Diablo Lake のトレイルは、Douglas Fir (ダグラスファー)の森の中の道なので、甘く清々しい緑の葉の匂いでいっぱいです。
Douglas Fir はクリスマスツリーに使われる木です。
ハワイでも12月になるとオレゴンやワシントンから冷蔵コンテナで運ばれて来たクリスマスツリーが特設販売会場に並びます。うちでもホノルルに住んでいたころ、5フィート(約150cm )くらいのダグラスファーを買ってアパートのリビングに飾ったものでした。
クリスマスツリーを飾ると家中が北国の森の清々しい匂いになって、南国でもそれなりに「Chrismassy」な気分が盛り上がるのでした。
南向きのがんがん日の当たるリビングルームだったので2週間くらいで葉っぱがどんどん落ちていき、クリスマスが来る前にスカスカになってしまいましたが。
クリスマスツリーの森。 |
そういえば、テレビの『ツインピークス』でも、ツインピークスに来たばかりのクーパー捜査官が「なんて良い香りなんだ!この樹の名前は一体何ていうんだ?」と聞いて、「ダグラスファー」だと教えてもらう場面がありました。
タイガーリリー |
「木材図鑑」によると、ダグラスファーの日本名は「米松」。
「よねまつ」ではなくて「べいまつ」です。
米松くん(左)と米杉くん(右) |
このトレイルでは、ダグラスファーの間に Western Red Cedar (ウェスタン・レッドシダー、ふつうは単にRed Cedarと呼ばれることが多い )もちらほら見られます。
こちらの日本名は、「米杉」(べいすぎ)。
前から疑問に思っていたんだけど、工藤夕貴出演の映画『ヒマラヤ杉に降る雪』(原題『Snow Falling on Cedars』の cedars って、絶対に「ヒマラヤ杉」じゃなくてこっちの「レッドシダー、米杉」だと思う。
この物語の舞台になっているベインブリッジ島のあたりに、ヒマラヤ杉は生えていないとおもう。
『米杉に降る雪』じゃタイトルにならないと思って宣伝部の人が変えてしまったのか、単に勘違いの誤訳だったのか。
メープルのたねプロペラ |
レッドシダーはぴーんと定規を当てたように真っすぐに天を目指して伸びる、美しい樹です。
ノースウェストのネイティブ住民たちにとっては、耐久性が良く、細工がしやすいこの樹はカヌーや家やトーテムポールを作るための重要な木材だったそうです。
パイオニア・スクエアにあるトーテムポールもこのレッドシダーで作られています。
樹皮もバスケットや衣服など、ありとあらゆる生活材として使われた、日本人にとっての竹のような存在だったようです。
19世紀に白人が来てからは、このぴーんと伸びた木材がサンフランシスコの町を建設するためにじゃんじゃん伐り出され、製材されて船で運ばれていき、それがシアトルの町の経済基盤になりました。
太平洋北西部には、とてもゆかりの深い樹です。