2012/09/13

Crazy Horse, Wind Cave, Black Hills



ラシュモア山のすぐ先に、「クレイジーホース・メモリアル」というのがあります。

前回書きましたが、この一帯、ブラックヒルズと呼ばれる地域はラコタ・スー族はじめ様々なインディアン部族の大切な土地だったため、そこに白人の大統領の顔が彫られて毎年何百万人もの観光客が来ているのに、もともと住んでいた部族のことは知られていない、「私たちにもヒーローはいる」ことを示したい、だから偉大な酋長クレイジーホース(Tashunca-uitco)の像を作ろう、と、ラコタの長老たちが彫刻家に声をかけたのが、1942年。

それに応じた彫刻家Korczak Ziolkowski氏が家族を連れてここに住みついて、1948年に作業を始め、80年代に亡くなって、事業は彫刻家の7人の子どもたちと未亡人が引き継いで、やっと顔の部分ができたのが、1998年。

顔完成までに50年。

拡大図

まだ先は長い。完成するとこんな形になるそうです。

構想は壮大で、この麓にインディアンのためのメディカルセンターや大学の分校をおいて、一大カルチャー村を建設し、その上にクレイジーホースがそびえたつ光景が、いつの日か実現する、かも。

現在あるのは、巨大なビジターセンターと、立派なお土産やさん。広々したビジターセンターにはこの壮大な構想の模型のほかに、インディアンのアートやティピも並べてある。そして彫刻家未亡人がプロジェクトについて語る20分くらいの映画を見せる、かなり立派な映画館。

ビジターセンターへの入場料は1人10ドルの「寄付」で、プロジェクトのために使われるという話。

映画の中で、彫刻家未亡人が、連邦政府からの何億ドルだかの援助金は断ったのだと言ってました。あくまで独立したプロジェクトにするために。 そのかわり、地元のお金持ちが何百万ドルも寄付しているそうです。

この一家がこのメモリアルにすべてをつぎ込んでいるのはよく分かるけれど、じゃあ結局ファミリービジネスなのね? という印象は拭いきれませんでした。 
連邦の資金を入れて、外部からもっとプロジェクト・マネージメントのプロを入れれば、もっとさくさく進むんじゃ…? そりゃ大事業にしても、いくらなんでも半世紀って、かかりすぎでしょ。ラシュモア山の彫像は14年で出来たそうですよ。ていうかもともと、スー族の人たちのためのプロジェクトであって彫刻家のじゃないでしょ?  

…と思っていたら、クレイジーホースの子孫が「私たちには何の相談もなかった。山を崩してこんな像なんか作るべきじゃない」と言ってたりもするのでした。ラコタ・スー族の中でも意見が分かれているのか。さもありなん。

なんだかいまいち釈然としないメモリアルでした。



そしてブラックヒルズの南端あたりにある、Wind Caveへ。

ここは地下に広がっている広大な洞窟です。
時々、外の気圧が下がると、あちこちに開いている小さな開口部からそよそよと空気が出て来てくるので「風の洞窟」と呼ばれている。

気圧の変化に合わせて、呼吸するように、風を吸い込んだり吐き出したりする洞窟。
全部で1万3000ヘクタール以上の広さがあるけれど、まだ調査が完了しているのはほんの1パーセントなのだとか。

ラコタ・スー族には、この洞窟からバッファローや人間が生じたという伝説があるそうです。

ここも国立公園で、一日何度かのツアーでだけ、地下の洞窟を歩くことができます。案内してくれたパークレンジャーは元気な若い女の子で、1時間以上のツアーの間、ずーーっとしゃべりっぱなしでした。本当に洞窟が大好きみたいで、ツアーをやらない日には洞窟の奥のほうの調査探検に参加して、狭くて暗い、誰も行ったことのない迷路の奥に入り込むのが楽しくてたまらないようでした。

日本の鍾乳洞と違ってほとんど地下水がないのでとても乾いた洞窟で、生き物も特殊なバクテリアなどのほかほとんどいない、不思議空間です。


 外にはこの生き物がたくさんいました。Wind Cave の入口にもDevils Towerにも、プレイリードッグの「タウン」が。むかしはメキシコからカナダまで、西部の平原にはどこでもいたそうですが、いまでは主に国立公園の中が居住区です。


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