2012/02/17

スノーグースを見に行った


Skagit Bayの近くに、Snow Geese (スノーグース、和名は「ハクガン」)を見に行きました。


このへん(赤いAのあたり)です。 シアトルからはクルマで北へ1時間弱。
去年の春に行ったチューリップ畑の近くです。


毎年見に行っているKさんに連れてって頂いたのですが、「 うまい具合にいつも遭遇できるとは限らないのよねえ」なんて言っていたら、さっそく道端にいたいたいた〜〜!


大集団が。右にも…

左にも……見たわたす限りトリいぱーい。 (拡大↓)


この団体は、北極海から10週間かけて、はるばる3000マイル=4800キロも飛んで来て、この地域だけで毎年6万羽から10万羽が越冬するんだとか。

肥沃な河口地域の畑で、暖かい冬をたのしんでらっしゃる団体さん一行です。

すぐ近くの家の犬が吠えたからか、手前の団体さんがぞわぞわっとしたかと思うと、波が立つように飛び立った。





オアフのノースショアに来る、冬の大波のようでした。

2月の最後の週末に、スノーグース&バードウォッチングのフェスティバルも開かれるようです。サイトはこちら

このサイトのスノーグース情報で、この団体さんの多くはロシアのWrangel Island(ランゲル島)から来る、とあったので、どんなところかちょっとみてみました。

2004年に世界遺産に登録された、北極海のガラパゴスのような貴重な生態系を持つ島。にもかかわらず、90年代はじめに放棄されたままの旧ソ連のレーダー基地跡がこんなことになっているようです。


画像はRussia Travel Blog からお借りしました。

Gorshkov Sergey さんという野生動物写真家の方の作品です。放射性物質を含む電池なども野ざらしに廃棄されたまま、有害物質が垂れ流しになっているという、スノーグースの故郷。ホッキョクグマやホッキョクギツネが廃墟の基地の中をうろうろしているという、美しいけれど衝撃的な光景です。

これらは2010年の写真ですが、世界遺産になったのにこれを片付けるだけの資金はどこからも出る気配もないらしいとは、あんまりな話です。

ここから何万羽もの鳥たちが来るのだから、ワシントン州にも関連の深い島。どうにかしたいものです。

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2012/02/16

寒桜と路傍のブッダ


家の近くでは桜も咲いています。
ソメイヨシノのように華々しい雲のような満開状態にはならず、枝垂れ気味の枝に八重咲きの小さな花を控えめにつけている桜。
桜辞典で見てみました。 (去年よりアップグレードして検索しやすくなってる!)
Warwick (ウォーウィック)という品種が一番近いようです。日本では4月頃と10月頃の2回咲く、外国種だとか。


この桜、お正月明けくらいから、もうかれこれ1ヶ月以上細々と咲いています。
 
先月の雪の日にはこんなありさまでした。



この桜の樹の少し先には、こんなお庭が。

 垣根がない前庭の、篠竹の植え込みの奥に、苔むした灯籠とブッダ。オーセンティックな日本風ですが、ここのお宅の持ち主はイタリア人のワイン好きなゲイのおじさんで、とても素敵な方です。
この近所を歩いていると、ほかにもよくこんな風に仏像がお庭に据えてあるのにお目にかかります。真剣に仏教徒という人も中にはいるでしょうけれど、ほとんどの場合きっと「ノーム」感覚なのだと思います。

日本では家の庭に仏像を飾る発想ってあんまりないですね。ていうか、舗道の脇にこんなブッダがいたら、おばあちゃんがお供えを置いていくかもしれません。



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2012/02/14

春の不気味な呼び声と、まんさくの花



気がつけばもう2月も半ば! ご無沙汰しておりました。
ヨーロッパ情勢に胸を痛めるあまり(うそ)、なかなかブログが更新できませんでした。
ギリシャの情勢は本当に嘘じゃなくて胸が痛くなりますが、本当はペーパーを書くので、もう精一杯でございました。日本語でさえ読むのも書くのも遅いのに、英語になるともうお猿の電車なみの速度で、ほんとにガックリです。


今年ももう、マンサク/金縷梅/Witch Hazel、が満開になっていました。

東京では2月が一番寒い時期ですが、シアトルの2月は、もう春の気配が濃厚。
寒いのはクリスマス頃がピークで、1月になるともう徐々に気温が上がってきます。

でも油断して薄着で出て行くとまだまだ寒くて震え上がる春先。
今日は風が冷たいと思ったら、日中5度Cでした。


 鳥たちの姿も増えてきました。

この時期になると、ケケケケケケケケケ……という、不気味な声の鳥が響き渡るのです。
その音程が、日本の晩夏に響く「ひぐらし」に似ている、と友人CTちゃんに言ったら、わかるわかる、と言ってくれました。

なにかキリキリキリ、と問いかけるような、短調のビブラートみたいな不安をかき立てるような呼び声。

Northern Flickerというキツツキの仲間ではないかと思うのですが、確認できていません。

追記:Prunusさんが教えてくださったこのサイトで、鳴き声が確認できました!
間違いなくNorthern Flicker でした。タタタタタ、とよく煙突や電柱の金具の部分を叩いているのですが、そのドラム音も録音されています。





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2012/01/30

One Bus Away


シアトル近郊でバスを使う方なら皆さんご存知、必須のアプリ『One Bus Away』。

寒い朝、時間どおりにバス停で待っているのにバスがなかなか来なくてイライラすることがままありましたが、これを使うようになってから安心して待っていられるようになりました。わたしはつい先月使い始めたばかりなのですが、もっと早く知りたかった!

iPhone、WP7、アンドロイドのほか、電話で到着情報を聞くこともできるようです。

スマートフォンアプリでは「Map」 を選択すると、Google Map の現在地の上に、近くのバス停や電車の駅がわーっと出てきます。停留所を選んでクリックすると、その停留所にこれから来るバスの番号と行き先、そのバス停にあと何分で到着する予定かが、リアルタイムで表示されます。



バスが遅れている場合は 「XX min delay 」と表示され、バス停近くに来ると「NOW 」の表示になります。
いままで使ってみたところでは、「NOW」になってからの誤差は2分か3分くらいが平均。たまに5分以上遅れることもありましたが、来るのか来ないのか、様子がわからなくてイライラということはなくなりました。

このアプリ、ワシントン大学のコンピュータサイエンスの院生だった(現在はGoogle におつとめ!)バスで通学していたBrian Ferris さんが、「雨の夜遅く、44番のバスが来るのか来ないのか、気をもみながら待ちくたびれたことがあまりに多かったから」作成したものだそうです。

シアトルタイムスのBrian Dudley氏のブログによると、昨年Ferris さんが卒業してしまった後も、シアトル市、キング郡、サウンドトランジットなどの交通機関とワシントン大学が共同で、メンテナンスと運営を当面1年間の予定で継続することを昨年10月に決定したそうです。

おもしろいのは、バスの現在位置データのもとになっているのはGPSではなくて、車輪の回転をモニターして走行状況を管理する wheel rotation encoder という、わりにローテクな響きの装置から送られる信号なのだそうです。

Ferrisさんはいずれこのようなリアルタイム運行データをGoogle の機能に組み込む方向で働いているようだし、シアトル市のほうは別のアプリを開発中という話もあるのですが、どっちでもいいから、One Bus Away のようなすっきり使いやすいインターフェイスで正確なデータを送ってくれるアプリが全世界の都市で使えるようになると良いですね。


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2012/01/27

シアトルのバスたちとORCAカード


シアトルのダウンタウンは駐車場が少なくて高いし渋滞するので、多くの人がバスで通勤しています。職場の同僚も9割がバスか電車利用でした。

「メトロ」と呼ばれている、黄色と緑色の市バス(King County Metro Transit、キング郡交通局なので本当は「郡バス」ですが)のほかにも、近郊の郡にまたがって運行されているSound Transit (サウンド・トランジット)の高速バスやライトレールや通勤用電車があって、シアトル周辺は公共交通網が優秀だねえ、と思っていたら、これだけ整備されてきたのは「わりと最近」なのだそうです。近郊から小一時間かけてダウンタウンに電車通勤している友人Rさんは、「ここ数年くらいで、や〜っとポートランドに追いついてきた」と言ってました。

たしかに郊外からダウンタウンに来るサウンド・トランジットのバスや電車は、メトロバスに比べてピカピカで新品感いっぱいです。


シアトルダウンタウン圏内のバスは、午前7時から午後7時まで乗り降り無料。

(追記:この乗り降り無料区間は、2012年9月末に予算難のため廃止されてしまいました)

乗り降り無料区間はいきおい、ホームレスの人たちの足にもなっているので、ときに異臭が漂ってしまうのは、いかんともしがたい事実。メトロのバスは行き先によってかなり雰囲気が違います。

住宅街からのバスは、本やKindle やiPad やラップトップを広げている勤め人や学生さんがほとんどです。バスの中で本を読んでいる人が多いのは、ハワイのバスと大きく違うところ。朝のバスは、片手にトラベルマグ、片手にKindleかハードカバー、という人が多くて、コーヒーの香りが漂ってたりします。



シアトルのバスが利用しやすいのは、2009年に導入された「ORCA カード」の存在が大きいはず。
バスも鉄道もフェリーも近郊の交通機関はこれ1枚で乗り降りが出来る、日本の「スイカ」や「イコカ」みたいなタッチ式のICカードです。プリペイドのお財布式と、決まった路線用の定期式が選べます。

ホノルルでバスを利用すると、運転手さんは絶対におつりはくれないし、お金を崩してもくれないので(日本のバスのような両替機なんてシャレたものはついてません)、ぴったりの小銭とドル札を用意しなくてはならないのがとっても面倒でした。

ORCAは「One Regional Card for All」の略ですが、オルカも住んでいるピュージェット湾の周辺地域にぴったりで、「イコカ」にはちょっとかなわないかもしれないけど、「スイカ」には軽く勝っているナイスネーミングではありませんか。

 ていうか、オルカカードの名前を考案した人びとの頭には、お手本として「スイカ」「イコカ」があったのに間違いないですね。いまカタカナにしてみて、勝手に確信しました。

 カード購入はダウンタウンの「地下駅」や電車の駅の自販機かオンラインでの注文のみ(カードのデポジットは5ドルです)。

(追記:その後、 スーパーマーケットでも新規のカードが買えるようになりました。
新規カードが買える場所の一覧はこちら)。

追加入金は自販機やオンラインだけでなく、スーパーマーケットでもできます。

が、オンラインで入金すると24時間以上カードに反映されないので、翌日乗車の必要があるなら自販機か小売店に行くのをお勧めします。この辺が、日本のサービスに慣れているとなんとも歯がゆいところ。でも、アメリカの公共交通機関でここまでやってくれるなら、文句は言えません。

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2012/01/18

Snowed out, snowed in


シアトルに、先週末から今シーズン初の雪がやってきました。

週末は息子のサッカーのトーナメントだったのですが、日曜の試合は雪でキャンセル。翌日の月曜日、マーチン・ルーサー・キング牧師のバースデーの祝日にも、小雪がぱらつきました。

天気予報で、水曜の未明には「a massive snow storm(巨大雪嵐?)」が来て市内で最高14インチ(35cm)という数十年来の積雪になるかもしれない!!! というので、火曜の午後4時半にはすでに翌日のシアトル市内公立小中高校全校の休校が宣言されました。

地元テレビ局King 5によると、きょう(1/18水曜日)午前6時のシアトル市内の積雪は2インチ(5cm)、タコマ市では10インチ(25cm)。まだ降ってます。

シカゴや富山県の人には、ふーん、それだけ?と言われそうですが、とにかく雪にはめっぽう弱いシアトル地域です。

ダウンタウンにある職場(いま、短期の仕事をしている法律事務所)も、午前6時に今日は閉鎖を宣言。ワシントン大学のシアトルキャンパスも、今日は全面休講になりました。
通勤通学は車が主流なので、フリーウェイでまた一昨年の大混乱が再現されるのを予防したのでしょう。

きょうはお休みの職場が多いようで、道路もがらんとしています。


けさ8時頃、家の近く。普段なら通勤の車がぶんぶん行き交っている頃ですが、道にいるのはカラスだけ。たまに4WDの車やFEDEXのトラックがそろそろと坂を下りていきます。


フリーウェイでも一般道でも、もうすでにあちこちでスピンして立ち往生した車が出ているようです。

 急な坂道を雪の日にも普通のタイヤで下りられると信じているドライバーが多いのもシアトルの特徴で、今日もきっとシアトルのあちこちで、凍った坂に果敢に挑戦してずるずる滑り落ちていく車が見られることでしょう……。



試合やイベントが「雪で中止になる」は 「snowed out」。週末からこの言葉をたくさん聞きました。
「英辞郎」にはこの表現はなくて「snowed off」が載ってますが、検索でのヒット数はsnowed outのほうがひとケタ多いです。



「雪に降り込められる」は「snowed in」。きょうはsnowed in の一日になりそうです。



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2012/01/15

Seattle Freeze


シアトルはアメリカのほかの都市にくらべて、友達が作りにくいのだそうです。

そういえば、もうずいぶん前、まだハワイにいた頃に、シアトルで数年間仕事をしていたという日本人の女の子から、当地では友達を作るのが難しかったと聞いたことがありました。

ときどきそんなことを耳にしてはいたのですが、数日前にNPR系地元ラジオ局KPLU の記事で、シアトルで友人が作りにくい現象に Seattle Freeze という名前があるのを知ってびっくりしてしまいました。

「シアトル・フリーズ」って、カタカナで書くと、スタバの新しい甘い飲み物みたいですね。

記事ではUrban Dictionary を引用して、「シアトル・フリーズ」をこう紹介しています。

“A phrase that describes a local public consensus that states the city of Seattle and/ or its outlying suburbs are generally not friendly, asexual, introverted, socially aloof, clickish or strictly divided through its social classes, thus making the city/ area difficult to make social connections on all levels.”

(地域の特色をあらわすとして地元で広く受け入れられている表現で、シアトル市およびその周辺地域の一般的な傾向が、親しみに欠け、セクシャルでなく、内向的で、人と距離を置きがちで、仲間内にしか打ち解けない傾向を持ち、社会階層間ではっきりと分断されており、ゆえにこの地域で社会的なつながりを持つことがあらゆるレベルで難しいことを指す。)

へー。

この地域に2年半住んでみた感想として、「フレンドリーでない」というのはまったく当たっていないと思います。

たしかに、 知らない人から突然当然のように話しかけられる回数は、アメリカのほかの場所に比べてずっと少ないかもしれません。街を歩いていて知らない人と目が合ったとき、アメリカ人は久しぶりに会った旧友のようににっこりすることが多いのに、シアトルではまるでそこに突然出来た壁のように見つめられることが多いようには感じます。

でも、たとえば東京と比べたら、シアトル人のほうがずっと人なつこい度が高いです。

東京ではすれ違う人と目を合わせること自体がとても少ないし、駅で知らない人から「そのブーツいいね」なんて声をかけられることは(キャッチセールスか酔っ払いのおっちゃんかナンパ以外では)まずないでしょう。(先日、バス乗り場の係員の人から急にブーツを褒められたのでした。目が合ってもにっこりしない人もいるけれど、垣根の低い人も一定数いるのですよね。でもそういう人はたいてい他の地域出身かも)。

東京に帰るたびに、街ですれ違う人と目の合う回数がなんと少ないことよ、と思います。でもそれは、公共の場で他人の空間に踏み込まないという社会的プロトコルがあるからで、べつに東京の人が特別冷たいわけではありません。シアトルも、アメリカにしては珍しく、ちょっとそれに似たところがあるのでしょう。

晩秋のころの写真ですが。KirklandのCafe Zoka。
やっぱりコンピュータ開いて自分の世界に没入の人は多いかも。



南部などの、あけっぴろげで垣根の低いのがデフォルトな地域から来た人は、シアトルのそんな傾向に出会うと、冷たくされたと思うのかもしれません。
おととし、翻訳のクラスでフランス人のマダムと知り合いました。彼女はテネシーだったかアラバマだったかの公立高校で10年近くフランス語を教えていたそうで、旦那さんの転勤でシアトルに移ってきたのでしたが、彼女はシアトルの人は放っておいてくれるから良い、と言っていました。南部では皆親切だけれど、それは「すごくsuperficial (上っ面)で、人のことに鼻を突っ込みたがる人が多い」、とも言ってました。感じ方はほんとにいろいろです。

フレンドリーさの尺度はともかく、「introverted(内省的、内向的)で、人と距離を置きがち」というのは、たしかにあるあるある、と思い当たるふしが。自分とセカイの違う人にあまり関心がないという感じは、たしかに受けます。でも頭から拒否したりほかの価値観や暮らし方を否定するわけではなく、ただおだやかに、少し遠くから無関心な目を向ける。シアトルの人にはそんなタイプが多いのではないでしょうか。






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