2020/03/27

何もかもストリーミング&元気な70代


ボストンのバックベイにある、オールド・サウス・チャーチ。
ボストンはさすがアメリカ最古の街だけに、教会がコンビニエンスストアなみにいっぱいあります。バックベイ地区だけでも、徒歩5分圏内に大きな教会が6つもあるという密集ぶり。

この教会はUnited Church of Christ(キリスト連合教会)派に属しています。
アメリカのプロテスタントの中でも群を抜いてリベラルな教会のひとつで、性的指向でジャッジしません、誰でもウェルカムですよ、という姿勢を強く打ち出してます。
入り口に飾られているレインボーフラッグはその象徴。

アメリカの大都市のほとんどがロックダウンされているいま、教会堂には集まれないので、礼拝をライブストリーミングで流している教会がたくさんあります。
ここもそのひとつで、木曜夜のJazz Coffee House という、ジャズのスタンダード・ナンバーに聖句の朗読を交互にはさむプログラムもストリーミングされてます。
ライブだけでなくて、録画もVimeoで観られます。


ここの教会堂はわりといつもオープンになっているので、10月に一度、中を拝見させていただきました。山小屋なむき出しの梁があり、薔薇窓のステンドグラスがあり、ヴェネツィアンルネッサンス風のアーチがあり、という折衷様式。
なんだかとてもアットホームな、あたたかい印象の礼拝堂でした。


インターネットのおかげで、家にいながら遠くの教会の礼拝もバーチャル参加できるし、直接会えない家族や友人とも顔をみて話せるし、映画もドラマも本もコンサートもほとんど無尽蔵に見たり読んだりできるって、ちょっと当たり前になりすぎててなんとも思わないけどすごいよね。


シアトル高野山も、こんどの日曜の護摩法会をライブストリーミングするそうです。
ウェブサイトのトップページに案内があります。


カミュの『ペスト』は1940年代に書かれたものだけど、あの登場人物たちは、封鎖された都市の外にいる妻や恋人たちの消息を、何日も遅れて届く手紙か電報でしか知ることができなかったし。感染が広がる中で、同じ映画をずっとかけ続けてる映画館に集まるのです。

人類をとりまく環境も、人類が世の中に期待することもずいぶん変わりましたね。





いま、プチビンジウォッチング中の『Grace and Frankie』。

70代のパワフルなカリフォルニアおばちゃんと、元夫たち、娘と息子たちの話。それぞれキャラが立ちすぎのファミリー。みんな極端だけど、南カリフォルニアにいるかもしれない、きっといる、と思わせる。

これもずいぶん前に波乗り翻訳者えりぴょんにおすすめされたシリーズ。いまとにかく笑えるものが見たい。笑いたい。で、毎夜はまってます。

あのマーティン・シーンが演じる、70歳をすぎてからカミングアウトして長年の仕事のパートナーと結婚するゲイのおじいちゃんが可愛すぎる。

でも今日は、1エピソード中、5回もフリーズしてました。

ヨーロッパのロックダウン中の都市ではみんながストリーミングを使うので回線がパンク寸前だってニュースを読んだけど、ここでも?


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2020/03/25

板張りされている



ワシントン州知事による「Stay Home, Stay Healthy/ 家にいろよ、達者でいろよ(意訳)」令は23日に発布されました。いわゆる自宅待機または外出禁止令。

お店などの事業所に対して効力が発揮されるのは25日深夜からですが、今日(25日)、うちの近所のバラード・ダウンタウンの店は、テイクアウトを継続しているレストランを除き、ほとんどもう閉まっていて、板張りがしてある店も多かった。



カフェ、アイスクリーム店、ケーキ屋さんにも「追って沙汰があるまで閉店します」という張り紙が。


人気のバーレストランも板張り作業が進行中でした。

2週間閉めているあいだにガラスを割られたり、窓に落書きされたり、ものを盗まれたり、破壊されたりしないように。


パトカーがゆっくり巡回中でした。


ここ2週間、見慣れた通りがどんどん変わっていくのを見てきましたが、お店に板張りがされているのを見ると、すっと背筋が冷たくなります。

なんだか今日はまったく何も手につかず、ぼーっと過ごしてしまいました。
明日は生産的に過ごそう。

MITレビューの編集長が、これは「まったく新たな生活様式の始まり」と書いているのを今日読みました。日本語訳の記事です。

患者爆増を防ぐためには、これからも長期的に、何度もロックダウンを繰り返す必要があること、人が集まることを前提としたビジネスを根底から変える必要があるかもしれないこと、疾病リスクのある人をテクノロジーを使って「合法的に」区別しトラッキングするシステムが有効かもしれないが、それは社会的弱者をますます困った立場におしやってしまう可能性もあること。

記事は「望まれる最善の結果は、今回の危機の深刻さが引き金になり、最終的に国家が、多数の国民を極めて脆弱な状態に陥れる大きな社会的不平等の修正に向かうことだ」
と締めくくっています。
うん、望まれるよ!でもそこに行くまでには相当の人柱が必要なのね、きっと…。
真面目な話わたしもまもなく人柱になるかもしれません。
どうせならすごく役立つ人柱になりたいが。



某大統領はイースターにはロックダウンを解除して事業を再開したいと言ってますが、ふっ。そのくらいのタイミングで、かなりの騒乱が起こるんじゃないかなー。そうでないことを祈るけど。
ハワイは4月末まで冬眠を決めてるんですよ。 あの観光業と軍だけが収入源のハワイが。

どうか穏やかなイースターが来ますように。


 今日のミラクル!


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豚とはちみつ&閉鎖されてしまった


にゃを美先生から豚ふうせんがとどきました。

紙風船の「ぽすっ」っていう感触を忘れていた。たのしい。



封筒にちょっと蒸し羊羹的な猫がいた。


そしてアマビエちゃんのおふだも来た!


これは手帖に貼っておきましょう。疫病退散!!! 

「家にいろ」令が出たワシントン州ですが、ご近所ニュースサイトMy Ballardによると、なーんと、先週末に大混雑していたゴールデン・ガーデンズなど、シアトル市内の大きめの公園5か所の駐車場が明日(3/25)から閉鎖になってしまうのだそうです。
シアトル市による、集会阻止の実力行使です。

んもー!集まっちゃう人がいるから〜〜!
徒歩や自転車で行くぶんには利用できるのですが。んもー。迷惑このうえなし!

先週末、近郊の山Rattlesnake Ledgeにはなんと4,000人の人が集まっちゃったので、このトレイルも閉鎖されたとのこと。

ハイキングに行けるのはいつのことか。

オリンピック延期が決まったとおもったら、6月に福岡で開催予定だった日本翻訳者協会のカンファレンスも1年延期になりました。多分行けないだろうなとおもってはいたけど。

日本に行けるのはいつのことやら。






3月は誕生日だったので、ホノルルの波乗り翻訳者ラウぴょんから特大スウィートアロハはちみつをいただいた〜。わーい。

そして手前のちいさい瓶に入っているのは、1月にマウイ島に行ってたジェニファーちゃんからもらった、ターメリック入りのハワイ産はちみつ。

突然ハワイはちみつ長者。

これは絶対に免疫システム強化になる!と思い込んで毎日ぺろぺろなめてます。アロハ〜。

ハワイも明日3月25日から4月末まで(!)外出禁止令が出たそうです。
いまロックダウンしている中でいちばん長いのではないかな。
観光局のサイトに日本語訳があります。

ハワイでは学校も4月いっぱい休みが決定してます。
まだハワイ州内の感染者数は90名と、現在のところ多くはないのですが、なにぶんリソースが限られた島なので、イタリアのような患者数の爆増はなんとしてでも防ぎたいということなのでしょう。すでに先週末に「stay at home」令を出したホノルル市長によると、ハワイにはICUが300しかないそうです。

ラウぴょんの話だと、もうほとんどの観光客は帰ったもよう。飛行機の便数も極端に少なくなって、観光客のいないハワイってどんなだろう。

ロックダウン中のシアトルやサンフランシスコで散歩やサイクリングがOKなのと同様、ハワイでは海での水泳やサーフィンは禁止されていないそうです。ハワイでサーフィン禁止はありえない。
ビーチパークは閉鎖されているそうですが。

またハワイに行ける日はくるのだろうか。マラサダ食べたい。


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2020/03/24

ついに外出禁止令


今日から雨の予報が外れて、午前中は青空が。少し寒いけど爽やかな日でした。
近所の桜がきれいです。


いつもだらだらしてるので、ちょっと仕事して午後も遅くなってからやっとのこのこ散歩に出るのが通例だけど、今朝は思いがけずお天気がよかったので、10時ころに近所を一巡しました。
やっぱり朝の光は強い!清々しいエネルギーがあります。



とうとうワシントン州も州知事が今日、「stay at home」(家にいろよ/自宅待機)令を出しました。先週いちはやくロックダウンしたサンフランシスコとシリコンバレーの自治体は「shelter in place」(屋内退避)という呼び方をしていたけれど、ちょっとそれではパニックに油をそそぐという恐れがあると感じたからか、その後で同様の命令を出したニューヨークやシアトルは「stay at home」という柔らかないいかたにしていますが、中身は同じ。

これで「nonessential」つまり「生活に不可欠でない」不要不急の事業を行う事業所はすべて最低2週間は休業に。
そしてあらゆる少人数での集会も、基本禁止になります。お葬式や結婚式も。

これまでも、同じ家に住んでいる家族以外との接触は極力避けている人が多いはずなので、すでに在宅勤務の人にとっては生活の上でそれほど違いはないけど、これまで在宅勤務に切り替えず細々事業を続けてた中小企業の事業所がこれで全面閉鎖になります。

CTちゃんは今日までイーストサイドのインテリアデザインの事務所に通勤していたけど、資料とコンピュータを全部持って帰ってきたそうです。

マサチューセッツ州も同様に今日からnonessential な事業所の閉鎖が命じられて、うちの青年の会社も先週から自主的にキャンパスを閉鎖していたのだけど、4月7日まで再開の見込みはなくなりました。
デザイン系の仕事は実際にマテリアルや機材がないと進まないことが多いから、あまり家でできることがなくて暇そうです。

でも2週間で再開する気がしない。

ワシントン州内で確認された感染者は現在2,221名。州内の死亡者は110人になりました。
マサチューセッツ州内の感染者は777名(ほんとにw)。

エボラやペストのような、子どもも含む致死率50%のような病気のアウトブレイクだったら社会もこんなにのんびりしてないしもっと激しいパニックになっているだろうから、まだゆるやかで良かった。まだ今のところ、シアトルの人たちは急に来た休日に首をひねりつつ、遠くの火事が近づいてくるのを不安な目でなすすべなく見ている感じです。

ゆるやかに経済が死んでいくのをなにもできずに見送っている感じ。
タイタニック号の甲板でセレナーデを聽いてる感じです。

ちょっとばかりの景気対策なんかバンドエイドのようなもので、大した効果はないだろうし。

来月。実際に倒産や負債のデフォルトが起き始めて、だんだん社会が騒然としてきて、暴動なんかが起こりませんように。

ここは『マッドマックス』みたいな世界を想定して銃を買い込んでいる人がいっぱいいる国です。不安の種があるだけでもパニックに火がつき、暴動が暴動を呼ぶなんてこともわりと想定内。いやまず落ち着こう。




1930年代なみの大変化がコロナに続いて来そうな気がしてしまいます。そのあと、社会の体制が極端に変わったりすることも、もしかして本当にあるかも。
人口の3分の1くらい死なないとこの国では国民皆保険は成立しそうもないけど、たとえばそのくらいのインパクトがある年になるのかもしれない。といううっすらとした期待を持っちゃってるのんきなドゥームズデイ志向の人が意外と多い気もします。わたしもその一人!
 
そしてアンドリュー・ヤンみたいな世代の人がてきぱきと事務的によりよい社会を作っていってくれるといいなと。そのときまで自分が生きてる気はしないけど。

歴史をふりかえると、たしかに大騒乱と悲劇をくぐり抜けるたびに社会は変わっていますが、かならず人柱がたくさん立つのですよね。

今年後半が「怒りの葡萄」みたいなことになりませんように〜〜。 そんな未来はイヤです。



3月最後のサンセットはまだ残っていました。きょうも豪華な空だった。

ロビンの啼き声が今年はひときわキレイに聞こえます。


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2020/03/23

集まっちゃう人たちがいる


ケンブリッジのブルーボトルコーヒーです。ハーバード大学の真ん前だけに、みんな頭よさそうに見えちゃう。じっさい、先生風の人が多かった。

ほんの20日くらい前なのに遠い世界のようだ。

コーヒー屋さんで座って話ができなくなるなんて、考えたこともありませんでした。

昨日、ゴールデン・ガーデンズ公園に行って浜辺に団体がいるのにびっくりしたけれど、人が集まっていたのはそこだけではなかったようです。

ワシントン州の海辺の町に都会から何千という人が押し寄せてビーチが大混雑だったそうで、町長さんたちが「観光客は出ていってください」と命令を出してます。

感染症が僻地に広がったら医療が追いつかないというだけじゃなく、流通が不安定なときに外から来た人に食料品店や道路を占領されたら困るというのはうなずける。



海だけじゃなくて山の上もこんなありさま(KOMOニュースより)。

わかる、気持ちはわかる。わたしも、国立公園って開いてるのかな、行こうかな、とちょっと思ったし(中の施設はほとんど閉まっているけど公園そのものは開いている)、仕事がなくてお天気がよくて街の中はカフェも映画館もなんにも開いてなかったら自然の中でのんびりしたいと思う。でもいま混雑をつくったらあかんー。やめてー。

そんなに混んでるとは思わなかった、行ったら人がいっぱいいてびっくり、でもまあもう来ちゃったし、しょうがないやねー、ちょっとだけだし、という人が多いのかもしれませんが、いま病院で、マスクも充分にない中仕事にあたってる医療スタッフのことを考えたら、ひょっとして感染を広げちゃうかもしれない可能性は増やしたくないじゃないですか。…おっちょこちょいの自分にも言い聞かせておかないとね。

きっと集まっちゃうのは高校生くらいの若者が大多数なんだろうな。わたしも10代のときはほんとに大人の話バカバカしいと思ってたしな。いやものすごく賢い高校生もいるけどさ。頭がいつまでも12歳くらいの大人だっている一方で。



このお父さんたちに続くのだ(ソーシャルディスタンスを守って近所のお父さんたちがビール集会をしているの図)。

「大人には守るべきものがあるのにゃ。それはクールなことなのにゃ」と、はんにゃー先生はいってます。


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2020/03/22

嵐の前の最後の夕日


春分も過ぎて日が長くなりました。今日の日没は7時26分。

やるべき仕事はあるのだけどなんだか頭がぼんやりしてしまって、夕方、気分転換に車で10分くらいのところにあるピュージェット湾沿いのゴールデンガーデンズという公園に行ってみたら、パーキングが超満ぱい。真夏の週末でもこんなの見たことないよっていうくらいの混雑ぶりでした。

街はゴーストタウンのように閑散としているけど、人はここにいたのか!

結局車は停められず、二重駐車してダッシュで写真だけぱちぱちと撮り、車内から夕日を眺めて帰ってきました。

明日から天気が下り坂になり、来週は雨続きになるという予報なので、春の快晴の一日を外で過ごしたいのはみんな一緒。(3月の)最後の夕日かもしれず。


ソーシャルディスタンスを全然キープできていない人のかたまりが遠くのほうに見えてましたが。おーい。

ほかの人とは距離をおいて豪華な夕暮れを楽しんでいる人も多かったものの。

家族や恋人と一緒に夕日を眺めている人たちを見ていると、しみじみと幸せそうで、見ているこちらがじーんとしてしまう(´;ω;`)。かけがえないってこういうことだ。

カミュの『ペスト』でリウー医師とタルーが夜の海を泳ぐシーンを思い出します。

異常な状況でシンプルな幸せを確認することほど大切なことはほかにないのにゃ、とはんにゃー先生も言っています。

ついに米国への渡航が「不要不急の渡航は止めてください」の「危険度レベル2」になってしまいましたね。月はじめには日本のほうが深刻だったのに、あっという間に米国の感染者数が急上昇していまや完全に逆転。

日本に帰るには2週間の検疫が必要になってしまった。まさかこんな日が来るとは。

東京のマダムMにきいたら、東京は「自粛ムードがだいぶゆるんできた」そうで、かなり温度差を感じます。きょうは暇だからシミ取りにいってきたよ〜、とマダムM。美容外科は混んでいたそうです。こっちはネイルサロンも美容院も全部休業中だよ〜!



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2020/03/21

よく効きそうなオルガンと19世紀ロマネスク


ほんの2週間ばかり前にふつうの生活が営まれていたとは、もう信じられない。
2月の終わりのボストン日記です。

うちの青年の話だと、今はもちろんこの教会も、近くの高級ブティックやレストランのある通りも、みーんな閉鎖されているとのこと。

ボストンのバックベイ地区のまんなかにあるトリニティ教会

1733年創設の、アメリカ建国よりも古い教会です。 エピスコパル派。最初は英国国教会だったんですね。いかにもあんぐり感じゃないよアングリカンのエスタブリッシュメントの教会だねって感じがする。宅は由緒正しゅうございますのよ、て感じの教会。

いまの場所に移転したのは1872年で、ヘンリー・H.リチャードソンという建築家の設計

ヨーロッパの中世の教会をベースにしたロマネスク・リバイバル様式で、ビザンチンの要素もちょこっとはいっているそうです。
この様式は「リチャードソニアン・ロマネスク」と呼ばれるようになり、19世紀後半に流行って、全米あちこちの都市の教会や公共のたてものに応用されたそうです。

多色使い、たくさんのアーチ、ぼってりしたボリュームのあるプロポーション。装飾過多な感じ。どこか1980年代のポストモダンのビルに似てると思うのはわたしだけでしょうか。なんかこう、キャラクターがかぶる気がする、80年代と。

あっそうだ、もしかしてと思ったらやっぱり、ハワイのホノルルにあるビショップ博物館の建物もこの様式でした。もっと装飾は少なくて多色づかいはしていないけど。 これも同時代のたてもの(1898年完成)。

(ビショップ博物館、ウィキコモンズより)

なんかこう、ちょっとテーマパークっぽい感じがする様式だとわたしは感じます。

成り上がりと旧大陸の人たちに思われていた新興国家のアメリカ人が、中世ヨーロッパの重厚さに憧れて、その雰囲気を表現しました、という素直な、すこし恥ずかしいくらいの憧れがバーンと臆面なく表現されているように見えます。

建国から19世紀末までのアメリカの教会には、ゴシックやロマネスクのリバイバルが多いんですね。
裁判所や役所はギリシア・ローマ神殿みたいな新古典様式のやつが多いけれど。



すぐとなりにはガラス張りのジョン・ハンコック・タワー(62階建て、1976年完成)があって、晴れた日にはきれいな青空を背景に、19世紀の教会が20世紀のオフィスビルにくっきり映ります。


重厚な正面扉。これも中世のお城みたいなおもむきがありますね。

毎週金曜日のお昼に、パイプオルガンのコンサートが開かれていました。
サジェスチョンは寄付10ドルだけど強制ではありません。

10月と2月に1度ずつオルガンを聴きにいきました。

毎回違うオルガニストが来て演奏する、30分ほどのミニコンサート。
2月の演目はバッハ2曲のほかは、Richard Purvis 、Robert Hebble、William Mathias、Louis Vierneという、いずれも知らない作曲家の20世紀の曲でしたが、面白かった。

演奏家は、東京の芸大で教えていたことのあるボストンのオルガニストさんでした。



教会内部は外から見た印象よりさらに広く天井が高く、壮麗。ステンドグラスや壁画も豪華です。

そして前の壁にも横の壁にも後ろにもオルガンのパイプ。
7000本以上のパイプがあるという、どこがどういうふうにつながってどこで鳴っているのかシロウトにはさっぱりわからないオルガン。

いってみれば教会堂全体が楽器です。
こんな大きな楽器を演奏できるオルガニストは楽しいでしょうね。

カンカン、というかねの音が入っている曲もあり、いろんな音があってとても面白かった。シンセサイザーのようだ。

オーボエのようなはかなげな音や、身体にごうごう響く低音が、本当に気持ち良いのです。

「セロ弾きのゴーシュ」の、チェロの中につまんで入れてもらったネズミの子みたいな心持ち。

このオルガンをこの聖堂で一日聴いたら、ちょっとした風邪や肩こりくらいならたちまち治りそうな気がします。

また教会でオルガンが聴ける日が、すみやかに来ますように。


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