2012/02/25

『ヘルプ 心がつなぐストーリー』出版されました


もうひとつ、心待ちにしていた嬉しい本がとどきました。

『ヘルプ 心がつなぐストーリー』(集英社文庫)。
原作はキャスリン・ストケットさんのベストセラー『The Help』です。(原作は一巻なのですが、日本語版は長大なため、上下巻になりました)

翻訳者の栗原百代さんのお手伝いで、この本の下訳を半分担当させて頂くという光栄にあずかりました。

昨年後半の数ヶ月、お天気つづきの週末もこもりきりで作業にかかったのでしたが、本当に楽しいお仕事でした!

舞台は1960年代後半のミシシッピ州ジャクソン、公民権運動がピークを迎えるまさにその頃。
語り手は3人の女性たち。大学を出たばかりの白人娘、ユージニアと、長年白人家庭のメイド「ヘルプ」として勤めてきたエイビリーン、そして 、その親友で毒舌家のミニー。

この3人が、白人と黒人が同じ場所に座ることさえ許されていない社会にあって(ほんの1世代前のことなのですが!)、白人家庭に仕える黒人メイドたちの本音を綴る本を出すという、弱い立場の女にとっては恐ろしく大それた危険な事業を成し遂げていくお話です。

カラフルな登場人物たちによるストーリーには、くすくす笑えるところ、爆笑してしまうところ、号泣してしまうところがいっぱいで、何度読み返しても同じ箇所でぼろぼろ泣いては、主人公たちのパワーに触発されて、たちまち元気になれます。

重いテーマを扱っているのにエンターテイメント性たっぷりで、あっという間に読めてしまいます。
ぜひぜひ、お手にとってみてくださいませ。 
  
映画はアメリカでは今年初秋に公開されてヒットし、日本では3月末から公開です。
アカデミー作品賞のほか、主演&助演の女優賞に3人がノミネートされています。

エイビリーン役のヴィオラ・デイヴィスは、言葉よりも雄弁で強い視線がぐさっとくる、素晴らしい演技でした。ミニー役のオクタヴィア・スペンサーは、作者が彼女を念頭においてミニーを書いたというだけあって、そのものずばり。映画の登場シーンから笑っちゃうほどの迫力でした。

ミニーと不可思議な友情を結ぶ、ホワイトトラッシュ出身のシーリアも、多くの読者から愛されている 忘れられないキャラクター。シーリアを演じたジェシカ・チャスティンも助演賞にノミネートされています。
 
明日のアカデミー賞発表が楽しみです!!

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

16 件のコメント:

  1. 朋子さん そんなことをやっとるだね。
    すごいねえ。
    早速 買うよ。お話の全体聞いただけでも 疲れたおばさんには いい刺激になりそうだよ。

    がんばっとるね。

    返信削除
    返信
    1. りょんさん、ありがとうございます。
      これは本当にラッキーな展開だったのです。
      ぜひぜひ読んでみてくださいね。映画もお奨めですよ~!

      削除
  2. 読んでみたい本でした!
    翻訳にかかわられたんですね~、すごい!!
    映画も観てみたいんですけど、本も読んでみたいです。
    英語版で読むつもりだったんですけど、それじゃあ日本語のを読もうかしら・・・?ナンテ!
    楽しみデス。

    返信削除
    返信
    1. オレンジ猫さん、この映画はほんとに2時間の短い中に、原作のエッセンスを凝縮した優秀作品だと思います。女優さんがみんな良いです。
      英語版の、黒人メイドの独特の語り口を日本語にするのには紆余曲折さまざまなディスカッションがありましたが、日本語版では読みやすさを重視してやっぱり「薄め」になっていますので、原作と比べてみてくださっても面白いかと思います!
      黒人英語を日本語にするのは、大阪弁を英語にできないのと同じで、不可能に近いですし、読み手によっても登場人物の「声」は少しずつ違うのですよね。
      映画の冒頭はエイビリーンの語りで始まるのですが、原作どおりの「声」で、もうそれを聞いたとたんに涙が出てきてしまいました。ヴィオラ・デイヴィス、すごいです。

      削除
  3. 映画観ましたよ。そしてTomozoさんがこの本の翻訳に関わっていただなんて!
    ヘルプが日本で公開されたら、おそらくいくつかの上映映画館で「ブラック・カルチャー観察日記」も販売される予定なんです。なんかご縁ですねえ。
    だから映画も日本でヒットするといいなあ。。。と思って。
    明日のオスカーが楽しみですね。今までとは違った、話は深いけれど穏やかに描いた黒人の歴史紹介もの。こういうのがあってもいいな、とずっと思っていました。
    そうそう、「ブラック・カルチャー。。。」にも書いたCriscoのショートニング、この映画でフライドチキン作るシーンにも出てきます(笑)要チョック♪ そういうのは小説には書かれてないのかな?あれは映画の演出だろうね。

    返信削除
    返信
    1. ええー!映画館に『ブラックカルチャー観察日記』が並ぶなんて、すごく嬉しい♪
      きっとこの本と並んで販売されますね!! 
      しかもブラックカルチャー月間(2月)にっていうのが、うれしい縁ですねえ! 
      ほんとにこの映画はヒットしてほしいと思います。
      Crisco、小説にもたくさん出てきますよ~~! 映画のほうでは触れられてなかったけれど、エイビリーンと息子の会話の中で、「クリスコ」が重要なキーワードになっているんです。あと、ミニーが壊滅的に料理下手のシーリアにお料理レッスンをする箇所でも、クリスコは何にでも使える魔法の油みたいなことを言ってますw。赤ちゃんのおむつかぶれのお尻に塗ったり、値段のシールをはがすのに使ったり、停電のときにろうそく代わりにしたり、なおかつフライドチキンもできるって(笑)。
      演出はそういう、映画のストーリーに入りきれなかった細部も、とても上手に映像に取り込んでいました。

      削除
  4. そんなすごい翻訳も手がけるようになっていたとは・・・。
    おめでとう!本、絶対に買うぞ。(日本から取り寄せたい本だらけ。)
    アカデミーも気になるね。映画観ていないのにすでにファン。笑
    オスカー取って欲しいなー。

    返信削除
    返信
    1. Motokoちゃん、ありがとう~。ぜひご親戚一同にも買ってあげてください(笑) 
      映画も見るべし見るべし! 
      シスター二人はほんとに見ごたえありました! 『カラーパープル』のソフィア/オプラ以来の迫力かもw

      削除
  5. Tomozoさん、宣伝ありがとうございます! その節はほんとうにおつかれさまでした~。この本の魅力がひとりでも多くの日本語読者のかたに届くよう願ってやみません。アカデミーに念、念、念。

    金曜日にあった大きな締め切りをクリアしたので、自分ごほうびに他の本といっしょに『ブラックカルチャー観察日記』を買いました。お友だちの御本だったんですね♪

    返信削除
    返信
    1. Chrisさん、念送り中です!w
      ほんとにお疲れ様でした&ありがとうございました。
      超人的お仕事の一端をかいまみせていただき、良い経験になりました。

      ここでも『ブラックカルチャー観察日記』がつながりました~!素敵な縁に感謝です。

      削除
  6. Tomozoさんのお仕事の一端がうかがえる本なんですね!今、丁度、この映画のDVDレンタルが届くのを待っているところでした!日本語で読んでみたいです~。gigiさんの御本も本当に素敵で(ハンドルネームの読み方同じだし・・・。笑。)、色々また日本から取り寄せちゃいそうです(>_<)

    返信削除
    返信
    1. わたしの担当はほんとに小さなものですけれど、この本のガールズたちの声を日本の読者に届けられるお手伝いが出来たのはとっても嬉しいです。
      そうそう、ZIZIさんとgigiさん、わたしもコメント書きながらいつもお二人を一緒に思い浮かべてしまうのですw

      削除
  7. tomozoさん、なんとすばらしい翻訳のお仕事をされていたのでしょう!
    お疲れさまでした。
    すごいすごい!さすがです。ほんと、うれしい!
    本も映画も楽しませていただくことができるのですね。
    読むぞ、観るぞ!と高まっております。
    評価が高い作品で、わくわくします。
    アカデミー賞=tomozoさんがいっしょになりました、とれるといいな。
    ziziさん、読み方いっしょですね!

    返信削除
    返信
    1. 本当にこれは幸運に恵まれて頂いたお仕事でした。楽しかったです〜。
      アカデミー賞、主演女優賞は本当に残念でした!あの緑のドレスと、誇り高い自前の髪で舞台に立ってほしかった! 
      でも「ミニー」オクタヴィアが助演賞とれて、よかったです。映画はまだもうちょっと先の公開ですが、どうぞお楽しみくださいませ♪ ほんとに笑っちゃいますよ、ミニー♪

      削除
  8. うわぁーー!素晴らしいねぇー!こんなママがいて息子くんは幸せだねぇ。手に取って読みたいなぁ。DVDをネットフレックスで待ってるんだけど、去年からぜーーーんぜん届かないんだよねぇ。思い切って購入しちゃおうかなぁ。本当におめでとう!

    返信削除
    返信
    1. Tomoちゃん、ありがとう。いえ、下訳ですからそんなにたいした仕事ではないのですよ。仕上げてくださった翻訳者の方の緻密なお仕事が、ほんとにすごいなあと思いましたです。 
      Netflixでも人気なのねー。買っちゃっても後悔しないと思いますよーん。

      削除