2015/08/03

ニューカマーズ


シアトルの設計事務所でインテリアデザインの仕事をしてるCTちゃんが面白いリンクを送ってくれました。


シアトル市のDepartment of Planning and Development (「都市開発計画課」かな?)がつい最近オープンしたサイト、Shaping Seattle: Buildings

上の図はそのキャプチャです。

この青いマルはすべて、開発中の物件。このサイト、すごく画期的で、良くできてると思います。

サイトに行ってマルをクリックすると、その物件の完成予想図や現在プロジェクトがどの段階にあるか(デザインレビューの提出、建設許可の交付、建築の完成まで)が閲覧でき、その建築プロジェクトに対してコメントを寄せたい場合にはサイト上で送信することもでき、説明会がある場合にはその日時も掲載されてます。

シアトルはとにかく最近ものすごい建築ブームで、建築許可が下りるまでとにかく大変時間がかかったりするらしいのだけど、その透明性を高めるために作られたインタラクティブなサイトです。


自分の近所にどんな建物が立つ計画があるのか、ひと目でわかる。

建築ブームで人口が急激に増えてると聞いてはいるけど、このマルの数を見ると改めてビックリします。

バラードのあたりにも新しい集合住宅が集中してるのが良くわかるけど、ダウンタウンにこれから建つ予定のビルディング数もすさまじいです。

シアトルは2014年には全米の都市で成長率ナンバーワン(2.8%)になったほど、急激に成長してます。
今年は2.3%で、テキサスのオースティン、コロラドのデンバーに続いて第3位だそうですが、人口年間1万5000人ずつ増えている。

2014年現在の人口は668,342人だそうです。

この勢いで増え続ければ、あと10年で人口80万人超え。

人口が増えるのは仕事があるということだし、高学歴高収入のニューカマーがやってくるのは税収が増えて自治体が活性化するので良いことではあるのだけど、土地は有限なので、何かしらが変わっていくのは必然です。

外から来たドットコムの若い高給取りたちのために物件の値段や家賃が高くなりすぎて古くからの住人がもう市内に住めなくなってきてる(私もいつまでいられるか…(´;ω;`))、という、サンフランシスコと同じ現象がシアトルにもじわじわと起きてきてます。

それに道路や電車などのインフラや、低中所得層の住宅も開発中ではあるけれど、成長率にまったく追いついていないので、道路が渋滞しまくってて、どこ行っても混んでるし、昔のシアトルじゃなくなってきた、と、以前からの住人からはよく文句が聞かれます。

サウスレイクユニオンを大開発中のアマゾンをまるごとタコマに移転させてほしいと思っている人も少なからずいると思われます。



うちのアパートの裏通りをはさんで向かいに築半世紀くらいたってそうな木造の庭つき一軒家があります。
以前はそこに小学生2人と幼稚園1人の3人兄弟がいるファミリーが住んでいて、毎朝8時になると誰かしらの絶叫が聞こえてきて時報代わりだったのですが、奥さんが政府関係の仕事でアフリカ某国に転勤になってしまい、家族ごと引っ越していきました。旦那さんは数年間は仕事をやめてアフリカでStay-home-dad (専業主夫)になるのだと言っていました。今頃あの子たちはアフリカでも元気に叫んでいるかしら、とときどき気になります。

で、そこのおうちに引っ越して来たのが、30代前半と思われるカップル、PさんとCちゃん。
この辺の家はマーケットに出すと速攻で売れます。ここも「FOR SALE」の看板が出てから2週間ほどでなくなっていたので、あー売れたな、あー誰か引っ越してきたな、あー改装してるな、と眺めていたら、ある日、この2人からの招待状がうちのドアにはさんでありました。


PさんとCちゃんが、引っ越しの挨拶にカジュアルなバーベキューパーティーを開いて近所中を招待してくれたのでした。


ワインを持って遊びにいったら、この界隈にもう半世紀近く住んでるという老夫婦から最近隣りのアパートに引っ越してきた若い弁護士さんまで、バラエティ豊かなご近所さんたちに会えて、とてもおもしろかった。

 
Pさんは中西部出身で、コンピュータサイエンスの博士号を取ってレドモンドのあの某巨大ソフトウェア企業におつとめ。学部時代にはアートとサイエンスを両方専攻したというルネサンスな人で、引っ越してきてから床板の張り替えからなにから自分でやっているという、日曜大工もパーフェクトな才人。
Cちゃんはカリフォルニア出身で、修士号を取ってソーシャルワーカーとして働き始めたばかり。ロースクールに行って弁護士になるつもりだったけど、人のためになる仕事はJDをとらなくてもできることに気づいて方針を替えたんだそうです。

シアトルは2人とも2年目で、とても気に入っているとのこと。

Pさんは「僕は引っ越しが大嫌いだから、もうここに住んだらあと25年は引っ越さないつもり」といってました。

この家、ほかにももちろん買い手がついていて、不動産デベロッパーが彼らよりもずっと高い値段をつけていたのだけど、売主がここに長く住んでくれる人に売りたい、といって、彼らを買い手に選んでくれたんだそうです。

まさに「new comers (ニューカマー、新しく来た人たち)」の典型みたいな2人。
町が同じ価値観や感覚をもつ人たちを惹きつけて、そのキャラクターがますます強化されていく、という図式の見本みたいなカップルです。

コミュニティは勝手にできるものではなくて、この2人を選んで家を売った売主や、こうやって近所を招いて良い関係を作ろうとする2人のような人たちの意志が、少しずつ作っていくものなんですね。


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4 件のコメント:

  1. こんにちは~また遊びに来ました。読者Sです。(匿名じゃなくするのはどこをクリックするのかわかりません。汗)私は五大湖の周辺に生息しているのですが、北米は氷河期にはいっているとかで、ここ数年、冬はマイナス30度を下るようなこともあり、アフリカンなDNAの夫は特に恐怖を感じていて(ここで生まれてるのですけど)どこかに引っ越したいって話してるんです。なんとなーくシアトルがいいなーって夢見てました。シアトルはストップオーバーで夜間にホテル泊まって夜の街を地元のお友達にドライブしてもらっただけなのですが、こちらのブログの写真をながめていたら、ますますあこがれてしまいます。でも、この記事読んで、現実に引き戻されちゃいました。建築ブームって中国の投資のせいでしょうか? 中西部の人口12万くらいの町でもIT関係の企業がやってくると、地元民が住めなくなるほど物件価格が上がり、うちの周辺もヒッピーな街だったのがヤッピーな街になりつつあり、なーんか個性死んじゃってつまんなくなってきました。お洒落なレストランや店はできても、街の空気がどうも自分はおもしろくありません。シアトルの未来はどうなんでしょう? でも自然が素敵でいいなーって思います。うちの市は街の一等地に低所得のハウジングプランがあって(ディベロッパーの懐が暖かくなる構造らしい)市民と市が戦ってますけど。アメリカはどこもこんな状態なんでしょうかねぇ。ディベロッパーよりこのご夫婦を選んだ家主さん、あっぱれ~ですね! 

    素敵なお写真でシアトルを夢見ていたので、現実的な記事が参考になりました。

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    1. Sさん、ありがとうございます。Bloggerの返信システム私もよくわかってないんですが、たぶん「記入者」の名前を選択するボックスがあってその中からいくつか(Googleプロフィールを使うか、匿名にするか、名前を記入するかETC)選べるようになってると思います。ほかのブログにくらべてスパムブロックが強力なのですけど、時にスパムじゃないのに書き込めないってこともあるみたいです。
      グレートレイクのへんなのですね。わたしはシカゴとミネアポリスには行ったことがあるのですが、どちらも魅力的な都市でした。ミネアポリスは住みやすそうだなと思いました。でも夏は暑いし冬は超寒なんですよね…。
      シアトルは食べものはおいしいし気候はマイルドだし人あたりも良く、街の個性も面白いし住みやすいのですが、物価がぐんぐん上昇中なのに加えて、近々巨大地震が来るそうです((((;゚Д゚))))…。
      ちょうどいま地震について書きかけたとこなんです。でも日本もだいたい条件は同じだし、どこにいても絶対安全な場所なんかないですよね……。

      建築ブームは中国マネーも入ってきてはいますが、バンクーバーとかベルビューほどではなく、シアトル市内はそれよりもアマゾンの本社が市内の真ん中に移転してきたり、全体に景気がよくて外から人が流入してるのが原因です。
      景気が良いところはだんだんとお金持ちタウンになってしまうのは全米どこも同じなんでしょうね。シアトルは最低賃金を引き上げたのに続いて、家賃のコントロールも議題にのぼってますけど、どうなることか…。

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  2. 読者Sです。(また匿名クリックしてしまいました・・・) なるほど~そちらはアマゾンですか。景気がよくなるっていっても世界のドルの地位は下降するばかりで大丈夫なのかって心配です。ドル崩壊は現実的な気が・・・。なんか公開メッセージなので謎めいた書き方になって申し訳ありません。(メッセージ書くだけでも見知らぬ方の目にふれるかと思ったら緊張しちゃう小心者なんです。)世界のニュースにもなってしまった、破綻した都市ありますよね、あそこの近郊に住んでます。といえば有名な産業ありますが、夫はエンジニアなので仕事はここにあるんです。シアトルに仕事ありますでしょうか? 日々の暮らしが断然そちらの方が楽しそうにみえます!ここは夏は涼しくて避暑地みたいで冬の寒さ以外は災害もなくていいんですけど。

    コミュニティは人々の意志でつくっていくもの・・Tomozoさんの言葉に、個人の生活にも当てはまるのかもしれないなって考えるヒントを頂きました。住んでいる場所がつまらなくて憂鬱になっていたのですが、どこに住んでいても自分で楽しく暮らせるように暮らしは自分でつくっていくものかもしれませんね。

    私は自分ではブログやりませんが、人様のブログを放浪していて、自分の脳の中で起きていることを誰かが書いてくださっているのをみつけると、旅先で知り合いにばったり会ったみたいに、うれしくなります。Tomozoさんのエッセイに私のツボをくすぐられ、休憩と仕事が逆転してます。(笑)

    過去記事でシアトルの舞踏家集団のことを読み、そのリンクで私の知らない世界を旅することができました!Tomozoさんが下訳をなさったという御本といっしょにニューオリンズにも行ったし~ 感謝です。本当に楽しいブログですね~

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    1. Sさんこんにちは/こんばんは! 
      破綻した都市…あの、中心街の一軒家が8000ドルで買えるという噂の?!友人の旦那さんがそこの出身で、いろいろと話を聞きます。でもこの間観たアンソニー・ボーディンの『No Reservation』(だったかな?)では、地元を盛り上げようとしている自転車部隊の話やめちゃくちゃおいしそうなバーベキューがでてきて、感動的でした。

      過去記事まで読んでくださってありがとうございます。今日、また舞踏家の写真を撮ってきました。早く写真を整理してアップしなくちゃ。
      もっとさくさくと書けるといいのですけど、何事もとろいので更新があまり追い付きません。こんな呑気なブログですが、よろしければまた遊びにいらしてくださいませー。

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