2016/04/12

一度は灯台守になってみたい方はぜひ、砂嘴の灯台へ。



先日、ダンジネス砂嘴にまた行ってきました。2年半前には途中で引き返したけど、今回はフル行程を踏破!どや!
 

……といばるほどのものじゃありませんが。
潮汐表を見ると正午頃が引き潮だったので、午前11時ころに出発しました。


上から見た砂嘴(おととし乗ったデルタ便の窓から)。 
ファンデフカ海峡をへだてて対岸にちらっと見えているのは、カナダのビクトリア島。

有名なカニ、ダンジネスクラブの名前は、この地域のダンジネス港に由来してるそうです。

目的地は砂嘴の突端にある灯台。片道5.5マイル、約9キロ。


…遠かった。

このダンジネス砂嘴のあるあたりは、ピュージェット湾やオリンピック半島のほかの部分が雨でもここだけは晴天ということが多い、晴れ多発地帯。出発してまもなく雨がザーッとやってきたので、うぅっと思ったのですが、その後はほぼ快晴でした。
天気晴朗なれども、風がびゅうびゅう。

行きは追い風。さくさくと先を急ぎ、1時間半ほどで灯台に到着。


行けども行けども、砂と流木と石ごろごろの浜。
右側は鳥獣保護で立ち入り禁止の浜です。ハクトウワシがいました。


ついた!
正式名称New Dungeness Lighthouse(ニュー・ダンジネス灯台)。
1857年からここにあります。

日本ではペリー来航の直後、開国で大騒ぎだったころですね。

西海岸まで国土を広げたばかりの若い国アメリカが、さー次は太平洋だ!と、イケイケどんどんと海軍を送り出していた時代。ここは辺境ながらも国境の要所として設置したのでしょうね。
シアトルだってその頃はまだ、最初の入植者が来てから数年しかたってない、辺境の村でした。


灯台の隣には灯台守の住居だった可愛らしい家が。とても良く手入れが行き届いています。
灯台は毎日9時から5時まで開放されています。見学は無料。



灯台の入り口に一人、灯台の狭い階段を登った上の巨大レンズの横に一人、おじさんがいてニコニコと説明してくれました。
この人たちは 「ダンジネス灯台協会」のメンバーで、ここに1週間滞在しているのだそうです。

どこの国にもけっこう熱心な灯台フェチの方々がいらっしゃいます。
灯台は人を熱狂的に惹きつける何かを持っているようです。

このローカルな協会はファミリー会費50ドルで誰でも入会可。

そして、この灯台で1週間灯台守をして過ごす「Keeper Program(灯台守プログラム)」というのがあって、ひとり1週間350ドルで滞在できます。
この日いたおじさんたちも、このプログラムで滞在している週間灯台守なのでした。

6歳以上なら子ども連れも可。
この時には、60代くらいのご夫婦が二組とあともう一人の計5名で滞在しているのだといってました。

「ここに1週間、 ずっと一緒に顔を合わせてるんじゃ、ウマが合わないと辛いですね」
といったら、「いやー別に、好き勝手なところにいるし、それぞれ部屋は別だし、あんまり顔合わせっぱなしってわけでもないよ」と。

一人きりで灯台守ハウスを1週間借り切ることもでき、その場合は2100ドル/週だそうです。最大9名収容なので、家族で借り切ることも可。


灯台の上からの眺め。ここにいたおじさんも楽しそうでした。

1泊50ドルで1週間灯台守、いかがでしょう?
もちろんテレビもWiFiも多分ない(と思う)ものの、見学のお客さんにホラ話をしてあげたり、灯台のガラスを磨いたりして過ごすのもけっこう楽しいかもしれませんよ。

宿泊費を払う上に、灯台の階段の手すりを磨いたり、芝生を刈ったりという仕事もしなければなりませんが、リトリートだと思えば安いもの。

一生に一度は灯台守になってみたいという灯台フェチの方がお知り合いにいらしたら、ぜひ教えてあげてください。

 

灯台の下の部屋は、昔の家具やら以前に使われていた灯台のライトやらが飾ってあってミニ博物館になってます。


ここの砂浜に転がっている石たちは、長年荒波にさらされただけにとても綺麗です。コンブ(?)が根を張った石もみつかります。ダンジネスクラブの殻も。


帰りの9キロは向かい風。とてもとても長かった。行きよりずっと時間がかかって、約2時間半。

顔にびゅうびゅう強風を受け、これは何の修行だったっけと思いながら、ひたすら足元を見て黙々と歩く。

だんだんと頭がぐらんぐらんしてきて、そのうち無になります。無。


あっ、灯台守をするときは、この砂浜を9キロ歩くのではなくて、ボートで荷物と一緒に運んでくれるのだと思いますよ。たぶん。


にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

5 件のコメント:

  1. うわ〜。辺境の灯台守の世界観に引き込まれてしまいました。私、こういう旅大好きです。灯台守になる気はないけど、こういう大変な思いをしてまで無駄(?)な事を大切に温める精神にとても癒されます。うまく言えないけど。しかし、トモゾーさんは行動力ありますね〜。やっぱ、アメリカでは車の運転が出来ないとインディペンデントな人間として生活出来ないのでしょうか?私は、歩きと公共機関の乗り物の旅なら大好きですが、それだとネコなみの縄張り生活になってしまうんですよね。アメリカではホントに難しいですね。でも運転こわいのですよねぇ。日本で事故ってるし一方通行逆走したこともあるし第一、路肩駐車や車線変更が出来ないのですよ。だだっ広くどこまでも続くハイウェイならいけそうですが。

    返信削除
    返信
    1. Emiさん、ありがとうございます♪そうそう、壮大に大変な思いをしてまで無駄なことを温める精神、もちろん日本にもたくさんありますが、アメリカではスケールの大きいケースが目立ちますよね。土地が広いだけに。
      アメリカでも日本でも、ちょっと郊外に出て行くとクルマがないと不便ではないですか? 都市部だったら生活にまったく問題ないと思いますが。わたしも事故ったこともアメリカで中央分離帯を路肩と間違えて逆走しそうになったこともあります。無駄に道路が広すぎるんですもの。でも日本で運転してたならすぐ慣れるのでは?私も免許を取ったのは日本ですが、もう日本で運転するのは恐いです。

      削除
  2. ムム〜。昔々の話しですが、ロスに定期的に仕事で来てた頃、運転できるのが私だけだったので、毎回運転してたんですよね。キライすぎて首が極度に凝り、回らなくなってカイロに駆け込んだり、駐車出来ずに苦戦してたら、アメリカ人のオッさんが助けてくれて、君はとーってもデンジャラスなドライバーだ!周りの為にも、そして何より君自身の為にも、今後一切運転はしないべきだ!って言われまして、その数日後には、ダウンタウンの駐車場でベンツにぶつけてしまい、怒り狂った坊主(日本人の坊さんでありました)にベンショーダァ〜!!って怒鳴られて、ぶつけた部分を二人で見たら目の前でボッコリへっこんだ部分が元どおりになり、嘘みたいだけど傷も消えて。。でも、その旅の後もう次はないぞっていう啓示的ものがうちからこみ上げて、以来怖すぎて運転してないのですよ。
    不便と言ったら不便ですが、今まではなんとかなってきたので、避けてた話題です、でも自分の仕事の事を考えると、運転手出来ないの痛いのですよね。ちなみに日本では運転してないのですよ。ペーパードライバーってやつです。
    でもですよ、箱根は毎年1人で旅行してましたが公共機関の乗り物で充分だし、西伊豆も行ける!新幹線もあるし、日本では運転必要ない。。いや、奄美大島に行った時は運転手必要でしたな。これから、どーしようかなぁ〜。
    私、1人で9キロ海岸線歩くのは大丈夫というか、ちょっとワクワクですが、ちょっとそこまで9キロ運転して買い物とかメチャ恐怖です。

    やれやれ

    返信削除
  3. またまた失礼します。灯台守から、私の運転恐怖症まで話しを飛ばしてしまいました。この灯台守の記事、私の中でインパクトあったようで(壮大で無駄な事にロマンを感じるからか?)
    ちょっとしたチェーンリアクションがありまして、来週なんと免許取る事に。。前回運転したのは17年前のロサンゼルスであります。ずっと運転恐怖症はそのネガティヴなバイブが事故を引き起こすのではと思ってましたが、運転恐怖症克服のための15の方法(5の方法だったり10だったり要するに数多く指南あり)などを食い入るように読んだところ、運転に限ってはネガティヴな、事故起こっちゃうかもしれない、誰か飛び出すかもしれないっていうのは、とてもいい事らしいです。今頃気づくなって感じですですが、私は自分の中で何かストーンっと落ちないと絶対納得しない石頭なんですねぇ。。
    その石頭を片道9キロの荒行とお金払ってまで辺境の地で灯台守するロマンが叩き割ってくれました。とはいえ、やっぱり運転が怖すぎなのは変わらないので、来月都会に引っ越すまでに運転の練習しようと思います。

    返信削除
    返信
    1. Emiさん、こんな記事からのチェーンリアクションで免許をご取得に至るとは、なんだか光栄です。
      うんうん、>運転に限ってはネガティヴな、事故起こっちゃうかもしれない、誰か飛び出すかもしれないっていうのは、とてもいい事らしい
      これとても同感です! わたしも日本でペーパードライバーの期間が長くあったあと、ちょっといなかに引っ越して運転するようになったあと、すごくリアルに子どもをひいてしまった夢をみてうなされました。若い時は無謀運転で有名だったのですが、それ以降はかなり慎重になったと思います。アメリカは「自分は運転がうまい」と思っている人が7割を超えるとのことで、恐いですよね。お互い気をつけましょう〜〜! クルマは自由をもたらしてくれますが、走る凶器ですからねぇ。
      この夏日本に行く予定で、小旅行をいろいろ考えているんですが、やっぱり地方はクルマがないと不便だなあって実感です。山の中の温泉とかは、バスやタクシーじゃ一日がかりですもんね。

      削除