2020/09/04

道ばたに不用品&ひとを憎まずの82歳、そして悪徳。


 近所をさんぽしていると、時々、椅子やソファや棚やその他の不用品が道端に置いてあることがあります。先日はOster社の70年代ふうのジューサー・ミキサーが、ぽつんと芝生においてあった。


「FREE」と書かれていることもあるけれど、たいがいは無言で放置されています。

この赤い椅子も。なんだかキャラクターのある椅子でした。

そして、持ち去っていくひともけっこういるのが面白い。うちのリビングで使っている植木用の棚も、すぐ近所でひろってきたものです。

Goodwillも7月からだったか、お店の営業と不用品受付を再開したのですが(不用品寄付受付は毎日9時から3時まで) 、みんなコロナの家ごもりのおかげで断捨離がすすんだらしく、寄付したい不用品を積んだ車が毎日行列してます。再開後ひと月くらいの間は、車の列が100メートルを超えるくらい長かった。

 


 ニューヨーク・タイムズの、ジェーン・フォンダさんのインタビュー記事を読みました。

御年、82歳。

波乗り翻訳者えりぴょんおすすめのNetflixシリーズ『Grace &Frankie』 で活躍中ですし、(シーズン3まで見た。面白いです)ドラマに出てないときにはプロテストに出かけているという相変わらず元気なかた。

元気だなあすごいなあと思いつつ読んでいるとこんな箇所があって感銘をうけました。 

I am of the belief that evil deeds, which Trump is committing, is the language of the traumatized,” she said. “And you can hate the deeds. Don’t hate the person because he wins if we hate him. Don’t even give him that much energy.
“So, actually, I have empathy for him. I look at this person and I see a frightened child who is very, very dangerous because he’s got his hands on all the buttons.”

(「トランプがやっているような邪悪な行いというのは、トラウマのあらわれなのだと思う。行いを憎むのは良いけれど、人を憎んでは駄目なの、相手に勝たせることになるから。そんな人にあんまりエネルギーを使わないほうがいい。

だから、ほんとのところ、わたしはトランプにもエンパシーを感じる。トランプの中には怖がっている子どもがいて、その子の手の届くところにいろんなボタンがあって押せるようになっているから、それはそれは危険なのよ」)

うんうん、わたしもそう思う。あの人のなかにはとても怖がっている駄々っ子がいる。しかしそれより、それを何らかの理由でたてまつってしまう人がいるのがね…。そういう人の心根と思考回路がどうしても理解できなくて悲しいです。

「罪を憎んでひとを憎まず」というのは、そうするのが正しいとか良いことだからではなくって、憎むことが無駄でなんの益もないだけではなく、自分にとっての害になるからなんですよね。

人を憎むことほどエネルギーを無駄にする活動はあまりない。 


最近よく引いてるカミュの『ペスト』にも、こういう一節がありました。

 

人間は邪悪であるよりもむしろ善良であり、そして真実のところ、そのことは問題ではない。しかし、彼らは多少とも無知であり、そしてそれがすなわち美徳あるいは悪徳と呼ばれるところのものなのであって、最も救いのない悪徳とは、自らすべてを知っていると信じ、そこで自ら人を殺す権利を認めるような無知の、悪徳にほかならぬのである

カミュ. ペスト(新潮文庫) (Japanese Edition) (Kindle の位置No.2301-2304). Kindle 版.

無知と悪徳。「自らすべてを知っていると信じ、人を殺す権利を認めるような無知の悪徳」そのまんまですね。



去年、ホワイトハウス前での気候変動にかんするデモに参加するときに真っ赤なコートを買ったというジェーン・フォンダさん。3回結婚してて、その一人テッド・ターナーさんと結婚していたときには、23軒も家があったので、あっちこっちに服を置いておかねばならず、複数の家のために同じジーンズを何本もまとめ買いしていたという桁外れの富豪話もこのNYTのインタビュー記事にあって、面白かったです。

このコートを最後に、もうこれ以上服は買わない、という。

2週間前には50本ほどのジーンズを処分したし、まだ2つのクロゼットに(たぶん一部屋ぶんくらいのウォークインクロゼットなんでしょうねー)服がいっぱいあるし、と語っていました。

そういう境遇のスターが政治的な発言をしたり政治活動や抗議に参加することに対してつまらない揶揄をする人もいるけれど、こうやってあっけらかんと自分の信じることをやって、臆さない82歳、とてもかっこいいと思います。

 

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