2019/08/03

The Farewell 


8月になっちゃってますね!どひゃー。

これは東京・吉祥寺のお花屋さん。ドライフラワーが見事でした。

これまた6月のことですが。シアトル国際映画祭のクロージング・ナイトで『The Farewell』を観てきました。

いまシアトルの映画館で上映中。おすすめです‼


 『クレイジー・リッチ!』にも友人役で出てたオークワフィナが主役。
アメリカ育ちで完全にアメリカ人の価値観で生きてる孫娘ビリーを演じてます。

『クレイジー・リッチ!』はシンガポールの金持ちバンザイな映画だったけど、こちらは中国本国の中流(たぶん)中国人家庭のおはなし。

子どもたちはみな日本やアメリカなど海外に住みつき、次の世代はそれぞれの国で育っている家庭。
中国に住むお婆ちゃんにガンが見つかり、あと数ヶ月の命だと宣告される。

お婆ちゃんにそのことを気づかれずに海外に住む息子や娘や孫たちが集まる口実を作るため、日本に住むビリーの従兄弟と日本人のガールフレンドの間でニセの結婚式を挙げるというお話。

これは実際に監督のルル・ワンさんに起きたリアルライフストーリーなのだそうで、2016年にNPRのラジオ番組『This American Life』でこの話を公開したのがきっかけで長編映画にすることになったのだそうです。

シアトル映画祭では、映画の上映後にワンさんが登場して、質問にこたえるセッションがありました。

(監督はなんと食べかけの棒付きアイスクリームを片手に登場。溶けてぽたぽたたれはじめ。はやくそれ食べちゃって!と誰もが思ったに違いない。)

30代のワンさんは、パキパキした早口でエネルギッシュに質問に答えてました。


長編監督作品はこれが2本目だそうですが、貫禄たっぷり。

ルル・ワン監督は中国で生まれ、6歳のときにアメリカに移住。マイアミで育ち、ボストンで大学に行き、ロサンゼルスで映画のキャリアを積んだという完全なアメリカン・ガールですが、大学時代に中国に留学したときに「自分がアメリカ人としてEnoughでもないし、中国人としてEnoughでもないと感じて、その間で常に行ったり来たりナビゲートをしていた」と語っています。(The Farewell Director Lulu Wang navigates the spoilers of her own life)

この映画でも、本人に告知しないってアリなの?それはアメリカだったら犯罪なんだけど?と、自分が育ったアメリカの価値感と、家族の中国的判断の前で悩むビリーちゃんを軸に話がすすみます。

二つの文化、異なる価値観のあいだで育つ子どもたち。

うちの息子もそうだし、友人たちの息子や娘たちもそうだけど、どちらにも完全に属せないという、アイデンティティの問題は常につきまとうのですよね。

でももう、ひとつの文化の中でだけ生きていればいい時代ではないのだし、それはおおいにアドバンテージだと思ってほしいなと思います。

ナイナイ(お婆ちゃん)役の女優さんがとても素晴らしい。ちょっと八千草薫風のおっとりした方。中国のソープオペラの大物女優さんなのだそうで、監督がどうしてもこの人をつかいたくて、予算はないんだけどぜひ出てほしい、ぜひお願いします、と電話で口説き落としたら、私にもあなたみたいにアメリカに行ってる孫娘がいるから、協力してあげなくちゃね、 という理由で出演してくれたのだとか。

そしてそのお婆ちゃんの妹、おばちゃん役は、実際に監督のお婆ちゃんの妹なのだそうです。このおばちゃんもすごくいい味出している。

映像はとても丁寧で、ユーモラスで、あたたかい。ちょっと是枝監督の映画を思わせる。

「ユーモラスな要素は大切にしたかったけれど、ジョークにはしたくなかった」と、ワン監督はラジオのインタビューで語ってました。

この違いは本当に大きい。人を笑うことと面白がることの違い。
今のこの国では、それが完全に無視されていることが多くて憂鬱です。

ビリーは悩むけれど、誰もジャッジしないし、自分の価値観をおしつけようとせず、理解しようとつとめる。

素で真面目に生きてる人たちのおかしさがしっかりと優しく描かれてて、とても素敵な映画です。



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