2018/07/30

蔵王堂とカエルたち


吉野の朝。5時ころに巫女M様に声をかけられてぱっちり目が覚めると外がこんなことになっていて、もう眠れる感じにならなかったので、そのまま支度をして早朝お散歩に。

いつもはよく寝るわたくしですが、旅先では貧乏症のため、わりと早起きになります。



宿の前には柴犬さんが。まだ道路が涼しいあいだに、ぺったりとおひるね。


宿は坂の上にあって、細い坂道を降りていくと、古い構えのお店が並ぶ門前町に出る。

瓦の庇の上に鍾馗さんがいた。この顔も格好も、完璧にデビルそのものだ。本人か。


もちろんまだお店はひとつもあいちゃいませんでしたが、気になる提灯があちこちの軒先に吊ってある。
蛙飛行事ってなんだ。

坂をどんどん下っていくと、金剛山寺の「蔵王堂」がバーン!と登場。


檜皮葺の屋根を持つ「東大寺に次ぐ規模の木造の建築」と前の日に宿の人が言っていたのを聞き流していて頭に入っていなかったのだけど、この山の中にほんとにここまで大きなお寺がぽんっと出てくると思ってなかったので、衝撃を受けた。

すごく立派な本堂。

でもやっぱり何度か火事で燃えて、これは16世紀に再建されたものだそうです。


本堂のなかは撮影禁止なので写真はありませんが、柱がみんな、一抱え以上ある大きな無垢の丸太であるところも山のお寺らしいワイルドさ。いままでに見たことのあるどんなお寺よりも、豪胆で率直な印象を受けました。

しかもツツジとか梨といった、ふつうこんなに巨大化しないだろうと思うような木もある不思議建築である。

ユネスコの世界遺産にも登録されてるんだそうです。

ここは役小角がひらいたといわれる独自の修験道の本山であって、高野山とも比叡山ともちがい、ご本尊は「蔵王権現」というここだけの独自の存在なのだった。

「権現」というだけに、神でもあり仏でもあり、神でもなく仏でもないという不思議に折衷的な存在。

役小角さんがが山の中で千日の修行を行ったのちに、この権現があらわれたと伝わっているそうです。

 役小角さん。金剛山寺サイトよりお借りいたしました。

 御本尊の蔵王権現は3体あって、年に一度くらいしか公開されていない。
今年は3月〜5月に公開されたそうで、残念ながら見られませんでした。

3体の蔵王権現が、釈迦如来、千手観音菩薩、弥勒菩薩の化身として祀られているというのです。お寺のサイトに公開された写真がありました。


 めっちゃ怒ってらっしゃいますけど、なんか親しみが持てるお顔である。


まだ拝観時間ではなかったので、外から見るだけで失礼しようと思っていると、法螺貝を抱えた若いイケメンお坊さんがやってきて、これから朝の行が始まるところなのでよかったらどうぞどうぞ♪と、とっても明るく爽やかに誘ってくださった。

うわーい!とありがたくお言葉に甘え、お坊さん(ほとんど若い人ばかりだった)8人くらいの迫力ある勤行を、本堂のどまんなかでM嬢と二人で聞かせていただくという、贅沢な目にあわせていただきました。

勤行の最後は、お経をとなえながら本堂の奥の像たち(如来や不動明王、聖徳太子もいた) を訪ねてまわる。これもお誘いいただいて、いちばん最後にくっついて回らせてもらう。最後に役小角像にご挨拶してシメでした。

若いお坊さんにいろいろお話お伺いして、もと来た坂を大汗かいて(すでに暑かった)上り、宿の露天風呂で朝日を浴びながら汗を流して、朝食の席へ。
そしてまだ8時。なんと贅沢。

ごはんを食べてチェックアウトして、そろそろお店があき始めた門前町をもう一度訪ねてみました。
そして車の鍵をなくした



どのおうちも歴史ある店構えでしみじみ素敵なのだけど、特に目をひきつけて離さないのがこのガマガエルが鎮座する「陀羅尼助丸」のお店。

これは黄檗などが主な材料とするお腹のくすりで、ガマガエルは原料にははいっていない。


リアルすぎるガマちゃんなのである。


カエル柄の暖簾も、味がある素敵デザイン。家にほしいかといえばほしくないが。

胃腸が弱いわたくしは、この陀羅尼助丸を買ってみました。まだ服用してみていません。


お店のおねえさんに「蛙飛行事」について聞いてみると、「カエルの格好をした人が神輿に乗って回る」という話。………?

探してみると動画があった。



蔵王堂で行われる、かなり盛大な行事なんですね。

ブログで詳細な写真とともに紹介している方もありました。

「蛙の姿に変えられた人間が、行者さんの法力によってまためでたく人間に戻してもらう」というストーリーのようです。
修験道の力を喧伝するマーケティングイベント的な感じですね。いつ頃から行われていたのかはお寺のサイトにも記載がない。

提灯のデザインが涼しげで素敵です。



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