2012/02/28

Concussionは「脳しんとう」?


昨日の日曜日のトーナメント決勝戦で、サッカークラブのシーズンが終わりました。
(息子のチームは決勝戦で負けてトーナメント準優勝でしたが、良いシーズンでした)
来週からは高校のほうのサッカーシーズンが始まります。

アメリカの学校のスポーツはシーズン制で、シアトルの公立校の男子スポーツだと、フットボールは秋(9月〜11月)、バスケットボールと水泳は冬(12月〜2月)、サッカー、野球、ラクロス、陸上は春(3月〜5月)です。

クラブでも学校でも、サッカーなどのコンタクトスポーツに参加する時に必ず書かされるのが「Athletic Concussion Information Form」。

Concussion が起きた場合の症状や対処法などの情報が列記してあり、本人も親も読んで理解しましたという署名をしないと、そのスポーツに参加する許可が出ません。

Concussion は辞書の訳語では「脳しんとう」と載っていますが、日本とは少し定義が違うようです。

AAFP(アメリカ家庭医学協会)のサイトではConcussion を「Mild traumatic brain injury」と定義して、3レベルに分けるガイドラインをいくつか紹介しています。
学会によって微妙に違うのですが、米国神経学会のガイドラインでは以下のとおり。

レベル1:意識喪失も意識の混濁もなし。頭痛など何らかの症状があるが、15分以内でおさまる場合。
レベル2:意識喪失はなし。記憶障害など意識の混濁があり、症状が15分以上続く。
レベル3:長さに関わらず意識喪失があった場合。重度のconcussionとみなされます。

「頭をぶつけて、少し痛いかも?」という程度のレベル1concussion は、日本では「脳しんとう」とはいいませんよね。

 

ワシントン州では、2009年に『Zackery Lystedt法』が可決されました。

この法律はワシントン州のスポーツ少年だった Zackery Lystedt君の名前を冠したもの。Zackery君は2006年、中学のアメフトの試合中に頭を強打したあと、少し休んで試合に戻り、その試合中に急に意識を失って倒れて病院に運ばれました。緊急手術を受けたものの脳機能は完全には戻らず、現在も全身が麻痺したままです。

頭を打ったあとすぐに試合に戻らなければ息子はこんな障害を負うことはなかっただろうと知ったZackery君のご両親が、二度と同じことが起きないようにと州議会に働きかけて制定されたのがこの法律。ニュースクリップはこちら

制定されたのは、ちょうどうちの息子が高校に入学した年でした。

この法律によって、クラブサッカーでも高校サッカーでも、試合中にconcussion が起こった場合には、その選手はすぐにプレーを中断して医療専門家の診断を受け、concussionによると思われる症状が完全になくなってから1週間(軽度の場合)は、試合にも練習にも出てはいけないことになりました。

そしてうちの息子、 か な ら ず 毎年1回は、頭を強打しちゃうのです。
新入生のときにはアメフトの試合でひっくり返り、数週間欠場。
去年は高校のサッカーのシーズン最後の試合の前にほかの選手と頭をぶつけ、重要な決勝に出場できず。



そして今回も、準決勝の試合でスライドタックルされて↑、この後に思いっきり後頭部を人工芝のグラウンドに打ちつけ、決勝には出場できませんでした。

大事な試合に出られないのがものすごく辛いようで、去年は悔し涙を流していましたが、脳みそには替えられないので、しかたありません。


いずれも意識を失ったりはしない「レベル1」のconcussionですが、昨日は試合後、シーズン打ち上げのチームパーティで、あちこちのお父さんお母さんから、小さな衝撃でも何度か続くと怖いから、ちゃんと検査を受けたほうが良い、と忠告されました。しかもパーティをホストしてくれた家のお父さんが脳腫瘍の専門医だったので、ものすごーーく説得力あり(汗)。



チームメイトの中にも、今シーズン中concussion で欠場した子が何人もいました。試合中にほかの選手と衝突して数分間意識を失い、夕食後もしばらく言動がヘンで、数日間記憶障害があったという 「レベル3」を被った子も。

頭の中の怪我というのは外からでは診断が非常に難しいし、本人にも自覚症状があるとは限らないので、こういうガイドラインが出来たのは喜ばしいことです。


にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

0 件のコメント:

コメントを投稿