Netflixの『The Queens
Gambit』(クイーンズ・ギャンビット)面白かった!最高でした。
『マーベラス・ミセス・メイゼル』とおなじく1950年代から60年代の話だけれど、こちらのほうが画面もしっとりしてて、映画っぽい。とても綺麗で空気感のある映像でした。
子役もいいけど、アニャ・ティラー=ジョイ。
この人の眼ぢからをここまで活かせるドラマはなかなかほかにないかも。
恵まれない孤児の境遇で、母の死などのトラウマを抱え、向精神薬やアルコールに依存する天才チェスプレイヤーのお話ですが、そう聞いて想像するような湿っぽさがほとんどない。
画面はしっとりしてるのですが、話の運びはまったくドライできびきびしていて、前向きで小気味よいです。
話がしめっぽくならないのは、主人公のベスが、アスペルガー?と思うくらいに感情をあらわにせず、動じず、人の目を気にしない意思の強い人だからでもあり、登場人物の心理がわかりやすいけれどとても抑えた表現で描かれているからでもあり。
ほんとに、これのすぐ前に見た『ミセス・メイゼル』はコメディだけど、共通点がいっぱいある。どちらも、1950年代〜60年代という、まだガチガチにしゃちこばった白人男性優位の価値観が全く揺らがなかった時代に、スタンダップコメディやチェスという女性の存在をほとんど認めていない世界に若くてきれいな女性の主人公が斬り込み、圧倒的な実力で居場所を獲得していく話。
どっちの主人公も挫折してもぐずぐず泣き言をいったりしないし、人間関係をおいてけぼりにしてまでも自分のやりたいことに突っ込んでいく。
でも2人ともオシャレでガーリーで、服や髪型が毎回すごくかわいい。まったく肩肘はらず、いばらず自信をもってカワイイを楽しんでいるのも素敵で、新しいヒロイン像だなあと思いました。
アニャ・ティラー=ジョイちゃんは96年生まれ、うちの息子より1歳下の24歳。
少女マンガのような顔だと思いませんか。
この人はなんといっても、2015年の『The
Witch』(ウィッチ)が印象的だった。
アメリカ独立前の東海岸、ニューイングランドの村を追放されて森のほとりに住む家族の話。
お父さんは敬虔なキリスト教徒だけれど、頑固もの。信仰も頑固がすぎて村を出ることになる。
人に頼れないプライドの高さにくわえ、狩りなどの実用的な仕事が得意ではないので、家族はだんだん困ったことになっていく。お母さんはイギリスが恋しくて、人里離れた森に住むのは不本意で幸せではない。赤ん坊がいなくなった日から次々に不気味なことが起こりはじめて、両親も幼い妹と弟も長女のトマシンが魔女ではないかと疑いはじめる、という話。
わたしはホラー映画にはあまり興味がないのだけど、これはとても面白かったです。
ピューリタンの信仰にからみつく罪の意識と恐怖が、説得力抜群に描かれていました。
会話はすべて17世紀の英語で、聞き取るのがすごく大変だった。ていうか正直あまり聞き取れなくて字幕が頼りでした。ふだんから家でドラマや映画を観るときはクローズドキャプションの英語字幕を出しっぱなしにしてます。
全体に画面全体が陰鬱で、森も暗いし登場人物も暗い。
アニャちゃんの演じる長女トマシンだけがみずみずしく輝くように描かれているのだけど、魔女への恐怖が育ちはじめると家族がどんどん疑心暗鬼で崩壊していく。
出てくる魔女(こわいよ!!)のエピソードはすべて、当時のニューイングランドで採集された「目撃談」や噂話にもとづいているそうです。まじこわいよ!
サンクスギビングにぴったりの映画かどうかはわかりませんが……サンクスギビング発祥の地ニューイングランドを舞台に、恐怖とはなにかを解剖してみせてくれるような映画です。
きょうのシアトルは、ちょうどこんな感じの暗くてしっとりした雨。
たのしいサンクスギビングを〜。
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