights and Wrongs(人権と人権の不在)」。公民権運動の20年。ほんとうに、公民権の成立からたった!50年そこそこなんだだよね!

コンスタンティン・マノスさんというギリシャ系アメリカ人の写真家の、1952年の18歳の時の作品だという一連の作品がすごく良かった。サウスカロライナ州の小さな島での、黒人の男の子の生活を撮った連作。


パート2は1969年〜1989年。「Inventory of difference(異形のインベントリ)」というタイトル。
学生革命をへて、新しい価値観を模索するカルチャーのなかで、はみ出したもの、異形のもの、奇妙なもの、辺境のものが、被写体として追い求められた時代。



「Stories about Endings(終末の物語)」と題されたパート3は1990年代〜現在。
ベルリンの壁が崩壊してグローバリゼーションが進み、従来のいろんなシステムが解体しつつある時代。といってしまうと超簡単だけど、なにが終わっているのか、実際にその渦中を生きているわたしたちにはまだわからないことばかり。

進行中の終末を記録する報道写真はものすごくパワフルで詩的で、圧倒される。


2000年、ロシアに落ちたロケットの残骸を取り囲む蝶の群れ。



2014年のウクライナのデモ。


2001年、同時多発テロ直後のマンハッタンで、世界貿易センタービルから降ってきた書類の1枚を拾い上げ、読み始めるビジネスマン。

この写真は格別に胸に迫った。
日常が完全に崩壊した圧倒的な混乱のなかで、目の前に落ちてきた誰かの日常の情報を拾い上げること。 そしてまるで日常のつづきのように、読んでしまう。

それは何かの啓示なのかもしれないし、本当になんの意味もないのかもしれないし。

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