2016/09/14
図書館とマネー
今回のソイソース『たてもの物語』は、シアトル中央図書館を紹介しました。
ブログで中央図書館の記事を書いてから、もう2年なのねー。季節はめぐるー。
シアトルの人って、どんだけ図書館好きなんでしょうか。と、いつも感心する。
このコールハース&ラマスさん設計の中央図書館ができたのも、1998年、市内の図書館を一新するために1億9,600万ドルという破格の予算がついたから。
さらっと200億円っすよ。国とか州ではなくて、人口100万人に満たない市の予算ですよ。
これは自治体の図書館予算としては全米でも破格のスケールで、いまだに前例がないようです。
当時はマイクロソフトが天井知らずの成長を遂げていたころ。
図書館のサイトにある「シアトルとしょかんのれきし」というコーナーにも、その当時の状況についてこんな一文が。
Circulation had soared past 5 million items by the mid-1990s, the Library's annual donations topped $1 million, and the dot-com frenzy was fueling an economy that seemed to promise a limitless future.
(1990年代なかばには貸出し数は500万件を超え、図書館への寄付も年間100万ドルを超えるようになった。怒涛の勢いで成長するドットコム業界は経済を大きく成長させ、無限の未来を約束しているようにみえた)
…ちょっと泣ける…。
このときの住民投票では69%が賛成だったそうです。
結局、この1998年の「Library for All (すべての人に図書館を)」予算は、当初の1億960万ドルに加え、ビル・ゲイツさんやらあちこちからの寄付などを加えて、2億900万ドルのプロジェクトになったのだった! 290億円。ちーん!
この予算で国際的中央図書館が建ったのみならず、市内の22の分館はすべて新築または改装されたので、シアトル市内の図書館はみんなとってもオシャレ。
こちらはご近所のバラード図書館。
ソイソースの記事ではさらっとしか触れられなかったけど、2012年8月に住民投票でゴーサインが出た図書館の目的税(Library Levy)もすごいなあ、と、つくづく思う。
私がシアトルに移り住んでしばらくたった2012年ころには、不況で市の財源が減らされて、図書館の開館時間も大幅にカットされてたんですよ。
日曜日に開いている図書館が少なくなり、あちこちのネイバーフッドの図書館も週に何日かは休館したり早い時間に閉めたりして、経費削減に対応していた。
それを、目的税を設定することで7年間にわたって毎年1,500万ドル以上の図書館運営費を確保した。7年間で1億2,300万ドル。
さらっと年間15億円。
内訳は、Keep Library Open (「図書館を開けておきましょう」)予算(週末や夜間も図書館を開けておくための人件費など)、書籍や資料を購入する予算、オンラインサービスやコンピュータ機器のアップグレード予算、建物のメンテナンス予算。
2000年代の不況を経て、また今、シアトルはバブリーなまでの成長中。
図書館にむこう7年間お金をつぎ込むだけの余裕を感じているのでしょう。いいことですね。
バラード図書館は、エコな仕掛けがいろいろフィーチャーされている。
屋根に草を生やしてあったり(グリーンルーフというそうですよ)。
これが10年間でどんだけうまくいってるのかはちょっと謎だけど、まあそこはそれ。
ソーラーパネルもあるらしい。
かっこいいでしょうー。とりあえず、町の誇りが図書館っていいよね。
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