2020/03/22

嵐の前の最後の夕日


春分も過ぎて日が長くなりました。今日の日没は7時26分。

やるべき仕事はあるのだけどなんだか頭がぼんやりしてしまって、夕方、気分転換に車で10分くらいのところにあるピュージェット湾沿いのゴールデンガーデンズという公園に行ってみたら、パーキングが超満ぱい。真夏の週末でもこんなの見たことないよっていうくらいの混雑ぶりでした。

街はゴーストタウンのように閑散としているけど、人はここにいたのか!

結局車は停められず、二重駐車してダッシュで写真だけぱちぱちと撮り、車内から夕日を眺めて帰ってきました。

明日から天気が下り坂になり、来週は雨続きになるという予報なので、春の快晴の一日を外で過ごしたいのはみんな一緒。(3月の)最後の夕日かもしれず。


ソーシャルディスタンスを全然キープできていない人のかたまりが遠くのほうに見えてましたが。おーい。

ほかの人とは距離をおいて豪華な夕暮れを楽しんでいる人も多かったものの。

家族や恋人と一緒に夕日を眺めている人たちを見ていると、しみじみと幸せそうで、見ているこちらがじーんとしてしまう(´;ω;`)。かけがえないってこういうことだ。

カミュの『ペスト』でリウー医師とタルーが夜の海を泳ぐシーンを思い出します。

異常な状況でシンプルな幸せを確認することほど大切なことはほかにないのにゃ、とはんにゃー先生も言っています。

ついに米国への渡航が「不要不急の渡航は止めてください」の「危険度レベル2」になってしまいましたね。月はじめには日本のほうが深刻だったのに、あっという間に米国の感染者数が急上昇していまや完全に逆転。

日本に帰るには2週間の検疫が必要になってしまった。まさかこんな日が来るとは。

東京のマダムMにきいたら、東京は「自粛ムードがだいぶゆるんできた」そうで、かなり温度差を感じます。きょうは暇だからシミ取りにいってきたよ〜、とマダムM。美容外科は混んでいたそうです。こっちはネイルサロンも美容院も全部休業中だよ〜!



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2020/03/21

よく効きそうなオルガンと19世紀ロマネスク


ほんの2週間ばかり前にふつうの生活が営まれていたとは、もう信じられない。
2月の終わりのボストン日記です。

うちの青年の話だと、今はもちろんこの教会も、近くの高級ブティックやレストランのある通りも、みーんな閉鎖されているとのこと。

ボストンのバックベイ地区のまんなかにあるトリニティ教会

1733年創設の、アメリカ建国よりも古い教会です。 エピスコパル派。最初は英国国教会だったんですね。いかにもあんぐり感じゃないよアングリカンのエスタブリッシュメントの教会だねって感じがする。宅は由緒正しゅうございますのよ、て感じの教会。

いまの場所に移転したのは1872年で、ヘンリー・H.リチャードソンという建築家の設計

ヨーロッパの中世の教会をベースにしたロマネスク・リバイバル様式で、ビザンチンの要素もちょこっとはいっているそうです。
この様式は「リチャードソニアン・ロマネスク」と呼ばれるようになり、19世紀後半に流行って、全米あちこちの都市の教会や公共のたてものに応用されたそうです。

多色使い、たくさんのアーチ、ぼってりしたボリュームのあるプロポーション。装飾過多な感じ。どこか1980年代のポストモダンのビルに似てると思うのはわたしだけでしょうか。なんかこう、キャラクターがかぶる気がする、80年代と。

あっそうだ、もしかしてと思ったらやっぱり、ハワイのホノルルにあるビショップ博物館の建物もこの様式でした。もっと装飾は少なくて多色づかいはしていないけど。 これも同時代のたてもの(1898年完成)。

(ビショップ博物館、ウィキコモンズより)

なんかこう、ちょっとテーマパークっぽい感じがする様式だとわたしは感じます。

成り上がりと旧大陸の人たちに思われていた新興国家のアメリカ人が、中世ヨーロッパの重厚さに憧れて、その雰囲気を表現しました、という素直な、すこし恥ずかしいくらいの憧れがバーンと臆面なく表現されているように見えます。

建国から19世紀末までのアメリカの教会には、ゴシックやロマネスクのリバイバルが多いんですね。
裁判所や役所はギリシア・ローマ神殿みたいな新古典様式のやつが多いけれど。



すぐとなりにはガラス張りのジョン・ハンコック・タワー(62階建て、1976年完成)があって、晴れた日にはきれいな青空を背景に、19世紀の教会が20世紀のオフィスビルにくっきり映ります。


重厚な正面扉。これも中世のお城みたいなおもむきがありますね。

毎週金曜日のお昼に、パイプオルガンのコンサートが開かれていました。
サジェスチョンは寄付10ドルだけど強制ではありません。

10月と2月に1度ずつオルガンを聴きにいきました。

毎回違うオルガニストが来て演奏する、30分ほどのミニコンサート。
2月の演目はバッハ2曲のほかは、Richard Purvis 、Robert Hebble、William Mathias、Louis Vierneという、いずれも知らない作曲家の20世紀の曲でしたが、面白かった。

演奏家は、東京の芸大で教えていたことのあるボストンのオルガニストさんでした。



教会内部は外から見た印象よりさらに広く天井が高く、壮麗。ステンドグラスや壁画も豪華です。

そして前の壁にも横の壁にも後ろにもオルガンのパイプ。
7000本以上のパイプがあるという、どこがどういうふうにつながってどこで鳴っているのかシロウトにはさっぱりわからないオルガン。

いってみれば教会堂全体が楽器です。
こんな大きな楽器を演奏できるオルガニストは楽しいでしょうね。

カンカン、というかねの音が入っている曲もあり、いろんな音があってとても面白かった。シンセサイザーのようだ。

オーボエのようなはかなげな音や、身体にごうごう響く低音が、本当に気持ち良いのです。

「セロ弾きのゴーシュ」の、チェロの中につまんで入れてもらったネズミの子みたいな心持ち。

このオルガンをこの聖堂で一日聴いたら、ちょっとした風邪や肩こりくらいならたちまち治りそうな気がします。

また教会でオルガンが聴ける日が、すみやかに来ますように。


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2020/03/19

春先の縁起もの&意識と感情のミルフィーユ


きょうもシアトル、ぽかぽか陽気でした。近所を歩いていると、家の前のポーチの階段やベランダで日なたぼっこしている人(老人とかでなくて30代くらいの人々)をちらほら見かけます。そしてあちこちの家や公園からは子どもたちの楽しそうな絶叫がひびく。小さい子のいるお父さんお母さん、毎日何して遊ばせようか、頭を悩ませてるでしょうね。

カリフォルニアがついに州全体に「家から出るな」令を発令しました。しかし、 今日もLINEでロサンゼルスの鉄腕翻訳者みぽりんと話していたのだけど、在宅翻訳者の毎日は、ロックダウン下でもほぼまったく変化なしなのです。
ありがたいことにまだ仕事がある。来月どうなるかはまったく謎。



きのう植物園で見た、黄色い水芭蕉。なんだか縁起がよさそうですよ!



縁起良いといえば、こちら!  にゃを美先生の本格派アマビエ護符!かわいい。
インスタより許可をいただき転載いたしました。効き目ありそう!
よろしくアマビエちゃん!

ところで去年の夏に、アントニオ・ダマシオさんという脳科学者の書いた『意識と自己』という本を読んで、ものすごーーーーーく感動し、なんとかその感動をあまねく世に伝えたい!と半年以上ずっと思ってました。ダラダラと年を越し、ようやくなんとかまとめたものを先日、デジタルクリエイターズのメルマガに載せていただき、さらにつづきも合わせてnote にアップしました。

わたくしという現象
意識の三層
認識が感情?
わたしの中のわたしのひな形
時間の中の動的な存在

そして

わたしがわたしに気づくには

最初の5つが、『意識と自己』にかかれているダマシオ教授の理論をざっくりまとめてみたもの。
下の追加分は、そこで書ききれなかった、意識が生まれるときのメカニズムの仮説をもうちょっと詳しく書いてみたもの。

いずれも、ながなが悩んだわりにはあんまりわかりやすいとはいえず、試読してもらった波乗り翻訳者ラウぴょんもメルマガの柴田編集長も「わかったようなわかんないような」と悩ませてしまいました。

ぜんぜんあまねく世につたわってなくて少しかなしいけど、隔離中で時間がうなるほどあり、ちょっとうっとうしいものでも読んでみようかという奇特な方がいらしたら、ぜひドウゾ。
このへんがわかりにくい、またはこの理解違ってね?というようなツッコミがあればぜひご教示いただけると嬉しいです。

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ソーシャルディスタンス!


快晴。昼間は15度Cくらいにあがって、すっかり春らんまんな感じのシアトルです。

上の階の住人が昼間からパーティーを始めてうるさいので(ソーシャルディスタンスはどうした!)、また植物園へ行ってきました。

シアトルにも「感染を広げないように、無駄な外出は避けよ。集まるな」という要請がでてますが、サンフランシスコやシリコンバレーなどロックダウンされている街でも、屋外の散歩、サイクリング、ジョギングなどは禁止されていません。ただし「SOCIAL DISTANCE (ソーシャルディスタンス)」をとれという。具体的には6フィート(約2メートル)離れていれば感染のリスクはかなり低いというのです。


お天気がよくて暖かいので、植物園にはけっこう人がいた。駐車場いっぱいというほどでもないけれどかなり満車に近かったです。

入り口には「ほかの利用者との間を、少なくとも6フィートあけてください」と書いてありました。ビジターセンターは閉まっていました。

植物園は広いので、けっこう人がいるといっても、ほかの人と10メートル以内に近づくことはめったにありません。

たまにトレイルですれ違うときも、お互い道の端に寄ったり、5メートルくらいむこうから「excuse us!」なんて声かけて避けていったり。ソーシャルディスタンスがものの数日で普通の動作になっているのにちょっと驚いた。

とはいえ、帰りにグリーンレイクを通ったら、湖畔をいつもどおりたくさんの人がぞろぞろ歩いていてぜんぜんディスタンスになってませんでしたが。公園で実行するのは難しいですね。危機感も人によっていろいろです。


桜の枝に苔と地衣類がいっぱいついているのがシアトルならでは。


隔離お花見。

満開ではないけれど、枝ぶりが素敵な風格のある桜。

桜の花にハミングバードが来てました。桜の蜜ってなぜか少なそうな気がするけどそうでもないのか。
鳥の声だけが聞こえる豪華なスペースを独占。春だー。
いろいろあるけど、とりあえずしみじみ幸せなひととき。


見たことない濃いピンクの木蓮が咲いていました。




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2020/03/18

この世界の片隅に


今日も青空。気温が上がったので桜が満開。今年の花はすこし小さめの気がします。

< おそろしい時代が来るといふ予言 木はただ深く花を養ふ >

これも馬場あき子先生の歌です。Kindleで『馬場あき子百歌』を再読中。
いい歌だなあーーーーー。
こんなのもあった。

<都市はもう混沌として人間はみそらーめんのやうなかなしみ>


りんごも咲いています。このりんごが実るころにはどんな世界になっているのか。

あれよあれよという間に、サンフランシスコとベイエリアがロックダウンされてしまってます。
10日前にふつうににぎやかだったニューヨークが『アイ・アム・レジェンド』の世界みたいになっている。
毎朝起きるたびにそれまで知っていた世界が終わっています。

いまは第二次大戦の数年前に似てるって、有名投資家の人が言ってました。トランプはじめ、極端なことを言うナショナリストがウヨウヨしてそれに熱狂する人が多いのも1930年代に似てるのがとても不気味です。
恐慌>戦争なんてことにならないように!!


12月、クリスマスにNetflixでみた『この世界の片隅に』。
アメリカの若い人にたくさん見てもらいたいです。

でもうちの青年は腑に落ちない顔をしていた。背景がわかりづらいのかな。終戦のときに主人公のすずさんがなぜ怒っていたのかがわからなかったようです。

第二次大戦中、原爆が落とされて終戦になるまでの、戦局がどんどん詰んで来て不自由が増して来るなかで、思い悩んだり日々の楽しみを追ったりしながら暮らす庶民の生活が淡々と描かれてました。

この数日この映画を何度も思い出しています。

現在の、先が見えない不安はまるで大戦争のようです。
でももちろん戦争じゃないから、爆弾が降ってきたり、戦車がやってきたりしないぶん、まだぜんぜんいいよね。


きゃべつ消費しまくり。一人なので、ひとつ買うと来る日も来る日もキャベツを食べ続けなければならない。
1日2回キャベツを炒めて食べる。雨ニモマケズ風邪ニモマケズ。



レストランやバーが閉鎖されたバラードダウンタウン。がらーん。

タトゥーサロンやネイルサロン、美容院や床屋さんも知事命令にて今週から閉鎖。
2週間で再開されるのか。いったい何人の人が失業しているんだろうか。


がらーーーん。平日とはいえ午後4時です。早朝みたい。



レストランの中には椅子が積み上げられてました。

早いとこ平常に戻れるとよいのですが。
多くの人が心穏やかに過ごせるように、よい結果に早く着地するように。


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2020/03/17

ドライブスルー夕日とアマビエちゃん


ついに、昨夜の知事命令で、州内のレストランやバーは店内での飲食提供を禁止されてしまいました。テイクアウトとデリバリーのみはOK。

シアトル有数の高級店Canlisも先週のうちから、今週からドライブスルーとデリバリーに切り替えると告知を出していて驚いたのだけど、さすがに先を見越していたんですね。

シアトルの外食産業はここ数年、街そのものの景気の良さを反映して次々に新しい店が増えていたのだけど。


これがひと月も続いたら、残っている店はきっと半分もないのでは…。閉鎖は現状3月末までの措置になっているけど、2週間だって個人経営の店にとってはつらすぎる。

毎日テイクアウトで地元ビジネスをサポートしたいけどこちらもそれどころの余裕はなくてごめんなさい。 余裕のある方はじゃんじゃん外食テイクアウト&デリバリー使ってあげてください!!


カフェで仕事もできないし、うちのリビングから見えるのはおもに隣の家の灰色の壁だけなので、また昨日とおなじ公園に。

公園の前に車を停めてドライブスルーで景色が眺められるので便利です。

ラップトップを持ってって、車のなかでオーシャンフロントの日光をあびながら仕事しようと思ったんだけど、やっぱり寒かった。

今日はそれでも昨日よりずっと暖かかったせいか(10度Cくらい)、 昨日より人がいて、芝生の上でピクニックしている家族や小さなグループもいくつかありました。



はーゴージャスな夕焼けでした。ずいぶん日が長くなった。日没は7時すぎ。
もうすぐ春分ですね。


 京都大学附属図書館蔵。

話題のアマビエちゃん。これよくできたネタだとおもったら、ほんとうに江戸時代の資料だったのね。水木しげる先生もお描きになっていた。インスタグラムやツイッターの力作がすごい。

まことに日本は絵師の国です。


わたしも描いてみました。疫病退散!
アマビエちゃんよろしく!



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2020/03/16

本日の売り場情報と、アンビリーバブル


快晴のシアトルです。引き続きまだ寒い!3度C! 花が長持ちするけど。桜もひらきかけて、あれ?と迷っている感じです。ソメイヨシノはまだ。

近所の散歩、ちょっと足をのばしてみた。なぜか前庭に木馬が埋もれている家がありました。
快晴だけど歩いている人がほとんどなくて、不思議なほど静かな日曜日の住宅街。

しかし車で前を通ったら、Goodwillの不用品受付のドライブスルーには車の行列ができてて10台くらい並んでました。
みんな家にいて、することがないから断捨離にはげんでいるのでしょうか。

バラードのダウンタウンを午後3時くらいに車で通ったら、お店はみんな普通にあいてて、カフェやレストランもそこそこ、お客さんがはいってました。

あと、マリファナ屋さんは商売繁盛しているそうです。
みんな時間があって家にいるなら当然か!

卵を買いにスーパーのFredMeyerへ。むやみに出歩くなと息子に怒られる。だって卵が。
ゾンビ映画だったらたぶん2番めくらいに死ぬタイプですね、わたし。いらない紐とかひっぱったらゾンビが出てきてやられるタイプ。

きょうはそんなに混んでなかったので、慎重にほかの買い物客との距離をおきながらそそくさと広すぎる店内を物色。人をみたらコロナと思え。お互いに。ゴム手袋して買い物してる人もいた。わたしは入り口においてあるカート用の除菌ワイプを1枚とって、お守りのように握りしめていました。
 
今日の売り場情報。野菜や卵や果物や乳製品や肉などはごくふつうにありました。
トイレットペーパーはまだなし。漂白剤もサニタイザーもなし。ティッシュとキッチンペーパーは入荷してた。

そして食料品の棚が部分的にからっぽになっていて、軽くおどろきました。



「ハンバーガーヘルパー」(ひき肉に混ぜるだけのインスタントパスタ)が超品薄状態。
ふつうのパスタの棚もからっぽ。


あとはパスタソースともきれいになくなってる。
冷凍のピザやなんかも品薄でした。

CTちゃんは昨日トレジョに行ったら冷凍食品の棚が空っぽだったといってた。
手早くつくれて保存のきくものからはけているようです。みんな、野菜も食べよう。

みなさん、ロックダウンが来ると予想しているのか、自主的に籠もることを決めてるのか。2週間くらい買い物しなくてもいいように賢く多めに買っておくってことなんでしょうね。

うちは一人なので、パントリーに入ってるものでとりあえず全く外に出られなくなっても3週間くらいは食べていけると思う。でも食べざかりの子どもがいたら大変だなあ。



ちょっと広い景色が見たくて、近所のサンセット・ヒルというミニ公園の前に車をとめて日に当たる。すがすがしい。

ゼロ金利とか渡航禁止国とか毎日状況が変わりますね。
わたしのまわりにも、仕事に直接影響でてる人が増えてきた。

この騒ぎでマリファナとトイレットペーパーのほかに売れているのは銃だそうです。
ゾンビ来ないから!恐ろしいのはゾンビより人。恐怖心にかられた人。

昨日見終わったNetflixのシリーズ『Unbelievable』のマリーちゃんも、ゾンビより人のほが怖いといってました。

波乗り翻訳者ラウぴょんが教えてくれたこのシリーズ、すっごくよかったです!

自主隔離中で見るモノ探しているならおすすめ!


邦題は『アンビリーバブル たった一つの真実』
レイプの被害者と、連続レイプ犯を追うふたりの女性刑事の話。
実話にもとづいていて、舞台のひとつはワシントン州リンウッド。

ちょっとネタバレになります。

主人公のマリーちゃんは、虐待家庭で育ち、フォスター家庭を転々として、誰にも心から信頼を築けずに成長してしまった「難しい子」。彼女が自宅でレイプ被害にあって警察の捜査が始まるなか、まずフォスターペアレントが彼女の証言を疑い出し、警官に問い詰められて、被害は嘘だったという証言をしてしまう。

まわりの誰にも信じてもらず助けを求めることもできないマリーちゃんの、刻々と悪くなっていく日常が淡々と描かれて、ものすごく腹が立ってきます。

マリーちゃんの話だけだったらとてもつらいだけの話になっちゃうけど、コロラドの敏腕でバッドアスの二人の女性刑事の捜査劇と交互に話がすすんでいくので、救われる。二人のキャラクターが最高です。

人の話まったく聴いてない、理解してるつもりがぜんぜん相手のことを見てない、ということに、 善意のつもりの人ほど気づかないことが多い。わたし自身、身に覚えがあるあるある。

決して悪人ではない善意の大人たち、警官やフォスターペアレントやカウンセラーといった、人を助ける立場の大人たち、たぶんそのことに生きがいを感じている人たちが、圧倒的に無神経になれることだってある。

マリーちゃんみたいな子が昔、私のすぐ目の前にいた。よく考えると何人もいた。

誰かのことを理解したと思ったら、その瞬間に、それは大きな勘違いかもしれない、自分はなにか見えないメガネをかけちゃってないかどうか点検しなおさないとな、と思わされます。何ができるか考えるのはその後ですね。


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