日本では「マスク2枚支給」からの突然の「各世帯30万円支給」が炎上していますが、アメリカの連邦政府も相当にあかんです。
きょう(4月3日金曜)の会見ではCDCの新しい推薦事項(いままでの方針と変わり)として全国民に布マスク着用を呼びかけながら「オレは着けないけどね。王様とか女王様とか独裁者とか…そういう人がマスク着けてるってヘンでしょ。着けたい人は着けたらいいんじゃないの。まあ役に立つかもしれないよね(意訳)」というようなことをモゴモゴいっていた大統領。
一日500人以上が亡くなっているニューヨークで数日内に人工呼吸器が足りなくなるのがもう目に見えているのに、緊急にほかの州や軍から呼吸器の在庫をさしむけるなんて介入をする気はさらさらなく、市長や州知事がちゃんと準備してなかったからでしょ、と真顔でいってのける。リアリティ番組の続きをこの緊急時にそのままやってる人です。
この人になにかとんでもない夢を描いている人たちが徹底的に目覚めるようにどん底まで失敗してほしいなんて一瞬呪ってしまいそうになるけど、それは恐ろしい数の犠牲者を意味するし、まさにアメリカの最期。うわーん。
1世紀前のこの頃、世界の中心はまだロンドンでした。英国はそれ以降ゆっくり沈んでゆき、かわりにアメリカが登場してきた。あとの世から振り返ると、このパンデミックはあれが米国の没落のはじまりだったね、ていう転換点だったりするのかも。かわりに浮上するのは中国かロシアなのか。
WCVBのサイトより。
マサチューセッツ州では、州が中国に直接120万枚のN95マスクを買い付け、NFLチーム「ニューイングランド・ペイトリオッツ」の専用ジャンボ機を飛ばして中国から直輸入してましたよ。 先に300万枚のマスクを輸入しようとしたところ、ニューヨークの税関で取り上げられてしまい、ではクリエイティブな方法でやるしかない、と、NFLチームのオーナー、中国大使、州のCOVID対応センターなどとの連携で、今回のはこびとなったんだそうです。「地上の星」が聴こえてきそうな話だ(古いね)。
連邦政府がのらくらしている間に、すごい機動力。すごいスピード。そしてこの力関係がほんとうにわけわからなくて面白い。
トランプはこういうスタンドプレーで注目集めたりするのが大好きだから、きっとこれを聞いてさぞ悔しがっていることでしょう。今回の危機で自分の手腕がまったく評価されていない(一部のコアなファンを除き)ことにヒリヒリしてるのだろうから。
アメリカでほんとに感心するのは、地方政府、とくに州知事と市長(mayor)がそれぞれかなりの権限をもっていて、まさに「自治体」であること。
日本のように、学校の教育内容まで国の政府が一律に決めるというのは考えられず、市町村・郡単位での自治、州単位での自治が徹底してる。そういう自治政府と連邦政府がすごくダイナミックに働きあってて、ときには真っ向から対決しあっている(憲法にもとづいてお互いを訴えたりする)のはとても面白い。こういうパワーバランスが政治に緊張を生んでいるんだな、と思わされます。
だから州によっても自治体によっても、えっ同じ国ですか?と目をうたがうほど、政策も信条も価値観もまったく違う。これがアメリカの底力なんだな、とよく感心します。良いことばかりでもないんだけど、もちろん。
なので州知事も市長もそれぞれかなりキャラが立ってて面白い政治家が多いです。
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