2020/12/12

肉を焼く。


うちの青年が、たしかプリスクールくらいのときにつくって持って帰ってきた「ジンジャーブレッドマン」です。

先日、ひさしぶりにダウンタウンのウワジマヤまで車で行ってみて、クリスマスのディスプレイがキラキラしている街にほとんど人がいないのに、またあらためてショックを受けてしまいました。

Macy'sも板張りされているし。でも例年どおりのクリスマスツリーの電飾が壁にあっただけ、ほっとしたけど。

人が出入りしていないオフィスビルにも、大きなツリーやクリスマスライトが飾られてましたが。

ニュースを見れば、ま だ あ い か わ ら ず、「オレが勝ったんだ」「不正選挙だ」とウソをつきつづける大統領とジュリアーニが毎日登場し、もう本当にいい加減にしてほしいんですけど、共和党の人たちがこのごにおよんでまだそれを積極的にしろ消極的にしろ支持しているの、笑い事で済まされないです。

先週登場したジュリアーニの「スター証言者」 がネットやテレビで笑いものになっていましたが、日本のとあるブロガーさんが、彼女の証言を100%信じて憤懣やるかたないって記事を書いてるのを偶然読んでしまって即死しそうになりました。ほんとうに、そういう人が、けっこういるのね、日本に!

 

 


 

この人ね。「わたしは見たの。同じ票が何度も何度も数えられてたわよ」と主張してる。

 法廷からは「あなたの言うことは信頼できません」と一言のもとにピシャリと拒絶されてるんだけど、それもディープステートだ、陰謀だって言うんだろうなあ。

このワシントン・ポスト紙の記事によれば(極右の人は頭からそんなの信じないのだろうけど)、この人、法廷に出した書類に学歴も職歴も詐称しているし、ボーイフレンドの元妻に自分たちのセックスビデオを送りつけて逮捕されたりもしている、かなりカラフルな人で、この州議会での証言でも「わたしの生活はこの証言をしたためにめちゃくちゃになった。SNSからも追い出された」とか言ってるのにFBは普通にアカウントが残ってて、トランプの熱烈サポーターとして集会に出たりしてる写真が出回ってます。

国を動かす(はずの)裁判に「スター証言者」としてこんな人しか探してこられなかったという時点で、もうどんな性格なのかがわかろうものなのに。

これまでの裁判がすべて始まる前に裁判所に却下されているのは、陰謀でもなんでもなくて、たんに「裁判として成り立つほどの証拠も弁論も提出できていない」からなのですが。どこの裁判所だか忘れたけど、「主張するだけじゃ立件できないんですよ」と裁判長が言っていた。主張だけで裁判になるなら、世の中たいへんなことになりますよね。そんなの小学生でもわかるのに。

 弁護士なら当然知っているはずの基本的な取り決め事項が守れてないということですよ。

今週は今週で、テキサス州の司法長官が、ほかの4州の選挙結果を無効にしろという前代未聞の珍裁判を起こそうとして、最高裁に秒速で却下されました。

なにより恐ろしいのが、その主張をかなりの数の共和党の議員が公式に支持したということ。これじゃ、支持者が信じてしまうのも当然ですよね。

この国は、本格的に2つに分かれてしまいました。主義主張ではなくて、なにを事実とするかで。

 もうしかたがないから、中西部だけ別国家にしてもらうしかないのではないかと。でもそうしたら軍隊をよこせというだろうしなあ。

いや真面目な話、この人たち、クーデターまで考えてる?て気もしてくるこの頃です。

鉄腕みぽりんが年末は日本に帰るというので、しばらく日本にいたほうが安全だと思うよって言っちゃいました。




うちの青年が、「肉が食べたい」と言ってステーキ肉を買ってきた。
YouTubeで焼き方を研究して、安い肉ではあるけれどかなりおいしく焼き上げてました。

すごいなYouTube。その気になればなんでも学べる。




わたしと違って運動していないとダメな人なので、ほぼ毎日、自転車に乗りに行ったり、階段トレーニングをしたりしているので、タンパク質と糖質の消費量半端ない。

どこにも行けないので、食料品の買い物とおうちごはんと映画のストリーミングがエンターテイメントのすべてですね。

 

 

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2020/12/07

トリイを買いに


 

「鳥居を買いに行こう」


と、うちの青年が言うので、びっくりしました。

クリスマスツリーの「Tree」を日本語の発音で言ってみようとしたらしい。

トリイじゃないよツリーだよ。

でもそういわれてみれば、treeは「トゥリー」であって「ツ」音ではないよな。
なぜ「ツリー」かと尋ねられてもちょっとこまる。

というわけで、近所のクリスマスツリー売り場へ。





八百屋さんの駐車場がこのシーズンはツリー売り場になります。
快晴になった日曜日、お店は盛況でした。



針葉樹の森林に来たような、クリスマスの匂い。





いちばん香りのよい「グランドファー」(グランディスモミ)にしました。
小さめのでも170センチくらい。

「これがいい」というと、売り場のお兄ちゃんがよっこらしょと持ち上げて運び、テキパキとネットで梱包してくれます。




プリウスちゃんの荷台にちょうどぴったり入った。リースもついでに買いました。



車の屋根に積まれていくトリイたち。

この風景を見ると、師走だなあ、と思う。




ツリーを自分ちで買ったのは、ホノルルのパンチボウルの近くの狭いアパートに住んでいたとき以来、初めて。以降はCTちゃんちだったし、ここのアパートにひっこしてからは、息子も大学生だったし、特に買おうともおもわなかった。

くまのオーナメントは、うちの青年が0歳のクリスマスに買ったもの。奇跡的に生き残っていました。


 
これは去年加わった、ナカユビ立てたノーム。CTちゃん手づくりの指カバーつき。



 

電飾は何年か前になぜかセールで買ったやつで、しかし箱から出してみたらライトの色が違ってて、上は暖色、下は寒色のLEDで、ちょっとトホホです。LEDよりやっぱり暖色がいいなー。

オーナメントも長年のあいだに割れてしまっていた。控えめな大人のトリイってことで。

リビングじゅうに、樹の匂いがいっぱいで心地良いです。

 

 

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2020/12/04

プサルタリー


 YouTubeで、またラブリーな中世音楽チャンネルを見つけてしまいました。

Musica Medievale。こちらです。

不思議な楽器がたくさん出てくる。そして何がおかしいって、貼ってある画像が変すぎて萌える。なにと戦ってるのこの人。そしてこの盾は一体なに。

 

 

この大変情けない顔のウサギが弾いているのは「プサルタリー」という24弦の楽器。

聖書の詩篇の伴奏にも使われたとWikipediaに書いてあった。へええ、あれは歌うものだったのね。

ハンマーダルシマーやハープシコードに発展していった楽器の原型のようです。

しかしどうしてこんなに困った顔をしているのだ。死ぬまで飲まず食わずで演奏し続ける刑でも受けてるみたい。それとも曲がむずかしすぎるのか。

中世音楽は日本の民謡に節回しが似てるやつもあったりして、音楽の理屈はまったくわからないなりに面白いです。盆踊りみたいな舞曲もあって、ゆったり安心して聴いていられるかというとそうでもないのだけど。


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2020/12/03

桁ちがい&なかよし君、離反か


師走ですねー!

コロナ禍が米国では日々大変なことになってます。

日本も感染が広がってるようだけど、桁が、違う。

米国の1日の感染者数は約20万人に。1日のです。

そして亡くなる人の数も、1日2000人台をさくっと越えてしまいました。
日本に帰れる人は、もはや帰ったほうが安全なのかもしれない。

最悪はこれから、と専門家は予見してます。来年前半はどんなことになるのやらー。




そんな中、CTを撮りにまたワシントン大学の病院に行ってきました。
放射線科の廊下には、チューリップのレントゲン写真??が貼られていて素敵。

さいわい、腫瘍は思っていたほど進行してなくて「わりと安定」しておるという所見でございました。

感染拡大の危機にあたって、病院はとっても静か。どうしても必要な予約以外はキャンセルする人が多く、付添いは必要な場合のみ、成人1名だけに限定されているからです。


わたしは一昨年の12月に手術を受けたのだけど、友人がたくさんお見舞いに来てくれて嬉しかったし元気づけられた。CT3号まで(表に)きてくれて。
みんなが花を持ってきてくれたり顔を見せに来てくれたから、のんきに楽しく入院生活が送れました。
今、手術などで入院しなければならない人はとても寂しいことと思います。




今週は快晴つづき! うっかり受けてしまった仕事で缶詰めなのだがー。


 
夕焼けすごいです。サンセットヒル公園にて。

現職大統領はあいかわらず「不正選挙だ!」と叫んでいて、コロナ禍についてはまったく言及せず。

日本でニュースになってるのかどうか、トランプのなかよし君だった司法長官(BLMのデモ鎮圧に軍隊を投入した人)が、AP通信とのインタビューで「司法省は大統領選挙の結果を覆すような選挙上の不正は発見ていない」と語って、きのうのトップニュースになってました。

トランプ派による選挙不正追求の訴訟はことごとく失敗しているし、だいいちたしかな証拠はひとつも提出されていないっていうのは、トランプ側近と支持者以外には世界中に周知の事実なのだけどー!

それをこの司法長官の口がしゃべったということが、大ニュース。トランプもこの人がお墓までついてきてくれるとは思ってなかっただろうけど。

いくら忠実な側近とはいえ、司法の世界には司法の世界のルールがあるのだから、いつまでもトンチンカンな主張を応援してはいられなくなったのでしょう。

どこの裁判所も、証拠もないトランプの言い分をまともに相手にできないということ。

とりあえず、アメリカの司法システムがまだちゃんと機能しててよかった。
トランプ派は司法の世界もすべて(自分が指名した裁判官や長官も含め)陰謀に加担してるって言い出すのかな。

 

 



 

Netflixの『The Trial of Chicago Seven』(『シカゴ7裁判』)おもしろかった。
史実にどのくらい忠実なのかしらないけど。この事件の顛末はアメリカ60年代史の授業で読んだはずなのだが。すっかり忘れてしまいました。

俳優陣が超豪華でびっくり。サシャ・コーエン(鉄板)、魔法使いのエディ・レッドメイン君(推し)、綱渡り映画『WALK』や『インセプション』にも出てたジョセフ・ゴードン=レヴィット(ひそかな推し)。

「BATMAN」マイケル・キートンが前司法長官役で、存在感ずっしり。「ボス」って感じね。



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2020/12/02

USルート93号線で遭遇したもの [DAY9]


10月のロードトリップ、最終日第9日。これで最後です。

ネバダ州ウェルズから、例のUSルート93号線というこの対面通行の国道↑↑を北上し、アイダホ州ツインフォールズへ。
そこから州間高速道に乗って、シアトルまでは計11時間の道のりです。



寒いけど(4度Cくらいでした)快晴で、前の晩はよく眠れたし、ガソリンも満タンにしたし(笑)、夜中に着けばいいやと思って、のんびり9時頃出発。


ツインフォールズまではまっすぐ荒野をつっきって1時間半ほど。

ほ ん と うに、道の両側には荒野しかないので、ずーーーっと交差路はありません。が、ところどころにこのような歩道橋がある。放牧地があるので、人間よりもおもにウシやシカが利用しているみたいです。

このUSルート93号がいわくつきだということは前日に知ったわけですが、いくらなんでもこんな快晴の朝ならノープロブレムだろう、と思っていたら。



曇ってきた。というより、わたしたちが雲の中に突っ込んでいったわけですね。

いちばん上の写真で、低く地面すれすれにたれこめている、不吉なかんじの雲がありますね。

よく見れば、そのまんなかに自分たちが入っていくのは一目瞭然だったのでした。

Amazonプライムのトラックは、ほんとにいたるところで見た。こんなルート93にも。




そして、雲の中ではなんと雪が降っていたのだった。つい10分前まで快晴だったのに!

スノータイヤなんか履いてないプリウスちゃんが心配でしたが、くっつく雪ではなくて、サラサラと地面を流れていく乾いた雪で、幸いスリップなどはせずに済みました。

低い山をひとつ越すと、すぐにやみました。こんな天候の激変があるとは!

 

 
突然の雪に遭遇したときには、前夜の真夜中ガス欠ギャンブルの坂道よりもずっと動揺したけど、逆に運転していた青年は落ち着いたものでした。




穴からでてきた動物的な。




アイダホ州に入ったあたりかな、このあたりの景色もほんとうに綺麗でした。

丘陵の下にぽつぽつと牧場があり、雪の降る枯れた牧草地に牛たちが点々と散らばっている。
荒々しい砂漠や荒野に挟まれた、こぢんまりした谷あいの牧場。

枯れた牧草の色、丘陵の紅葉、霧の濃淡。限定された色あいの中の繊細なグラデーション。
そこに雪。



 

ここに1週間くらいいたら、すごく綺麗な写真が撮れるかもしれない。

このような道ばたスナップではその1000分の1も伝わらないんですが。もうちょっとゆっくり景色をみていたかったけど、まだこのさき10時間のドライブが待っているので、一度路肩に停まっただけで通過。





帰りの道で、しかもネバダ〜アイダホのこんなマイナーな場所で、これほど景色に感動するとは予想していませんでした。

国立公園に行くときは、世界的に有名な景色を見にいく!と、最初から期待値が上がっていますが、何も期待していない場所でこんな光景にでくわすと、すんごい拾いものをした気分です。




ツインフォールズからインターステート84号に乘るまでの道も、スネーク川沿いの景観がのどかで美しかった。


一瞬で通り過ぎた小さな家の日の当たる裏庭で、7歳か8歳くらいの金髪の女の子が白い馬の首に手をかけて頬を寄せているのを目撃。

いったい今のはなに?マボロシ?と、絵本の表紙みたいな光景に震えてしまいました。


 

 
ツインフォールズからオレゴン州の途中まで、3時間くらいわたしが運転。(9日間の全行程で運転したのは3回くらいだった)

インターステート84号のツインフォールズからオレゴン州境あたりまで、気持ちのよいカーブやスネーク川を見下ろす谷あいなどがあって、変化にとんだ楽しいコースでした。 
 
 


オレゴン州で日が暮れ。
 
 
 


シアトル帰着は、やっぱり真夜中近くになってしまいました。


なんだかんだで珍道中でしたが、面白かった。行ってよかった。こんな時期に思いがけず念願のグランドキャニオン覗きがかなって、ほんとに嬉しいです。




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2020/11/29

初・鶏の丸焼き


あっという間に長い週末が終わってしまってびっくりだ。

シアトルは、冷たい雨の降るしっとりした感謝祭(木曜日)でした。

ことしはワシントン州全域に「同居人以外の人とは屋内で集まらないように」というおふれがでているため、例年だったらCTちゃんたちと感謝祭ディナーにするのですが、自粛。

うちで青年とふたりのディナーだから、お鍋にしようかなんて思っていたのですが、やっぱりホリデーらしいものが食べたくなり、ターキーでなくて鶏を一羽焼きました。

せっかく巨大オーブン(アメリカではむしろ小さめだけど、オーブントースター4個分くらいの場所を取っており、無駄にでかい)があることだし。



レシピはこちらを参考にしました。


にんにくみじん切りと塩こしょうをたっぷりまぶして、レモンとバターとオリーブオイルと白ワインを混ぜたものをたっぷりかけ、ローズマリー、絞ったレモンの皮まるごと1個分、にんにく3かけ、セージをつめて、焼くだけ。シンプル。



4ポンド半(約2キロ)の鶏一羽で、1時間半くらい。



こんがり焼けたー。これまでも毎年どこかにおうちにおよばれしていたので、七面鳥も自分で焼いたことはないのです。結婚してたときは元夫が焼いてたし。

鶏の丸焼きもはじめてのこころみでしたが、意外にかんたんにカリカリに焼けて大満足でした。
身もジューシーでおいしかった。



あとはコーンブレッドとカラードグリーン、そしてクランベリーソースのみ、というささやかな感謝祭ディナー。キャンディヤムかマッシュポテトを作ろうかと思ったのですが、食べるのは2人なので、苦渋の決断で思いとどまりました。

やっぱりマカロニチーズとマッシュポテトとヤムがないと、すこしさみしい。あとグレイビー!

マッシュポテト&グレイビーの組み合わせはやばいです。時々無性に食べたくなる。



パンプキンパイは冷凍のクラストが割れており、そこから滝のように中身が漏れ出すという事故があったものの、なんとか形をとりとめました。(だいぶ薄くなったけどww)

静かで平和な感謝祭でした。


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2020/11/26

圧倒的に強い女と魔女


Netflixの『The Queens Gambit』(クイーンズ・ギャンビット)面白かった!最高でした。

『マーベラス・ミセス・メイゼル』とおなじく1950年代から60年代の話だけれど、こちらのほうが画面もしっとりしてて、映画っぽい。とても綺麗で空気感のある映像でした。





子役もいいけど、アニャ・ティラー=ジョイ。
この人の眼ぢからをここまで活かせるドラマはなかなかほかにないかも。

恵まれない孤児の境遇で、母の死などのトラウマを抱え、向精神薬やアルコールに依存する天才チェスプレイヤーのお話ですが、そう聞いて想像するような湿っぽさがほとんどない。

 



画面はしっとりしてるのですが、話の運びはまったくドライできびきびしていて、前向きで小気味よいです。

話がしめっぽくならないのは、主人公のベスが、アスペルガー?と思うくらいに感情をあらわにせず、動じず、人の目を気にしない意思の強い人だからでもあり、登場人物の心理がわかりやすいけれどとても抑えた表現で描かれているからでもあり。

ほんとに、これのすぐ前に見た『ミセス・メイゼル』はコメディだけど、共通点がいっぱいある。どちらも、1950年代〜60年代という、まだガチガチにしゃちこばった白人男性優位の価値観が全く揺らがなかった時代に、スタンダップコメディやチェスという女性の存在をほとんど認めていない世界に若くてきれいな女性の主人公が斬り込み、圧倒的な実力で居場所を獲得していく話。

どっちの主人公も挫折してもぐずぐず泣き言をいったりしないし、人間関係をおいてけぼりにしてまでも自分のやりたいことに突っ込んでいく。

でも2人ともオシャレでガーリーで、服や髪型が毎回すごくかわいい。まったく肩肘はらず、いばらず自信をもってカワイイを楽しんでいるのも素敵で、新しいヒロイン像だなあと思いました。

アニャ・ティラー=ジョイちゃんは96年生まれ、うちの息子より1歳下の24歳。
少女マンガのような顔だと思いませんか。

この人はなんといっても、2015年の『The Witch』(ウィッチ)が印象的だった。



アメリカ独立前の東海岸、ニューイングランドの村を追放されて森のほとりに住む家族の話。

お父さんは敬虔なキリスト教徒だけれど、頑固もの。信仰も頑固がすぎて村を出ることになる。

人に頼れないプライドの高さにくわえ、狩りなどの実用的な仕事が得意ではないので、家族はだんだん困ったことになっていく。お母さんはイギリスが恋しくて、人里離れた森に住むのは不本意で幸せではない。赤ん坊がいなくなった日から次々に不気味なことが起こりはじめて、両親も幼い妹と弟も長女のトマシンが魔女ではないかと疑いはじめる、という話。

わたしはホラー映画にはあまり興味がないのだけど、これはとても面白かったです。

ピューリタンの信仰にからみつく罪の意識と恐怖が、説得力抜群に描かれていました。

会話はすべて17世紀の英語で、聞き取るのがすごく大変だった。ていうか正直あまり聞き取れなくて字幕が頼りでした。ふだんから家でドラマや映画を観るときはクローズドキャプションの英語字幕を出しっぱなしにしてます。



全体に画面全体が陰鬱で、森も暗いし登場人物も暗い。 アニャちゃんの演じる長女トマシンだけがみずみずしく輝くように描かれているのだけど、魔女への恐怖が育ちはじめると家族がどんどん疑心暗鬼で崩壊していく。

出てくる魔女(こわいよ!!)のエピソードはすべて、当時のニューイングランドで採集された「目撃談」や噂話にもとづいているそうです。まじこわいよ!

サンクスギビングにぴったりの映画かどうかはわかりませんが……サンクスギビング発祥の地ニューイングランドを舞台に、恐怖とはなにかを解剖してみせてくれるような映画です。

 きょうのシアトルは、ちょうどこんな感じの暗くてしっとりした雨。

 

たのしいサンクスギビングを〜。

 

 

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