フィレンツェ思い出し日記の続きです。
2日めの午前中に行ったバルジェッロ美術館。
一番最初は市長的な役割の人の役所として建てられたというけれど、それにしても銃眼や見張り塔がついていて要塞的なおもむき。警察署といわれるとなるほどなーという感じ。
ヴェネツィアの華奢で華麗な建てものと比べると、フィレンツェの建てものはごっついですね。
19世紀後半から美術館になったそうで、彫刻作品がたくさん。
版画家なおみ先生が「高校の美術室で見たやつがいっぱいあるよー」とおすすめしてくれたので、ここはダビデくんとウフィツィ美術館、ドゥオーモについで必見だと思っていた美術館でした。行ってよかった!
中庭の正面にあったやつ。これは噴水で、まんなかの女性のチチからピューっと水が出るというデザイン。
これってラスベガスとか南カリフォルニアにありがちな噴水だと思っていたんだけど、なんとイタリアにちゃんと元ネタがあったのね。
製作年代は16世紀なかば、1556〜1561年。バルトロメオ・アンマナーティという方の作品です。この人は建築家でもあった。ルネサンス期の彫刻家って建築家でもあった人が多いんですね。
ミケランジェロより30歳くらい年下の世代で、このあとに作ったネプチューンの噴水(シニョーリア広場にあるが、ちゃんと見てこなかった)は気の毒に、ミケランジェロに「綺麗な大理石を台無しにして、プッ」なんて、けちょんけちょんにバカにされたそうですよ気の毒に。
アーチの上に座っているのはゼウスの妻ジュノー(ヘラ)。
両脇にいるのはアルノ川(左)と「パルナッソスの泉」の擬人化だそうです。ふーん。
盛期ルネサンスて、本当に、バリバリにローマ・ギリシアの裸の神様を礼賛だったのねー。
こういう裸像が増えていく富裕な都市を見て、ローマの教皇やマジメな僧たちは、さぞやイラっとしたことでしょう。
そのへんの時代についてまったく無知なので、フィレンツェにきてこういう像をたくさん見て、ルネサンスって面白いー!と今さらながら思うのだった。
でもこの時代は異端審問所が設置されたころでもあり、宗教改革に刺激されてカトリック教会も反省して変貌していく時代でもあって、マジメな僧たちが権力をにぎったあと、フィレンツェでも裸像が弾圧されて、ミケランジェロも最後には裸像ばっかりつくった自分を悔い改めたみたいなことを書き残してたりするのが興味深い。
でも中国の文革みたいになにもかも壊されたりしないでよかった。
こちらも中庭にあった、これは大砲。
100年後、1638年の建造で、実際にピサの街の防衛につかわれていたそうです。
大砲の後ろに首を突き出しているこのひげの方はどなたかというと、なんと!聖パウロさんです!
キリストの使徒パウロさんがこんな好戦的な物体に装着されていてもいいのか、と思ってしまうのはきっと後世の感想であって、戦が日常的な脅威であった時代には、街を守ってくれるありがたい存在として庶民から敬われていたんでしょうね。
青銅製で、ライオンも乗っており、全体に細かい模様が施されているとても綺麗な大砲ですが、まったくのお飾りではなくて、現役の武器だったんでしょう。
これも中庭の回廊にあった、19世紀のヴィンチェンツォ・ジェミートという人のなかなか素敵な「Fishing Boy(釣りをする少年)」。1876年。
目を惹きます。どことなくアール・ヌーヴォーの時代のものだなーっていう感じがするのは、この素材の黒い色なのせいなのか、テーマというか、描写の手法なのかな。
絵画に比べると、今まで彫刻作品ってそんなに熱心に見てこなかったしそもそもそんなに知らなかったけど、ここの美術館の彫刻作品はほんとに素敵なものが多くって、目を開かれる思いでした。
もうひとつ素敵なお尻。
これは黄金の羊皮を探しにいったギリシャ神話の「イアーソーン」。英語読みだと「ジェイソン」だったのね!知らなかった。
1589年、ピエトロ・フランカヴィッラさん制作のお尻です。かなりモリッと盛り上がってますねー。
メインの展示室にはミケランジェロさんやドナテッロさんの裸像がいっぱいでした。つづく。
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