2014/07/06
シアトル・タコマ国際空港
約4年ぶり、約3週間の日本への旅から帰ってきました。
異国に住み始めてそろそろ20年になろうとしているこの頃。母国への短い滞在が「帰省」ではなくて完全に「旅」になってしまったようです。
この20年の間に両親とも亡くしてしまったこともあるのですが、自分の国との縁が少し薄くなったように感じていたものの、やっぱり会いたい人はたくさんいて、食べたいもの、見たいもの、触れたいものも数え始めたらキリがなく。とても忙しい滞在で、全然時間が足りませんでしたが、勝手に少し疎遠になっていたように感じていた日本が思ったよりも全然変わっていないことを発見して、ほっとしたりもしました。
滞在中はとにかくほとんど毎日出歩いていたので、ブログは触ることもできませんでしたが、ぼちぼちとアップして行きますので、おつきあいいただければ嬉しいです。
さてとりあえず出発日のシアトル・タコマ国際空港。
ターミナル中央にあるこの巨大な窓の広場は本当にドラマチックな空間で、毎回ここに来るだけで軽く舞い上がります。
ここにはシアトルの誇るクラムチャウダーの店 Ivar's もあるし、その向かいにある雑貨の店 Fireworks も変わったものがたくさんあって楽しいし、Dilettante Chocolates のこってりショコラ(カカオの含有率31%の「ホワイト」から72%の「ダーク」まで、濃さが5段階で選べる)が飲めるコーヒーショップもあるので、早めにチェックインしてここでゆっくり過ごさないと損したように感じてしまいます。
今回は夕方発、羽田空港に夜の10時半に到着するデルタ便でした。
チケットを取った時にはこんなに遅い便だということに気づかず、うちの実家というか弟の家は東京のはての多摩地区なので、果たしてたどり着けるのか?と 不安だったのですが、立川行きのリムジンバス11時半発、というのに乗れました。0時過ぎに出る国分寺行きというのもあって、心配するほどのこともありませんでした。
ウェブの時刻表にはなぜか11時以降の便が表示されていないので、終電でどこまで行けるか、なんてあれこれ対策を考えていたのですが、余計な心配させないでほしい~。
デルタ便の楽しいところは、いわゆるスッチーががっちりした小学校の先生みたいなおばちゃん揃いで気さくなこと。たまにアジア系の航空会社に乗ると、乗務員さんが皆、身綺麗に整えたたおやかな美しい若いお嬢さん揃いなのに驚愕しますが、米国系航空会社の乗務員はガチで強そうな人が多い。今回は身長190センチくらいのガタイの良いゲイの乗務員さんもいて、またこの人が特別にフレンドリーで感じが良かったです。
ただ食事はとてつもなくまずいので、行きも帰りも搭乗前にしっかり食べて、おやつも持参で臨みました。正解でした。
羽田に着いて空港のトイレで、あまりにハイテクすぎて水を流すボタンがどれだか理解するのに時間がかかったり、空港からのバスの車内の清潔さ、車窓から見るすれ違う車がどれもへこんだりしてなくてピカピカであること、道路が穴とか全然あいてなくてまるでできたてホヤホヤのように美しいことなどに改めて感動しつつ、短い日本の旅の始まりに興奮していたのでした。
2014/06/22
スーツケース
スーツケースを買い替えました。なぜならば、以前のものは4年くらい前に息子がこのような謎の紋様を描いてリデザインしてしまったからです。
もうかれこれ20年選手でもあったのですが。
前回に東京に帰省したときに買ったのは小さめのハードタイプのスーツケース。
これはメインにするには小さすぎ、キャリーオンにするには大きすぎる半端なタイプ。
なぜハードケースにしたかというと、成田で荷物が出てくるのを待っていたときに、昔の船旅時代のトランクみたいにステッカーを貼った素敵なハードケースのスーツケースを見かけて、これやってみたい!と思ったからです。
しかし結局、いまのところはウサビッチのシールを1個貼っただけで終わっています。
新しいのは布製のケース。
ハードケースを使ってみた結果、やっぱり外側にポケット付きで開けやすいソフトケースのほうが使いやすいことも発見しました。
最近はせちがらい世の中になって、チェックイン荷物の制限が厳しくなってます。
規定は、縦横奥行きの3辺の合計が62 インチ(157 cm)まで。
買ったのは一番長い辺が26インチ(66cm)というモデルで、これより一つ大きなサイズが30インチ(76.2cm)。これを買うときに、これよりもうワンサイズ大きなものにしようかどうか悩みました。
10cmの違いはかなり大きい。
30インチモデルだと3辺合計が航空会社の受付ギリギリなのですが、このサイズは「内寸」であって、ホイールや持ち手の部分はもちろん入ってない。
アマゾンレビューを見ると、この30インチモデルがデルタ航空の受付カウンターで、持ち手とホイールの部分まで入れるとサイズオーバーになってしまったんで超過料金を払う羽目になった、なんていう報告が載っていたので、念のために小さめモデルにしました。
そのほかのレビューでも、30インチモデルにしていっぱいに入れると重量超過してしまう、という指摘も。
私はいつもつい、要らないものまでパッキングしてしまうので、もう少し工夫しなくては。
日本ではいろいろと買い込むので、帰りのスーツケースはぱんぱんです。
と、いうわけで現在東京です。実に、4年ぶりくらいです。
今回は運び屋要因(息子)がお留守番なので、無駄な買い物を自粛しなくては。とくに書店。
と、いいながらもうすでにそろそろ早くも容量マックスに。
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2014/06/12
シアトル中央図書館の10周年
シアトル中央図書館が新装オープンから10周年を迎えたそうです。
シアトルで一番目立つ建物の座をEMPと競っているこのカッコ良い図書館を設計したのは、 オランダの建築家、レム・コールハースさんとシアトル出身のジョシュア・プリンス=ラマスさん。
フランク・ゲーリーさんの、のたうつ有機物のようなEMPとは対照的なカクカクした大胆な多面体デザインが目を惹きます。
シアトルに一番最初にあそびに来た時にも、コールハース・ファンのCTちゃんに連れられてまずここを見に来たのでした。
向かいのビルの前にある、オーガニックな形のヘンリー・ムーア彫刻とも好対照です。
入り口のブックポストで本を返却すると、このベルトコンベアに乗ってカウンターの後ろに運ばれる仕掛け。レトロな工場っぽくて素敵。
チェックインカウンターの前の床には世界各国の文字の活字がデザインされています。日本の文字もあり!
チェックアウトはもうどこの図書館もセルフサービスになってしまいましたね。
こちらは1階上がった6th Avenue 側のロビー。坂道に建っているので1階と3階に玄関があります。
3階のほうのロビーにはシアトル地元のショコラ屋さんChocolati のスタンドもあって、濃厚チョコレートやエスプレッソを飲みながらまったりできます。
その隣には図書館グッズや地元アーティストの作品などがあるギフトショップもあって、けっこう楽しい。
どちらも営業は午後5時まで、Chocolati のスタンドは日曜のみ午後4時までです。
上階へはこのドラマチックな黄色いエスカレーターで。
エスカレーターの途中にはアートの展示。
上がると5階の Mixing Chamber という広いホール。ここは備え付けのPCが無料で使えるところ。
オサレ空間ですが、使っているのはダウンタウンに居住しながらPCを所持していない人びと、すなわちホームレスの人が結構多かったりします。
誰にでも開かれた空間であることを目指すお洒落な図書館ですが、ダウンタウンの真ん中に位置するだけに、住宅街にある図書館とは違うセキュリティ面の葛藤が伺えます。
たとえばトイレの壁には「ハウスルール」として、「麻薬、アルコール、煙草の使用の禁止/ 身体を洗う、ひげを剃る、髪を切るなどの行為の禁止/洗濯および着替えの禁止/睡眠やみだらな行為の禁止」が貼りだされてます! つまりそう書いておかないとそういう行為があとをたたないということ。
私もちょうどこの階の ↑ 左側の書架の間で、「みだらな行為」を目撃してしまったことがありましたΣ(゚Д゚|||)
警察官が見まわっているし、酒気を帯びていたり見るからにヤバい人はすぐつまみ出されるのですが、特に上のほうの階のひと気のないところでは、女性一人でのんびり読書はお勧めできません。
6階から9階は大きな螺旋を描いて書架が並ぶ階で、「スパイラル」と呼ばれてます。
オズの国行きみたいな黄色いエスカレーターを乗り継いでいくと、最上階のリーディングルーム。(ここは明るくて見通しが良く、いつも比較的人が多いので安全です)
ここには歴史的資料を保存している「シアトル・ルーム」という資料室があって、だれでも閲覧することができます。
資料室の開いている時間はスタッフが常駐していて、私も何度か調べ物に行ったのですが、これこれこういうのを探してるんだけど、と尋ねると本当に親切にいろいろと助言してくれました。
自然光をたくさん取り入れた贅沢なリーディングルームは、のんびり仕事や勉強ができるスペース。
もちろん全館で無料WiFiが使えます。無料WiFiはシアトル市内の図書館27館どこでも共通。
この中央図書館が建ったころのシアトルはきっと最高に景気が良かったのじゃないかと思います。
最近は市も予算不足で、2年前だったかには、市内の図書館のほとんどが営業時間をカットされていました。
しかしすごいなと思うのは、Seattle Public Library Foundation という財団が活発に活動していて、毎年かなりの寄付を集めていること。
今年の春のキャンペーンでは1200名ほどの寄付者から$204,000を集めたとお知らせが来てました。この寄付金は書籍やコンピュータの購入、オンラインシステム整備、講演会やイベントの企画運営、移民のためのさまざまなプログラム運営などに使われるそうです。
1階にある「マイクロソフト・オーディトリウム」では毎週のように無料のコンサートや著者を招いての講演などが行われてます。
私の敬愛するSF作家、アーシュラ・K・ル=グウィンさん(おとなりのオレゴン在住)も年に1回くらいの割合でここの図書館に来て講演してるんですが、いっつもなにかしら避けられない用事が出来て、まだ一度も行けてません。今度こそ~。
人口63万人の都市で図書館が27もあって、そして春のキャンペーンで2000万円がさくっと集まってしまうなんて、シアトルの人は図書館がほんとに好きなんですね。
Seattle Public Library Foundationのサイトでは、遺言書で財産を図書館に寄付するようにしておいては、とか、万一不慮に亡くなった時には積み立てた年金の受け取り人が図書館基金になるようにしておいてはいかがでしょう、という提案もされてて、財産ができたら一定の寄付をするという文化が浸透してるなあと思わされます。
ちなみに東京都杉並区は人口約55万人で、図書館の数は13館。杉並区の図書館は優秀だと思ってましたが、その2倍の数があるとは。(土地の面積ではシアトル市は杉並区の約10倍ありますが)
ホノルルに住んでいた時にがっくりしたことの1つは、図書館があまりにも早く閉まってしまうことでした。ダウンタウンの中央図書館は気持ちの良い中庭のあるクラシックな建物で好きだったのですが、なんと午後5時閉館。しかも日曜休館。
ていうかオアフ島の図書館はすべて5時閉館で、日曜日に開いている図書館が島中で当時1箇所しかなくて、週末に子どもの宿題のために図書館に連れて行って資料を探さねばならないのに、とても困ったものでした。
シアトルの図書館は中央図書館だけでなく小さな図書館でも平日午後8時まで開いているし、週末も土日ともオープンしてます。でなければ勤め人は行けませんよね。
エレベーターの中もエスカレーターとお揃いの蛍光イエロー。
そしてミーティングルームの ある4階は、真っ赤! SF映画みたいな不思議空間。
このウルトラモダンな建物には好き嫌いがあるようですが、あまり好きではないという人も、ワールドクラスの建築家によるワールドクラスの図書館があるのはシアトルの誇り、という点では一致してます。
市で一番立派な建物が市庁舎とか裁判所なんかじゃなくて、誰もが気軽に日常使える図書館っていうところが良いではないですか。
ギフトショップにはこんなポストカードもありますよ!
映画『アメリ』に出てきた、旅をするノームが黄色いエスカレーターに乗ってる図。
シアトルに住んでてまだ中央図書館に行ったことないという方、これからシアトルに行く方、ぜひぜひこの建物を体験してみてください。 個人的には、スペースニードルよりずっと面白い観光ポイントだと思います。
こちらもよろしく。↓
2014/06/10
レッドシダーの森散歩
晴れた午後、セントラリア方面の Rainbow Falls State Park というところに行ってきました。
ここはレッドシダーなどの原生林がちょこっとだけ残っているのがお手軽に見られる、小さな州立公園。
森の中をいくつかトレイルが走っていて、小さな公園なので迷う心配もなく気軽に散策できます。
ちょっとした小川もあり。
州道をわたった反対側には水遊びのできるかなりの水量の川があって、秩父のあたりの河原みたい。そちらにはキャンプ場もあります。
さっそく遭遇したこの人はチッカリー君なのか。
メープルの若葉がきれいでした。
温帯雨林にわさわさと茂るシダ。トレイルはよく整備されてますが、それでも両側から棘のあるネトルや木イチゴががしがしと覆いかぶさってます。長袖必須。
立派なレッドシダー(米杉)。100年前はまだこんな木がそこらじゅうに生えてたのでしょうね。
森はダグラスファーの葉の甘い香りがいっぱいで、本当にすがすがしい。
ジギタリス/キツネのテブクロ。これはきっと外来種ですね。
幹が4本、途中から妙にねじれて生えているメープルの木。日照を求めて自然にこんなことになっちゃったものか。
州道6号線沿いの入り口にある、トトロがねこバスを待ってそうなベンチ。公園の標識がないのでこれが目印です。
州道の反対側のキャンプ場のほうには州立公園の看板が出てるんだけど、こっち側のトレイルはなにも目印がついてませんでした。
セントラリアからはクルマで30分弱です。特別何があるわけでもないけれど、気持ちの良い森の散歩道。
2014/06/06
セントラルディストリクト
写真を整理してたら出てきた、たしかE.Yesler Wayのあたりの、ガツンと来るたたずまいの食料雑貨屋さん。今もまだあるのかな。
この「セントラル・ディストリクト」という地区は昔からブラックネイバーフッドだったそうです。
ジャクソン・ストリート全盛期にミュージシャン組合のクラブハウスがあったのもこのあたり。
8月のSea Fairと同時期に、ブラックコミュニティのお祭りUmojaが開催されます。
私はこのネイバーフッドのことも、ましてやこのお祭りのことなどぜんぜん知らなくて、何年か前、偶然通りかかった時にこのお祭りのパレードをやっているのに遭遇して、いったいここはどこ?ルイジアナ?ミシシッピ?と目がぱちくり。
シアトルは全体に白人率がとても高いコミュニティで、とくに今住んでるバラードなんて、もともと北欧コミュニティだっただけに今でも9割近くが白人です。
このパレードに偶然行き当たって、シアトルにこんなに大きなブラックコミュニティがあったのか、と息子と二人でびっくりしたものでした。
この地区にあるガーフィールド高校というのが、同じくシアトル市内のルーズベルト高校とならんで、全米有数のジャズバンド(ブラスバンドではなく)のプログラムがある高校。
クインシー・ジョーンズやジミヘン、最近ではマックルモアーも通った学校です。
シアトル市内の高校の中では群を抜いて立派な講堂があって、「クインシー・ジョーンズ・パフォーマンスセンター」って名前がついてます。
伝統がみゃくみゃくと受け継がれてる地域なんですね。
ガーフィールド校は、マイノリティの多い地区の学校としては珍しく、学業成績でもなかなかの成果を出してるので有名です。
ガーフィールド高校の向かいには、シアトル一という評判のフライドチキンの店Ezell's Chicken があります。
何度か行ったけど、わたしはここのはちょっと油感がしつこすぎていまいち。全米チェーンのPopeyes か、しつこいようですがタコマの南部食堂のほうが好き。
「フッド」な雰囲気はたっぷり味わえるお店ではありますが(イートインのスペースはなくて持ち帰りのみ)。
同じシアトルでも、ダウンタウンや北のほうの地区とはまた全然雰囲気が違う町です。
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