2019/11/24

カルダーの黒い帆


10月のMITさんぽのつづき。

グレート・ドームのあるビルを出ててこてこと歩いていくと、広場に黒い物体がありました。

どことなく、ウイルスみたいな。

アレクサンダー・カルダーのLe Grande Voile (The Big Sail)。
「大きな帆」。

カルダー大好き。マダムMとホイットニー美術館で観たカルダー展、あれほんとに面白かった。

これは1965年の作品。

これがまた、この広場にとっても似合うのです。シンプルなブロックのようなビル(これもかなり好き)に向かい合った、この作品のために用意された広場。


すごくとげとげとした直線的でアグレッシブな面もあり、


角度を変えてみるとオーガニックなかたちになったり。
なるほどこれは「帆」ですね。

このスケール感が、この広場にほんと、ちょうどよくおさまってる感じ。

シアトルのオリンピック彫刻公園みたいに、屋外作品がまとめていくつも設置されているのもよいのだけど、わたしは巨大屋外彫刻はどっちかというと、こういう日常の風景のなかにポンと置かれているのが好きです。

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キンモクセイとサフラン


シアトルの東、カークランドの地に、ねこシッターに来ています。

ねこママにゃを子をさんのお庭に、サフランが咲いている。

「使ってねー」といってくれたけど、何にどう使えばいいのだ。



もぐもぐ。


ぺっ。

昨夏、約3日間ゆくえふめいになり、ねこパパのぴゃっとさんを憔悴させた探検ねこ、ノラちゃん。以降、ラジオ波発信機つき首輪をつけてのお散歩が許可されています。よかったね。



みょうがもあり、山椒もあり、三つ葉もありのにゃを子さんのマジカルなお庭に、にゃんと金木犀が咲いていました。

にゃを子さん、何年か前に植えたけど花が咲かないのよ〜。と以前にいってた。
咲いてましたよ!と写メ送ったら、わー初めてだ、と喜んでました。

でもかなり控えめな花のつきかたで、もう最盛期はおわったらしく、香りはしなかった。

これだけ日本の庭木が普及してるシアトル近辺になぜ金木犀がないんだろうと思っていたけど、気候か土壌のせいなのか、花がつきにくいのかもしれないですね。


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2019/11/22

敷居のひくいMIT


ハーバード大を見物したら、次はMIT、マサチューセッツ工科大学のキャンパス拝見。
ハーバード大からは自転車で10分くらいの距離。
お天気がよかったので、例のブルーな貸し自転車を利用してみました。無事転ばず、大惨事なしに到着。よかった。

シアトルではサウスレイクユニオンのアレン脳科学研究所の前にあるジャウメ・プレンサ作品(先日アップした写真のやつ)ですが、MITにもプレンサさんの作品がありました。

こちらのタイトルは「アルケミスト(錬金術師)」。アルファベットや数字でできている人。

シアトルにある「Meeting of Minds」はアルファベットや漢字など、言語をあらわす記号でできている像ですが、こちらは理科系大学にふさわしく、「ことば」ではなくて数式の記号でできている。

言語や数式を使って世界をつくっていくのが人間というもの。だから「錬金術師」ということなのか。石から黄金をつくりだす存在。

アルケミスト」 というベストセラー小説もありましたね。

この像は、匿名の卒業生がぽんと寄付したそうです。ふーん。
それくらいぽんと寄付できる卒業生がいっぱいいるでしょうからねぇ。


MITの中心的な建物は、「グレート・ドーム」。

1916年建造。ちょうど、シアトルではワシントン大学のスザロ図書館が構想されていたときです。(スザロ図書館は1923年着工)

この時代のアメリカの建物って、壮大な自信にあふれてるなあ、と思う。これからは俺らの時代だ!という気概がびしばしとつたわる。

このビルは、新古典主義と当時最新のエンジニアリングのミックスだそうです。


ギリシャ神殿もびっくりの、壮大なスケールの円柱です。


巨大でこのコラムの狭さがドラマチック。ちょうど素敵なかげんの日差しでした。


おもての壮大さにくらべて、内側は駅の待合室みたいにすっきり簡素なのも理工大学らしいかんじ。
このビルの1階はアドミニストレーションオフィスになっている。


このMITロゴがかわいい。

そしてこのビルのてっぺんの「グレートドーム」の内側はライブラリーになっていて、狭いエレベーターで誰でも上がっていけるようになっている。

おハーバードよりだんぜん敷居が低いですね(見るだけならな)。


「エンジニアリング・ライブラリー」。デスクとソファが配置されていて、コンピュータに向かって一心不乱に何かしている人びとが10人ほど。全員がMITの学生ではないような気がした。でもとっても静かでした。

小さな子ども連れの観光客も見にきていました。


ドーム内側の意匠はわりあいにシンプルです。天井にスカイライト。これもやっぱり駅の待合室をおもわせる。

このライブラリの周囲も小さな学習室やミーティングルームになっていました。思ったよりもダウントゥーアースな印象のMITだった。


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2019/11/21

ハーバード大学であたった


10月のボストン日記。

息子とハーバード大学に行きました。

……見物にな。


アメリカで一番古い、一番有名な大学だけに、ボストンの一大観光地でもある。

よく晴れた週末、 地下鉄の駅を出ると、ハーバード・スクエアという名前の駅前広場は観光客であふれかえってました。

ウォーキングツアーのお客さんが集まってて、ハーバードのロゴ入りグッズをたくさん売ってるCOOPの店があって、テーマパークみたいだった。

広場の向かい側がキャンパスです。↑このロートアイアンのゲートはさすがに素敵な意匠。
内側が工事中でへんな色のタープがかかってて、ちょっとざんねん。



ドラマチックな階段と円柱の図書館。

でも入り口にセキュリティチェックがあって、ハーバードのID持ってないと入れてくれないの。ちぇっ。敷居が高いわね。

まあ世界中からありとあらゆる人が見物に来るんだから、全方面ウェルカムにしてたら大変なことになるのかもしれませんが。


趣きのある、小さめで可愛らしい教会がありました。

…で、あとで(ついさっき)調べてみたらこれはスウェーデンボルグの教えを受け継ぐ「新教会」の教会なのだった。

 へえええええ!

これがハーバード大キャンパスの中(…だと思うけど「すぐ隣り」なのかも。正直どこからどこまでが大学の敷地なのかよくわからない)にあるとは。

教会堂は1901年に建てられたもので、設計はハーバード大の教授を務め、建築学部(現在は修士のデザインスクール)の基礎をつくったというラングフォード・ウォーレンさん。

スウェーデンボルグの説はわたくし、どこかでちょびっと聞きかじっただけで、なにも知りません。キリスト教主流からは異端とされている新教会ですが、19世紀末〜の米国知識人の中にがしっと根を下ろしてたんですね。

ヘレン・ケラーもこの教会の信仰を支えとしていたそうで、スウェーデンボルグに関する著書があります。この教会にも「ヘレン・ケラー・スピリチュアルライフセンター」という部門がある。へええ。読んでみたいな。



バイキングの館のようなとっても不思議な建物(サンダース劇場という劇場も入っている、メモリアルホールという多目的建物)から、不思議なガーゴイルが突き出してました。

南北戦争で亡くなったハーバードの卒業生を記念するために、戦争後まもなく企画されて、1870年代に建設された建物でした。中の劇場はすごく豪華みたいです。

ボストンコモンにも、南北戦争のメモリアルがあった。いずれも巨大。歴史のかなたになってしまっているけど、この戦争がどれだけ大きく、どれだけ大変な出来事だったかを物語っています。

いまの政局が分裂してるどころの話じゃなかったんですよね。両軍合わせて国内で50万人が戦死している。



ビルにペリカンがついている! 生物学研究室のビルでした。

さらにその先には、


 サイがいた!


有機進化生物学部のビルでした。

ほかにもビルのまわりに動物のレリーフがぐるりとあって、扉には…


昆虫とか節足動物とか…


海の生物が…。

友人に蝶がダメな人やカエルがダメな人がいて、今はどうか知らないけど20代の頃はニーマン・マーカスの吹き抜けのところに吊るされている作りものの蝶の大群を見てウキャーウキャーいってましたが、この動物ドアもダメ系の人けっこういそう。

こういうのがダメな人は生物学を学ぼうとは思わないよねw
でも中には、『動物のお医者さん』のネズミがダメな二階堂くんみたいに、どうしても節足動物だけはダメだ!という学生がいて、このドアを通るたびに目をそむけているかもしれない。

カエルがだめな人、CTちゃんにあとで聞いたら、この狛犬のようなサイはけっこう有名なのだそうです。
「なんで有名なの?」と聞いたら

「…サイだから」

という答えがかえってきました。わからないよ。

何も調べないで散歩に行くと、ときには犀にあたることもある。

この近くの自然史博物館&ピーボディ博物館に行きたかったんだけど、あまり時間がなかったのでまた別の日に…と思っていて、結局行けませんでした。

でも比較的短い散歩でスウェーデンボルグと犀にあたった。あとから考えたらずいぶんな収穫だったのだった。


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2019/11/20

ひざをかかえる人たち



ここしばらく雨つづきで、連日、シアトルらしい灰色の空でした。

最近激変しているサウスレイクユニオン。マーサー・ストリートの信号待ちで、クルマの中から撮った写真。

左側の向かい合っている白い人たちは、ポール・アレンさんの脳科学研究所 Allen Institute の前にある、ジャウメ・プレンサさんの「Meeting of Minds: Mirall」。

Mirall は「鏡」という意味だそうで、「自分との対話」をテーマにした作品です。

意識というのは何層にもなっていて、ちょっと静かに内側を眺めてみると、実はいろんな人がいるのに気づく。

見ためもテーマも、このビルにほんとにぴったりの作品だと思う。

大統領弾劾の公聴会がつづいてますが。

今朝きいたNPRのニュースでは、今現在、トランプを弾劾すべきと考える人が45%で、そして今でも、すべきでないと考える人が44%もいるんだそうです。

こういうふうに右か左か白か黒かと分けると、人はそれほどまでに違う世界を生きているのかよと驚いてしまうけど、でも冷静に考えてみたら、有史以来いつだってそうだった。

ただ、当たり前だと思っていた対話の枠組みがこんなにまでめちゃくちゃに、しかも国のトップに立つ人間に壊されてしまうとは。


だけど、ここまでこの国の分裂が見える化されたのは、新しい世代にとってはかえってよいことだったのだ。と、50年くらいたってだれかが言うといいと思う。

あの大統領がひざをかかえて自分の内面を見つめることはたぶんないのだろうけど、今の子どもたちは親の世代よりも自分たちをよく知っているという気がする。

 朝から空は暗いしで、今日のヘビロテミュージックは(なつかしい)The Shinsの「Port of Morrow」。




名曲。
これはシアトルでのライブだけど、演奏はアルバムのほうが数段いいですにゃwww


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2019/11/18

きっと福を呼ぶ、混迷のお飾り


先日メトロポリタンマーケットでみつけたクリスマスオーナメント。…だよね?

いったいこれは、誰なんだ。

蓮華座のようなものに座り、青いベレー帽に赤いヘッドフォンをしていらっしゃる。
しかもクリスマスカラーですっごいデザインの寝間着みたいなものをはおり、はだけた胸にはピースマーク。

何をモデルにしたのかまったく謎だけど、アメリカ人はほていさんも菩薩如来もみんないっしょくたに「ブッダ」と呼ぶので、きっとこれも「ブッダのオーナメント」のつもりなんだろうな。

後ろに控えていらっしゃる金ピカの人も、なんでヘッドフォンしてるんだよ。



こっちもすごいでしょ。この髭、赤いリップ、そしてピンクの頬、ブルーアイズ、そして輝く肌。肩にはタトゥーもはいっていますYO♡♡ 褌はもちろん、ラメ入り♡

毎年クリスマスツリーを飾っているおうちでは、毎年ひとつずつオーナメントを増やしている方も多いと思います。

2019年の思い出は、謎の「ブッダ」または、輝く力士とともに。

混迷を極めた1年には、混迷のオーナメントを。

いろいろ文化的に問題ありありだけど、とにかくおめでたい!きっと招福になるよ!

と思ってCTちゃんに速攻写メを送ったら、「ぜったいに買ってこないように」と即返信がありました。ざんねーん。


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2019/11/17

男でも女でもない、第3のジェンダー


ちょっと前、お天気よかった日ののBallard Coffeeworks。
外のテーブルはものすごくホコリっぽかった。
これから暗くなる季節ですので、日が出てるうちに日にあたっておきませんと。


ゆうべは武闘家じゃない舞踏家薫さん宅のホームパーティーでした。

次々にあらわれるおいしいもの、ケーキやスイーツもてんこ盛りの大宴会。初めてお会いする方やとっても久しぶりに再会した方もあって、いろんなお話が聞けて楽しかった。気づいたら深夜!


自分もシアトルに来てもう10年たつんだなあ、とまたあらためて実感。

ここに来てから知り合った方々も、その後お仕事が変わったり、家族構成が変わったり。街も変わったし、不動産マーケットも変わったし、社会も変わったし。ぼんやり生きてる私にもそれなりにいろいろございましたし。

話題のひとつはジェンダー。大都市で離れて暮らしている20代のお嬢さんがある日突然電話してきて「わたし、これからはノンバイナリーとして生きます」と宣言したという話につづき、最近、ノンバイナリーの人って増えてるね、という話に。

性別を男女に限定しないノンバイナリーの人は、自分をhe/himやshe/herではなくthey/themという代名詞で呼んでほしいと求める。

そういえば半年くらい前に、このあいだまで「she」だった知り合いのボーカリストの子が、最近「they」になったって聞いたんだった。最初に聞いたときはちょっと意味がわからなかったんだけど。

代名詞に性別がある言語ならではの問題。しかしこのtheyはいったい日本語でどう訳したらいいんだろうか。

カレッジでも、あなたは自分に対してどの代名詞を使われたいか(she かheかはたまたtheyか)って、クラスの最初に聞かれるようになったそうです。トランスジェンダーの人もいるしノンバイナリーの人もいるしで。

カリフォルニア州では今年から、運転免許などの公的書類でも自分の性別を男女のほかにノンバイナリーを選べるようになっていたんですね。

ところでこのあいだものすごく久々に、長いこと塩漬けにしてしまっていたぽんず単語帖を更新しました。

トピックは「gender reveal」。赤ちゃんの性別おひろめパーティーが暴走している件について。

これまた今のジェンダー関連の流れに真っ向から逆走するようなトレンド。まあこっちはそのうち沈静化するんだろうけど。

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