2012/07/24

カップケーキ考 Cupcake Royale


カップケーキは謎の存在です。

アメリカでは子どもの誕生日や学校の行事や、なにかというとカップケーキが登場しますが、とても食べ物とは思えない色(蛍光ブルーとか目の痛くなるような赤とか黄色とか)の、何で出来ているのか良くわからないじゃりじゃりとしたクリームがべっとり乗った、水気もなにもないぱさぱさの生地の「ケーキ」をなぜ人は喜んで食べるのだろう、と不思議に思っていました。

私にとっては「個別に配りやすい」以外の利点が思いつかない食べもの、それがカップケーキでした。

近年、アメリカの各地ではカップケーキが大流行りらしくて、シアトルにもカップケーキ専門店がいくつかあります。


 Cupcake Royal はシアトル市内とイーストサイドにあわせて6店舗をかまえる人気店。
 バラードの映画館の隣のお店に行ってみました。


まずは食べてみる。「ストロベリー・ルバーブ」にしました。夢見るようなベビーピンクにブラウンシュガーがぱらりとかけてあって可愛らしい。

あら、クリームも意外に甘さがきつくなくて、おいしいかもー。
生地もしっとりふわふわしていて、ぜんぜん大丈夫じゃないですか。

スーパーで売ってる絵の具のチューブから絞り出したような色のとは、かなり違うものでした。このほかにも「ティラミス」「塩キャラメル」「ラベンダー」など、わりにそそるラインナップ。

原材料の乳製品はみな地元の契約生産者から仕入れているというところも、さすがシアトルですねー。


パーティ用のトッピングもいろいろ選べるようになってます。
店内はピンクと茶色のガーリーな内装。Wi-Fi フリーなので、ここで50代くらいのおじさんが無心にラップトップを叩いている図もけっこう見かけて、それはそれでおほえましい。


でもやっぱり、女の子が似合うお店です。

オリジナルのアイスクリームもあり。

アメリカ人にカップケーキが人気なのは、基本型を逸脱しない超シンプルな形がほっとするからかもしれないな、なんて思います。

これ以上シンプルにできないくらいのシンプルなプラットフォームで、かつクリームや飾りつけで大きく個性が変わるところが、個人主義なのに(むしろ、だからこそ?)スタンダードが好きで、毎シーズン変わる新製品よりも昔ながらの完成されたデザインを好む傾向が強いアメリカ人にぴったりなんじゃないしらー。

追記:心配になって、もう一度食べにいきました。「ティラミス」味を試してみましたが、クリームはちゃんとしたマスカルポーネとココアパウダー味で、おいしかったです!

でも、「塩キャラメル」は、ふーん、という感じ…。

若い女の子二人連れやグループが多かったけれど、やっぱりラップトップおじさんがちらほら。

もしかして、女の子に囲まれたくてOR 目の保養がしたくて(笑)隣りのカフェじゃなくてカップケーキ屋さんを選択しているのかもしれない、と邪推してみる。


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2012/07/23

緑の毒



草や山々や 水や空が
ぼくの血のなかに 入りこみ
ぼくはいま 待っている
その ききめを

じぶんが緑になりかかっているな
と感ずるのは
草のためだ

『毒』 マリン・ソレスク より 木島始 訳




毎年夏になると思いだす詩です。


子どもの時買ってもらった木島始さんの訳詩集『やさしいうた』に載っていた、ルーマニアの詩人の作品。



堀内誠一さんの美しい挿絵つきの小さな本で、ラングストン・ヒューズの詩も初めてこの本で読んだのだった。

サンリオ出版刊。昔はサンリオもこんな本を出していたんですね。

サンリオSF文庫っていうのもあったんですよー。




シアトルの7月はなかなか暑くまではならなくて、まだ長袖2枚重ねたりしていますが、緑は元気に濃くなって、わさわさ繁っています。



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2012/07/22

肉を喰らう うさぎ肉とりすシチュー


ZIZIさんからお借りしている本、近藤 紘一さんの『サイゴンから来た妻と娘』に、恐ろしい場面がありました。

ベトナム人の奥さんは大の動物好きで、東京のアパートに来てからまもなく、秘密でウサギを2羽飼い始め、「ナンバー1」と「ナンバー2」と呼んで可愛がっていた。
でもこのウサギの片方がなかなか言うことを聞かず、ある日テレビのコードを噛み千切ってしまう。
その晩、著者が会社から戻ると、

テラスは血の海だった。
物干しには、けさまでナンバー2だったものの本体がぶら下がり、その下に切り取られた頭や、足の先や、裏返しになった毛皮が散乱している。

…という光景が展開している。学校から帰って肉の塊の正体を知った娘が泣き出すと、

「お前、馬鹿だよ。ウサギはもともと人間に食べられるために生まれてきたんだからね。生きてる間は親切にしなければならないけれど、いつかはこうしなきゃならないんだよ」

と叱り飛ばす。そして香草をまぶして食べたウサギは、絶品だった、と著者。

友人でウサギの飼い主Cちゃんが読んだら何ていうだろうかと思って、ふと気づいた。そういえば彼女、ウサギを飼い始めてからベジタリアンになったのだった。



ちょっと前に観た映画『Winter's Bone』にも(すーーごく良い映画でした!クリント・イーストウッド作品のような感触の、寒くて厳しくて心優しい映画)、りすのシチューがでてくる。

父親はどこかで死んでしまい、母親は心を病んで何もできず、借金のカタに住む家が取られてしまいそうになり、幼い弟と妹を守るために17歳の少女が父親の死体を捜しに行く話なのだけど、貧しくて何も食べるものがなく(現代のアメリカの話です)、裏庭の林で弟と一緒にリスを撃って皮をはいでさばき、夕飯のシチューにする場面があります。

りす… (´;ω;`)!! と思ったけれど、よく考えてみれば、豚や牛やニワトリの生首や血をいっさい見ることなしに、きれいに切って並べられたパックのお肉で料理を作る生活とは、なんと不遜なものなんだろう。

本来、肉を食べるということは手を血で汚すということなのですよねえ。


1930年代のフロリダ北部の農園暮らしを描いた Marjorie Kinnan Rawlings 女史の『Cross Creek』というエッセイ集が大好きで、いつか日本に紹介したいと思っているのですが、この中にも銃を持って肉を調達する場面がたくさん出てきます。

りすのシチューについては、Rawlings 女史は

リス肉については皆の意見が一致する。焼くか、こってりしたグレービーの中で蒸し煮にするか、ピラフにするか、だが、いずれにしても評価は高い。しかしながら、その頭が食べられるかどうかについては意見が激しく対立する。 

 と言ってます。
 狩猟好きだった彼女は、ある日沼地で珍しいツルのような鳥「リンプキン」を撃ちますが、撃ってしまってから、鳥が容易に手の届かないところにいたのに気づきます。

私が獲物を殺すのをよしとするのは、必要のある時に限る。傷ついた獲物や命を落とした獲物を見つけずに放っておいては心穏やかでいられないのだ。

水に浮かんだリンプキンに向かって私は歩いて行った。くるぶしまでの深さが膝の上までになり、最後には腰まで水に浸かる。沼マムシが体をくねらせながら目の前を泳いでいく。ふと、自分が立っているのが深い泥沼の端だということに気づいた。私はライフルを突き出して、リンプキンの体を引き寄せた。 

と、毒蛇や底なし泥沼の危険にさらされながら獲物を回収したことを回想しています。

命を食べるということは、本来そのくらい困難な作業であるべきなのだろうなあと思いながら、血が通った温かい体であったことなど想像もつかない、記号のようなパックの鶏肉を今日も料理するのでした。


 Winter's Bone 


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2012/07/21

マーケットカフェ DeLaurenti


パイクプレイスでちょっと何か食べたい時、どこに行きますか?

わたしはピロシキ屋さんかマカロニ&チーズのBeechersが定番ですが、このあいだCTちゃんと買い物に行った時に、市場の正面玄関わきにある DeLaurenti  に行ってみました。
ニューススタンドの横の、1st Ave. に面したお店です。

ここは輸入食品やチーズや肉(サラミやハムなど)やワインが並んでいるイタリアンな食料品店で、オリーブオイルだけでも棚一杯種類があって見てあるくだけでも面白いのですが、1st Ave. に面した表側にカフェが併設されています。

カフェの席数はすくないけど、パニーニもキッシュもさすがにおいしかった! 
ピザもおいしそうでした。

鮭を投げるパフォーマンスで有名な角の魚屋のお兄ちゃんも、お昼を買いに(ていうかカフェの女の子に会いにかな)来てました。


マーケットはわりといつも同じところにばかり行ってしまうので、まだ未訪のところもたくさんあります。けっこう広いですよねー。マリメッコのお店もこの間初めて行ってみましたが、あまりにもかわいいモノがありすぎて危険地帯でした。


 トイレのこの壁画も初めて見た! お父さん、緊急事態の巻(笑)。


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2012/07/20

チェルシー vs サウンダース


水曜日、CT夫妻と一緒にChelsea FCとSeattle Sounders の試合を見に行ってきました。
ダウンタウンに向かうバスの中から、今日はセント・パトリックデーでしたっけ?と思うほど緑の人がたくさん。


白バイにもサウンダースの旗がついている。



試合開始直前についたので、Century Link Field (最近クエスト・フィールドから名前が変わった)はもう人でいっぱい埋まってました。  

 
この日の観衆は5万3000人以上だったそうです。マンUが来たときの6万+には及ばないものの、アメリカでのサッカーの試合としては破格。

サウンダースはMLSの中でも飛びぬけた動員数を誇るクラブです。シーズンチケットが3万以上売れるチームなんて、MLSではほかにありません。


シアトルの人はなぜこんなにもサウンダースを愛しているのか。
客席はとにかく皆、緑です。ライムグリーンを身につけてないと肩身が狭いくらい…。


と思ったら青いチェルシー応援団もけっこういた。


 しかもチェルシーの人はなんというか、年季が入っているというか、ホンキというか、なんだか迫力がある。凄味があるというか…。このお父さん超怖かった。(でもスカーフはサウンダースでしたw普段は忠実なサウンダースファンなのかな)

サウンダースファンは、クラブ自体がまだ若いし(まだ公式戦参加4年目なんですよね!MLS自体も若いけど)、応援するチームができてフィールドに通うことを楽しんでいる余裕というか、フレッシュさがある気がする。 


うちの息子のサッカーチームのマネージャーをやってくれているお父さんはいつもサウンダースのシャツか帽子姿で息子たちの試合に現れていたけれど、英国人でチェルシーのファンなので、きっとこの日は青いジャージを着てどこかで応援していたことでしょう。


試合の内容はといえば、前半開始後数分でチェルシーが立て続けに2ゴール。サウンダースは攻めまくって2点取り返し、同点に追いついたものの、前半終了間際これまた数分の間にさくさくと2点追加され、メンバーがほぼ入れ替わった後半もそのまま逃げ切られました。

サウンダースがゴールすると花火も上がるし、大歓声。親善試合でこんなに熱くなるとは、恐るべしサウンダースファン。


楽しかったしガーリックフライとビールもおいしかった!また行きたいです!




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2012/07/19

マリオ?


夏の花でいっぱいのマーケットです。

それはさておき、ルート99を南へ向かってシアトルダウンタウンを通過するとパイクプレイス・マーケットのすぐ横を通るのですが、通るたびにいつも気になっているものがありました。

マーケットの手前、ハイウェイからだと左手に見える小公園にそびえている



↓↓↓↓



この人は…






マリオ?



software picksさんより借用


のわけないだろう。というわけで、近くで見てきました。



背中合わせに、別の人がいます。下から見上げるとちょっと怖い顔の女性です。

たぶんネイティブアメリカンのアートなのだと思いますが、説明は見当たりませんでした。
でもなぜこの配色? 



わりあい人の言うことを信じやすいCTちゃんに、「マーケットのとこにマリオの像があるの知ってるー? ニンテンドーがお金出したらしいよー」と教えてあげたら、「ええっ?あっ本当だ〜!」と、すっかり信じてしまいました。ふふふっ。



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2012/07/18

Tuesday Scarves


先日、インターナショナル・ディストリクトを歩いていたら、明るい色が目に飛び込んできました。
お店の名前は Tuesday Scarves。

オリジナルスカーフの専門店。


 店内もかわいいー。スカーフ大好きで、ちょうど無地のを探していたところだったので、さっそくいろいろみせてもらいました。(シアトルでは7月でもスカーフの出番がありますからね~!)

お店にいたのは、オーナー/デザイナーのRian ちゃん。フリーモントのサンデーマーケットにも出店してるそうです。

とても肌触りのよい生地のループ状スカーフは13ドル(無地のもの)。色を組み合わせてねじって巻くアイデアを教えてもらって、グレーのを2色購入。



閉まったままのビルも多くてちょっと寂しい風景も目立つインターナショナル・ディストリクトで、がんばってほしいキュートなお店です。

Tuesday Scarves
608 Maynard Ave. S. Seattle
営業時間は火曜から土曜、午前11時から午後6時まで。


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