2012/10/22

温泉ワンダーランド <イエローストーン3>


イエローストーンは、19世紀、汽車と馬車を乗り継いでくる観光客に「ワンダーランド」と呼ばれていたそうです。


ルイス・キャロルの『アリス・イン・ワンダーランド』が出版されてアメリカでも人気を博していたころ。(当時の出版サイクルは気の長いものだったんでしょうね)。


イエローストーンには、間欠泉や温かい川や、色とりどりの変な形の岩や峡谷があって、変わった野生動物もいるし、インディアンだっている。

アリスが迷い込んだ不思議の国のような場所というキャッチフレーズがぴったりだったんでしょう。

まだ写真のないころ、イエローストーンを探検して来た人が東部に帰って、これこれこういう光景で…と説明しても、全然信じてもらえなかった という話です。 



イエローストーン公園のサイトで、昔の写真が公開されています。
それを見ると、19世紀から20世紀はじめの旅行客は本当にやりたい放題。


ルノアールの絵に出て来るような格好の奥さまやお嬢様たち。
この頃に東部から汽車と馬車を乗り継いで来たのは、ほんの一握りの冒険好きな上流階級の奥様や旦那様たちだったのでしょう。




いまこんなアクティビティをしたらレンジャーがすっ飛んで来ること間違いなしですが、この頃はまるで野放しだったんですね。火傷した人もいたに違いない。



現在はすっかりボードウォークが完備され、そこから出てはいけないことになっていて、「地面から急に蒸気が噴き出すこともあるので、絶対に道を外れないように」としつこいくらいに書いてあります。


整備されたボードウォークの決まった位置に、屋外美術展示みたいに間欠泉や温泉池の名前や説明が書いてあるのを読みながら歩いていると、大自然の中にいるというよりも温泉テーマパークのアトラクションを見物している気分です。


とはいえ、この景色の中へ車椅子の人も入っていけるようになっているって、すごいことです。全部ではありませんが、駐車場からまっすぐ車椅子で行ける段差のないコースがかなりの数あります。


この鮮やかな色は、温泉の熱い水にだけ棲む微生物の色なのだそうです。



帽子屋もトランプの女王もいないけど、たしかにワンダーランド。



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4 件のコメント:

  1. ボードウォークの写真、周りの色がとってもいいですね~!
    こういうところ、ずうっと歩いていたいです。
    これらのお写真のところは全部、硫黄の匂いがしてるのでしょうか?
    息子さん、大丈夫でした?(笑)

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    1. prunusさん、レスが超遅くてすみません(汗。
      ボードウォークのあるところは、かすかに硫黄の匂いがするといえばする、という感じでした。ところどころ、ガスが噴き出しているところで強い匂いがしましたが、あちこちの間欠泉のあたりはそれほどでもなかったと思います。息子もそんなに文句は言っていませんでした。
      以前に箱根に行った時のほうが、匂いは強かったような…。

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  2. ここの緑色ってのも、その微生物の色なんでしょうか?
    昔の写真 のんびりしていますね。

    現代の車椅子に対応しているのって すごいと思う。
    お年寄りも体の不自由な人も楽しめるっていいね。
    日本の観光地は、まだまだだね。

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    1. りょんさん、この緑色は藻の一種、だと思います(うろ覚え)。
      イエローストーン産温水の微生物から採れたサンプルが、いま医療方面で大活躍なんだそうです。
      車いすで国立公園観光できるって、凄いですよねえ。もちろん隅から隅までではないですが。アメリカって国自体は若いけれど、こういう近代の公共施設やシステムに関しては草分けなんですよね。イエローストーンは自然そのものよりも、設備やその底にある思想が面白かったです。

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