2014/02/10

2014年のスーパーボウル広告  



先日、うちにはテレビがないと貧乏自慢をしたばっかりだったのだけど、シアトルシーホークスがスーパーボウルに出場するなら仕方ないですね。

というわけでテレビを買いに行きました。「Best Buy」に行ったら店員さんが意外にもとっても親切で知識も豊富だった。前回(何年か前)に行った時のやる気のない印象とはまったく違っててびっくり。これは、あのアジア系デキる店員のCMそのまんまではないか!


でも欲しかった型番がなかったため、結局COSTCO オンラインで買ってしまった。これは!うわさのショウルーム化というやつだ! でも品物がなかったんじゃ、仕方ありませんね。


「12」の旗があちこちにひらめくシアトルダウンタウン。これはスーパーボウル当日。
当然スタバ本社の上にもでっかい旗がはためいてました。

さてゲーム。もう後先ですけど、よかったよかった。強っ!! びっくりした!

しかしこんなに圧勝するとは思わなかったよねえ。
途中から少し退屈になるくらいの試合運びで、びっくりでした。




優勝の瞬間、うちの近所では花火上がりまくり、子どもたちは鍋をたたきながら道路を練り歩いてました。

ほんとはちょっとくらい外に出て騒ぎたかったんだけど、まだ全然仕事が片付いてなくて、デスクに戻るのが悲しかった。ちょっと鍋くらいたたいてもよかったな。


さてそれはさておき、今年のスーパーボウル広告にも、けっこうびっくりした。


ものすごくポリティカリーコレクト、そしてファミリーフレンドリー。
  
何なに、アメリカの広告っていつからこんなにシビライズしちゃったのだ?  

あの毎年確信犯のように水着のお姉ちゃんを出してくるGo! Daddy でさえ!!

今年は、「自分のウェブサイトを作って自作パペットを売るビジネスで独立するからもう会社はやめてやるわ!とスーパーボウルのCM枠で宣言する女性ミニ実業家」が主人公という、もうまるで人が変わったような、civilized ぶりではありませんか。



ちなみに去年はどうだったかなと思って検索したら、「ビューティフルな水着のお姉ちゃんと、頭のよいGeek」が、ぶちゅぅとしているコマーシャルでした。
貼りませんので、よかったら検索してみてください。

スーパーボウルCMといったら水着のお姉ちゃんが続々出て来るのは当然だったんだけどなあ? そしてドリトスも今年はやたらに大人しいよなあ。

…と思ったら、どうやらセクシー系のがごっそり閉め出されてたみたいですね。
 バーガーキングのとんでもないチキンサンドイッチのCMとか、水着お姉ちゃんのカーウォッシュにわざわざ車を汚して並ぶ長蛇の列とか、いろいろあったみたいだ。
 
「うちの家族は自分で守るんだ」という銃のメーカーのCMまであった。これはさすがにいくらウヨクのFOXだって流さないだろう、2002年ならどうだったか分からないけど(ていうか2002年にはこういうCMを作る必要もなかったよね)。

とにかく今年のスーパーボウル広告は、おっぱいレスで、インクルーシブで、デバーシティで、センシティブで、ポリティカリーコレクトな広告が多かった。驚いた。

80年代のフェミニストたちだって、70年代の市民権活動家たちだって、ここまで来るとは思ってなかったかも、ていうくらいだ。
特にコカコーラ!


アメリカの第二の国歌的存在の「America the Beautiful」を、いろいろな言語で一節ずついろいろな声が歌うのをバックに、あらゆる顔をしたアメリカの日常生活が一こまずつ描かれるというもの。
最初のシーンで出て来るのが、白い馬にまたがったカウボーイ。それがすぐに、ラティーノ系の女の子のアップに変わり、言葉がかわる。素晴らしい。
モスリムの女の子も出て来るし、アジア系も、ネイティブアメリカンも、黒人も、白人家族も、みんな等価に一瞬ずつでてくる。断片だけ見たら一体どこの国の映像だかわからない。でもそれが本当のアメリカ。

「Inclusive」という言葉を辞書に入れるときにこの映像を添付してほしいくらい、「インクルーシブ」を体現しているコマーシャルだった。
最近「diversity」という言葉よりも「Inclusive」をよく見るようになった気がするんだけど、「diversity」があっちこっち向いてまとまりのない状態もさすのに対して、「インクルーシブ」は何か一つの目的があり、システムとして機能している中に多様な個性や主張が共存している、というそんな意味で使われてる言葉だと思います。

それにしても、2001年の直後にこのコマーシャルが提案されていたら瞬殺されていただろう。当時はこの歌をいろんな言語で歌うなんて、冒涜!非愛国的!と言う人のほうが、多かったに違いないと思う。絶対そう思う。今だってかなり密かにそう思ってる人が多いと思うけど、声をあげづらくなってるのだと思う。ワシントン州では全米でも真っ先に同性婚が合法化されたし、シアトルの新市長はゲイだ。そのシアトルがスーパーボウルにやってきたのだ。CMが物わかりよくインクルーシブにならないわけがない。

まあこのコマーシャルほどビューティフルでない面ももちろんたくさんある国ではあるけど、しかし変わったなあ。

と感心しました。21世紀になったなあ。


もうひとつ印象的な「インクルーシブ/デバーシティ」CM。
シリアルのCheerioのお父さん黒人、お母さん白人の幸せ家族。この抜け目のない女の子がかわいい。







 あれっと思ったのは、マセラッティ『ギブリ』のコマーシャル。


映画『Beasts of the Southern Wild』(これはこっちのブログに前書きました)の、あの子じゃないか。アカデミー賞候補。

最後まで見て、高級車マセラッティのコマーシャルだっていうオチのなさにずっこけた。まあこれも、キャラクター的にはインクルーシブだ。

 映画のつづきではマトリックスのモーフィアス師もでてた。こっちはKIA。



これもなんだかなあ。でもこっちはちょっと笑えて良かった。

私が一番いいなと思ったのは、マイクロソフトでした。


これも本物ばかりが出て来る、すごく力強いメッセージ。


おまけ。先日University Village のマイクロソフトショップに行ったら、ちゃんと12番の旗が飾ってありました。当然ですね。

(お向かいのアップルストアにはなかった。)






あっそうだ、いままで無料で大好きなキャンディのSkittlesのパブリシティをしてたマーシャン・リンチが、とうとうSkittlesと契約したそうです。青と緑のシアトルバージョンがでるらしい♪ 



そうそうこのマーシャン・リンチたら、シアトルのトイレ・下水修理会社のコマーシャルに出てるのだ。これがまた、超手作りのCMで、この人らしくって最高。


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