2018/05/06

ブラウンシュガーの救い主


だいぶ前にキッチン雑貨店Sur la Tableでみつけて買った、
「The Brown Sugar Saver」。

ザ・ブラウンシュガー・セイバーです。
ザ・救い主。

「岩のように固くなったブラウンシュガーを柔らかくします」

と書いてありました。

たんに4センチくらいの素焼きの板なんですけどね。

ほんとかよ。と思い、試しに買ってみた。5ドルなり。

使い方は簡単。15分間水につけておき、それからカチカチになったブラウンシュガーの袋なり容器のなかに入れておくだけです。

でまじびっくり。一晩で、ほんとにカッチカチでなんなら凶器にもなりそうだったブラウンシュガーのカタマリが、もとの柔らかなしっとりサラサラな砂糖の姿に戻っていた!

すごい、ザ・救い主!

小学校の理科の実験みたいで楽しいです。

このためにブラウンシュガーをわざわざカチカチにしたくなるくらい。

おひさまの顔のデザインも素朴でかわいい。
メイド・イン・カナダです(カルガリー製って書いてある)。

戸棚にカチカチになっちゃったお砂糖がある方はぜひ試してみてね! 
お砂糖ボーンアゲインのプロセスをまのあたりにして感動できますよ!

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2018/05/05

羽根を持つヘビを見なかったこと


わー5月ですね! 日本は連休なんですねー。

シアトルも真夏のようになったり、少し寒くなったりしながら順調に初夏に向かってます。


ねこシッター任務も無事完了。

そして中間試験も完了 。



試験のことは聞かないでくれー。にょーん。

予想以上に難しかった―。時間を切られるとぱにくるー。
50分で40問。そして大教室で子どもたちに混じっての受験です。
今回は「A」の範囲は取れませんでしたー。やっぱり悔しいなー。
オンラインの予備試験は楽勝だったんだけど。



でもまあいいや。

建築鑑賞のほうは北米のインディジェナス建築&中南米の建築で、マヤ、アステカなどにまざってテオティワカンがでてきて懐かしかった!

あの恐い月のピラミッドに朝一人で行けたことは幸運だったなあ、と感慨にふける。

ぜんぜん存在すら知らなかったしメキシコそのものに特別に興味すらなかったのに、ふと仕事で行くことになり、なぜかぽっと時間がうまいこと空いて、一人で早朝にピラミッドに登る羽目になるとは。

なんか今考えてもRPGみたいな、不思議なめぐり合わせの冒険でした。

そのあとひどい目に遭ったんだけど、それも含めてなんだか不思議な体験だった。

そしてあの遺跡の半分を見なかったことをちょっと後悔しているのだった。

彫刻がいっぱいついた「羽根を持つヘビの神殿」があの太陽のピラミッドの先にあったことを、今回の講義ではじめて知った!


 こんなの! ネバーエンディング・ストーリーにでてくるみたいな!
 見たかったなー!

なぜか、月のピラミッドと太陽のピラミッドに登ったところで「はいこれで任務完了」と思っちゃったんだよね。時間もなかったんだけど。

だいたいいつも旅行に行く時ってそうなんだけど、ほぼなにも知らずに行って、帰ってきてから「そうだったんだ!」と驚くことがたくさんある。

なので驚き要素が多いのは楽しいのだけど、このようにあとから悔やまれることもときどきある。

「2時間くらいあれば充分ですよ」という人の話を鵜呑みにするんじゃなかった。
全部じっくり見ようと思ったら、半日は欲しい感じです。土産物屋さんのおばちゃんたちと話すのもけっこう楽しいし。

まあ何をするにも時間がかかるタイプなんですね。試験も読書も、仕事もね。

また行く機会があるかなあ。メキシコシティにはまた行ってみたいなあ。メキシコシティの建築もいろいろ面白かったし。



ねこパパのピャットさんに虎屋ミニ羊羹をおみやげにいただいた! 
京都限定黒豆きな粉バージョンもあり! わーい。幸せとは羊羹なり。

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2018/04/27

負の遺産と癒やし



きのう(4月26日)、アラバマ州のモンゴメリーに新しいモニュメントがオープンしたそうです。

これは、南北戦争後、19世紀の半ばから20世紀のはじめにかけて南部で日常的に行われていた黒人へのリンチを記憶するためのメモリアル。

人権活動家で弁護士のブライアン・スティーブンソンさん(無実の死刑囚を100人も釈放するのに成功した人だそうです)が主宰するNGO「EJI」の弁護士たちが、南部各地の地元の図書館で文献にあたって4000件以上のリンチ事件を確認して記録にし、それをもとに作ったもの。

リンチ事件のあった各カウンティ(行政地区)ごとにひとつずつ、墓石のようなモニュメントを作成し、犠牲者の名前と日付を彫り、天井から鉄の棒で吊るしている。

メモリアルに入るとそれが目の高さにあるのだけど、先に進むにつれ、床がだんだんと低くなっていき、やがてモニュメントを頭上に見上げるようになる。ちょうど、リンチされた遺体が吊るされていたのを見上げるように。


オプラ・ウィンフリーさんがモニュメントを尋ねてスティーブンソンさんにインタビューした『60ミニッツ』の一部がウェブで観られます。

15分くらいのビデオなので、ぜひぜひぜひ観てほしいです。

後半に、凄惨な写真がでてきます。
木の枝や広場で吊るされている死体と、それを取り囲んでいる白人の大群衆の写真。

黒焦げになった黒人の死体の前で微笑んでいる白人の男の子たち。子どもたちも。

こういうリンチ場面は、夜中にひっそり行われたものばかりではなく、むしろ何千人もの人々が見守る真ん中で行われた。

中世の公開処刑や魔女裁判と同じような、みんなが見に行く町の大イベントだった。

ほんの100年もたっていない時代の話です。この当事者たちや家族がまだ生き残っている。

そしてなんとこういう場面を記録した記念写真が絵葉書として流通していたのだそうです。
…この事実は以前アメリカ史の授業を取ったときに知って愕然としたのだけど、アメリカ人でもあまり知っている人は少ない。

吊るされた黒焦げ死体の前の記念写真は絵葉書として、
「昨夜こんなバーベキューしたんだぜ♪」
という文章とともに送られたそうです。

『60ミニッツ』のディレクターもこういった写真を番組で公開することには躊躇したそうですが、やはりスティーブンソンさんが言うように、忘れたふりをしたり、なかったことにしたりすることでは決して傷は癒せない、直視することでしか社会は過去を乗り超えられないのだ、という意見です。

これがこの記念館の意義であって、スティーブンソンさんも
「アメリカを罰したいのではなく、解放したい」
といっています。

過去と現在の問題を直視することが、黒人だけではなく白人の当事者にとっても、国全体の癒やしの始まりとなるはずだ、というのが彼の主張。

未解決の大きな問題があるときに取る最悪の態度は、それをないものとして扱ったり避けて暮らすこと。
でもアメリカという国は、それを100年以上も避けてきた。

ここでようやく、アパルトヘイトやホロコーストの記念館にインスパイアされて、この記念館が出来た。

場所は、アラバマ州モンゴメリーという、公民権運動のもっとも激しい前線のひとつだった場所の丘の上。

かつて奴隷貿易の港があった川と、公民権運動のさなかに州知事が「隔離政策は永遠だ」と演説した州庁舎を見下ろす場所。

ここでは、奴隷貿易から、黒人男性の多くが(多くが無意味に、驚くほど偏った割合で)刑務所に収容されている現在までをひとつながりの歴史として展示しています。

リンチがあった現場の土が、ボランティアや親族の手で集められビンに詰められて、館内に展示されています。

遺物を見るのではなく、歴史を目で見て感じられるかたちにした記念館。

きっと、こういった展示にハラワタが煮えくり返るほど怒りを感じる人も、これはみんなフェイクニュースだ、捏造だと言い出す人も、無意味だと言い出す人もいると思う。

でもこういう淡々としていながらものすごく強い、そして冷静な癒やしへの意思があることそのものに、本当に救いを感じます。

ニューヨーク・タイムズのウェブ版にも昨日、長い記事が出てました。

この記念館はかたちが変わっていくというところもいいなと思います。

吊るされたモニュメントと同じ数のモニュメントが屋外に並べられ、それらは、各カウンティから要請があり条件が整えば、それぞれの地元に設置されていくというのです。

私がいま取ってるクラス(Appreciation of Architecture)の講師の先生が今週このメモリアルのオープニングに招待されたとのことで、今週はインドの建築を勉強するはずが、急遽カリキュラムが変わってこのメモリアルのビデオを見ることになったんでした。

それから、このメモリアルの設計を手掛けた建築家マイケル・マーフィー(イケメン)のTEDトークもすごくよいです。

こちらは日本語字幕付き。 念のため繰り返しますが、イケメンです。頭も顔もよくてコミュニティ活動家で才能ある建築家。こんな人が実在するのか!

ウガンダの虐殺があった場所に、地元の素材を使い、地元の人々の手でコミュニティを癒やすための病院を建てた話にも、打ちのめされた。

意思をもって淡々と行うところに癒やしはほんとうに実現するし変革は可能なのだと、この人たちは証明してみせてくれてます。

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2018/04/25

わかりあえない犬が島!



『犬が島』観に行ってきましたよー。

おもしろかった。

見に行く前の日に、LAの恐るべきヒーラー、みぽりん隊長がニューヨーカー誌のコラムのリンクを送ってくれた。

フジイさんという日本人のライターさんが書いた、 「ウェス・アンダーソンの『犬が島』が日本を正しく描いているところ」という記事。

「この映画は、ユニバーサルな言語としての英語の立場を突き崩そうとするものだ」というような主張なのだけど、そ、そうかなあ?

there is no such thing as “true” translation. Everything is interpreted. Translation is malleable and implicated, always, by systems of power.
「『本当の』翻訳などというものはない。すべて、「翻案」されているのだ。翻訳されたものは、いつもかならず、力を持つシステムの影響下にあり、その意思を含んだものなのだ」

…うん、そ、それはそうだとは思うが、しかし。
この映画に関して、監督はそこまで正面切って言語の役割を扱ってはいない気がするな。

とくに英語の、国際世界における役割とかは。
ふつうに英語人に親切だったし。

たしかにこの映画は、英語しかわからない人と日本語しかわからない人と、英語と日本語の両方がわかる人とでは、かなり受け取る情報が違うとは思う。

でも、それはウェス・アンダーソンが国際世界における英語の覇権に疑問を投げかけたかったからではなくて、もうすこしざっくりした目的のためではないかと思うんだけどな。

それは何かというと、たぶん、世界再構築の野望だと思う。

私は実はウェス・アンダーソンさんの大ファンではない。ハッキリいってよくわからないのだ。

彼のギャグがあんまり面白いと思えない。笑えない。
たぶん私の映画的教養が低いせいだと思う。

でも映画そのものは、途中ですこし退屈しながらも、全体は面白いなあと思い、いいとこに連れてってもらったなあと思って映画館を出て来る。

まるで意味のわからない豪華な建物がたくさん並んでいる町へバス旅行に連れてってもらったような、そんな感じで帰ってくる。

たぶんウェス・アンダーソンさんの映画が好きな人は、彼の世界再構築の方法とその緻密さがツボでたまらないのだと思う。笑いのツボもきっと似てるのだ。

もちろん彼の再構築したその世界は現実の世界とはまったく違う。

メガ崎市はぜんぜん日本ではない。
謎の昭和30年代風スチームパンクな別次元の日本だ。
でも偏執的なまでに細かくリアルに作り込んでいるから、存在感があり迫力がある。

その世界は色も質感も、美意識だけで無理矢理に統一されている。

この無理矢理感が、お好きな方にはたまらない感触なんだろうなあ、と思う。
 
ウェス・アンダーソンにとって、「言語の覇権」とかはバックグラウンドの問題にすぎないのだと思う。

言語はカルチャーだし、カルチャーにはわかりあえない部分が必ずある。

そしてどんなカルチャーにも悪の勢力はあるし、他人をふみつけにしてのさばりたい希望をもつ人がいる。そのような希望と実力を持った独裁者と、ふみつけにされて困っちゃってる人たちや犬たち、そしてその闘争をアンダーソンさんはドライにコミカルに描いている。

生きる場所が違うなら分かり合えないのはきっと当たり前なのだ。

この映画でも犬たちと人間たちは決してわかりあえないし話は通じてないしお互いに誤解したままだ。でもお互いを大切に思っている。


わたしはむしろ、英語と日本語の言語としての立場うんぬんというよりも、言語も含めて、違うカルチャー(犬含め)の分かり合えなさの描き方がすごくリアルで、おかしいけど愛があってステキだと思った。

言語で分かり合える事柄というのは実はとても限られている。私たちはそのことをよく忘れてしまうけど。

とはいえ言語は世界の基本でもあるんだよね。そんなことも実感できるほど、よく作り込まれた映画でした。


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2018/04/24

田舎の思ひ出


デジクリに書いた「田舎」の原稿を、ひさびさにぽんず単語帳にアップしました。

RURALの写真、そういえばあるあるある。

と、国内旅行の写真を探してみた。2012年かな?6年前かー!


この藁ロールと大草原が見たくて、シアトルからサウスダコタ州まで、息子と二人で車で行ったのでした。

面白かったなー。プレイリードッグたちにも会えたし。また行きたいーーーー。

あの頃は息子もまだ可愛げのある高校生だったし、うちのアクセラちゃん(Mazda3)もまだ若かった。
(自分だけは年とった気がしてない。)

ハワイから一緒で、太平洋からイエローストーン公園からミズーリ川まで、いろんなところに連れてってくれたクルマです。



今では、もうちょっと州境を超えてのドライブは無理…。心配すぎる。

このあいだまたエンジンマウントが壊れてもろもろ1600ドルかかった……(悲)。

床には穴があいてるしあちこちボコボコへっこんだままですが(ごめんねアクセラちゃん)、まだまだ元気に街中を走り回ってます。



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2018/04/20

木の芽どきドリンク


木の芽どきです。
ちょっと見たところ、湯がいておひたしにしたら美味しそうな芽があちこちに。

冬と春は東北の実家に帰って仕事をしているという渡り鳥のような翻訳者ハッチーさんが、春先はいつもタラの芽とかふきのとうとか獲りまくりで忙しくてたいへんといっていた。羨ましすぎる。タラの芽食べたいー。

今週は、風邪でぼーっとしてました。バスの中でも学校でもあちこちでケホケホしている人が多い。ウイルスが行き交う季節。ウイルスって不思議なやつ。

最近の対ウイルス迎撃ラインナップにくわわったのは、ターメリック小さじ1&レモン&しょうが&蜂蜜をお湯でまぜただけのドリンク。色といい味といい、いかにも効きそうにがつんと来る。


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2018/04/19

祝!ケンドリック・ラマーちゃん


ケンドリック・ラマーちゃんが、ピューリッツァー賞を受賞したそうで!おめでとうございます!!

ピューリッツァー賞に音楽部門があること自体知らなかったけど、ふつうは現代音楽作曲家とかが対象になる賞らしく、これまでラップやヒップホップどころかポピュラー音楽そのものの世界から受賞者が出たことはなかったらしい。

ともかくめでたいです!!

わたくし今年のグラミー賞のパフォーマンス見るまで、名前くらい知ってたけどほとんどノーチェックだったんですよ。新しい音楽自体あんまり聞かないしな。
このパフォーマンスが寒気がするほど良かったので、なになに?なんなのこの子は?とさらにアルバム聞いてみたら、こめかみを殴られたかと思うほどよかった。

しかも先日の『ブラックパンサー』のサントラ、というよりインスパイアドアルバムがさらに素晴らしく、おばちゃんはあなたのような青年がヒップホップから出てきてくれて本当に嬉しい、ありがとう、と拝みたくなりました。


ラマーちゃんは意外に仕事中にも聴けそうな気がします。

 Damn.はどうしてグラミー賞取れなかったんでしょうね。グラミー賞の傾向はぜんぜん知らないが。
オアフ島出身のブルーノ・マーズ君もさらによく知らないのだが、あの子はなんか昔のテレビから出てきた人って感じがする。そういうカテゴリーなのかな?

先日ラジオでキャッチーな90年代ソウルっぽい曲がかかってたので、あれ誰だっけこれー、と思ったらブルーノ君だった。なつかしサウンド?

(ブルーノ君をDISってるわけじゃないよー!)

今の子たちにとって90年代って、80年代からの60年代よりまだ遠いんだよねー、時間的には。

いま80年代とか90年代風の音が流行っているのは、80年代にも90年代にも60年代風のスタイルとかサウンドが常に一定の支持を得てたのとおなじ感じなのかな、と思ったり。

ケンドリック・ラマーちゃんは、本当に好きだなあ。
あの動物っぽいところがツボだ。

ほぼ保護者の視線。

ラマーちゃんの曲と、先日の #MarchForOurLivesの高校生活動家たちが重なるんだよねぇ。
この冷静さ、知性、情熱、繊細さ、強さ、気負わない利他の精神はいったいなんなんだろう。全体に、今の20代〜30代前半には精神が落ち着いている子が多い気がする。逆にまったくそうでない層も増えているのかもしれませんが…。


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