2019/12/13
バラードにPCCとターゲットがやってきた
BallardにPCCができてました。 11月下旬、バラードからクルマで10分くらいの距離にあるグリーンレイクのPCCに行くつもりでグーグル・マップを見たら、3分の距離にPCCがあるというではないですか。
半信半疑で行ってみると、なんといつも行くトレーダージョーズさんの真ん前に、でっかいPCCがオープンしてました。
入り口には巨大タコもいる。
PCCはCO-OPだけど、会員でなくてもふつうに買い物できます。
1953年創設、コミュニティベースで「経済上、社会上、環境上の責任」にコミットするという姿勢で胸をはっているCO-OP。
なので置いているものも限りなくローカルなものが多い。
会費は一回かぎりの60ドル。いままではメンバーだと月に一回、10%オフになったのだけど、来年からは買い物のたびに2%還元になるそうです。
しかし全体に値段は高い。高いけど、PCCで買う鶏肉はたしかにとてもおいしい。
広い!広くてびっくり。そしてまるでWhole Foods。規模的にもキラキラ感も、カリフォルニアのサンタクララやクパチーノにあるホールフーズを思い出した。シアトルではめったにホールフーズなんか行かないけど、カリフォルニア出張のときにはホールフーズで買い物するのが日々の癒やしだったのです。
やたらに通路が広い〜!ここでイベントでもやる予定なのかしら。
通路が狭くてぎゅうぎゅうづめのグリーンレイク店やカークランド店と品ぞろえはそれほどかわらない気がするけど、店舗の広さは5倍くらいはありそう。
ヨーグルトバーもあります。
ベーカリー、ピザ、サラダバー、ホットバー、イートインコーナーもあり。
さらにー、うちから歩いて数分の距離に、なんとTARGETがオープンしました!
もう最近はそうでもないけど以前はターゲット大好きで。でも一番近いのがクルマで20分くらいかかるので、近くにできないかなあと思っていたのですが、5年かけて引き寄せに成功した(違。
ご近所一帯に、15ドルの買い物で5ドルオフというクーポンが届いていたのでもちろん早速使いにいきました。
ダウンタウンのミニ店舗よりも規模が大きくて、食品から衣料品、処方箋薬局までコンパクトに揃ってる。
つぎつぎにコンドミニアムやアパートメントのビルや小さいマッチ箱型の家が怒涛のように建ち、人口が爆増しているので当然といえば当然なのだけど、いつのまにかご近所が小売り激戦区になっていた。
ここ5年くらいの間にあたらしいスーパーマーケットが5店舗もできて、クルマで3〜5分くらいの圏内に、Trader Joe's、FredMeyer、New Seasons、PCC、Safeway、それにBallard MarketとTargetというかなりな大型店舗がひしめきあっているという、すごいことになってます。
2019/12/12
ブーマーズのボビーといえば
気づくと町はクリスマス一色になっている。仕事に追われてクリスマス的なことにはなにも手についてない。何がクリスマスでーい!とグリンチのようになりがちなひとりものの12月。
そしたらM太郎くんが突然ジャズ・アレイにつれてってくれました。うひょひょ。
ボビーといってもブラウンじゃないよ。
ボビー・コールドウェルをフィーチャーしたバンド。1978年のこの歌以外、よく知らないんだけど。そういえば、「AOR」なんていうジャンルがありましたねーー!
ええ〜スムーズジャズってやつぅ?(苦手)。その上クリスマスソングぅ?(グレている)。うーん、まあいいか(高飛車)。と、あまり期待せず行ったんだけど、すごくよかったです。
舞台もクリスマスでぺかぺか。
ギターの人、ノーマン・ブラウン。いきなりブルージーで、のりのりで楽しい。これはスムーズジャズなんだ?
ドラムの人もすごくよかった。
ソプラノ・サックスの人はヘヴィメタルバンドの人みたいなカッコウででてきてケニーGみたいな笛を吹くのが笑えました。
ボビーのおっちゃんはオースティン・パワーズみたいかった。もう本当におじいちゃんで杖ついてましたが、40年来の持ち歌を歌う声はさすがにハリがある。伝統芸か。
店内はブーマーズ度90%。ところでわたしはギリギリ、Xジェネレーションなのだ!「Zers」からしたらまったく見分けがつかないしどうでもよいでしょうけどね。
楽しかった。いっときクリスマシーな気分になりました。ありがとうM太郎ちゃん。
2019/12/10
ART WALK:馬とシロクマ、幻視の塔
シアトルART WALKつづき。
前回も驚いたけれど、本当に本当に、ギャラリーが増えましたね〜。数でいったら銀座やニューヨークにもひけをとらないのではないかと思うほどの密集ぶり。パイオニア・スクエアのいままで使われていなかったビルのほとんどが画廊になってしまったのではないか。ものすごく広いスペースを持つギャラリーもいくつもあるし。
玉石混交というか、アマチュアからエスタブリッシュメントなアーティストの作品まで実にいろいろな作品を扱うギャラリーが隣り合っているのも面白いところ。
そして本当に、人が多い!
雨まじりの寒い12月の木曜日の夜だったのだけど、パイオニア・スクエア、ほんとにいっぱい人が歩いていた。ドットコムの会社にお勤めって感じの若い衆たち、アーティストふうな若い衆たち、ベビーカーを押した若いカップル、ゲイのカップル、おばさまたち、おじさまたち。年齢層も志向も階層もさまざまなピープルが集っていました。
5年前のパイオニア・スクエアからは隔世の感。シアトルってほんとにお金が集まってるんだなあ、とあらためて思いました。まるでお金の音が聞こえるようであった。ザクザク。こっちにも入ってきますように、ちゃりんちゃりん。
これはかなり高名なアーティストの作品を扱っている大ギャラリー、Greg Kucera Galleryの屋外デッキ。人気アーティスト、デボラ・バターフィールドさんの馬の作品です。
流木でできているようにしか見えないけど、これは流木の型をとったブロンズ製。
この人の作品についての記事を、以前にハワイのマガジンのために翻訳したことがあったのです。
この画廊もすごーく広くて、こんな屋外デッキまであるなんて。すぐ目の前にアムトラックの線路が走っています。
普段はちょっと敷居が高いギャラリーにもずんずん入っていけるのがART WALKのうれしいところ。しかも飲み物をくれたりする。
ここのギャラリーでは、黒人アーティストポール・ラッカーさんの「Forever」展もやっていました。
メドガー・エヴァーズなど公民権運動の中で殺害された運動家たち、公民権運動の引き金となった被害者エメット君、アラバマの教会が爆破されたときに亡くなった少女たちなどを「FOREVER」記念切手の形にして掲げるという、心動かされる作品。
こちらの展示は12月21日までです。
画廊の前半分は、ノーマン・ランディンさんのミニマルで静かな風景画。
こちらはなぜか写真をとらなかったので、画廊のサイトより。
大型のクリーンな画面。エドワード・ホッパーのような、さばさばした光に照らされた無人の風景。たぶん多作な人なんだろうと思います。こういう絵を飾れるスペースも、シアトル周辺には増えているんだろうな。
以前シアトル・アートフェアで見たお気に入り、Sarah McRae Mortonさんの新作も出てました。
被写体ブレのようなボワボワ効果が増えていた。あのアートフェアは2年前だったのね。
こちらはARTXchangeギャラリーにて。日本人アーティスト、Yuko Ishiiさんの作品集です。
幻視の中で受け取ったイメージをそのまま絵にしているという人。
ご本人が在廊されていました。
不思議な文字が描いてあるのでこれは何ですかと尋ねると、見たまんまを描くので自分にもわからないのだそうです。
塔と、回路図。曼荼羅ふうの装置。鏡文字。
おもしろーい。もっと見たい。
老舗のDavidson Galleriesにあった妙な魚の図。
浮世絵や古い版画も扱うギャラリー。小品は100ドル台からあったりするのです。
消防署にも、こんないかした消防士アートがついてました。
切り絵みたいで素敵。
2019/12/09
シアトルART WALK:糸の川と鹿の女王
12月の第1木曜日、パイオニア・スクエア界隈のアートウォークに行ってきました。
シアトル市を含むキング郡の文化部門、4Cultureが運営するギャラリー「Gallery4Culture」では、Ko Kirk Yamahiraさんの個展をやってました。たまたまこの日が最終日。
布とむき出しになった織り糸のドレープが美しい布作品。
キャンバス地からタテ糸を丹念に取り除いて横糸だけをのこすという、気の遠くなりそうな作業がほどこされているそうです。
Ko Kirk Yamahiraさん、まったく知りませんでした。お名前からすると日系。ロサンゼルスで生まれ、東京とロンドンで育った、とBIOにあります。
日本の着物にほのかなインスピレーションを受けているようだけれど、エスニック色はなくて、とてもモダンで洗練された、シンプルで力強い造形。
一見、金属のようなゴージャスな光沢。
布作品を作る女性アーティストが多いのでこの方もてっきり女性かと思ったら男性でした。またまたステレオタイプな思い込みを反省…。
平面が突然糸の川になって流れ出す。
布という折り目正しい構造の中から、それを構築するもっと乱雑な、バラバラなものが流れ出してくる。
いってみれば秩序とその崩壊。次元が切り替わる、さかいめのドラマ。
静かでドラマチックです。
FRYEミュージアムでも去年、個展が開催されたそうです。
こちらはCoCA(Center on Contemporary Art)のギャラリー。
ををを!パンフに舞踏家・薫さんをモデルにした絵がフィーチャーされてました!ご本人もびっくり。
そのギャラリーにいた、『鹿の女王』。セラミック作品です。
とても優しい存在感がある。
Sandi Bransfordさんという地元アーティストの作品。お値段は2450ドル。
これはお買い得では! 玄関ホールにいかがでしょう。
モビールにからむ舞踏家。
ART WALK楽しいです。
2019/12/08
サーリネンのチャペル
MITさんぽの最後はこのチャペル、MIT Chapel。
週末に行ったら中には入れず、一般公開は月曜〜金曜の午前10時〜11時と午後1時半〜2時半、とウェブサイトにあったので、金曜の朝に出直しました。
1955年完成、家具デザイナーとしても有名なミッドセンチュリーの建築家、エーロ・サーリネンの設計です。
本体は円筒形で、そのまわりに浅い池があり、水がはってあります。
まわりはちょっとした芝生のひろば。
入り口からチャペルへ続く廊下のガラス。控えめな色づかいと、ふぞろいなテクスチャーが美しい。
チャペルの中。
ひとつだけの天窓から光が差し込み、「祭壇」に置かれた大理石に注ぐ。
ほかに窓がない、円筒形のそっけないようなデザインは、サーリネンさんによると祈りの場にふさわしい「満ち足りて内面に向かう感覚」を意味するそうです。
この日は水がはってなかったのだけど、ぐるりととりまく浅い池の水の反映も取り込まれるようになっているみたいです。上からの光と、壁に反射する下からの光と。どちらも優しい自然光。おだやかな感じの空間です。
ここは最初からキリスト教だけでなくさまざまな信仰を持つ人のための場として設計されて、実際仏教の瞑想セッションなどもここで行われているそうです。
当然十字架もなく、中央に置かれた四角い大理石と天窓から注ぐ光、金属のモビールが、抽象的な聖性を表現している。
ヒューストンのロスコ・チャペルをすぐに思い出すんだけど、こちらのほうがロスコ・チャペルより少し明るい感じ。
波打つ壁で、音響効果も良いようです。
ひとつの宗教に縛られない祈りの場を作る、保持するというのは崇高な目的だしぜひぜひ尊ばれるべきだと思うのだけど、でも、やはりひとつの形式と物語のもとに、ひとつの信仰のために統一された空間である教会やお寺に比べると、場の力といったようなものが弱い。
集まってきたものを浄める力が薄いのは当然なのかも…。意思の力だけでは物語にはたちうちできない。
後ろにはパイプオルガン。ここでオルガンを聞いてみたい。
2019/12/07
機械仕掛けのワーム
10月のMITさんぽ、続き。本当に面白かったんですよ。
半日では回りきれなくて、翌日また行きました。その2日目に行ったMITミュージアム。
キャンパスの中ではなくて、町なかのわりあいに目立たないビルにあります。
入館料はおとな10ドル。
1階にはこのようなロボットたちが展示されています。
そういえばボストン・ダイナミクスはソフトバンクに買収されたんですね。
黒字になるのはいつでしょうか。軍用じゃなくて小回りのきく高性能お掃除ロボットができて爆発的に売れるとか、ないかなー。
こちらはかなり初期のもの。制作年を控えてくるの忘れたけど、80年代だったか。
プリンター用みたいな入出力用端子がついている。
潤滑液?がしたたっているのがなまなましい。
2階には広いギャラリーが3つあり、船舶デザインの展示(精密な模型や設計図、ツールなど)、ポラロイドの歴史の展示もあったのだけど(そのほかにメディアラボのオックスマンラボが「プリンター」でつくったガラスの器もありました)、なんといっても、真ん中の部屋の展示が!メガ級の!つぼだった。
Arthur Gansonという作家さんの作品をあつめた「Gestural Engineering」という展示。
アーサー・ギャンソンさん、でいいのかな。
機械仕掛けの「kinetic sculpture(動く彫刻)」を1977年からつくっている人。
MITのレジデントだったこともあり、ここのミュージアムでは1995年から常設で作品が展示されているそうです。
上のは「Thinking Chair」。考える椅子。この動画はギャンソンさんのサイトより。
クラシックなゼンマイやベルトや滑車やチェーンといった美しい部品が単純な動きを繰り返す機械の仕掛けに、捨てられた人形、骨、紙など、なんでもないようなものを組み合わせて、不可思議な風景をつくり出す作品。
上のは「Machine with Abandoned Doll」(捨てられた人形つきの機械)。
この人形はカリフォルニアのハイウェイの道端に捨てられていたのを拾ったものだそうです。
なんでもないようなものにこれまた単調な動きを組み合わせることで、不思議なキャラクターがあらわれる、というかキャラクターを見てしまう。
幻想的でちょっと怖ろしく、かわいらしい。
人間は動くものに魂を見てしまうようにできてるんですね。
ウィッシュボーンが大きなゼンマイ機械をひっぱって歩くように見える機械。
なんだかけなげに見えてくる。
これはたぶん、枯れた花びらかなにか。
回転する車輪の上を物思いにふけって歩くなにか、にしか見えない。
自分で油を浴びる機械。気持ちよさそう。
黄色い椅子を一瞬だけ組み立てる機械。
この「ワーム」たちが載っている荷台を観客が押しながら歩くと、虫たちがうねうねと身体をくねらせて歩くように見えるという機械の仕掛け。
あまりにも気に入っちゃって、一度ミュージアムを出てからまた駆け戻ってもう一回り押して歩いた。
これ売ってたら欲しい。買えないけど。なんだか癒やされる。
かわいいなあ。AIBOよりもずっとかわいい(個人の意見です、ふふ)。
ご家庭でつくれそうなシンプルさも魅力。
とはいえ、無駄なく大胆で美しいディテールは並大抵のセンスでは真似できません。
これも泣けるほどシンプルで素敵な機械。浅い箱のなかにマメ(ブラックアイドピーズ)が並んでいて、手前のハンドルをまわすと箱のなかが波打ってマメたちが波のように動く。
実にシンプルなものなんだけど、そのシンプルな動きに、催眠術にかかったみたいに惹きつけられる。実に単純なうえに、細部にいたるまで完璧。
紙のきれはしがゆっくり動くこの彫刻は、ぜひこちらのサイトで動画を見てください。
あまりにも優雅な動きに見とれてしまいます。ちぎった紙なのに。
ちなみにこちらの作品は発売中。
お値段は11万ドル(1200万円くらい)。リビングルームにいかが?
とてもシンプルなメンテナンス方法もウェブサイトに図解つきで載ってますよw
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