今回の Soy Source には、パナマホテルと消滅したニホンマチ(日本町)のことを書いています。
パナマホテルのティールームは大好きでこれまでも何度も行っていましたが、はずかしながら、ここの建物がまだ現役のホテルだということは知らなかった。
ティールームの隣にあるガラスの扉を開けて階段を上っていくと2階にフロントがあって、暇そうなお兄さんが気軽に案内してくれました。
小さな部屋が並ぶ細い廊下、古めかしいバスタブのある共用バスルーム。
20世紀初頭、独身者専用に寝るだけのスペースを提供していたホテルで、まるで寮のようです。
ニホンマチには、故郷をあとに単身渡ってきた独身男性が圧倒的に多かったので需要がたくさんあったのでした。
消えてしまった日本町の記憶を留める重要な歴史的建造物として、今ではヒストリカル・プリザベーションに登録されています。
ここのホテルの地下に、強制退去させられた日系人が置いていった荷物がいまでも保存されていて、ティールームからその一部が見えます。
コラムでも触れた、Jamie Ford 著『Hotel on the Corner of Bitter and Sweet』(邦訳、『あの日、パナマホテルで』前田一平訳、集英社文庫)は、ホテルの地下に残された荷物が発見されたところから始まる物語。
この小説、シアトルにお住まいの方には絶対のおすすめです。作者自身(ジェイミー・フォードさん、名前は白人系だけれど実は中国系)育ったこの界隈が舞台なので、実在の地名やお店の名前がたくさんでてきて、ジャズクラブが賑やかだった頃のジャクソンストリートや、日本語の看板が並んでいた頃の活気ある日本町の景色が見えるようです。
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