2014/11/20

趣味のマリファナ園芸?


先日、Barnes&Noble 書店にきのこの本を探しに行ったら、園芸本のコーナーにこんな一角ができてました。

『ノースウェストのガーデニング』などに並んで、『マリファナ園芸』『マリファナ新流派』『素晴らしいマリファナ栽培法』『マリファナ栽培の基本』『マリファナ栽培家ハンドブック』…そして『カナバイブル』(これはカナビス=大麻とバイブルをあわせた「かばん語」ですね)。


2012年に米国で初めてレクリエーション目的のマリファナを合法化する「イニシアティブ502(I502) 」が住民投票で支持されてから、早や2年。

なんだかすっかり、ほかの州でももう大麻は合法になっているかのような錯覚をしてしまいますが、違いましたねー。

先日は日本の山の中で大量に大麻を栽培していた2人組が逮捕されたというニュースを読みました。自分で使うためにこっそり栽培を始めたら、あまりにも調子よく育ってしまったので、ついどんどん規模が大きくなった、という、なんだかマンガみたいな話でちょっと笑っちゃいました。

しかし実はワシントン州でもレクリエーション用に自分で大麻を栽培することは許可されていません。

レクリエーション用に所持して良いのは、
  • One ounce of useable marijuana:「ユーザブル(すぐ吸える状態)」な乾燥マリファナ、1オンス(約28グラム)まで
  • Sixteen ounces of marijuana-infused product in solid form 固形状のマリファナ製品、16オンスまで
  • Seventy-two ounces of marijuana-infused product in liquid form 液体状のマリファナ製品、72オンスまで
  • Seven grams of marijuana concentrate マリファナ濃縮エッセンス、7グラムまで
のいずれかです。

「固形状」製品はカップケーキからグミ、キャンディ、チョコレートなど、「液体状」製品にはソーダやシロップなど、濃縮製品はオイルやワックスなど、もうありとあらゆる製品が市場に出回ってしのぎを削っています。

こういう製品を売って良いのは州からライセンスを受けた業者のみ で、いまのところシアトル市内でライセンスを持った業者はたったの2軒しかありません。

ただし、医療用のマリファナは別枠なのです。
レクリエーション用の使用が合法化される以前に、すでに医療用のマリファナ使用者がかなりたくさんいたので、2つのシステムが共存というよりは競合してる形になってしまってます。

医療用マリファナが必要という医師発行の証明書を持っている患者は、「ユーザブルなマリファナ24オンス、または15本までの大麻草」を所持できることになってます。

州のウェブサイトでは、
「a qualified patient or designated provider has an affirmative defense to criminal prosecution if they possess up to 24 ounces of useable marijuana or 15 marijuana plants」
( 有資格の患者、または定められた提供者は、刑事告発に対して積極的抗弁事由を有する)
という言い方になってます。

そして、医療用マリファナを使う患者たちが、自宅で大麻草を栽培する代わりに、「共同農園」という形で栽培してるんだという名目なのが、シアトル市内にカフェより多いといわれる「ディスペンサリー」。

「ディスペンサリー」については単語帳のほうでまた改めて。
(追記:書きました。「ディスペンサリー 医療用大麻販売所」)

私は、マリファナは早く全面的に合法化されたほうが良いと思ってます。

理由は3つ。(タバコやアルコールよりも習慣性が低くて害が少なく、医療用にメリットもあるという大麻そのものについての論議と反論は横においておいて。)

第一に、需要がこれだけ普通にあってこれだけ普通に消費されているんだから、行政はそれが存在しないふりをしたり無意味な取り締まりをするよりも、タバコやアルコール同様、きちんとした規制下においたほうが良い。
第二に、 アンダーグラウンドに無駄に流れていくお金が税収になればそれに越したことはない。
そして第三、警察が大麻所持や使用を恣意的に犯罪として扱って、人をむやみに収監したり犯罪歴を付け加えたりすることがなくなる。

アメリカで大麻ほど社会的な許容と、法的なタテマエとがかけ離れているものはないと思います。この分裂は、社会にとって不健康な結果を生んでいると思う。

過半数の人が「あってもいいんじゃない?」と思っているものを警察が害悪として取り締まる社会、というのは、やっぱり無理がある。

でもなにより、ワシントン州やコロラド州で合法になっているものが、連邦法では今でも(レクリエーション用も医療用も同様に)違法、というのは凄まじい分裂です。

司法省管轄のDEA(麻薬取締局)は、今でも「医療用マリファナにメリットがあるなんて嘘よ!」と啓蒙するパンフレットを配布していて、頭から大麻を害悪とみなしてます。

現在では、連邦政府の司法長官は合法化された州での大麻使用について何もしない方針を表明してますけど、オバマ政権のあと、新しい大統領が保守的なほうに傾いたら、これがまた変わる可能性だってある。

 Huffington Post の記事は、ハーバード大教授の「大麻は連邦で合法化すべし」という論説とともに、連邦法での全面的な解禁を主張している上院下院の議員についても報じてます。

マリファナは現在の法律ではLSDやヘロインと同様、「乱用の危険が高く、医療的価値がない」というカテゴリーに入れられてますが、このカテゴリーを変えようという話も前からある。「医療的価値がある」カテゴリーに入れれば、すくなくとも医師が処方するのは連邦的にも違法じゃなくなる。

アメリカではほんの前世紀にウィスキーもワインも違法だった時代があったし、日本では薬局で覚せい剤が買えた時代もあった。

薬物と人類のつきあいは長いですが、ものの見方は時代とともに変わるものですね。



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