2015/05/14

母の日のブーケ


母の日に息子が買ってきてくれた花束。

バラードのファーマーズ・マーケットは、ふだんの日曜日は朝10時からなんだけど、母の日は朝8時前からもうお花屋さんはお店を開けていたそうです。


花屋さんの屋台は、なぜか、みんなアジア系。

この花束は、巨大ポピーを中心に、ルピナス、アイリス、カスミソウ、ドライフラワー、そしてチューリップまで入っているなんとも大胆なアレンジでした。

マーケットの花屋さんの花束って、日本のフローリストでは絶対にあり得ないような組み合わせがあって楽しいです。



母の日の日曜は結局仕事で一日デスクに座っていたのですが、息子がパンケーキを作ってくれました。

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2015/05/12

エクスマキナ、美人アンドロイド、シューベルト


5月、マロニエが咲いてライラックが咲いて、春の花がひと通り咲き終わって気づけば緑濃い初夏。
ライラックはもうそろそろ終わりです。

日も長くなって、もう9時頃まで明るいし、お天気の日が多くなって、町の人びともなんかフワフワと浮かれたように見えます。

快晴の土曜の午後。近所のスーパーに買い物に行くと、みんな午前中どこかで盛大に日焼けして来たらしく、家族そろってゆで海老のような色になっている白人ファミリーがいっぱいでした。


先日、映画『Ex Machina』を観てきました。

さいきん人工知能に関するニュースを見ない日はないようです。人工知能の第三次ブームなんだそうだ。以前にそんなブームがあったなんて、知らなかった。

80年代の第二次ブームは尻すぼみになってしまったので、今回も尻すぼみになって投入された予算がバブルが弾けるようになくなっちゃうんじゃないかなんて心配している人もいれば、2045年に「技術的特異点/シンギュラリティ」が来ると断言している人もいて、いろいろです。

そのシンギュラリティ預言者の急先鋒がグーグルのレイ・カーツワイルさん。この間NHKスペシャルにも出たそうですが、インタビュー記事が面白かった。

2045年に世界がどうなっているかというと、

人類の生物学的知性とコンピュータの人工知能を組み合わせた『人類文明の全知性』は、現在に比べて10億倍になっている。そのとき、コンピュータは血液 細胞とほぼ同じ大きさになっている。人類は脳の内部にこのテクノロジーをはめ込み、脳をクラウド上に置き、思考をさらに大きくする――

というの。

この人の発言をアブナイ科学者の荒唐無稽なトンデモ発言、的な扱いをしている記事がけっこう多いのだけど、これはきっと実現するんだろうなと、 空恐ろしくもしみじみと実感するのです。

19世紀はじめには大陸間を飛ぶ飛行機やロケットや電話が夢の話だったように、今はとてもバカげた空想物語に感じられても、あっと言う間に外堀が固まってきて、知らない間に「脳がいろいろなモノに直接つながる」日々への前段階が実現しているかもしれません。

インターネットが普及して、まだたかだか20年弱。インターネットは人間の学習方法やつながり方をかなり変えたし、考え方や感じ方、発想、意識そのものも、実際かなり変えてるはずです。

こないだ読んだ『日本のデザイン』で原研哉さんが、紙は人間の創造力の触媒となってきた、と書いてました。

「紙の触発力によって、言葉や図を記し、活字を編んでいく能動性が、人間の感覚の内にもたらされた。人間は紙に躾けられてきたのだ」と。

そういう意味では、人類はこの20年で、インターネットに、そしてこの10年でモバイル技術に「躾けられてきた」のじゃないでしょうか。

 この次の10年では、「モノのインターネット」、だけじゃなくて、「身体に埋め込む技術」がだんだんとふつうになってきて、ネットと技術が目に見えない「常にそこにある」ものになっていくのだとしても、驚くにはあたりません。そしてその先に自分以外の「知能」や「知識」との融合があっても、ぜんぜん不思議ではないと思う。その頃、人びとの感覚はまたかなり変化しているに違いありません。

機械、人工知能、そしてほかの人びとの意識とへ脳が直接つながるっていうのは、まさに『攻殻機動隊』の世界。

あと30年で実現するかどうかは疑問ですが、100年くらいのうちには実現してそうな気がする。 



そうそう『Ex Machina』の話。

この映画は 真面目な?人工知能のお話かと思って期待して見にいったら、ずっこけました。

これは「ピグマリオン物語」ではないか。
マッドサイエンティストが綺麗なお姉さんを作ってどうにかするという話。そしてそのアンドロイドとの間に起こる駆け引きの話。

このあらすじは、結末も含め、もう何度もくりかえし日本のマンガで見た気がする。

映像はとても繊細できれいだったし、主要な登場人物もキャラクターとしてはとても説得力があって素敵だったのですが。踊れる美人板前、キョウコもなかなかのキャラクター。

でもエヴァちゃんは、「新しい他者」というほどの迫力を持って描かれてはいず、これまでのロボット映画の中のどこかにきっと分類できる。

とにかく設定に突っ込みどころが多すぎて…。そんな揚げ足取りをせずに楽しめるものならそうしたいのですが。(以前観た、宇宙空間なのに重力がある映画『LOVE』とかは、「寓話」として納得することにしてそれほど抵抗なく観られたんですけど)



ひとつだけ言うなら、AIのエヴァちゃんがここまで完成しているなら、なぜおうちのセキュリティにそれを組み込まなかったんでしょうか。こんな超秘密基地に「カードキー」なんていう20世紀の技術を使うとは!

今回のマッドサイエンティストは「検索エンジンの会社の創業者で天才エンジニア」という設定なんだけど……。

現実的かどうかという意味では、『日常』というアニメの「ハカセ」と同じレベルだと思う。

(シュールなことが次々起こる「日常」を描いた変なアニメで、「ハカセ」というのは一見女子小学生、なのにちゃっちゃとアンドロイドを作ってしまう天才科学者の少女です。でもその使い道は、ロールケーキを腕の中に格納するという冷蔵庫だったりする…。)




たしかに膨大な検索データの集積は、「ラーニング」の基礎になるものかもしれない。でも、「意志」や「感覚」を持つ脳というのは、今の段階で実用化されている「人工知能」とはまたぜーんぜん次元の違うものですよね。

完全な感覚器官と連動した脳と、完璧な運動能力をもつアンドロイドを1人で作るっていうのは、いくら天才でもそれこそ人間には、どう間違っても、無理。

だってたとえば人間の「眼球」や「皮膚」だけで、感覚センサーがいくつあることか。それを仮に一つ一つ手作りできて脳につなげる技術が開発できたとしても、いったい何億時間かかるのか。

1人で作れるのは、せいぜい頑張っても「人工イモムシ」くらいじゃないかと。それでも大革命だけど。

グーグルがこないだ買った会社にはAIの先端の研究者が12名もいるそうです。

それでもまだ、ヒトはネズミの脳でさえ、(幸いなことに!)作ることはできていません(…多分!)。

でもこの映画のエヴァちゃんは 本当に可愛いので、続編を見てみたい気もします。

エヴァちゃんはとても可憐な、透明感のあるアンドロイド(本当にボディは透明だし)なので、秋葉原方面でも人気がでそうです。

こういう女の子を作ってコレクションしたいという欲望は、ヒトがヒトである限り、なくならないのでしょうか。

Jean-Léon Gérôme「ピグマリオンとガラテア」1890


この映画の主役はAIじゃなくてむしろそのような所有欲なのかもしれません。



映画の最初のほうと最後のほうの象徴的な場面で、シューベルトのピアノソナタの21番の出だしがかかります。

この天才エンジニアが1人で住む秘密基地みたいな豪邸のリビングルームでかかっている曲なのですが、この曲って第一楽章の第二主題が「鉄腕アトム」の主題歌の「空をこえて~♪」に似てるので有名です。

もしかしてアトムへのオマージュだったりして?

映画に出てくるのは冒頭の第一主題と第二主題。これから何かが始まりそうだよ~…という静かな予感を感じさせる、ざわざわするような箇所です。




この映画を見てからずっと、YouTubeでこの曲を流しっぱなしのこの頃でした。
初夏の今頃に、良く似合う曲という気がします。





ところで「エクスマキナ」で検索してみたら、なんと、士郎正宗さん原作の同名アニメ映画があるではないですか! こちらも見てみなくては。


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2015/05/09

マロニエ満開


あっという間に5月にはいっていました。日本はゴールデンウィークだったんですね。

シアトルではマロニエの花が満開です。

マロニエはとても背の高い、姿の良い木。大きい葉が光をよく通して、明るい印象です。
 
木の背が高いし、色も目立たないのでこんなに満開でもあまり気づかないのですが、見上げると白い燭台のような花がいっぱいについていて、地面にほろほろ散っています。

写真はワシントン大学構内。

正門前の「フラタニティハウス」が並ぶ「グリーク・ロウ」にも、この背の高いマロニエの木が生い茂っています。

シアトルでは、シアトルパシフィック大学の前にもあったし、バラードの高校の横にもあるし、なぜか学校の近くや構内に植わってます。

同じくらいの背の高さなので、同時期に植えられたのかもしれません。
その時代にマロニエが流行していたのかも。


和名はセイヨウトチノキ。英語ではHorse-chestnutというのが正式名ですが、アメリカの人は単に「チェスナットの木」と呼んでいることが多いみたいです。

「マロン」てこの「マロニエ」からの由来なんですって(by ウィキペディア)。

でも日本の栗の花のような独特の匂いはまったくありません。


この花が咲いて大きな葉がわさわさと繁ると、初夏がやって来たという感じがします。


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2015/05/07

さいはてのレストランガイド フォークス&ラ・プッシュ


ラ・プッシュ再訪記。前回12月に行ったとき「レストランは、ない」と書いたのですが、少し訂正です。


キルートのリゾートからクルマで2分くらいのラ・プッシュの港(ここも全部キルート族の居留地内です)のわきに、小さなレストランがありました。



すてきなトーテム。

キルートの人びとはもともとトーテムポールなど作っていなかったのだそうですが、今ではトーテムはアラスカから中西部まで、ネイティブ部族の現代アートの一形態になっているようですね。

これはきっと地元のアーティストの作品なのだろうと思う。聞いてみればよかった。

どの動物もそのまま立派な「ゆるキャラ」になれそう。アザラシの目つきが最高です。


港をはさんでシースタックが見えます。波の入ってこない静かな港に大きなアザラシが2頭来ていて、ときどきぷかりぷかりと頭やヒレが見えてました。

サンドイッチもコーヒーもごく普通。
サービスはとてつもなく遅いけど、キルート居留地でアザラシでも見ながらゆっくりランチを、というときにはこちらへ。

今回はラ・プッシュからクルマで20分ほどのフォークスで夕飯をとりました。
YELPか何かで探した、町いちばんの中華料理店が、こちら。


南北苑、「South North Garden」。

もう1軒、もっと見た目が小ギレイな中華料理店もあるのですが、南北苑のほうがずっとレビューの点数が高かった、と、食事担当のMが言うのです。
外見を見てうーん、と唸ってしまいましたが、意を決して中へ。



店内は外見よりもずっとキレイで、ほんと、炒麺も酸辣湯麺も美味しかったです。
中国人のおじさんが調理場で鍋をふるってました。



フォークスはしばらく前、例の吸血鬼シリーズ「トワイライト」ブームで全米から女子中学生とその家族が大挙して押しかけ、「トワイライトグッズの店」なども出来ていたようですが、今では町なかの数カ所にいまも立っている日焼けして色あせた吸血鬼の等身大紙人形がその名残りを留めるばかり。

大きなスーパーが1軒、中華料理店が2軒、バーガーショップが2軒、ピザ屋さんが2軒、ベーカリーが1軒、くらいしか目につかなかった。

カフェもありません(スタバもなし!)が、ドライブスルーの「エスプレッソ小屋」はたしか2軒ありました。
あとスーパーの中にもエスプレッソスタンドあり。


アメリカ国内、どんな辺鄙な町にいっても中国人の経営する中華料理店があるみたいです。


でも日本人が経営する日本料理店は大都市近郊か日本人の多い地区にほぼ限られてます。
片田舎にJapanese restaurant があったら、それはたいてい韓国人の経営だったりする。
スシとテリヤキは中華料理と同じくらいすでに浸透してるのに、NOBUみたいなハイエンドの店は別として、米国の大衆向けに僻地で日本料理店を開こうなんていう日本の人は、あんまりいないのですね。


ここはおそらく、アメリカ本土でもっとも北西のはじっこにある中華料理店ではないかと思います。

フォークスに行ったらぜひ、南北苑で中華料理を。


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2015/05/05

ラ・プッシュの波間に浮いていたもの


というわけで、ちょっと前ですが、去年の暮れに行った La Push のうすら寂しいリゾートを再訪しました。

例の、ご神木級の大木にも再会。


2日目、朝から青空が!とたんに海が少し柔和な表情に見えてきます。



押し寄せる波は変わらないのですが。


ここのコテージはペットOKなので、大きな犬といっしょに泊まっているファミリーが多かったです。



青い空の下だと、なんとはなしに爽やかささえ感じる不思議。

この波の間になにか黒いものが浮いたり沈んだりしていました。

アザラシ?と目をこらして見ていたら、



サーファーでした。

こういう崩れ方は「ダンパー」っていうんだったっけ、次々押し寄せて、横一列一斉に上から叩きつけるように崩れる陰鬱な感じの波。しばらく見ていたら、大きめの波を捕まえて乗ってました。すごい。

3人で入ってましたが、もう1人のサーファーは、パドルして出ていこうとするのにすぐに押し戻されて、なかなか波がブレイクするところまで辿りつけてなかった。でも、この波の中に入っていけるだけでもすごいです。



( ↑ 拡大図。)

流木にも、よく見るといろんな色やテクスチャーがあります。どれがどの木だかはさっぱりわかりませんが、波に表れて綺麗な木目が浮き出ているものもたくさん。



この緋色の木片はたぶん、マドローナの木のかけら。神社の鳥居みたいなオレンジ色です。




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Realto Beach にリベンジ


去年12月に行ったときは横殴りの雨で、しかも満潮で、ちっとも歩けなかったリアルト・ビーチにリベンジに行ってきました。(これもだいぶ前になってしまいましたが)


でもやっぱりこんな天気なのだった。陰~。

今回は「Hole in the Wall」という岩まで片道2マイル(約3.2キロ)くらい、砂浜を歩きました。


パノラマで寂しさ倍増(これはiPhone写真です)。

行き帰りあわせて、4組くらいのハイカーとすれ違っただけでした。


そのまま彫刻としてモダンでオシャレなおうちのリビングにオブジェとして置いておけそうな彫刻風の切り株がゴロゴロしてます。


この根がすごい。根だけになってもこの存在感。


なにもない砂浜をひたすらポクポク歩く。



打ち寄せる波を見ながら歩いていると、少し頭がぼうっとして来ます。



大潮のときはこの流木が積み重なっているあたりまで潮が満ちるのらしい。


途中、海に流れこんでいる小川(といってもけっこう流れは早い)をわたらなければならないところもあったので、ここを歩くときはしっかりしたレインブーツが良いようです。



すぐ頭上を、bold bald eagle (ハクトウワシ)が飛んでいました。なんと優雅な翼の形であることか。


ずっと海上を旋回していて、魚かなにかを狙っていたようです。


ワシの王国ですね。私たちは闖入者。


流木も現代彫刻風だけど、岩もまた大変なことになっています。

ヘンリー・ムーアの彫刻みたいな岩がありました。
いったいどうしたらこんなことになるのか。この形になるまでに何年かかったんでしょうか。



この手前の平らな岩も、波うつ形に彫刻されてました。
流木だの岩だのが恐ろしい勢いでこの上をごろごろと通っていくのでしょう。

「ホール・イン・ザ・ウォール」がみえてきました。



桃太郎岩(勝手に命名)。


そしてホール・イン・ザ・ウォール、「穴岩」ですね。


ラ・プッシュの「シースタック」が遠くに見えます。



やっと着いたホール・イン・ザ・ウォール。アーチの形にきれいな穴があいてます。ここも満潮のときは水没するらしいです。

このまわりはちょっとした岩場が広がっていて、岩の間の潮だまりに派手なペパーミントカラーのいそぎんちゃくがいっぱいいました。


魚は見かけず。


「ホール」を通り抜けて向こう側へ。


やっぱりがらんとした岩場でした。



『赤いろうそくと人魚』に出てきた気の毒な人魚が住んでいそうな海です。
でも波間に見えたのは、流木だけでした。


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