ラベル 読んだもの の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 読んだもの の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2020/12/29

ドロヘドロ愛。


 これはかなり前にバラードのダウンタウンで見た壁画。

まじでもう年末なんですか。

「ちょっと正月を延ばしてもらいたい」とCTちゃんに言ったら、

「あなた2020年が延長になるってことでいいんですか。延長料金高くつきますぜ」

と言われました。延長料金払ってまで延長するのは嫌だ。


 

ドロヘドロの話でもしましょう。

ここ数年、日本から出てくる新作アニメがつまらないなーと思ってたのだけど、Netflixでたまたま見つけた『ドロヘドロ』が、めっちゃ面白かった。



久々にオリジナリティのあるアニメが見られた感があって嬉しい。ほんとに最近の日本のアニメって、なんだろう、味のない金太郎飴みたいなの。

『ドロヘドロ』はそのなかで元気に異彩をはなっていて。なんなんだろうこの作品は、とぐぐってみたら、2000年から18年間連載されていたマンガが原作でした。
かなりコアなファンがたくさんいて、愛されている作品のようです。わかる。

原作は23巻まである。


アニメは12話でいまのところ終わっているので、続きが待たれる。いますぐ見たい。
ドロヘドロ・ロスがしばらく続いてます。

うっかりKindleで全巻買ってしまいそうな自分を必死におさえているところ。

じつはブラックフライデーセールで1〜5巻まで買ってしまったのだった。

原作の絵はちょっと大友克洋っぽいタッチでもあり、いろんな画材を使っているらしくて、世界のかきこみがおもしろい。

うううう、全部読みたい………。ニカイドウはどうなってしまうのだろう。カイマンは。

 



地獄のように荒みきったディストピアで、異次元の国から魔法使いたちが時々あらわれては人間を実験台にして改造してしまうという夢も希望もない設定で、魔法使いと人間の主人公たちはそれぞれいっさいの躊躇なく殺し合う殺伐としたはなしなのに、キャラクターがそれぞれ中学生のように純情でかわいい不思議。

グロい場面を思いきり描きながら、登場人物に嗜虐的なひとがほぼ皆無で、なんだかみんな自分の行いから乖離している。

どんな人が描いてるんだろうと思ったら、原作者の林田球さんという方はなんと、上野の芸大油絵科卒業の女性だそうです。へえええー。

内臓がベロリと出てしまったり首がちょんぎられたりするグロテスクな場面が多いけれど、なんだか不思議に超越していて、おもしろいですよー。

カイマンかわいいよー。クールなシン先輩も。



にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/12/18

信じてしまう人たちとトランプの魔術パワー

 


きのうは久しぶりに晴れ。うちの青年が自転車に乗ってでかけていったガスワークス公園の写真です。


きれいな夕空だった。

また週末はずっと雨のようです。冬至には木星と土星の超接近がピークになるのにー、見られるかなー。
夕方、西空のかなり低いところに見えるそうです。

 


またもや、和製トランピアンが思わぬところに出現したのに出くわしてしまい、がっくりしました。

ときどき見るブログ的な場所で、それまで普通に常識を共有していたと思っていた人が、急に「あの人は中共に対して自由世界を守る戦士なのに、アメリカ在住の日本人は堕落したメディアに騙されていて無知なので、何もわかっていない」「わたしは信頼のおける筋からの情報をダイレクトに得ている」とか書いていて、目が点になったー。

ダイレクトに、というのは、「堕落したメディア」のいうことなど聞かずに、てことなんでしょうね。

海の向こうで読んだQアノン系の記事とトランプ側近のツイートで「武装」して、この国にじっさい住んでいるわたしたちを「無知」と言い放つ、その自信に恐れ入ってしまう。

なぜ、陰謀論をかくも簡単に信じてしまう人が多いのでしょう。

陰謀論って、引きつける力が強いんですね。 ジャンクフードのように。シンプルでカラフルで熱があって、陶酔できる。

Qアノンの日本での広がりについては先日、ブルームバーグの日本語版でも紹介されてました。

最近、えええっ、あなたまで?と思うような人がトランプ礼賛をはじめててびっくり〜、という話をあっちこっちで聞くし、頻度が上がってきたな。

と思っていたら『トランプ時代の魔術とオカルトパワ』という書籍のことを知りました。
日本語版は紙版しかないし、高いからたぶん買わないけど。この一条さんのブログでかなり詳しく説明されていて、これだけでお腹がかなりいっぱいになる。

なんと「ブロンディ」のベーシストだった人が作家に転向して書いたもの。


 

トランプは「ポジティブシンキング」の始祖ともいわれるノーマン・ヴィンセント・ピールに心酔していたというエピソードにはじまり、クロウリーやシュタイナーから、現代の「魔術」師たち、ヒトラー、ムッソリーニ、20世紀後半にブームとなった自己啓発、引き寄せの法則なども一堂に並べて、「思考を現実化させる」というテーマが心をあやつる「魔術」に発展し、政治の舞台に影響を与えてきたという説が述べられています。

トンデモ本ではなく、かなり精緻に史料にあたった労作のようです。

なるほどー。

先日、森本あんりさん(ちなみにわたしは、この人女性だと思ってましたww)の『反知性主義 アメリカが生んだ熱病の正体』を読んですこしひっかかっていたのが、 なんとなく腑に落ちたような。

信仰についてちょっとまとめてnoteに書いたばかりなのですけれど(もしよろしければご笑覧ください。こちらです) 、いまようやく「魔術」と「信仰」の違いがわかった気がする。

すこし前に、尊敬するある方が、「魔術的な思考は信仰とは相容れない」と指摘されていたのですが、ようやくそれが実感として納得できた。

スピリチュアル系がふたつに分かれるのはここなのかも!

以前に『The Work』のバイロン・ケイティさんも同じようなことを例の『ザ・シークレット』について言っていて、そのときはよく理解できなかったのだけど。

祈りを、自分に力を引き寄せるためのツールとして考えるか、祈りが天に(神に)向かっているか、っていうことなんですね。これってすごーーーく微妙だけれど、決定的な違い。

やはり、動機がたいせつ。自分のすべての言動、すべての思考が、なにを動機としているのか、そしてその後ろに何が働いているか、常にチェックするのは何よりも重要だな、と、ひしひし感じます。もうほんとにそれだけです。

 


 

今週水曜日は治療の日で、クリニックから帰ってきて爆睡していたら、青年がごはんをつくってくれました。油揚げと豆腐山盛りのダイナミック味噌汁www おいしかった。

奥にみえているマンガのような大盛りごはんは、青年の通常量(1杯目)です。お米がすごい勢いでなくなるー。

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/11/20

宇宙を飛ぶホイホイと小さなおうち


週末は雨の予報です。

来週納品の仕事の進捗が遅れ気味で、週末はがっつりおこもりなのでちょうどよい。

冬のシアトルで外が快晴だと、家にいるのがとてつもなく間違っている気がしてソワソワしてしまうのです。




NASAのお知らせがきた。
新しい気象衛星が打ち上げられるそうですが…これは…プレハブ小屋に特大の屋根をつけたような不思議なかたち。

ゴキブリホイホイにみえてしまう。



先日よっぴー先生にお借りした中島京子『小さいおうち』。
映画は何年か前にたしか飛行機の中で見ました。映画もよかったけど、原作はもっとよかった。
 
作者の中島さんはわたしと同年代で、もちろん戦争経験者ではないのだけど、戦争が始まって、専業主婦の恵まれた奥様と女中のタキさんの、のほほんとした日常がじわじわと変わっていくようすが、とてもリアルに描かれています。

異常な状況がふつうの生活を少しずつ覆っていって、異常を異常と思わなくなる感じ、いまのこの国の状況に似てます。

ジェニファーちゃんもこのあいだ、1930年代のドイツはこんなだったかもしれないと思うと怖いわね、と言ってました。大戦前夜のことを思う人は多いようです。


にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/10/04

森のきのことかわいいホコリたち



ちょっと前、久びさにワシントン大の植物園に行ってきました。
駐車場はすべて、再オープンしていましたが、ビジターセンターはまだ閉鎖中。

もう今ごろは、もっと葉っぱが色づいているかと思います。

 


きのこがたくさん出てた。これは…「Dispersed Naematoloma」? 



これは、ダグラスファーの根もとに生えていたので「Douglas-fir Collybia」かなー。

何年か前に立派なきのこ辞典を買ったけど、まったく使ってないし勉強もしてません。

きのこの世界はかなりの深い沼で、足を踏み入れると出てられなくなるそうですが、楽しそうな沼だと思いながら遠くから見るだけ。

きのこ狩りとか山菜採りに情熱を燃やしている友人がいますが、たしかに、そのシーズンには仕事も他のあらゆる予定も全て差し置いて山菜採りに打ち込んでいる。狩人の血が燃えるのだろうなー。ちょっとうらやましい。

 


これも波乗り翻訳者えりぴょんがなぜか実家からサルベージして持ってきてくれた、福音館書店の絵本。なぜわたしが粘菌好きだって知っていたのだ。

粘菌って、正式には「変形菌」ていうのね。知らなかった。そんなことも知らないくらいなにも知りませんが、変形菌は見ればみるほど面白い。

 


 

 粘菌といえばこのひと、南方熊楠さんも登場していました。

脳もないのにまわりの環境を分析して(…いるかのように)形を変え、食べものをさがし、取り込み、合体し、ネットワークをつくって、移動する。

動物なのか、植物なのかもよくわからない。不思議すぎるー。

『風の谷のナウシカ』(コミック版)にも巨大化した粘菌がでてきましたね。あれは怪物だったけれど、結局は良い子だった。

 粘菌、いや変形菌、めっちゃかわいいです。

 ナショナルジオグラフィックの変形菌特集(2018年3月の)。見てみて。
信じられないほどかわいい変形菌たちの写真がいっぱいで萌えます。

 変形菌には「ホコリ」っていう名前が多いんですね。
あまりにも小さいので肉眼では「ホコリ」にしか見えないけれど、近づいて拡大してまじまじと見てみると、ものすごくかわいい世界が広がっているという。

なぜかうちの青年にもいま変形菌ブームが来てて、変形菌の行状について熱く語ってくれます。

英語ではslime mold。「スライムモルド」って響きはちょっと不穏ですが、いたって害のない生物。

スライムモルドの世界は、そもそも生物ってなに?とか、いろいろ考えさせられてほんとに刺激的です。きのこも不思議だけど、粘菌はさらに不思議。

世の中には、目に見えないいろんなものがうごめいているのですね。

追記:このあいだたまたま読んだ(最近はまっている)松岡正剛さんの千夜千冊のサイトに、こんなくだりがありました。

「クマグスは粘菌のもつ生命ネットワークに、自己変容性と自己多様性の愉快を感得した。また日本の森林型の神祇にもとづいた「浄」の作用のなかに、神仏習合をものともしないメタファー性が自由にひそんでいたことを感得した。」

 

自己変容性と自己多様性の愉快。あああ、その粘菌の自由さ、それが惹かれる理由なのかも。

あと 「森林型の神祇にもとづいた「浄」の作用」のもたらすメタファー性ていうのも、今、めっちゃくちゃ気になっておるところです。森はすごい!


にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/09/04

道ばたに不用品&ひとを憎まずの82歳、そして悪徳。


 近所をさんぽしていると、時々、椅子やソファや棚やその他の不用品が道端に置いてあることがあります。先日はOster社の70年代ふうのジューサー・ミキサーが、ぽつんと芝生においてあった。


「FREE」と書かれていることもあるけれど、たいがいは無言で放置されています。

この赤い椅子も。なんだかキャラクターのある椅子でした。

そして、持ち去っていくひともけっこういるのが面白い。うちのリビングで使っている植木用の棚も、すぐ近所でひろってきたものです。

Goodwillも7月からだったか、お店の営業と不用品受付を再開したのですが(不用品寄付受付は毎日9時から3時まで) 、みんなコロナの家ごもりのおかげで断捨離がすすんだらしく、寄付したい不用品を積んだ車が毎日行列してます。再開後ひと月くらいの間は、車の列が100メートルを超えるくらい長かった。

 


 ニューヨーク・タイムズの、ジェーン・フォンダさんのインタビュー記事を読みました。

御年、82歳。

波乗り翻訳者えりぴょんおすすめのNetflixシリーズ『Grace &Frankie』 で活躍中ですし、(シーズン3まで見た。面白いです)ドラマに出てないときにはプロテストに出かけているという相変わらず元気なかた。

元気だなあすごいなあと思いつつ読んでいるとこんな箇所があって感銘をうけました。 

I am of the belief that evil deeds, which Trump is committing, is the language of the traumatized,” she said. “And you can hate the deeds. Don’t hate the person because he wins if we hate him. Don’t even give him that much energy.
“So, actually, I have empathy for him. I look at this person and I see a frightened child who is very, very dangerous because he’s got his hands on all the buttons.”

(「トランプがやっているような邪悪な行いというのは、トラウマのあらわれなのだと思う。行いを憎むのは良いけれど、人を憎んでは駄目なの、相手に勝たせることになるから。そんな人にあんまりエネルギーを使わないほうがいい。

だから、ほんとのところ、わたしはトランプにもエンパシーを感じる。トランプの中には怖がっている子どもがいて、その子の手の届くところにいろんなボタンがあって押せるようになっているから、それはそれは危険なのよ」)

うんうん、わたしもそう思う。あの人のなかにはとても怖がっている駄々っ子がいる。しかしそれより、それを何らかの理由でたてまつってしまう人がいるのがね…。そういう人の心根と思考回路がどうしても理解できなくて悲しいです。

「罪を憎んでひとを憎まず」というのは、そうするのが正しいとか良いことだからではなくって、憎むことが無駄でなんの益もないだけではなく、自分にとっての害になるからなんですよね。

人を憎むことほどエネルギーを無駄にする活動はあまりない。 


最近よく引いてるカミュの『ペスト』にも、こういう一節がありました。

 

人間は邪悪であるよりもむしろ善良であり、そして真実のところ、そのことは問題ではない。しかし、彼らは多少とも無知であり、そしてそれがすなわち美徳あるいは悪徳と呼ばれるところのものなのであって、最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである

カミュ. ペスト(新潮文庫) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2301-2304). Kindle 版.

無知と悪徳。「自らすべてを知っていると信じ、人を殺す権利を認めるような無知の悪徳」そのまんまですね。



去年、ホワイトハウス前での気候変動にかんするデモに参加するときに真っ赤なコートを買ったというジェーン・フォンダさん。3回結婚してて、その一人テッド・ターナーさんと結婚していたときには、23軒も家があったので、あっちこっちに服を置いておかねばならず、複数の家のために同じジーンズを何本もまとめ買いしていたという桁外れの富豪話もこのNYTのインタビュー記事にあって、面白かったです。

このコートを最後に、もうこれ以上服は買わない、という。

2週間前には50本ほどのジーンズを処分したし、まだ2つのクロゼットに(たぶん一部屋ぶんくらいのウォークインクロゼットなんでしょうねー)服がいっぱいあるし、と語っていました。

そういう境遇のスターが政治的な発言をしたり政治活動や抗議に参加することに対してつまらない揶揄をする人もいるけれど、こうやってあっけらかんと自分の信じることをやって、臆さない82歳、とてもかっこいいと思います。

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/23

この四半世紀で一番感動したやつ


近所のおうちのかわいいリンゴ。

ここ最近、また近所の家が次々に売りに出されていて、しかもすごい勢いで売れています。 


 

このあいだ、うちの青年に読ませるためにに『風の谷のナウシカ』の英語版をアマゾンでぽちって購入しました。

青年、日本語で原作を読むのはかなりハードルが高いので…ww。高校で日本語履修したのにな。2年もな。

わたしは、宮崎駿作品の最高峰は、どのジブリの映画よりもこのマンガ版『ナウシカ』だと思います。



月刊『アニメージュ』に連載されていたもの。

今回、とっても久しぶりに全巻読み直してみて、あああ、これは私の原点であったなあ、とあらためて呆然としました。

いまだにこれ以上のものは読んでない気がします。

 第1巻は1984年発行。

最終巻7巻は、なんと、うちの青年が生まれた1995年の発行でした。阪神大震災と地下サリンの年。

完結までに11年かかってるんですね。 

その間、スタジオ・ジブリを立ち上げ、『ラピュタ』『トトロ』『魔女の宅急便』『紅の豚』などが制作されたので、連載もよく休止していたはず。 (わたしは雑誌は買ってなくて、単行本になってから読んでいました)

第2巻発行とほぼ同時に映画版の『風の谷のナウシカ』が公開されました。映画版の内容は2巻までを簡単にまとめたものです。

それでもじゅうぶん感動的だけど、原作はほんとうに深いです。

 

 


映画の公開は1984年3月11日(2巻の帯に書いてあった)。いまはなき、渋谷の東急文化会館の映画館に悪友チエコと一緒に見に行ったの覚えてる。号泣したかったけど恥ずかしくて泣けなかった19歳でした。チエコよ覚えているか。



 

青年は、靴のマテリアルなどのデザインのヒントとしても、ビジュアル面でいろいろインスピレーションを受けたようです。

 

 

 

この最終巻の終わり方、ほんとうに、すごい思想だと思うんですよ。

宮崎駿さん自身も、どこからこの結末がおりてきたのか、まったく覚えていないと言っているそうです。

3日かけて全巻読んで、かなり泣いた。

25年前に読んだ当時は最後の展開に心がついていけず、打ちのめされて消化しづらかったけれど、現在のコロナの時代に読むと、そのすごさがますまず水際立って感じられるし、今だからこそ純粋に素直に深いところで受け止められるように感じます。

ぜひぜひ読んでみてくださいませ。これ高校の課題図書にすべきだと思う。

 

「世界を敵と味方だけに分けたらすべてを焼き尽くことになっちゃうの」

 

「その人たちはなぜ気づかなかったのだろう、清浄と汚濁こそ生命であるということに」

 

「私たちの神は一枚の葉や一匹の虫にすら宿っているからだ」


これこそ、ほんとにNetflixとかでたっぷりお金をかけてミニシリーズにしてほしいのだけど、やっぱり宮崎さんが監督しないと、きちんとしたものはできないのだろうなあ。

ということで、コミックで読んでください。ぜひ。

 

 

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/08/19

プライベートビーチでハチに刺される


猛暑の日曜日のあと、また爽やかな夏が戻ってきたシアトルです。

極暑の中にいらっしゃる皆さん申し訳ありません。快晴で微風もあって、もう本当にものすごく快適です。永遠の5月のようです。秋冬の半年間は曇り空と雨なので、許してやってください。

日曜は猛暑になるという予報だったので、前日の土曜日にハイキングに行ってきました。

シアトルから北へ小一時間ほどのDeception Pass (デセプション・パス)。

 

 

もうひと頑張りでカナダ国境というところ。本土と橋でつながっていますが、ふたつの島のまんなかにある狭い海峡。グーグルマップ日本語版では「デセプション峠」と表示されますが、このPASSは峠ではなく「水路」が正解です。

ご覧の通りかなり内陸に入り込んだ内海なので「海峡」だとちょっと大げさですね。

前回行ったのはなんと、2013年の7月だった。M太郎ちゃんと一緒に行ったのでしたが今回は息子とふたり。

毎週末、デートもせずに母とつきあってくれてます。ふびんな子よ。


 

靴の制作に燃えている青年はいろんなテクスチャに興味があって、花崗岩とか木の幹の皮とかに釘付けになっていました。

 

 

素敵な木像は、サリッシュ部族の乙女

Civilian Conservation CorpsのInterpretive Centerは閉鎖されていましたが、キャンプ場とトイレは開いていて、快晴の週末だけにパーキングは満車。でも10分ほど待っていたら幸運にも空きが出て停められました。午後2時頃。朝型組が帰る頃合いだったのでしょう。

州立公園の利用料金は、1年間有効の「ディスカバリーパス」は30ドルで据え置きなのですが、デイユースの料金が10ドルに値上がりしてました。

そしてここも森林局とおなじくキャッシュを封筒に入れて名前を記入するアナログ方式です。カードが使えるペイステーションも1台あったけれど、故障中でした………。

シアトルの街なかの路駐課金は「Pay by Phone」というアプリで簡単にできるし、やる気になればすごく簡単にデジタル化できるはずなんですけどねー。

連邦政府や州はフットワークが重いですね。 

そういえば、連邦政府のIT入札とセキュリティを一元化して、各省庁でバラバラに運用されているサーバーも集中して効率化をすすめ無駄を省くという作業がオバマ政権のときに実行されはじめたはずなんですけど、あれは今、どうなってるんだろう。現政権下じゃグダグダになっているであろうことは予想がつくけど。

 

今回は、ロザリオ岬への短い散歩。ハイキングというほどの距離でもありません。

最初にここに来たのはさらに遡ること2013年2月。舞踏家で数学者の薫さんとご一緒したのでした。

あのサンドイッチ屋さんは健在かな。確認のために寄るつもりだったのにフリーウェイの出口を間違えてしまい、行けませんでした。


オリンピック半島もカナダも見える絶景の岬。

パーキングの前のビーチは大混雑でしたが、トレイルや岬の上は人影もまばら。

 

 

絶壁から下をのぞく青年。お母さんはお尻がむずむずして崖っぷちには近づけません。

カヤックやスタンドアップパドルボードの人たちがたくさんいました。カヤックいいなー。



やっぱり見ているだけで普通にこはい。やめて。

 

ロザリオ岬のすこし手前に小さな岬が突き出していて、そこの横がミニ入り江になっています。誰もいない!よしチャンス!

15メートルくらいか、ほぼ垂直の崖を降りなくてはならないのですが、岩や木の根などにつかまれるのでそれほど難易度は高くありませんでした。

しかし、崖を下りきって、やった!と思った瞬間に、ふくらはぎに鋭い痛みが。

細いトゲでも刺さったかと見ると、なんと黄色いハチが脚にくっついていて、思わず叫びました。
ミツバチではなくて英語でhornetとかyellow jacketというやつ、ウェストがしゅっと細くて黄色と黒の細い縞模様になっているやつです。種類はわからないけどアシナガバチくらいの大きさでした。

痛かった。

よく見ると、崖の一番下に巣があって、そこからハチのみなさんが忙しく出たり入ったりしていました。わたしはそのお宅の上を踏んづけたか玄関の前を通ったかして逆鱗にふれてしまったようです。

ハチに刺されたのは生まれて初めてかもしれない。記憶にある限りでは初めてです。

アレルギー体質ではないので、とりあえずハンドサニタイザーで消毒だけして(あまり意味ないと思うけど)我慢することに。抗生物質軟膏と抗ヒスタミン剤の軟膏を持ち歩くべきですね。

アレルギー体質のジェニファーちゃんやキリコちゃんはいつもかばんにエピペン注射薬を携帯してますが、こういうことがあるから必須よね。

息子はニヤニヤ笑って「通行料だ」と言う。

午後中ヒリヒリ痛かったけど、この入り江を午後中プライベートビーチとして独占利用させていただいたので、刺されただけの甲斐はありました。


 

おやつは、朝ベーカリーで買ってきたハムクロワッサン。
本はC.S. ルイスの『Mere Christianity』。そうか、第二次大戦中の原稿だったのね、と読み始めて気づく。

『ナルニア国物語』で有名な作家ですが、平易な言葉でキリスト教の真髄を大衆向けに語ることのできた人としても有名です。『ナルニア国物語』にもキリスト教のモチーフや教えが散りばめられているのはよく知られています。

今読むと、そのひたむきさが少し悲しい。

ロンドンが空爆されているさなかに、ラジオ番組のために話した内容を原稿にしたものです。 1章分しか読めず、すこし疲れた。 

 

 

打ち寄せる水が透明度100%。どこからやってきたのか、瑪瑙や水晶の小石もたくさんあって綺麗すぎる。またもや、ここも天国の海。

波にもまれて磨かれたこういうきれいな小石は「水磨礫」というそうです。すいまれき。


 

鳥の卵のようなすいまれき。

流木はたっぷり陽射しを吸収してあたたかく、その上に寝そべって本を読んでいると気持ちがよくて最高でした。
たまにボートやカヤックの人が通っていくのと、崖のうえから時々人がのぞき込む以外は完全に貸し切り状態。


 

青年も本を持ってきてちょっと読んでいたけど、それより流木でモビールを作るのに熱中しはじめ、2時間くらい制作にはげんでいました。

25歳だけど、5歳児のような真剣さ。
一銭にもならないことに全精力を集中できるのは、美点としておきましょう。

海中の岩の上に、作品1。

 


小石の浜に作品2。

こういう手作業や工作好きは、いったい誰に似たんだろうか。

わたしは小さい頃から絵を描くのは好きだったけど、立体のものを作るのは苦手で、なんでもすぐに面倒くさくなって放り出す性格でそれにうすうす罪悪感を感じて生きてきたので、靴でもモビールでも「制作」に集中できる青年に、吾が子ながら、偉いわねえ根気があって、と思う。

元夫もまったく根気のない性格なので、謎です。隔世遺伝か。金庫職人だったという母方の祖父(わたしの)かな。そういえば母方の祖母の父(わたしの曽祖父)もなんかの職人だったそうです。2〜3世代スルーして日本の職人の血がよみがえったのかな。地下足袋似合うし。

 

マドローナの木と松の木立ち。崖に生えている樹々の生命力発現すごい。水面と平行になって崖からまっすぐ張り出して生えてる、俺は重力に屈しないみたいな意思をかんじさせる松の木もありました。

またもや、爽やかすぎる天国先取りの週末でした。

にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/06/19

これは見てほしい☆



「地球上に人らむきだしで生きられる 時間まだありて若葉のひかり」

馬場あき子さんの歌です。最近よく思い出す。 
「むきだしで」人が地上に生きられる時間はあとどのくらいあるのでしょうかね。




#BLMでいま注目されてるNetflixの2016年制作のドキュメンタリー『The 13th』(邦題:13th 憲法修正第13条)が、米国内ではYouTubeで全編無償公開されてます。

監督は、キング牧師の公民権運動を描いた『SELMA』(邦題はグローリー/明日への行進)のエイヴァ・デュヴァーネイ。

リンクはこちらです。(白金マダムMに確認していただいたところ、日本ではYouTubeでは見られないみたい。残念。でもNetflixでぜひぜひご覧ください)
追記:どうやら日本でもYouTubeで見られるようです。お試しを!

なぜアメリカには230万人も囚人がいるのか(全世界の囚人の4分の1だって)。
なぜそのうち4割が有色人種なのか。
なんで民間会社が刑務所を経営してるのか。

なぜ警察はミリタリーのようになってしまったのか。

などなどの謎が1時間40分でわかるドキュメンタリーなのでとってもおすすめです。
日本語字幕もありですよー!

これは今回の#BLM抗議活動のサポートで無償公開したのかというとそうではなくて、コロナのおかげで学校が閉校になってしまったあとで、先生たちをサポートするためにNetflixが4月半ばにYouTubeで無償公開を始めた「教育ドキュメンタリー映画」のひとつだったのですね。

先生や生徒でもなくても、すべて見られます。YouTubeで公開中のドキュメンタリー一覧はこちら

この中に入ってる「Abstract」シリーズも面白いです!

「Our Planet」はときどき別のことしながら環境ビデオ的に流してぼーっと見てたりします。
フラミンゴとかほんとにすごい。唖然とする大自然。



地球上にフラミンゴの時間もたくさんありますように。


あとはー、Dave Chappelleの『8:46』もパワフルでした。ひさびさにみた、デイヴ・シャペル。なんだろう、その場の空気をすべて所有してしまうこういう人。

こちらで見られます。こちらは字幕なしです。これの字幕翻訳は難しいだろうなあ。

仕事が本格的に暇になってきました。困った。しかし映画ばかり見てしまう。さらに今はマンガが読みたい。困った。




にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ

2020/05/18

水をクリアにしておく


近所の道ばたのカリフォルニアポピー。交差点の角のとこに咲いてました。

カリフォルニアのアンテロープ・ヴァレーでは、 こんな↓光景がみられるそうですよ。



去年3月のABCニュース記事より。ここまでくると、ちょっと怖いと思う。
これがポピーじゃなくてキノコだったら、セルフィー撮りに行く人は少ないに違いない。



サッカー選手の長友佑都さんが立ち上げた、ひとり親を支えよう支援について、さっき知りました。



クラウドファンディングの支援は先週、5,000万円の目標をクリアして成立したそうですが、それについて 長友さんが書いたこのメッセージを読んで、ちょっと泣いた。

うちも、幸いまわりに助けられて、食べるものもないというほど困窮したことはなかったし、けっこうお気楽に暮らしてこられたけれど、ずっとひとり親家庭だったし。うちの息子もずっとサッカーをやってきて、その中でほんとうーーーーーにいろんな人からいろんな支援を受けてきたので。親子ともどもまだまだ非力だけど、できることをすこしでも返していきたい。

最後のほうで長友さんが、この混乱した現況のなかで自分のまわりの「水をクリアにしておく」ための方法として心がけている3つのこと、にとても共感した。

体と頭を動かすこと。

陽を浴びること。

感謝すること。

ほんとうに当たり前だけれど、どれも絶対に必要なこと。

当たり前のように受け取っているものにどれだけ深い真摯な感謝を持てるか、によって、世界とのつながりが深まるし、その質が上がっていくものだなーということを、最近、いろいろと実感してます。

うちの息子も、アスリートの経験を経てデザインという仕事の世界にいま突入していて、その出鼻にこのコロナ騒動があって経済がどうなっちゃうのという、そういう世界に生きているけれど、まわりの人に助けられていることをよくわかっていて、自分がまわりに与えている影響を自覚して、自分が出来る範囲で最大限よいことをしていきたいと思っている。

それはとても頼もしいし、とりあえずああよかったな、と思います。そこへ導いてくれた数しれないほどの人たちに、どれだけ感謝してもしきれない。

何かを与えられる立場にいるということは、とてつもなく恵まれていることなんですよね。

あっ今、『カリフォルニア物語』の冒頭を思い出した。
ヒースがイーヴにタバコをめぐんでやるシーンで、イーヴがそんなことをいってたな。

あれもう一回読んでみたいなー。


これだ!コミックシーモアさん、買うから許して。ご購入はこちらから。



にほんブログ村 海外生活ブログ シアトル・ポートランド情報へ