道後温泉に来たら、まずはこの「道後温泉本館」に行かねばなりません。
私とM嬢も、なにはともあれまずこちらで昼ブロ。
今年で改築後120周年を迎えるという、お湯やさん。
『千と千尋の神隠し』の「油屋」のモデルの1つでもあるようです。
この立派な天守閣のような建物は、明治時代に道後の町の初代の町長さんの発案で、城大工の棟梁を使って改築したものだそうです。
ほんとにお城の大工さんが造ったのだから、重厚なわけです。
改築された本館の改装は、明治27年、1894年に完成。
その翌年、松山中学に夏目漱石が赴任して来て、出来たてホヤホヤのこの建物でお湯に浸かったんですねー。
松山での1年あまり、面白い事はあまりなかったようですが、「温泉だけは立派なものだ」と『坊っちゃん』でも書いてます。
『坊っちゃん』に出てくる湯として超有名。わたしも行ってみるまでそれしか知りませんでした。
松山にとってはまたとないパブリシティでしたね。
当然、本館3階の一番良い角に「坊っちゃんの間」があります。
漱石先生が、床の間に。
掛け軸の「則天去私」。わりに、なのか、やはり、なのか、線の細い字ですねえ。
しかしこの床の間の像は、この右上の写真で見慣れた先生に、まったく似ていない。
このお湯やさんのシステムは、3段階にわかれてます。
浴場は男湯女湯とも、地下と2階に二つ。「神の湯」に「霊(たま)の湯」。
「神の湯」だけざぶっと入る、純粋に銭湯的な利用方法は410円なり。
「神の湯」 に入って2階の大広間で入浴後くつろぐコースは浴衣の貸出しとお茶、おせんべいつきで840円。
「霊の湯」に入って別のお座敷で 入浴後くつろぐコースは浴衣貸出し、お茶、おせんべいつきで1,250円。
「霊の湯」に入って3階個室でくつろぐコースは浴衣貸出し、お茶、「坊っちゃん団子」にみかん石けんもついて1550円。
利用時間はどれも1時間で、3階個室だと20分だけ長い。
「霊の湯」コースだと、皇室の方の特別湯殿の見学もおまけについてきます。
微妙な値段設定に、しばし悩む。
めったに来ないことだし、とりあえず3階個室に行ってみました。
時間制限がなかったらここで爆睡してしまいそう。くつろぐー。
お茶を飲んでから「神の湯」にも入りに行きます。
皇室専用の湯殿には表からの専用入り口もあり、控えの間、階段式になっている浴槽、皇室お手洗いも見学できました。お座敷の世話をしてくれるお姉さんがガイドしてくれます。
(基本的に館内はお座敷を除き写真撮影不可)。
専用湯船には戦後に一度昭和天皇も入られたそうですが、建築後2回ほどしか出番がなく、現在ではもう使われてないそうです。
「沸騰時に湧き上る湯の泡、または玉のように飛び散る熱湯」をあらわしてるのだそうで、この本館では屋根の上だけでなく欄間にも彫られていたし、浴衣やタオルやせっけんの図柄にも。道後温泉のシンボルになっていて、町中のあちこちでこの湯玉ちゃんを見ました。
ONSENARTのアート作品の1つ、「霧の彫刻」。1日の決まった時間にぶわーっと霧が出てきて、世界が白くなるという作品。
なんにせよ、ごく自然に町の日常にアートが溶け込んで、境目のない感じが素晴らしかった。
夜の本館。妖しく光る赤いガラス窓もアート作品かと思ったら、これは最初から建物についてるんだそうです。
屋根の上の鳥は、ここの温泉で足を癒やしたという伝説のある白鷺。
私とM嬢は翌朝も、地元のおばちゃんたちにまじって「神の湯」に入りにいきました。
毎朝こんなお湯に入れたら、長生きできそうです。
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