2016/11/07
エイト・イヤーズ
桜の根もとの見事な苔に落ち葉。
シアトルは雨が多いので、京都の苔寺もびっくりの美しい苔があっという間にあちこちに生えてくる。
ある日急に人がいなくなったら、シアトルは10年後には苔の山になることでしょう。
大統領選挙前日。先が読めない選挙に不安を感じているひとは多いと思う。
シアトル・タイムズの今日の一面もそんな記事だった。
前回までは、アメリカの大統領選挙って最大のエンターテイメントだと思ってみていたけれど、今年は本当にすべてシャットアウトしたいくらい、選挙のニュースをみるのも聞くのも嫌でたまらなかった。トランプが勝っても負けても、この国に残したキズはとほうもなく大きい。
オバマが勝ったときに、ああこれで数年後にはきっと揺り返しがくるな、と、嬉しい中にも憂鬱な気分になったのだけど、その「ゆりかえし」がこんな顔(トランプ)をしていたとは。トランプ的なものをこれだけ多くのひとが必要としていることが、心から憂鬱だ。
数日前にも書いたけど、オバマさんが圧倒的勝利をおさめてすぐあとの2008年に、シアトルにはじめて遊びに来たのだった、と、この間思い出した。
あのお祭り騒ぎ。懐かしい。
サンクスギビングの週末で、初めてみるシアトルは雨が降っていて薄ら寒かったけど、久しぶりにみる紅葉した木々に(ハワイ暮らしが長かったので)興奮したのだった。
8年たって、飛行機でどこかからシアトルに帰ってきてピュージェット湾の緑の島々と静かな水をみると、あー帰ってきた、とほっとするようになった。
8年前にカイルアから一緒にシアトルに来たCT夫妻は、なんとミスターCTが日本で仕事を得て、今年の12月に東京に引っ越していくことになった。
みんなに「トランプが勝った時のために準備してたんだね」と言われるそうだけど、シャレにならん。
シアトルの8年間で、ミスターCTは某巨大ソフトウェア企業で順調にキャリアをつみ、ミセスCTも苦労のすえインテリアデザインの学位を得てシアトルでプロとして経験を積んだ。
わたしも8年前はフリーランスの看板をあげてみたばかりでどうなることかと思っていたけど、 信頼してくれるエージェントさんやお客さんを少しずつ得て、頼りになる同業の翻訳者さんとも知り合うことができて、なんとかかんとか、翻訳者でございますと厚かましくもいえるようになったし、行きたかった学校にも行けている。息子も高校を無事卒業して、大学4年生になった。ほんとうにありがたい。
8年前にはまだ不況のしっぽにすっぽりはまっていて空き地がおおかったシアトルは、ここ数年で建設クレーンの数がむちゃくちゃ多くなり、ビルの数が増え、古い家は少しずつ減り、ひとが増え、渋滞がひどくなり、家賃と家の値段が急上昇した。
シアトルでの8年の間に素敵に面白いひとびとにたくさん出あったし、面白いものをたくさん見せてもらった。それにずいぶん、ものに動じなくなったし楽天的になった。
なんて書いてくるとなんだか最終回みたいだけど、ゆずみそ手帖はまだ続きます(笑)。
今から8年後になにがどうなっているかなんて本当にわからないものだけど、目の前にあるものをしっかり味わって、その日の仕事をきっちりこなして、憂鬱はとりあえず横において、機嫌よく日々が暮らせたらしあわせですね。
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日常
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そうそう。どちらが勝っても人々の眉間のしわはなくならないと、そんな気がしますね。
返信削除日曜日にふと観た"60Minutes"で、普段は象びいきの人もロバびいきの人も、どちらも両方の候補者への不安や嫌気があって、誰を選んでもすんごく嫌かも・・・と言う雰囲気でした。観ましたか?
なんだかなー・・・ですよね。
まあ、どっちに転んでも、アメリカには"Impeachment"というのがあるから、いざとなったらそれですね!
なんちゃって。
これからは市民(私はただの住民)達が、もっともっと賢くならねばならない時代ですね。
苔だらけのシアトル、見てみた~い^^!
おれんぢ猫さん、いえー、うちではシーホークスの試合とNetflixをみる以外ではテレビをつけてません。
削除そしたらうちの息子がラップトップを液晶にぶつけてしまって、画面の一部がみえなくなってしまいました。あああ。
今日も(選挙の火曜日)テレビは観たいけど観たくない。できれば冬眠したいです。
おれんぢ猫さんの町のあたりは苔があんまり生えないのですね。
この辺の家は屋根やベランダにもすぐ苔が生えちゃうので、ハウスオーナーは大変でしょうね。