2021/01/13

炭治郎とオバマ


これは↑2018年の7月に行った、熊野本宮の大斎原です。

朝、だれも人がいなくて、川には低い霧がかかっていて、田んぼの上に蜻蛉がたくさん飛んでいました。すがすがしかった。

日本の原風景のひとつ、だと感じました。

日本にはなんだか切実な不安を抱いて陰謀論にはまっちゃっている人が続出しているようです。日本の神様たちがそっと、心を正して、安心させてあげてくださいますように。


ところで鬼滅の刃、ただいま20話目が終わったところです!佳境です。

日本の最近のアニメがつまらないっていってごめんなさい。

最近Netflixで期待して見たアニメが軒並みつまらなくてがっくりだったのですが、これは面白いっす!

『サムライチャンプルー』で育ったうちの青年も気に入ってます。


ウェブサイトはまだ「COMING SOON」になってますね。無限列車。
はやく公開されないかな。

CGを駆使した奥行きのある背景。特に、炭治郎たちが山へ歩いていく場面の、低い穏やかな山々の重なりが美しくて、ああ、日本の山だー!とぐっときました。

鼓の鬼がいる家のふすまや天井も美しくて、驚いた。
ふすま絵は誰かがかなり楽しんで描いてるのかなーって気がする。
浅草の夜の風景もよかったなー。

「水の呼吸」の技の描写も綺麗で大好きです。
浮世絵を劇画風にしたみたいな独特のタッチが面白い。

そしてキャラクターがみんな一生懸命でかわいいですねー。

最近のアニメには今の日本の自信のなさが反映されていて(何度も言うけど、攻殻機動隊よ………)見ていて息苦しく感じることがあるのだけど、このアニメにはまったくそれがなくて、みんなそれぞれ元気いっぱいで。

肋骨が折れても戦うって…昭和の星飛雄馬よりも根性あるのに!炭治郎くんはどよーんと暗くなることがなくてひたすらまっすぐにチャレンジしていくところがいいな。コロナで家籠もりのときに、このひたむきな明るさが刺さるの、わかります。


(なにげにネタバレてますが、もう日本語圏の人は全員見ている気がしている……)。

炭治郎はいい子だねー。釈迦なのか。菩薩か。ナウシカか。

こんなにほかの人のことばかり全力で気遣う少年はそうそうこの世に生まれていないよね。泣ける。みんな炭治郎みたいに人に優しく強く生きたいと思うからこそ、この作品は支持されてるのだと信じたい。

そして、いまのZ世代には日本にもアメリカにも、ああいう明るい目をした清々しい子たちがけっこういると思う。

世界のあちこちにミニ炭治郎がいるから、人類の未来は大丈夫だって思える。

ドロヘドロも鬼滅の刃も、原作者が女性だっていうのが面白いですね。
かなりグロい殺傷シーンがあるのも共通。『鬼滅』は息子が低学年だったら見せるのに躊躇すると思う。

とはいえ、現実にも鬼がいる。

人を中傷しつづけ、ウソをばらまき、嫌悪と恐怖を煽ることで支持者の熱情を掻き立てて、とうとう暴徒にしてしまった指導者とか。


暴力をふるったり人を揶揄したり、集団で狼藉をはたらいて鬱憤を晴らすことに下劣な喜びを見出す人たちや。

6日の議事堂襲撃の際の、なんともひどい映像や画像が次々に明るみに出てきて、見るたびに心が沈む毎日ですが、そんななかでクーリエ・ジャポンに掲載された『アトランティック』誌のオバマ前大統領へのインタビュー記事(原文は去年11月のもの)の翻訳を読んで、まじで泣けてきました。

静かに号泣。

あんな小学生みたいな駄々っ子がヒーローになるとは…」オバマが斬る右派ポピュリズム | クーリエ・ジャポン]

『アトランティック』誌の元記事はこちら

「何が真実で何が虚偽であるかの区別もつかないようなら、定義上、言論の自由市場は成り立ちません。定義上、この国の民主主義も機能しません。私たちはいま認識論的な危機を迎えています」


そうですね。そして11月以来、それが驚くほどの勢いで加速している。




「あなたや私が育った時代、アメリカ文化に登場する古典的なヒーローといえばジョン・ウェインやゲーリー・クーパー、クリント・イーストウッドみたいな人たちでした。男らしさを定める行動規範があったんです。男は有言実行で責任をとり、愚痴を言わず、弱いものいじめをしない。むしろ、いじめっ子から弱い人たちを守るのが男でした。

だから、ポリティカル・コレクトネスに辟易している人たちでも、まさか金持ちのボンボン的な──愚痴とウソばかりで、責任なんて絶対とらない人間──をヒーローとみなすようになるとは思いませんでした」

……うん(涙)。
群衆に向かって「議会へ向かおう!」と焚きつけながら自分はホワイトハウスに隠れてテレビを見ていて、議事堂から議員が「なんとかしてくれ」と電話をかけても一切出なかったという、「親分」。自分の言動に責任をとったことが4年間一度もなかった。テレビに出れば自己憐憫と愚痴ばかり。

ほんとうに、日本でトランプを礼賛している人たちが「親分」の品性を正確に評価できず、崇拝していることが一番の謎です。言葉の壁の問題だけなのかな。



さらにオバマの言葉。

「私には変わらない信念があります。それは人類がもっと優しくなれる。もっとフェアになれる。もっと合理的になれる。もっと寛容になれるという信念です。そうなるのは必然ではありません。歴史は直線で動きません。でも、善意の人がそれなりの数集まり、このような価値観のために行動する覚悟さえあれば、物事は良い方向に変わっていくのです」


うう…(号泣)。炭治郎……。

こういう言葉で語れる人が大統領であった時代もあったのに。つい数年前に。 もう遠い昔になってしまいました。



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