2021/12/04

おミクロン


 先日ナパ・ヴァレーに行ってきたCTちゃんにいただいた、巨大マカロン。おいしゅうございました。

金木犀のお茶もいっしょにいただいた。あまり、おおお、キンモクセイだ!という香りではないけれど、ほのかに甘い香りがする、明るいお茶でこちらもおいしいです。ごちそうさまでした。

しかしオミクロン。

神に誓って、マカロンにかけた親父ギャグではありません。本当に、たったいま、書いていて気づいたのです。

しかし、このように、知らないうちにベタなダジャレを飛ばしていたことに気づき青くなることがこれまでの人生で多々ありました。
なんらかのダジャレの神様がついているとしか思えない。この才能をどうしたらいいのだろう。

ついでに「おミクロン」て名前はかわいいよね、っていってもだれも相手にしてくれないのですが、それはさておき。

日本行き新規航空券発行受付を停止、という政府の要請はさすがに数日で撤回されて、よかったです。

しかしいざとなったら日本政府は在外邦人をすっぱり切り捨てることもあるんだな、ということがわかってしまって、やはりかなり衝撃でした。もちろんお役所と政治家のあいだでコンセンサスが取れての手段じゃなかったから数日で撤回になったのでしょうけど、それにしても乱暴な。

 


 


そしてオミクロンの市中感染が出た州からの日本入国者は、入国後3日間、またホテルで隔離になってますね。いまのところカリフォルニア州やニューヨーク州はじめ数州だけど、ワシントン州が仲間になるのも時間の問題。

州単位で指定するのもほんとーーーーーーに意味ないと思うんだけど…。

オミクロン、結局ぜんぜん心配するほど凶悪ではありませんでした、過剰反応でした、ってなるといいんですけどね。

年末年始は無理かもだけど、年明けくらいに行きたいなあ日本、と思っておりますが、行きも帰りもPCR検査必要で、2週間の隔離が必要で、と、ほんとにハードル高くて、腰が引けています。


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2021/12/02

華麗で凡庸な悪人の話



レディ・ガガとアダム・ドライバー主演の『House of Gucci』を観にいってきました。

今回は、ご近所のMajestic Bay Theatresへ。歴史ある独立系のローカル映画館で、コロナで閉館していたあいだ、一時は存続があやぶまれたこともありましたが、無事にサバイブしてくれました。

本編上映前に上映された映画館のPRムービーにはオーナーが登場して、支援のお礼とともに「ウチはウイルスを殺す仕掛けがあるから安全ですっ」と力説していました。紫外線かなにかで室内の空気を清浄にするマシンを導入してるそうです。ほんとか!!

この映画館では、入り口でちゃんとワクチン接種証明を提示して入りました。
紫外線の効果はともかく、そのへんがまったくいい加減で人が多いシネプレックスよりは安心度は高いです。

で『ハウス・オブ・グッチ』。日本では1月公開だそうです。

以下ちょっとだけネタバレあるかもしれません。

 



ぜんぜん前知識なく、これがリドリー・スコット監督だということすら知らず、グッチ家の物語も知らず、予告編を観ておもしろそうだと思っただけで観に行ったんですが、…面白かった。

すくなくとも、画面はとっても見ごたえがありました。俳優陣がなにしろすごい。

ぐぐったらすぐにわかる有名な事件でおわる結末も、まったく知らなかったので、いったいこの話がどこへいくのか、フィールグッド映画なのかそうではないのかすらも最後のほうまで見当がつかなかったのですが、うーん、この映画に関しては、むしろ二人がどうなるかのリアルストーリーを先に知っていたら、そのほうがもっと楽しめたかもしれない、と思います。

というのは、レディ・ガガ演じるパトリツィアにも、アダム・ドライバー演じるマウリツィオにもまったく感情移入ができないことに、途中からイライラしはじめたからです。

そのへんでフィールグッド映画でないことにはうすうす気づいてくるんですが…。

 主要登場人物には一人も共感できない映画でした。

パトリツィアはチャーミングだけれど強烈な上昇志向とプライドのほかには内面がなにも描かれず、マウリツィオも一見洗練されていて魅力的だけれど、凡庸で流されやすく、冷たくて自己中心的で上すべりで面白みのない人間として描かれている。

華麗な世界の欲とエゴにまみれた人々、ではありながら、とっても凡庸で退屈な人たちのストーリーになっています。(映画が退屈という意味ではありません)

出てくる人にまったく共感できない、けれどすごく面白いお気に入り映画っていくつかあって、たとえばエマ・ストーンの『女王陛下のお気に入り(The Favourite)』とかアダム・サンドラーの『アンカット・ダイヤモンド(Uncut Gems)』は、その嫌なやつぶりがあまりにも突出していて、とてもエンターテインメントでした。

そして、同じリドリー・スコット監督の『悪の法則』は、無表情な悪が淡々と描かれていて、とても怖い映画でした。

でもこの映画のグッチ家の人々は、華麗なるお金持ちではありながら、とっても凡庸。

まったく怖くはないし、共感もできない。

外見は魅力的で見ごたえがあるのだけど、なかみは平凡で退屈なキャラクター。そのなかみのからっぽぶりを、ガガもアダム・ドライバーもとてもよく演じていると思います。

むしろこれはコメディとして見たほうがいいのかもしれません。でもそれだったら最初からそう言ってよ、という気もする。なんだかちょっとどうしたらいいのか困ってしまう感がある映画でした。

濃いドラマだと思って観たらコメディだったという……これはまんまとリドリー・スコット監督の思うつぼなのかな。

トム・フォードも、「観ながら何度も爆笑したけど、笑うべきだったのかどうかわかんない」と言ってました。



ガガ様とアダム・ドライバーその他の出演者たちのイタリアンアクセントは賛否両論あるようですが、わたしは観ていてちょっと疲れた。

それがどのくらい「正確な」アクセントかまではわたしには判断できませんが、イタリア人の話をわざとらしいイタリアンアクセントの英語でアメリカ人が演じるということ自体が、なんだかなー、と思い、イタリア語でやらないのならふつうのアメリカ英語でいいじゃないのと思ったのだけど、でも!!これはブラックなコメディ映画だというのなら、納得できます。


 
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2021/11/29

インスピレーションの人、ホリデーの大学いも



日曜の朝はデザイナーのヴァージル・アブローさん死去のニュースにびっくりでした。

41歳、若い。

あちこちの記事を読んで今日知ったけど、ヴァージルさん、建築科出身だったんですね。

ファッションのことなどわたしはほとんどなにも知らないけれど、半世紀前の60年代〜70年代に起きたさまざまな「革命」を思い、ヴァージルさんがルイ・ヴィトンのアーティステイックディレクターに就任してアイコンとなったことも含め2010年代以降に起きてきた実質的な変化を思うと、その「ほんとに変わってきた」ということの厚みに圧倒されます。

60年代の若者たちをいっとき熱狂させたアイデアが着地して実体を持つまでには紆余曲折と挫折と揺り戻しとが何度もあって、もちろん理想の社会正義が実現したわけではぜんぜんないし、貧富の差はますます拡がっているけれど、レプレゼンテーションという面では、ここ10年ほどの変化には、目をみはるものがありますよね。

時代が常識を変えていく速度、実際にプラットフォームも変わっていく速度が加速しているんですね、よくも悪くも。

そして、変化を恐れたり憎む人たちの抵抗もそれだけ激しくなってきている。

ヴァージルさんの才能はなんといっても、時代の事象をつかまえてプロジェクトに落とし込んでいく才能だったのだろうなあと思います。そのエネルギーの量たるや。

多くの若者たちに、とてつもない量のインスピレーションを与えながら、日々、なにか新しいことをしていた人。うちの青年ももちろんその一人。


「いつも17歳のバージョンの自分のために仕事をしていた」というヴァージルさんの言葉が紹介されていました。RIP。



きょうは久しぶりに晴れて(サンクスギビングの長い4連休はずっと雨降りだったのに)、きれいな夕焼け。

しかし日没が早くなりましたね〜。まだ冬至までに20日以上あるのに。

 


 なんだか19世紀ロマン主義の大作絵画みたいなかんじのドラマチックな空。
荒れ狂う海、龍、海の怪物、難破する帆船、火を吹く大砲、て感じがしませんか。

 



サンクスギビングは、アーティストのSさん宅におまねきいただきました。
ベジタリアンディナーだというので、肉食人のうちの青年は一瞬かたまった。



でも、豆のローフのほかにミートローフも用意してくださっていました。

美しいリビングルームにていろいろな世界のお話が聞けて、楽しかったです。


 わたくしは簡単大学いもで参加。コウケンテツさんの揚げないレシピ。ちょっと焦がした。

 


 Mさんのパイ2種もたいへんおいしくいただきました。




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2021/11/24

火焔とCT室の巨匠


はにわーずの秋シリーズ、第二弾。

バカですみません。

しかしもうサンクスギビングですね。





こちらは枕もとを守ってくれている、かえるくんにメープルの葉。火焔のようでかっこいい。

似合う。

お不動様のお寺から来てくれているカエルくんなので、このように火焔のようなバックグラウンドが似合うのでしょうか。

 

うしろにいるのは、安定のサイトウさんです。

 


またCTを撮りにいってきました。
かかりつけの腫瘍内科医エド先生はCTを撮りにいってきなさいというのを「take pictureして(写真とって)きましょう」といいます。

造影剤を点滴で入れる準備をアジア人の若い女の子がやってくれたのだけれど、左腕に管を入れたらかなり痛かったので右腕でやりなおしてもらったら、もっと痛かった。

肘の内側のいつも採血されている静脈なのだけど、カテーテルがどういうわけか神経にさわってしまったようです。
あとで両腕とも内出血になって、その後3日くらい紫色だった。

ちょっとくらい痛くても数分のことだし大丈夫だから、といおうとしたら、彼女が同僚のおじさんに頼んで、そのおじさんがやりなおしてくれました。

オレも忙しいのにまったくもぅ、とちょっとむっとしていたのか、注射器や針のはいったパッケージを片手で通常の3倍速くらいでバリバリと開けて準備しているので、うわ大丈夫かな、と一瞬不安だったのですが、なにが起こったのかわからないうちに、腕の下のほうの、ふつうここに針はささないよね、というところの静脈に、見事に点滴用カテーテルがはいってました。

痛みほぼなにもなし。針をさしてから2秒で完了でした。

ここにも魔術師がいた。
「すごっ!はやいですね」というと、「20年やってるからね」と、匠の風格でこたえるのでした。マエストロ。

検査の結果は、おかげさまで肺のほうはステイブル(よくはなってないけど特段進行もしてない)でした。これは朗報。

しかし肝臓のほうの腫瘍がひとつ、大きくなってきているので、医師のすすめで、来月は初の放射線治療をする予定です。


 

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不気味でかわいいものたち

 


このあいだマダムMにいただいたお宝、ヒグチユウコさん絵皿。 

すこしホラーでかわいい細密画、好きです。

 

 

不気味かわいい細密画といえばこちらも。


ことしの初夏に、海辺の小さな本屋さんで見つけて即買いしたお気に入りの言葉のない絵本『WANDERER』。

日本語版が、今月出版されたようです。ぐうぜんアマゾンでみつけました。


訳者は岸本佐知子さん! やはりタイトルの訳か!
解説かエッセイを寄せているのかな。

日本語タイトルは『旅する小舟』という、とてもロウキーな、けれんみのない選択で、なるほどさすがですね、と納得。

求龍堂という出版社からです。ほんとに不気味で詩的でステキな本なので、書店でみかけたらぜひ手にとって見てみてくださいね。

USのアマゾンでは、なんとKindle版も出ています。でもやっぱりこれは紙でないと!!

 

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2021/11/19

わたしたちがいない世界で

 

フィニーリッジの住宅街で見かけた、古いベッドを利用した花壇。英語で苗床や花壇のことをbedといいますが、これが本当の「フラワーベッド」……😀😀😀(ついにブロガーでもEMOJIが使えるようになっていたのでためしに使ってみました)

先日、Apple TV+のドキュメンタリー『THE YEAR EARTH CHANGED』を観ました。


 





コロナ禍のために世界中で人間の活動が止まった年に、自然環境に起きたことの記録。

インドの町では30年間スモッグで隠されていた200キロ先のヒマラヤ山脈が突然見えるようになり、アラスカでは海が静かになったのでクジラが安心して子育てできるようになり、フロリダでは人のいなくなった砂浜でウミガメのお母さんがゆったり産卵できるようになり、奈良では鹿が鹿せんべいをもらえなくなって、かわりにヘルシーな食事をするようになり…。



15年くらい前に、『The World Without Us』という、人間が急にいなくなった世界はどうなるか、を描いたノンフィクション本が ありましたが、まさかヒトがいない世界を本当に目撃する日がくるとは。

人間の経済活動が止まり、人の姿がなくなった世界のあまりの清浄さに衝撃を受けました。

急激な「浄化」ともいえる作用をなんとも胸が痛くなるような美しい映像で見せられて、涙が止まらず。

サバンナで、チーターの狩りを見に来る観光客たちの車の騒音で、チーターのお母さんが子どもを呼ぶ小声が聞こえづらくなっていた、というのが哀しい。見物の観光客が減ってノイズがなくなったぶん、子どもたちがすばやくお母さんの声をききつけられるようになり、子どもの生存率が上がっているそうです。

(チーターのお母さんはシングルマザーなので、子どもを安全な場所に残してひとりで狩りをするのですが、獲物を捕まえたあと大声で呼ぶと、幼い子どもが天敵の注意を惹いてしまうため、小さな声で呼ぶのだそうです。そして、チーターが獲物をつかまえる狩りは、観光客にとってもっとも見たいショウのひとつ。)

野生動物を野生の環境で見たいという欲が、動物の迷惑になっているんですね。


人類の経済活動って結局あくなき欲望の追求なのだということが、あらためて、単純に衝撃的に、ずしんと響きました。

経済活動をちょっと差し控える、たとえばカメのために一定期間ビーチを立ち入り禁止にしたりするだけでも、かなり大変な反対に遭うことだろうし、動物のためだけでなく環境のためになにかをやめる、開発や便利さをあきらめる、なにかを手放す、ということは極端にむずかしい。

コロナが落ち着いたらすっかり元通り、になるのか、前より悪くなるのか、よくなるのか、何かが変わるのか。

50年くらいあとになって、あのときに人類が気づいて経済活動をスローダウンさせられていたらよかったのにね……なんてことになりませんように。


いまの時代はいろいろな意味でターニングポイントなのかもしれないですね。


 

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2021/11/18

夕方の虹


快晴の火曜日夕方、フィニーリッジの丘の上を散歩していたら、急に夕立ちがぱらぱら降ってきて、鮮やかな夕日の虹が立ちました。

ちょうどとおりかかったカナディアンギースのみなさんをフレームに入れようとがんばってみたものの…。


すこしあとのダブルレインボー。これはカメラの設定を間違ってポートレイトモードにしたままでピントが合わず、なんだかポラロイドぽく懐かしいぼんやりモードの仕上がりに。

淡いピンク色の雲が夢のように綺麗でした。


フィニーリッジの丘の上は、東にグリーンレイクとカスケード山脈、西にはピュージェット湾とオリンピック山脈が見えるというぜいたくな場所です。

これはフィニーのコミュニティセンターの横のところから見えるグリーンレイク。

山にはきらきらした新雪が積もっていました。



真新しい雪をかぶった山の上に、だいぶ太ってきた月がのぼってくるところでした。





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