2019/12/07

機械仕掛けのワーム


10月のMITさんぽ、続き。本当に面白かったんですよ。

半日では回りきれなくて、翌日また行きました。その2日目に行ったMITミュージアム。


キャンパスの中ではなくて、町なかのわりあいに目立たないビルにあります。
入館料はおとな10ドル。


1階にはこのようなロボットたちが展示されています。

そういえばボストン・ダイナミクスはソフトバンクに買収されたんですね。
黒字になるのはいつでしょうか。軍用じゃなくて小回りのきく高性能お掃除ロボットができて爆発的に売れるとか、ないかなー。


こちらはかなり初期のもの。制作年を控えてくるの忘れたけど、80年代だったか。
プリンター用みたいな入出力用端子がついている。
潤滑液?がしたたっているのがなまなましい。




2階には広いギャラリーが3つあり、船舶デザインの展示(精密な模型や設計図、ツールなど)、ポラロイドの歴史の展示もあったのだけど(そのほかにメディアラボのオックスマンラボが「プリンター」でつくったガラスの器もありました)、なんといっても、真ん中の部屋の展示が!メガ級の!つぼだった。

Arthur Gansonという作家さんの作品をあつめた「Gestural Engineering」という展示。
アーサー・ギャンソンさん、でいいのかな。


機械仕掛けの「kinetic sculpture(動く彫刻)」を1977年からつくっている人。
MITのレジデントだったこともあり、ここのミュージアムでは1995年から常設で作品が展示されているそうです。

上のは「Thinking Chair」。考える椅子。この動画はギャンソンさんのサイトより。


クラシックなゼンマイやベルトや滑車やチェーンといった美しい部品が単純な動きを繰り返す機械の仕掛けに、捨てられた人形、骨、紙など、なんでもないようなものを組み合わせて、不可思議な風景をつくり出す作品。

上のは「Machine with Abandoned Doll」(捨てられた人形つきの機械)。



この人形はカリフォルニアのハイウェイの道端に捨てられていたのを拾ったものだそうです。

なんでもないようなものにこれまた単調な動きを組み合わせることで、不思議なキャラクターがあらわれる、というかキャラクターを見てしまう。

幻想的でちょっと怖ろしく、かわいらしい。

人間は動くものに魂を見てしまうようにできてるんですね。


ウィッシュボーンが大きなゼンマイ機械をひっぱって歩くように見える機械。
なんだかけなげに見えてくる。


これはたぶん、枯れた花びらかなにか。
回転する車輪の上を物思いにふけって歩くなにか、にしか見えない。


自分で油を浴びる機械。気持ちよさそう。


黄色い椅子を一瞬だけ組み立てる機械。


そしてわたしが一番気に入ったのがこちら「Inchworms(尺取り虫)」。

この「ワーム」たちが載っている荷台を観客が押しながら歩くと、虫たちがうねうねと身体をくねらせて歩くように見えるという機械の仕掛け。

あまりにも気に入っちゃって、一度ミュージアムを出てからまた駆け戻ってもう一回り押して歩いた。

これ売ってたら欲しい。買えないけど。なんだか癒やされる。
かわいいなあ。AIBOよりもずっとかわいい(個人の意見です、ふふ)。

ご家庭でつくれそうなシンプルさも魅力。

とはいえ、無駄なく大胆で美しいディテールは並大抵のセンスでは真似できません。


これも泣けるほどシンプルで素敵な機械。浅い箱のなかにマメ(ブラックアイドピーズ)が並んでいて、手前のハンドルをまわすと箱のなかが波打ってマメたちが波のように動く。

実にシンプルなものなんだけど、そのシンプルな動きに、催眠術にかかったみたいに惹きつけられる。実に単純なうえに、細部にいたるまで完璧。



紙のきれはしがゆっくり動くこの彫刻は、ぜひこちらのサイトで動画を見てください。

あまりにも優雅な動きに見とれてしまいます。ちぎった紙なのに。

ちなみにこちらの作品は発売中。

お値段は11万ドル(1200万円くらい)。リビングルームにいかが?
とてもシンプルなメンテナンス方法もウェブサイトに図解つきで載ってますよw



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