2014/01/08

カークランドの夕日、東海岸の吹雪


先週末はシアトル付近、超快晴でした。
アメリカ中西部から東部にかけてものすごい寒波が襲っているようですが、ここ太平洋北西部は、穏やかな冬。

 薄いセーターに「ウルトラライト」なダウンジャケットを重ねるくらいでちょうど良い。もちろんワカモノの中には半袖もいるし。

お湯を投げたら即凍る地方とは大違いです。このお湯を投げる実験をやってみて火傷をした人続出らしく、良い子は真似しないでね的記事が出てて、笑っちゃいました。

とはいうものの私もマイナス30度の寒波が来たら、きっとやってみると思う。その時は風上に立つのを忘れないようにしよう。


その気象関連で、Polar Vortexという言葉をこの数日よく目にします。
これについてはぽんず単語帖のほうに書きました。良かったらご覧くださいませ。

シアトル付近は寒波どころか雪が足りなくって、スノコルミのスキー場は気の毒に、今シーズンまだ閉まったまま。シーズンパスを買った人は、他のスキー場への振替え券をもらっているそうです。
(追記:1月10日にやっとオープンしました)

市内にも12月にちらちらと2センチばかり降ったきりで、このまま冬が終わってしまうのはちょっと寂しいなという感じがするくらい。なんて言ったら中西部の人には申し訳ないですね。

お正月明けに東海岸のエージェントさんから短いお仕事を頂いたのだけど、雪嵐のおかげで事務所が閉鎖になり、納期が延びた。こっちは雪が足りなくてスキー場が大変みたい、というと、FEDEXでじゃんじゃん送ってあげたいわ、て言ってました。
ニュージャージー、週末は華氏マイナス8度(摂氏マイナス22度)だったそうです。うひ~。

今日は、「今朝は28度(摂氏マイナス2度)で、かなりあったかいわよー」というやけくそのようなメールが来てました。


快晴の土曜の午後、仕事も一段落したので久々にお散歩。

カークランドのダウンタウンの横にある桟橋のあたり。
カークランドは、あの CostCo のふるさと。今は本社はもっと南に移転したけど、記念すべきコストコ第1号店があります。

ダウンタウンは海じゃなくてワシントン湖に面したこぢんまりした品の良い町で、対岸にシアトルのダウンタウンが見える。小舟で通勤できそうだけどフェリーはありません。1960年代に州道520号の橋ができる前はフェリーがあったそうだけど。

グーグル支店も出来たしマイクロソフトも近いので、「その筋」(IT系)の人々が多いように感じる。
カフェに座ってる人もなんか、対岸のシアトルのような、もうちょっと荒々しい(笑)アート系な人が少なくて、サンフランシスコっぽい洗練された頭良さそうな人が多いような気がします。たんに色眼鏡かしら。
カフェで雑談している人がみんなグーグルの人にみえるー。

つんつんしてて気取った奴ばっかの町だといって友人Mはカークランドを毛嫌いしてる。
たしかにここの「メトロポリタンマーケット」で昼間買い物をしていると、周りは筋金入りのマダムばっかりで、なんだか自分もお金持ちになった錯覚をしてしまうほどです。

でも道幅も家の規模も広すぎず手入れの行き届いた感じが、日本の住宅街に似てる気がしてなんとはなしに居心地が良いのです。




薄い三日月とピンクのひこうき雲が。

いま北極のようなことになっているミシガン湖 より、緯度的にはずっとこっちのほうが北なのに。なんとピースフルな冬の夕暮れでしょうか。

あくまでも穏やかなノースウェストの冬です。



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2014/01/04

謹賀新年 & ハミングバードの大げんか


新年あけましておめでとうございます。

2014年が平和で充実した良い年になりますように。

いつもたわ言ばかりのブログにおつきあいくださって、ありがとうございます。

年末年始。今年は嵐のように過ぎ去って行きました。

そういえば日本には「仕事納め」なんていう言葉もあったよね。なんて思いながら、結局大晦日も元日も、だらだらと納まらない仕事をしてたり…。

それでも大晦日は息子のガールフレンドや友人が来て、賑やかに鶏鍋を囲んで迎えました。鍋はおいしかったんだけど、おそばを食べそこね、鶏だしを鍋用にとってしまったのでお雑煮も作りそこねて、元日におそばを食べているという変なお正月だった。

写真は先月だったか、凍りついた日の翌朝のハミングバード。



今ねこシッターをしているおうちのお庭にあるフィーダーが凍ってしまったので、できたての砂糖水を出したところ、たちまち大げんかに。

ハミングバードってすごく縄張り意識が強いらしい。こんなに沢山あるのに、分けあったって飲みきれないものを…。

そしてこの2羽が喧嘩している間に別の種類のハミングバードがこっそり来て飲んでたりして、大騒ぎでした。



<MINE! MINE! MINE!> て、感動でいっぱいなのだろうか。

人間も、端からみたらこんな小競り合いを精一杯しているんでしょうね。

ともかくも新しい1年が健やかな良い年になりますように!


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2013/12/27

ストリーミング暖炉、ももんがの紙、バターナットスクワッシュ




とっても地味に暮れていった今年のうちのクリスマス。ルイジアナのママの家で賑やかに過ごした去年とは違い、今年は息子と2人で静かにうちディナー。

クリスマスの日は、夕空が綺麗でした。




今年の息子へのプレゼントは「ダウンジャケット」だけど、もう買いにすら行きません。クレジットカードを渡してオンラインで自分で選ばせた。

息子は母ちゃんとは趣味が少し違うらしく、小学校中学年以降、私の選んだものを有難がって着なくなってしまったので、いまでは下着と靴下以外の身につけるものは本人の確認を得ずに買うのをやめました。

いつかトナカイの顔のついたセーターを見つけたら絶対買うけどな。

というわけでクリスマスプレゼントは別にないから楽ちんちん、と思っていたら、先月、ふと入った店で本を買ってあったのを思い出した24日。

小僧一人のためにわざわざ4ドルも5ドルも出してラッピングペーパーを買うのは嫌だと逡巡したあげく、目についたTrader Joe's の紙袋でラッピングしてみました。オマケにモモンガのインスタントカードもつけて、なかなかの仕上がりと自画自賛。


今年はほかにお客もないし、簡単に「ラムチョップと牡蠣」という豪華ディナーにするはずだった、のが!なかなか仕事から手が離せず買物に行く間がなくて、23日の夕方にのこのこ買物に出かけていったら、もうどこのスーパーにもラムもなければ牡蠣もなかった。クリスマスの人気食材だったのか。

仕方がないのでポークチョップに変更。バターナットスクワッシュのローストと洋梨のつけ合わせ。今回手のかかるのはこれだけ。ていっても切ってオーブンへ、その次に鍋にほりこむだけだけど。


 こんな形の方々です↑。ちょっと焼きすぎて煮崩れた↓。


どうしても食べたいカラードグリーンも。いつもはベーコンの脂にハムホックという超塩分きつめカロリー高めの味付けだけど、今回はオリーブオイルで炒めるだけのライト版にしてみた。

ガーリックとパルメジャーノを入れてイタリア人ふう。ルイジアナのママがこれを食べたら何というだろうか…。炒めただけでもカラードグリーンはうまいです。


 Netflixを開いたら、トップに「暖炉」というタイトルがあったので思わずストリーミングしてみる。


音楽つきと音楽なしがあって、音楽なしのは、ぱちぱち薪が燃えてはぜる音だけが流れるなか、えんえんと1時間、暖炉が燃える画面が収録されている。説明には「オーセンティックな薪暖炉」とありました。その通りだ。

DVD3本セットをストリーミング化したものらしい。

クリスマスの夜外に出たら、つい良く見えてしまうお向かいの家の広いリビングの大きなテレビにこの薪暖炉ストリーミング(もしかしたらDVD)がかかっているのが見えて、笑ってしまいました。


こちらもよろしく
PONDZU WORDS BOOK  (1 of 1)
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2013/12/23

Hot Buttered Rum


「ホット・バタード・ラム」という飲みものを初めて知りました。

ダークラムのお湯割りにブラウンシュガー、バター、シナモンやクローブを入れたシンプルな冬の飲みもの。

ハワイでは冬の飲みもの、あんまり縁がなかったし。


先日バラード・マーケットに行ったら、こんな「Butter Rum Batter」というミックスが売ってて、この素行の悪そうなウサギについつられて衝動買い。これ、ブレマートンの会社が出してるのでした。

これ自体にはお酒ははいってなくて、このままお湯で薄めてもココアに入れてもいいよなんてことが書いてあるので試しにお湯で薄めて飲んでみたけど、これは……アルコールが入っていないと甘いだけの意味不明な飲みものだ。

ふつうに家でバターと砂糖で作ったほうがおいしいかも。





シアトルチョコレートにも季節限定ホットバタードラム味がでてました。

この季節、なぜか次から次へとチョコレートがうちにやって来るし、お店にもいろんなチョコが並んでいるのでつい買い込んでしまい、家はチョコだらけ。

そしてこのバタード・ラムといい、エッグノックといい、ココアといい…冬の飲みものって恐ろしいほどカロリー高いですね…。



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2013/12/22

ねこライフ


ただいま、湖の反対側に、ねこシッターに来ています。

靴ひもが大好きで超びびりの、プリンスりんちゃん。

  

性格はツンデレのたま姫。怖い顔をされていらっしゃいますが、意外とこれでのんびりした方です。


プリンス・シンタロウくん。この子は耳がきこえないせいか、性格が子猫のままみたい。
人のそばが大好きで、私が仕事をしている横の椅子で、だいたい1日12時間くらい寝ておられる。



んぎゃー!こんなクリーチャーが何かの映画にいませんでしたっけ。




ねこライフはやっぱりいいなあ。いつでももふもふできる方がこんな顔して隣に寝ているだけで、ストレスレベルが30ポイントくらい一気に下がる気がする。




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2013/12/21

初雪


昨日の夜から今朝にかけて、シアトル市内とピュージェット湾地域にこの冬初めての雪が降りました。

積もったのはほんの3センチくらい。

でも市内の公立小中高は2時間遅れのスタートと、超慎重な対応でした。


交通が完全に麻痺して帰宅できない人が大量に発生した2010年の大混乱を二度と起こすまじ。と、行政がものすごく慎重になってるのでしょう。あのときは本当にひどかった。

去年の冬は町に雪が降らなかったので、このくらいの雪はウェルカムな感じ。

特に、まだまだ家で引きこもり仕事の日が続くので、本心では雪、どんどんいらっしゃーい、なのですが……通勤の方には大変もうしわけありません。

ダウンタウンに通勤していた2012年の1月にも大雪が降って、スノーブーツを履いて、じゃらじゃらとチェーンをつけたバスに乗ってほとんど人通りのない町へ仕事に出ていったのだった。
あれもけっこう楽しかったです。



今日の雪は、午後には消えてしまいました。

これはCTちゃんがクリスマスにくれた、となかい小屋のオーナメント。
今年もツリーはなしですが、少しだけクリスマスの気分。


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2013/12/18

『マッドメン』の60年代と開高健の東京




うちにはテレビがありません。

なのでテレビ番組はシーズン遅れとか数年遅れにて、いつもNetflix で、ときにはまとめて「ビンジ」視聴

夜、仕事も片付けものも終わってから、1話ずつ Netflix で見るのが最近日課です。

Netflix は親切にもどんどん次のエピソードを自動的に流してくれちゃうので、気を許しているとつい大夜更かしをしてしまいそうになるのが恐ろしいところ。

『Breaking Bad』を見終わってしまったこのごろ、(最後の8話分はまだNetflix で公開されてないので、ウォルトの運命はまだ知りません)はまっているのが『Mad Men』。

日本では『マッドメン』としてフジとケーブル局で放映されてるようですね。


 60年代のマンハッタン、マディソン街の広告会社が舞台のドラマで、クライアントとの駆け引きや微妙な人間関係がたんたんと続いていくドラマ。

出てくる人物はそれぞれグラマラスで尊大で魅力的で、みんなどこかが徹底的に壊れている。

ドラマそのもののストーリーはトーンが抑えられていて、むしろ地味なくらいゆっくり展開するのだけど、時代背景が刺激的。

こんなんだったんだ、60年代」と、追体験できる、そしてその時代を現代の視点から見てみることができるのが、このドラマの最大の楽しみ。


時代考証に異常なほどの労力を割いているそうで、小物や家具、衣服はもちろん、お天気がどうだったかまで文献にあたって確認してるんだそうだ。

女の子たちの着てるコートやワンピースがめちゃめちゃ可愛い。
時代が進むにつれ、オフィス家具にイームズやネルソンが登場したり、役員オフィスがすっかり未来的なデザインになったり。
キッチンにはもちろん、今ではビンテージのパイレックスが。

ファッションと家具を見るだけでもけっこう楽しいのだけど、このドラマで「当たり前」の前提として強調されてる60年代の日常が、すごい。

会社でも、家庭でも、映画館でもレストランでも、もちろん飛行機の中でも、ひっきりなしにタバコを吸い続ける人びと。

妊婦もママも、赤ちゃんを抱えて、または子どもがテーブルについているその隣で、きれいに口紅をひいた唇にタバコを挟んでプカ~。

窓際のドアのある個室のオフィスで仕事をするのはメンズのみ。

女子は皆、タイプライターを前に広いフロアやボスの個室の前に控えるセクレタリー。
メンズは何の遠慮もなく「女の子」たちを品定めし、セクハラ発言をする。

同じビルで働く有色人種は、制服を着たエレベーター係の黒人青年のみ。
スーツにネクタイの白人広告マンたちの、まったくセンシティビティのない発言を、苦笑さえできずに聞きながす。
南部で爆発していた公民権運動に対する、KKKによる教会襲撃などの暴力をテレビの画面で見ながら、白人主婦は黒人家政婦に「公民権運動って、問題を起こすばかりね」みたいなことをさらっと言う。


1960年から始まって、少しずつ時代が進んでくのもドキドキする。

マリリンが死に、ケネディ暗殺が起こり、今見てるシーズン4ではジョンソン大統領が選挙を戦ってる。これからベトナムが泥沼にはまっていくのだー。

ところで先日、20年ぶりくらいに読み返した開高健の『ロマネ・コンティ一九三五年』のなかの『黄昏の力』に、こんな描写があった。

小さなモルタル張り木造二階建の二階の一隅で、毎日、ハイボールやオン・ザ・ロックの宣伝文を書きまくっていたのだが、誰かが歩くと床板がギシギシ音をたて、階段を速足でかけおりるものがあると、家全体にひびいて、部屋がゆれるのだった。家のまえは運河になっていて、団平舟がギッシリとつまって黒い水を蔽い、夕方になるとエプロン姿の肥ったおかみさんたちが舳にしゃがんでフンドシやズロースなどの洗濯物の下で七輪に火をおこすのが見えた。それが上げ潮どきとあうと、東京湾から真っ黒の水がおしよせてきて、ひどいどぶの匂いがたちこめる。腐って、ねびて、ねとねとからみつく、工場と海の嘔吐物といいたくなる匂いである。」

「名刺屋、オートバイ屋、ラーメン屋、下駄屋などがごたごたとひしめくなかで支店は入口のガラス扉に金粉で《世界の名酒》と書いている。 階下のトイレから階段をつたい歩きして消毒液の匂いがやってくることもしばしばだったが、そんななかで明けても暮れても『この一滴の琥珀の讃仰!』とか、『暮春に拍手がある!』とか、『コップの中の輝く嵐』など、新聞、週刊誌、月刊誌のために右から左へ書きまくる。」

「正午になるとオデン屋のラッパを聞きつけて階段をおりていく。そして名刺屋の娘さんやオートバイ屋のおかみさんなどが鍋を片手に群がっているなかにわりこんで、一本十円のツミレやアオヤギなど、どの串にいちばんダシがしみているかと、ちょっと夢中になって吟味する。毎日毎日時計のようにどれもこれも同じ味なのだが、ツミレがいつもはイワシの団子なのにときたまアジをたたいて作ってあったりすると、驚喜した」

開高健さんがサントリーの前身「壽屋 」のコピーライターだったのは1950年代なかばから数年間だから、これは『Mad Men』の時代よりは数年前ではあるけれど、同じ広告屋さんを描いていながら、この時代の東京とニューヨークの落差のすさまじさに、目がしぱしぱする。

この短編の中でも、もしニューヨークのコピーライターで同じくらいの実績をあげていたら、少なくともマンハッタンのペントハウスとマイアミに別荘が1軒くらいは持っているはず、と遠い目になる場面がある。

日本が戦争に負けて、まだ10年そこそこ、焼け跡から復興しつつあった時代の貧しさと侘びしさが、この『黄昏の力』にはたっぷりと描き込まれてて、迫力。
この人の文章はほんとに凄みがある。



50年代、『3丁目の夕日』の時代、焼け跡から再生しようとしていた日本からは、アメリカは途方もなく遠い目標であったはず。

それから60年後には、東京にもマンハッタン以上に洗練された高層ビルが立ち並び、日本のワカモノはもう海外に興味すら失っている。

『マッドメン』の栄光の60年代には、主人公の暗い少年時代の記憶として、大恐慌の30年代がときどき出てくる。アメリカだって、1世代前にはとんでもなく貧しかったのだった。

アメリカも日本も、半世紀かけて全く違う国になって行ったんですね。

現在の状態が当たり前だと思ってしまっているけれど、どっちの国の豊かさも多様性も、ほんのここ数十年の現象でしかないんだということを、『マッドメン』を見てると思い出すことができます。



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