2021/11/29

インスピレーションの人、ホリデーの大学いも



日曜の朝はデザイナーのヴァージル・アブローさん死去のニュースにびっくりでした。

41歳、若い。

あちこちの記事を読んで今日知ったけど、ヴァージルさん、建築科出身だったんですね。

ファッションのことなどわたしはほとんどなにも知らないけれど、半世紀前の60年代〜70年代に起きたさまざまな「革命」を思い、ヴァージルさんがルイ・ヴィトンのアーティステイックディレクターに就任してアイコンとなったことも含め2010年代以降に起きてきた実質的な変化を思うと、その「ほんとに変わってきた」ということの厚みに圧倒されます。

60年代の若者たちをいっとき熱狂させたアイデアが着地して実体を持つまでには紆余曲折と挫折と揺り戻しとが何度もあって、もちろん理想の社会正義が実現したわけではぜんぜんないし、貧富の差はますます拡がっているけれど、レプレゼンテーションという面では、ここ10年ほどの変化には、目をみはるものがありますよね。

時代が常識を変えていく速度、実際にプラットフォームも変わっていく速度が加速しているんですね、よくも悪くも。

そして、変化を恐れたり憎む人たちの抵抗もそれだけ激しくなってきている。

ヴァージルさんの才能はなんといっても、時代の事象をつかまえてプロジェクトに落とし込んでいく才能だったのだろうなあと思います。そのエネルギーの量たるや。

多くの若者たちに、とてつもない量のインスピレーションを与えながら、日々、なにか新しいことをしていた人。うちの青年ももちろんその一人。


「いつも17歳のバージョンの自分のために仕事をしていた」というヴァージルさんの言葉が紹介されていました。RIP。



きょうは久しぶりに晴れて(サンクスギビングの長い4連休はずっと雨降りだったのに)、きれいな夕焼け。

しかし日没が早くなりましたね〜。まだ冬至までに20日以上あるのに。

 


 なんだか19世紀ロマン主義の大作絵画みたいなかんじのドラマチックな空。
荒れ狂う海、龍、海の怪物、難破する帆船、火を吹く大砲、て感じがしませんか。

 



サンクスギビングは、アーティストのSさん宅におまねきいただきました。
ベジタリアンディナーだというので、肉食人のうちの青年は一瞬かたまった。



でも、豆のローフのほかにミートローフも用意してくださっていました。

美しいリビングルームにていろいろな世界のお話が聞けて、楽しかったです。


 わたくしは簡単大学いもで参加。コウケンテツさんの揚げないレシピ。ちょっと焦がした。

 


 Mさんのパイ2種もたいへんおいしくいただきました。




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2021/11/24

火焔とCT室の巨匠


はにわーずの秋シリーズ、第二弾。

バカですみません。

しかしもうサンクスギビングですね。





こちらは枕もとを守ってくれている、かえるくんにメープルの葉。火焔のようでかっこいい。

似合う。

お不動様のお寺から来てくれているカエルくんなので、このように火焔のようなバックグラウンドが似合うのでしょうか。

 

うしろにいるのは、安定のサイトウさんです。

 


またCTを撮りにいってきました。
かかりつけの腫瘍内科医エド先生はCTを撮りにいってきなさいというのを「take pictureして(写真とって)きましょう」といいます。

造影剤を点滴で入れる準備をアジア人の若い女の子がやってくれたのだけれど、左腕に管を入れたらかなり痛かったので右腕でやりなおしてもらったら、もっと痛かった。

肘の内側のいつも採血されている静脈なのだけど、カテーテルがどういうわけか神経にさわってしまったようです。
あとで両腕とも内出血になって、その後3日くらい紫色だった。

ちょっとくらい痛くても数分のことだし大丈夫だから、といおうとしたら、彼女が同僚のおじさんに頼んで、そのおじさんがやりなおしてくれました。

オレも忙しいのにまったくもぅ、とちょっとむっとしていたのか、注射器や針のはいったパッケージを片手で通常の3倍速くらいでバリバリと開けて準備しているので、うわ大丈夫かな、と一瞬不安だったのですが、なにが起こったのかわからないうちに、腕の下のほうの、ふつうここに針はささないよね、というところの静脈に、見事に点滴用カテーテルがはいってました。

痛みほぼなにもなし。針をさしてから2秒で完了でした。

ここにも魔術師がいた。
「すごっ!はやいですね」というと、「20年やってるからね」と、匠の風格でこたえるのでした。マエストロ。

検査の結果は、おかげさまで肺のほうはステイブル(よくはなってないけど特段進行もしてない)でした。これは朗報。

しかし肝臓のほうの腫瘍がひとつ、大きくなってきているので、医師のすすめで、来月は初の放射線治療をする予定です。


 

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不気味でかわいいものたち

 


このあいだマダムMにいただいたお宝、ヒグチユウコさん絵皿。 

すこしホラーでかわいい細密画、好きです。

 

 

不気味かわいい細密画といえばこちらも。


ことしの初夏に、海辺の小さな本屋さんで見つけて即買いしたお気に入りの言葉のない絵本『WANDERER』。

日本語版が、今月出版されたようです。ぐうぜんアマゾンでみつけました。


訳者は岸本佐知子さん! やはりタイトルの訳か!
解説かエッセイを寄せているのかな。

日本語タイトルは『旅する小舟』という、とてもロウキーな、けれんみのない選択で、なるほどさすがですね、と納得。

求龍堂という出版社からです。ほんとに不気味で詩的でステキな本なので、書店でみかけたらぜひ手にとって見てみてくださいね。

USのアマゾンでは、なんとKindle版も出ています。でもやっぱりこれは紙でないと!!

 

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2021/11/19

わたしたちがいない世界で

 

フィニーリッジの住宅街で見かけた、古いベッドを利用した花壇。英語で苗床や花壇のことをbedといいますが、これが本当の「フラワーベッド」……😀😀😀(ついにブロガーでもEMOJIが使えるようになっていたのでためしに使ってみました)

先日、Apple TV+のドキュメンタリー『THE YEAR EARTH CHANGED』を観ました。


 





コロナ禍のために世界中で人間の活動が止まった年に、自然環境に起きたことの記録。

インドの町では30年間スモッグで隠されていた200キロ先のヒマラヤ山脈が突然見えるようになり、アラスカでは海が静かになったのでクジラが安心して子育てできるようになり、フロリダでは人のいなくなった砂浜でウミガメのお母さんがゆったり産卵できるようになり、奈良では鹿が鹿せんべいをもらえなくなって、かわりにヘルシーな食事をするようになり…。



15年くらい前に、『The World Without Us』という、人間が急にいなくなった世界はどうなるか、を描いたノンフィクション本が ありましたが、まさかヒトがいない世界を本当に目撃する日がくるとは。

人間の経済活動が止まり、人の姿がなくなった世界のあまりの清浄さに衝撃を受けました。

急激な「浄化」ともいえる作用をなんとも胸が痛くなるような美しい映像で見せられて、涙が止まらず。

サバンナで、チーターの狩りを見に来る観光客たちの車の騒音で、チーターのお母さんが子どもを呼ぶ小声が聞こえづらくなっていた、というのが哀しい。見物の観光客が減ってノイズがなくなったぶん、子どもたちがすばやくお母さんの声をききつけられるようになり、子どもの生存率が上がっているそうです。

(チーターのお母さんはシングルマザーなので、子どもを安全な場所に残してひとりで狩りをするのですが、獲物を捕まえたあと大声で呼ぶと、幼い子どもが天敵の注意を惹いてしまうため、小さな声で呼ぶのだそうです。そして、チーターが獲物をつかまえる狩りは、観光客にとってもっとも見たいショウのひとつ。)

野生動物を野生の環境で見たいという欲が、動物の迷惑になっているんですね。


人類の経済活動って結局あくなき欲望の追求なのだということが、あらためて、単純に衝撃的に、ずしんと響きました。

経済活動をちょっと差し控える、たとえばカメのために一定期間ビーチを立ち入り禁止にしたりするだけでも、かなり大変な反対に遭うことだろうし、動物のためだけでなく環境のためになにかをやめる、開発や便利さをあきらめる、なにかを手放す、ということは極端にむずかしい。

コロナが落ち着いたらすっかり元通り、になるのか、前より悪くなるのか、よくなるのか、何かが変わるのか。

50年くらいあとになって、あのときに人類が気づいて経済活動をスローダウンさせられていたらよかったのにね……なんてことになりませんように。


いまの時代はいろいろな意味でターニングポイントなのかもしれないですね。


 

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2021/11/18

夕方の虹


快晴の火曜日夕方、フィニーリッジの丘の上を散歩していたら、急に夕立ちがぱらぱら降ってきて、鮮やかな夕日の虹が立ちました。

ちょうどとおりかかったカナディアンギースのみなさんをフレームに入れようとがんばってみたものの…。


すこしあとのダブルレインボー。これはカメラの設定を間違ってポートレイトモードにしたままでピントが合わず、なんだかポラロイドぽく懐かしいぼんやりモードの仕上がりに。

淡いピンク色の雲が夢のように綺麗でした。


フィニーリッジの丘の上は、東にグリーンレイクとカスケード山脈、西にはピュージェット湾とオリンピック山脈が見えるというぜいたくな場所です。

これはフィニーのコミュニティセンターの横のところから見えるグリーンレイク。

山にはきらきらした新雪が積もっていました。



真新しい雪をかぶった山の上に、だいぶ太ってきた月がのぼってくるところでした。





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2021/11/16

だいぶ違うけどそれなりに



きょうも朝のうち灰色の雨が降ってびゅうびゅう風が吹いていましたが、午後から久しぶりに快晴に!なんとまあ、違う惑星にいるかのような明るい色彩であることよ。

 


あともう数日の紅葉。

先日デンワを買ったら、おまけにApple TV+のサブスクリプションが3か月無料でついてきたので、いま『ファウンデーション』を観ています。

とりあえずのシーズン1は10話完結で、最終回は今週金曜日に配信。

 


 

やはりやはり、アイザック・アシモフの原作とはかなりかけ離れた内容です。

原作はシリーズ1冊めしか読んでいませんが、だいたい50ページくらいごとに50年くらいの時間が経過し、そのたびにすっかり登場人物が入れ替わる壮大な時系列の話なので、そのままドラマにするのはかなり困難と思われ、やはり原作にはまったくないテロや撃ち合いや恋愛や殺人がドラマを添えています。

中学生のときに原作を熱愛していたという経済学者のポール・クルーグマンさんなどは、このあいだのニューヨーク・タイムズのニューズレターで(『デューン』を激賞する一方で)あまりにも原作と違っているので「オレはもう観るのをやめた」と言ってらっしゃいましたが、まあそう捨てたものでもありませんよー。

帝国のクローン皇帝たちは面白いし、ビジュアルも、そりゃ『デューン』とくらべものにはならないにしても、主人公のひとりガールの故郷の水の惑星なんかとてもキレイでした。

トランターとターミナスの描写は原作よりもかなりスケールダウンしていて、目の回るような壮大さまでは感じられないのが残念だけど。とくにターミナスのファウンデーションは10万世帯が移住して、少なくともつくば学園都市くらいの規模があるはずなのに、ちょっとスケールが小さすぎてがっかりでした。でもトランターの図書館はステキ。

それとタイトルのタイプフェイスがかわいい。



 

この間、ドラマを見る前にも書きましたが、原作はなにぶん1951年、戦後まもなくの出版で、科学万能の時代の楽観主義にあふれています。

科学の子・原子力の子『鉄腕アトム』の楽観主義と同じ色合いの楽観主義。

なにしろ原作は、人類の科学の知を守るファウンデーションが近所の野蛮な惑星に対して、科学技術を神秘の宗教として印象づけ、その司教たちを派遣することでうまいこと優位に立ってパワーバランスを保つという、21世紀のいまよく考えるととてもとてもポリティカリーにインコレクトなひどいお話ですが、ドラマのほうでは、低レベルの蛮人を騙してまるめこもうというのではなくて、正攻法で話し合ってみんなで力を合わせよう!というような方向にひっぱっていきそうな感じです。

なによりも、原作の登場人物は男性ばかりだけれど、ドラマシリーズの中心キャラクターは二人とも黒人の若い女の子だし、ファウンデーションを襲ってくる近隣惑星の軍団のいちばん強い戦士も女子戦士です。

第9話のラストではファウンデーションの創始者ハリ・セルダンが「えっそこからか!」と思うところから登場してびっくりでした。

原作では、セルダンが生前に録画した立体ビデオが再生されるのでしたが、ドラマでは、どうやら、わたしの理解が正しければ、セルダン博士はAI的な意識存在になっているらしい。つまり時空を超えている。それも面白いなと思います。

金曜日の最終話がかなり楽しみ。なんだかものすごく久しぶりに「放映を待つ」感じが懐かしいです。



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2021/11/15

雨ととんかつ


とんかつを食べにいってきました。おいしかったです。



土曜日の夕方。午後5時なのにもうこんなにまっくら。
雨のなか、開店前に行列ができていました。

キャピトル・ヒルの「こぶたとおおかみ」。とんかつ、人気ですね。

人気なので並ぶのがつらいけど、6名以上だと予約ができるということなので、7名で集合。コロナ以降初めての再会メンバーでした。

ワクチン接種証明書の提示がもとめられますが、写真をスマートフォンの画面で見せる人が圧倒的に多く、店員さんも画面をちらっと確認するだけでした。わたしも一応紙版もお財布に入れてはいるけど、スマートフォンで提示。

ワクチンパスポートのようなアプリで本人確認ができればよいのでしょうけど、アメリカではそもそもワクチン接種そのものが政治的な論争のたねになっていることもあるし、いろいろ複雑な理由があるようで、連邦から市にいたるまで政府はまったくそんなもの開発する気はなさそうだし、民間もあえてだれも手を出そうとはしてないようです。触れてはならぬ領域になっているような。



冷静に考えるととんかつ店としてはかなりブラックな店名だけど、ロゴのデザインがかわいい。



ソースにすりたての白ごまを混ぜて食べるように、小さなすり鉢とすりこぎが出てきて楽しいです。

きゃべつの千切りの細さは日本のスタンダード。かつもかりっとあがっていておいしかったです。

日本語の店名にするのならば、ごはんとお味噌汁はもうひと息がんばってほしい。

9月にオープンしたばかりで、押し寄せるお客さんをさばくのにまだスタッフが右往左往してる感じでした。

しかし、生活がもとに戻ってきたなー、と実感しました。道も混んでるし。

完全にもとには戻らない部分ももちろん出てくるだろうし、なにが変わってなにが変わらないのか、目に見えてくるのは来年あたりなのかもしれませんね。


今週はずっと雨。朝から夕方みたいに薄暗い、ザ・シアトルの晩秋、という天気が続いています。



 雨のなか、キャピトル・ヒルの町ではワカモノたちがぞろぞろ密に歩いてました。

 

 

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