グランドキャニオンでは公園内のホテルに2泊しました。着いた翌日はサンセットを観てごはんを食べて、さっさと就寝。
翌朝は、わたしとしてはあり得ないほど早く起きて、近くのブライト・エンジェル・ロッジでコーヒーを買って、峡谷にさしこむ朝日を見に行きました。
このすぐ近くから、「ブライト・エンジェル・トレイル」という峡谷の谷底に降りていくトレイルがあります。上の写真で、下の真ん中の川沿いに続いている細い道。
ロバやラバでこの道をおりて、谷底のキャンプで一泊して翌朝上がってくるツアーなどもあります。
体力に自信があっても谷底まで歩いて下って同じ日に上がってくる計画は立てないようにと、あちこちに注意が書いてありました。若くて健康で頑丈なハイカーでも、熱中症や疲労で本当に亡くなってしまう人が珍しくないのだそうです。
青年は前の晩、この谷底に下るトレイルの入り口付近に散歩に行って、峡谷の反対側のノース・リム(北の縁)を朝早く出発して谷を横切り、南側の崖道を登って到着したばかりの一行に出会ったと言ってました。元気だねぇ。
崖の途中に、立派な角を持ったヒツジ(オオツノヒツジ)が佇んでいました。谷の下のほうを見つめて長いあいだ沈思黙考しておられました。何を考えているのだろうか。
頭がとても重そうです。
朝ごはんを簡単に済ませて、国立公園のすぐ外にある小さな空港へ。
うちの青年がサプライズでヘリコプターのツアーをブッキングしててくれました。びっくりした。
レトロな飛行機をイメージしたらしい、待合室の特注家具がかわいい。
ヘリコプターに乘るのは、覚えてる限りでは生まれて初めてです。
子どもの頃、ヘリの免許を取りたいと熱望していたこともあったのでした。
パイロットさんはイギリスのウエールズ出身でした。
乗客はうちの親子と、白人のおばさま2人の4名。
機内ではヘッドフォンを着用します。
離陸時には威勢のよいアメリカン・ロックの曲がかかり、地勢や歴史の説明などのアナウンスが流れました。
しばらく針葉樹の森の上を飛ぶと、やがて峡谷の縁が見えてきて…
ちょうど峡谷にさしかかり、全貌が見えてくるところで、ヘッドフォンからは『2001年宇宙の旅』で有名な『ツァラトウストラかく語りき』のあの荘重なテーマが、じゃーん、じゃーん、じゃーん、ちゃちゃーん!と鳴り響き。
青年と思わず顔を見合わせて笑いつつ、号泣寸前でした。
泣くよこれ。
正味30分弱の短いフライトで、峡谷の上を飛ぶのは10分くらいですが、こんなところから岩たちを眺められるなんて、不思議すぎる。
今、写真を見ても、やっぱり現実感がありません。不思議な空間で不思議な旅をしてきたという感じです。
アングルが斜めってます。
ロバに乗って来た19世紀の旅人には見られなかった景色。ありがたや。
なんて便利な世の中に生まれたことか。
世界はとんでもなく不可思議でとてつもなく美しいです。
パイロットさんに聞いてみると、例年のピークシーズンなら1日10回くらい飛んでいたけれど、今年はその何分の一だか、とにかく激減してますよ、とのことでした。
縁から眺めるだけでも圧倒されるのに、この地形のスケールを上空から見られたとは、まことにありがたや。の朝でした。
ほんとにすごい旅をして来たねー!
返信削除うん、ほんとにベストなタイミングだったというか。この直後にまたコロナの感染者が急増するというギリギリセーフ感が、3月と同じパターンだったような……。
削除ほんとだねー。いい感じにすり抜けてるね。
削除ありがたくもすり抜けさせていただきました。そのぶん今月はうちからほとんど出てないわ!
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