雨の土曜日、タコマ美術館 Tacoma Art Museum に行ってきた。
タコマ市はシアトルから高速で片道30分弱。仮免をとったばかりで運転したくてたまらない息子が運転手。車の運転ができるなら、どこへでもほいほいついて来る。母につきあって浮世絵だって見に行っちゃうw 浮世絵はNot his thingらしくて、さーーっと20分ばかり見て、あとは車で寝てしまったが…(悲。
こじんまりした美術館で、疲れずに見られる良いサイズ。
入り口をはいると地元アーティスト作の巨大犬「Leroy」がお出迎え。
入場料は大人9ドルなり。回廊式ギャラリーが4つの展示室にわかれていた。
ひとつめは、タコマ出身のガラス作家Chihulyの作品が並ぶ 常設展示室。
海の生物のような、うにうにした超豪華巨大シャンデリアが有名だ。ここにあるのは、深海の生物のような壺や花瓶や、熱帯の花たち。
タコマだけでなくノースウェストにはガラス作家がとても多くて、この美術館のすぐ近くにガラスミュージアムもある。
北斎です。モダンな色使い。おいしそうな山。 |
なんと、前期後期ですっかり展示替えがあったのだった。悔しい〜。前期も見たかった。
こちらの展示は13日まで。
浮世絵や江戸期の日本画が最近とても好きで、日本に帰るたびに探して美術館に行くのだけど、浮世絵がまとめて見られるところって都内にもなかなかない。ハラジュクの太田記念美術館も、おなかいっぱいというほどではないし。
国立博物館は収蔵品は多いはずだけど、点数まとめてださないし。保護のためにずっと飾りっぱなしにするわけにはいかないのだろう。今回の展示も、古いもので特に光に弱い作品は、カバーがかかっていた。ちらりとカバーをのけてのぞいて観覧。
歌麿の雀。銅版画のような、繊細な線。アウトラインも背景の葉っぱは薄い墨色。
これが木版画って。
美人画も、生え際の髪の毛の一本一本に見入ってしまう。彫り師の人、あり得ない技術力。
わたしの今回お気に入りは二代目豊国、国貞。抱えられて嬉しそうなゾウ。
書き初めウサギ。これは、扇子やウサギの毛のところが浮き彫りになっている、当時の版元の超絶技巧を誇る作品。
どこの若旦那か役者さんか、えらくアバンギャルドなファッションである。柄の羽織に合わせたパッチワークみたいなチェックの立体的な襟が、コム・デ・ギャルソンみたい。良くわからないけど大変なおしゃれさんに違いない。刀をさしてるから芝居の場面なのかも。
明治以降の浮世絵が発展した木版画、戦後の「創作版画」も何点かツボを押さえて展示してあって、時代の流れがざっと眺めわたせる。
明治になると舶来の絵の具が使われるようになって、どピンクや真紅など「文明開化カラー」が出現する。横浜を描いた絵なんかはそういえば、真紅がこれでもかというように使われていた。
そして鴨緑江会戦、日露戦争。
この浮世絵たち、ここの美術館の収蔵品の一部なのだ。
地元の木材会社で財をなした名士の未亡人が集めたコレクションと、明治初期に日本へ公使としてわたって、明治天皇と個人的に親しくもなった外交官が日本で集めてきたものらしい。
第3の部屋は、印象派 の小部屋。
ルノアールやスーラなどパリの作家たちの作品と、同じ時代に太平洋北西部で作品を描いていた、ノースウェストの印象派の人たち数点などを展示した小さなギャラリー。
メアリー・カサットの小品。きっぱりとした勢いのある筆で鮮やかな色をとらえた、緑が匂うような夏の風景。この人の作品は母と子を描いたのが多くて優しい絵だと思っていたけれど、実物を見るととっても骨太な印象を受ける。
4つめは、地元タコマをテーマにした写真展。
印象的だったのは、19世紀末の中国人排斥(タコマでも600名くらいの中国人移民の家を焼き、財産を取り上げて有無を言わさず本国へ送り返した)を90年代になってから街をあげて恥ずべき歴史として認めて、市が作った和解の橋のモニュメント。
なかなか居心地の良い美術館です。建築はAntoine Predockの作品。
タコマはこれが2回目で、ダウンタウンには素敵な古いビルもちらほらとあるのだが、前回も今回も雨降りでしかも腹ぺこだったりして、街歩きはまだ果たしていない。次回ぜひ。
プログラマーでアーティストで3児のママでしかも美女。パワフルなスーパーママMotokoちゃんが、ヘッダーを新調してくれました♪ 彼女のブログはこちら。もうすぐウェブデザイン会社のサイトも本格開店だそうで、期待してます。
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