2019/12/19
バラードの閉店セール
わーなんか忙しい。いつの間にクリスマスがひたひたと迫ってきている〜。
やっぱりすべての回転数がさがっているのだろうか。仕事した時間はログをとっているんだけど、それ以外の時間にいったい自分が何をしているのか振り返ってみると謎すぎることが多い。
まーいいや、とりあえずお茶を飲みましょう。
いつもならお高くて買えないSMITH TEAMAKER(ポートランドの会社です)のほうじ茶を買ってみました。ただのほうじ茶じゃなくてHo-Ho-Hojichai という浮かれた名前のホリデーむけお茶である。
ほうじ茶のなかにカカオニブ、カルダモン、ジンジャー、カッシア、黒胡椒、チョコレート、丁子をブレンドしてある。なんて邪道な!でもこれがおいしいのです。鉄板の一保堂茶舗のほうじ茶におとらずパリッとした香ばしいほうじ加減にホリデーらしい、でも浮かれすぎないスパイスがすごく合ってる。
なぜこんなお高いお茶(定価ひとはこ16ドル)を購入したかといいますと…
…近所のスーパーで閉店セールをやってたからです。
なんと前回、「シアトル・バラードの徒歩圏内にスーパー7軒がひしめきあう異常な競争地帯になっちゃいました」という日記をアップした翌日、こずも食堂主人かなぼんさんからテキストでこのNew Seasons Market閉店セールのしらせを受け、急いでかけつけたのでした。
デリから生鮮食品からお茶からサプリから、なんでも50%割引になっていた。アルコールだけは20%引き。
スミスティーメーカーのホーホーホウジチャイはもとのセールにさらに5割引きでしたので、6ドルになっていた。やすい。
このニューシーズンズ・マーケットは、開店当初から労働組合を排除しているとかで、うちの近所では不買運動がおきていた(チラシが配られたり、庭に「ニューシーズンズをボイコットしよう」というちいさな看板を出してる家がいくつもあったり)という不穏な旅立ちで、別に安くもなく、とくべつな何かがあるわけでもなく、場所も忘れ去ってしまうようなところにあった。わたしも開店当初1度行ってみただけでした。
シアトルのフード事情にくわしいかなぼんさんによれば、マーサーアイランドのお店もさいきんガラガラだったそうで、資本が韓国系に変わって、Metropolitan Marketと同じ会社になったんだそうです。
かけつけたときは閉店セールの一日目夕方。まだ生鮮食品もあり、店内満員状態でした。
そんなに広くない店のなかを5周くらいして卵やチーズや洗剤やパスタなどをしこたま買い占め、なんだかぐったり疲れてしまいました。いらないおやつもつい買っちゃうんだよな。
なんだか自分が作物を食い尽くすいなごの群れにくわわったような気分です。
ホーホーホウジチャイがあまりにおいしかったので、まだ残っていたら買い占めちゃおうと思って翌々日に寄ってみると、すでに店の3分の2はがらーんときれいに片付いており、当然、めぼしいものはもうなかった。
デリやイートインスペースや生鮮食品コーナーはもうロープがはられ、閉鎖されてました。
イナゴたちの通り過ぎたあと。
ほとんど行かなかったし思い入れも全然なかった店だけど、なんだか…チーン、て感じで虚しさが。
のこりの選手のうち、PCC、「フレディ」FredMeyer、バラードマーケット、トレジョ先生、そしてターゲット君はいずれもそこそこ思い入れのあるお店ぞろいなので、ぜひもちこたえていただきたいです。
2019/12/13
バラードにPCCとターゲットがやってきた
BallardにPCCができてました。 11月下旬、バラードからクルマで10分くらいの距離にあるグリーンレイクのPCCに行くつもりでグーグル・マップを見たら、3分の距離にPCCがあるというではないですか。
半信半疑で行ってみると、なんといつも行くトレーダージョーズさんの真ん前に、でっかいPCCがオープンしてました。
入り口には巨大タコもいる。
PCCはCO-OPだけど、会員でなくてもふつうに買い物できます。
1953年創設、コミュニティベースで「経済上、社会上、環境上の責任」にコミットするという姿勢で胸をはっているCO-OP。
なので置いているものも限りなくローカルなものが多い。
会費は一回かぎりの60ドル。いままではメンバーだと月に一回、10%オフになったのだけど、来年からは買い物のたびに2%還元になるそうです。
しかし全体に値段は高い。高いけど、PCCで買う鶏肉はたしかにとてもおいしい。
広い!広くてびっくり。そしてまるでWhole Foods。規模的にもキラキラ感も、カリフォルニアのサンタクララやクパチーノにあるホールフーズを思い出した。シアトルではめったにホールフーズなんか行かないけど、カリフォルニア出張のときにはホールフーズで買い物するのが日々の癒やしだったのです。
やたらに通路が広い〜!ここでイベントでもやる予定なのかしら。
通路が狭くてぎゅうぎゅうづめのグリーンレイク店やカークランド店と品ぞろえはそれほどかわらない気がするけど、店舗の広さは5倍くらいはありそう。
ヨーグルトバーもあります。
ベーカリー、ピザ、サラダバー、ホットバー、イートインコーナーもあり。
さらにー、うちから歩いて数分の距離に、なんとTARGETがオープンしました!
もう最近はそうでもないけど以前はターゲット大好きで。でも一番近いのがクルマで20分くらいかかるので、近くにできないかなあと思っていたのですが、5年かけて引き寄せに成功した(違。
ご近所一帯に、15ドルの買い物で5ドルオフというクーポンが届いていたのでもちろん早速使いにいきました。
ダウンタウンのミニ店舗よりも規模が大きくて、食品から衣料品、処方箋薬局までコンパクトに揃ってる。
つぎつぎにコンドミニアムやアパートメントのビルや小さいマッチ箱型の家が怒涛のように建ち、人口が爆増しているので当然といえば当然なのだけど、いつのまにかご近所が小売り激戦区になっていた。
ここ5年くらいの間にあたらしいスーパーマーケットが5店舗もできて、クルマで3〜5分くらいの圏内に、Trader Joe's、FredMeyer、New Seasons、PCC、Safeway、それにBallard MarketとTargetというかなりな大型店舗がひしめきあっているという、すごいことになってます。
2019/12/12
ブーマーズのボビーといえば
気づくと町はクリスマス一色になっている。仕事に追われてクリスマス的なことにはなにも手についてない。何がクリスマスでーい!とグリンチのようになりがちなひとりものの12月。
そしたらM太郎くんが突然ジャズ・アレイにつれてってくれました。うひょひょ。
ボビーといってもブラウンじゃないよ。
ボビー・コールドウェルをフィーチャーしたバンド。1978年のこの歌以外、よく知らないんだけど。そういえば、「AOR」なんていうジャンルがありましたねーー!
ええ〜スムーズジャズってやつぅ?(苦手)。その上クリスマスソングぅ?(グレている)。うーん、まあいいか(高飛車)。と、あまり期待せず行ったんだけど、すごくよかったです。
舞台もクリスマスでぺかぺか。
ギターの人、ノーマン・ブラウン。いきなりブルージーで、のりのりで楽しい。これはスムーズジャズなんだ?
ドラムの人もすごくよかった。
ソプラノ・サックスの人はヘヴィメタルバンドの人みたいなカッコウででてきてケニーGみたいな笛を吹くのが笑えました。
ボビーのおっちゃんはオースティン・パワーズみたいかった。もう本当におじいちゃんで杖ついてましたが、40年来の持ち歌を歌う声はさすがにハリがある。伝統芸か。
店内はブーマーズ度90%。ところでわたしはギリギリ、Xジェネレーションなのだ!「Zers」からしたらまったく見分けがつかないしどうでもよいでしょうけどね。
楽しかった。いっときクリスマシーな気分になりました。ありがとうM太郎ちゃん。
2019/12/10
ART WALK:馬とシロクマ、幻視の塔
シアトルART WALKつづき。
前回も驚いたけれど、本当に本当に、ギャラリーが増えましたね〜。数でいったら銀座やニューヨークにもひけをとらないのではないかと思うほどの密集ぶり。パイオニア・スクエアのいままで使われていなかったビルのほとんどが画廊になってしまったのではないか。ものすごく広いスペースを持つギャラリーもいくつもあるし。
玉石混交というか、アマチュアからエスタブリッシュメントなアーティストの作品まで実にいろいろな作品を扱うギャラリーが隣り合っているのも面白いところ。
そして本当に、人が多い!
雨まじりの寒い12月の木曜日の夜だったのだけど、パイオニア・スクエア、ほんとにいっぱい人が歩いていた。ドットコムの会社にお勤めって感じの若い衆たち、アーティストふうな若い衆たち、ベビーカーを押した若いカップル、ゲイのカップル、おばさまたち、おじさまたち。年齢層も志向も階層もさまざまなピープルが集っていました。
5年前のパイオニア・スクエアからは隔世の感。シアトルってほんとにお金が集まってるんだなあ、とあらためて思いました。まるでお金の音が聞こえるようであった。ザクザク。こっちにも入ってきますように、ちゃりんちゃりん。
これはかなり高名なアーティストの作品を扱っている大ギャラリー、Greg Kucera Galleryの屋外デッキ。人気アーティスト、デボラ・バターフィールドさんの馬の作品です。
流木でできているようにしか見えないけど、これは流木の型をとったブロンズ製。
この人の作品についての記事を、以前にハワイのマガジンのために翻訳したことがあったのです。
この画廊もすごーく広くて、こんな屋外デッキまであるなんて。すぐ目の前にアムトラックの線路が走っています。
普段はちょっと敷居が高いギャラリーにもずんずん入っていけるのがART WALKのうれしいところ。しかも飲み物をくれたりする。
ここのギャラリーでは、黒人アーティストポール・ラッカーさんの「Forever」展もやっていました。
メドガー・エヴァーズなど公民権運動の中で殺害された運動家たち、公民権運動の引き金となった被害者エメット君、アラバマの教会が爆破されたときに亡くなった少女たちなどを「FOREVER」記念切手の形にして掲げるという、心動かされる作品。
こちらの展示は12月21日までです。
画廊の前半分は、ノーマン・ランディンさんのミニマルで静かな風景画。
こちらはなぜか写真をとらなかったので、画廊のサイトより。
大型のクリーンな画面。エドワード・ホッパーのような、さばさばした光に照らされた無人の風景。たぶん多作な人なんだろうと思います。こういう絵を飾れるスペースも、シアトル周辺には増えているんだろうな。
以前シアトル・アートフェアで見たお気に入り、Sarah McRae Mortonさんの新作も出てました。
被写体ブレのようなボワボワ効果が増えていた。あのアートフェアは2年前だったのね。
こちらはARTXchangeギャラリーにて。日本人アーティスト、Yuko Ishiiさんの作品集です。
幻視の中で受け取ったイメージをそのまま絵にしているという人。
ご本人が在廊されていました。
不思議な文字が描いてあるのでこれは何ですかと尋ねると、見たまんまを描くので自分にもわからないのだそうです。
塔と、回路図。曼荼羅ふうの装置。鏡文字。
おもしろーい。もっと見たい。
老舗のDavidson Galleriesにあった妙な魚の図。
浮世絵や古い版画も扱うギャラリー。小品は100ドル台からあったりするのです。
消防署にも、こんないかした消防士アートがついてました。
切り絵みたいで素敵。
2019/12/09
シアトルART WALK:糸の川と鹿の女王
12月の第1木曜日、パイオニア・スクエア界隈のアートウォークに行ってきました。
シアトル市を含むキング郡の文化部門、4Cultureが運営するギャラリー「Gallery4Culture」では、Ko Kirk Yamahiraさんの個展をやってました。たまたまこの日が最終日。
布とむき出しになった織り糸のドレープが美しい布作品。
キャンバス地からタテ糸を丹念に取り除いて横糸だけをのこすという、気の遠くなりそうな作業がほどこされているそうです。
Ko Kirk Yamahiraさん、まったく知りませんでした。お名前からすると日系。ロサンゼルスで生まれ、東京とロンドンで育った、とBIOにあります。
日本の着物にほのかなインスピレーションを受けているようだけれど、エスニック色はなくて、とてもモダンで洗練された、シンプルで力強い造形。
一見、金属のようなゴージャスな光沢。
布作品を作る女性アーティストが多いのでこの方もてっきり女性かと思ったら男性でした。またまたステレオタイプな思い込みを反省…。
平面が突然糸の川になって流れ出す。
布という折り目正しい構造の中から、それを構築するもっと乱雑な、バラバラなものが流れ出してくる。
いってみれば秩序とその崩壊。次元が切り替わる、さかいめのドラマ。
静かでドラマチックです。
FRYEミュージアムでも去年、個展が開催されたそうです。
こちらはCoCA(Center on Contemporary Art)のギャラリー。
ををを!パンフに舞踏家・薫さんをモデルにした絵がフィーチャーされてました!ご本人もびっくり。
そのギャラリーにいた、『鹿の女王』。セラミック作品です。
とても優しい存在感がある。
Sandi Bransfordさんという地元アーティストの作品。お値段は2450ドル。
これはお買い得では! 玄関ホールにいかがでしょう。
モビールにからむ舞踏家。
ART WALK楽しいです。
2019/12/08
サーリネンのチャペル
MITさんぽの最後はこのチャペル、MIT Chapel。
週末に行ったら中には入れず、一般公開は月曜〜金曜の午前10時〜11時と午後1時半〜2時半、とウェブサイトにあったので、金曜の朝に出直しました。
1955年完成、家具デザイナーとしても有名なミッドセンチュリーの建築家、エーロ・サーリネンの設計です。
本体は円筒形で、そのまわりに浅い池があり、水がはってあります。
まわりはちょっとした芝生のひろば。
入り口からチャペルへ続く廊下のガラス。控えめな色づかいと、ふぞろいなテクスチャーが美しい。
チャペルの中。
ひとつだけの天窓から光が差し込み、「祭壇」に置かれた大理石に注ぐ。
ほかに窓がない、円筒形のそっけないようなデザインは、サーリネンさんによると祈りの場にふさわしい「満ち足りて内面に向かう感覚」を意味するそうです。
この日は水がはってなかったのだけど、ぐるりととりまく浅い池の水の反映も取り込まれるようになっているみたいです。上からの光と、壁に反射する下からの光と。どちらも優しい自然光。おだやかな感じの空間です。
ここは最初からキリスト教だけでなくさまざまな信仰を持つ人のための場として設計されて、実際仏教の瞑想セッションなどもここで行われているそうです。
当然十字架もなく、中央に置かれた四角い大理石と天窓から注ぐ光、金属のモビールが、抽象的な聖性を表現している。
ヒューストンのロスコ・チャペルをすぐに思い出すんだけど、こちらのほうがロスコ・チャペルより少し明るい感じ。
波打つ壁で、音響効果も良いようです。
ひとつの宗教に縛られない祈りの場を作る、保持するというのは崇高な目的だしぜひぜひ尊ばれるべきだと思うのだけど、でも、やはりひとつの形式と物語のもとに、ひとつの信仰のために統一された空間である教会やお寺に比べると、場の力といったようなものが弱い。
集まってきたものを浄める力が薄いのは当然なのかも…。意思の力だけでは物語にはたちうちできない。
後ろにはパイプオルガン。ここでオルガンを聞いてみたい。
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