「私たちの住んでいるところにも花はたくさん咲くけれど、木には咲かないのよ!」
ホノルルに住んでいたとき、どこかで立ち話をした本土からの観光客がそう言っていました。50代くらいの女性だったか、木々の梢高く咲く色とりどりの大きな花によほど感激しているようでした。
中西部だか東海岸だか、彼女の家の近くでも木々にひっそりと花は咲いているに違いないのだけど、目の覚めるような色彩の、派手な花が咲くことはないってことなんでしょう。
ホノルルのマノア小学校のそばに咲いていたJacaranda(ジャカランダ)は、中南米原産。
「この木なんの木」のCMで有名なMonkey Pod (モンキーポッド)。
この木も、プルメリアも、さらにはバニヤンツリーも、観光客が「ハワイの植物」といったときに思い浮かべるに違いない木々は、みんなほとんどが南米やアジア、アフリカから持ち込まれたものばかり。
African Tulip (アフリカン・チューリップ)。これもハワイ州から「侵略的植物」に指定されてますが、山の中から町中まで、ほんとにオアフ島中にたくさんある木。
コオラウ山脈の山腹にも、ジャングルの深い緑の中に、この塗り立ての鳥居のような鮮やかな朱色が濃い緑の中に点々としているのがよく目につきます。
アフリカン・チューリップの木。木のてっぺんで、天に向かって手を広げているように見えるのが、種の入っている豆さやです。
このさや、差し渡し20センチ以上あり、ミニチュアボートのような形をしていて、中には風に飛ぶ軽い種がたくさんはいっています。
10年ほど前、子どもが小学校のときに拾ってきたこの豆さやを、私は今でもアクセサリー入れに使っています。も内側はすべすべした綺麗な蜂蜜色で、軽くて丈夫で驚くほど長持ちします。
これもマノアに咲いていた、Rainbow Shower Tree (レインボウ・シャワーツリー)。
この木はハワイで作られた純園芸種のハイブリッドで、繁殖力はなく、ホノルルの街路樹として多く植えられています。
両側にこの木が植わっている道路は、6月から8月にかけての満開時にはコロコロした花が風に舞い散ってゴージャス。
Royal poinciana(ホウオウボク/鳳凰木)。これも東南アジア産のマメ科。
この木はもう花がほとんど終わっちゃってますが。
カリブ海の島や沖縄でもポピュラーな街路樹だそうで、上品で華麗な花。
豆さやはブーメランかなにかのよう。さしわたし30センチ以上もあります。
哺乳瓶を洗うブラシみたいな Bottlebrush (ブラシノキ)、オーストラリア原産。
これもマノアにて。
近年のホノルルでは、新しく植樹するときは原生種や「カヌー植物」(ポリネシア人がタヒチからカヌーで移住したときに持ち込んだ植物)を多く植えるようになっていて、 街路の植え込みでもショッピングセンターでも、派手な花は咲かないけれど土地を代表するハワイアン植物が多く見られます。
原生種のNaupaka (ナウパカ)。海辺に良く植えられている、塩分に強い灌木。引き裂かれた恋人たちの伝説をもつ、「半分の花」です。これはカイルアビーチの近く。
ワイキキビーチの木陰を作っているHau Tree (ハウ・ツリー)。ポリネシアからカヌーで海を渡ってきた「カヌー植物」は皆そうだけれど、用途の多い木。火を起こすのに使われたそうです。
朝方開いた薄い黄色の花が、だんだんとオレンジ色に変わっていって、夕方には赤茶色になって、ぽとりと落ちてきます。
そうしてやっぱり、ハワイではとても身近に感じられる Ti Leaf (ティ・リーフ)。
ハワイの家では魔除けとして家の周りに植えられていることが多い、広い美しい葉っぱで、赤のも緑のも綺麗です。
丈夫なつやつやした葉で食べ物を包んだり、レイにしたりする便利植物。
ノースウェストの植物も多彩で飽きることがないのだけど、ハワイ滞在中に久しぶりに強烈な光の下で南国の植物をたくさん撮ったら、鮮やかさのスケールが全然違う。
写真を整理していると、今年は浴び足りてない、痛いほど照りつける太陽の光がなつかしくなります。
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