2015/11/11

出来心の中身


角田光代さんの『八日目の蝉』を読みました。先日長芋を買いにウワジマヤに行ったついでに紀伊国屋書店に行ったら出来心でふらっと買ってしまい、仕事が暇な日に読み始めたら途中で止められず一気に読んでしまった。
宿題あったのに。積ん読本の山もあったのに。

去年友人が送ってくれた『紙の月』も良かった。こちらは大金を横領して若い男に貢いでしまう女性の話。

『八日目の蝉』は、赤ちゃんを盗んで逃亡生活を続ける女の話。後半の短い章は、その盗まれて育てられた娘の、成人後の話。

 舞台の一つになる小豆島が素敵。瀬戸内のとろりとした海と緑の濃い丸い山、お醤油の匂いのする島。行ってみたい。

去年の夏に急ぎ足で通りぬけた瀬戸内海ののんびりした空気を思い出したので、写真は尾道です。

どちらの小説の主人公も、ふらりと、出来心で、自分で考えてもいなかった大きな犯罪に手を染めてしまう。そして間違った方向に全力で流されていきながら、後戻りができなくなってしまう。
どちらの女性もとても愛情深く、惜しみなく愛情を注ぎたいという衝動に動かされるままに、どんどん遠くへ行ってしまう。

弱くて愚かだと決めてしまうのは簡単だけれど、間違ったことをしていながら正せないその弱さには覚えがある。

出来心というのはどういう心なんだろうか。と、その出来心の内訳を丁寧に淡々と描いたお話でした。


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2 件のコメント:

  1. 感情感多い人間模様の小説。途中で止められず一気に読んでしまったとは、心を小説に奪われたTomozoさん。良いですね!丁度読書の秋でもあります。小説に心を奪われて一睡もせず、現実と小説の世界の区別が付かなくなった経験あり。今は食欲の秋になっています。。。

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    1. Mayさん、ほんとに、待っている本が山とあるのに、ふと本屋さんで呼び止められた本に心を惹かれて手放せないことってあります。小説もその他の本も、「読みどき」というのがあるようです。
      Mayさんが寝食を忘れたのってどんな世界なんでしょう。何日も耽溺したいですね。

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