5月の東京ですよ。
草間彌生ミュージアムにも行きました。この日は息子と二人で遠足。
開催中の展示は「幾兆億年の果てより今日も夜はまた訪れてくるのだ―永遠の無限」。
彌生ちゃんはいつも頭からつま先まで大真面目でとてもストレートフォワード。
いつも直球です。
東西線の早稲田駅から10分くらい歩いたところにある細長いたてもので、オープンは2017年。
建物は久米設計だそうです。ケレン味はないけど実直に品よく、そつなくおしゃれ。
たまたま建物の壁にできていたこんな影が綺麗でした。
ミュージアムは完全予約制で、時間入れ替え制(滞在可能時間は90分)。
オンラインでもチケットが買えるので、飛行機のチケット取るのとほぼ同時に入手しました。
1名1000円なり。
半分くらい外国人のお客さんだった。彌生ちゃんは海外でも大人気。
とっても小さい美術館で、各フロアの面積は、こぢんまりしたリビングルームといった感じ。
美術館というより、ちっちゃいギャラリーを4段重ねにしました、といったおもむきでした。
「ちっちゃすぎだろ」というレビューもあったけど、いやいや、かなり楽しめましたよ。
1000円はリーズナブルプライスだと思う。これ以上高かったらやだけど。
1階が入り口とショップ、2階にから4階がギャラリー、その上は小さなライブラリと屋上のオープンエア展示。
ギャラリーは自然光をたくさん採り入れてとても明るい。ぐるぐる階段を登って上の階へあがっていくシステムは、ニューヨークのNew Museumのような感触(あちらはずっと規模が大きいですが)。
階段が使えない人のためにはエレベーターがあります。
フロアの一つに展示されていたインスタレーション、無限のはしご。
こことショップと屋上だけは撮影OKでした。
床に置かれた丸い鏡の上に、ネオンのはしごが設置されている。
覗き込むと、光の梯子が上にも下にも永遠に続いています。
とほうもない「永遠」をかいまみてしまう作品。
彌生さんは小さなころから幻聴や幻視に悩まされ、すみれの花や犬がとつぜん話しかけてきたり、おかしな影法師のような存在におびき出されて池で溺れそうになったりしていたそうです。
「ある日、机の上の赤い花模様のテーブル・クロスを見た後、目を天井に移すと、一面に、窓ガラスにも柱にも同じ赤い花の形が張りついている。部屋じゅう、身体じゅう、全宇宙が赤い花の形で埋めつくされて、ついに私は消滅してしまう。そして、永遠の時の無限と、空間の絶対の中に、私は回帰し、還元されてしまう。これは幻でなく現実なのだ。私は心底から驚愕した。そして、怖いインフィニティ・ネッツに体を束縛される。
…のちに私の芸術の基本的な概念となる、解体と集積。増殖と分離。粒子的消滅感と見えざる宇宙からの音響。それらはもう、あの時から始まっていた。」
(『無限の網 草間彌生自伝』作品社、61 ページ)
…という、幼少期からえんえんと続いている、「脅迫」のようなビジョンと、それを乗り越えて作品にしていく旺盛な表現力、生命力。
<筋金入り>というのはこういう人のことをいうのですね。
「無限に続く全体のなかに溶け込んでしまう」という感覚は、少しわかる気がします。
鏡の部屋や永遠のはしごだけでなく、一連の水玉作品にも、その圧倒的な感覚が背後にあると思うと、見方が変わるはず。
屋上階は美しいかぼちゃのための空間。
完璧な青空でした。
近づくと、自分もカボチャの中で水玉世界の変な模様になっているのです。
展示は年に2回、変わるそうです。次回は10月頃から新展示。
エレベーターの中も、無限の水玉。
ショップでハンカチ買った。
『宴のあと[SOXTE]』(2005年)というドローイングをハンカチにしたもの。
やはりここにも増殖していくものたちが色々と好き勝手な方角へ。
そのなかをわたくしたちは生きているということを思い出せてくれるハンカチです。
(ここでも)ああやっぱり図録買ってくればよかったー!ご飯一食抜いても!
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