2019/12/07

iPhone製つぼの諸行無常


MITのメディアラボの近くを歩いていて目についたビル。なんだこりゃ!

フランク・ゲーリーさんの設計でした。

「ビルディング32」。

MITはいかにもエンジニアらしく、ビルの名前をほかの大学みたいに偉い人の名前つきの「なんとかホール」とかでなくて番号で呼ぶ。
このビルにも「 Ray and Maria Stata Center」という名前があるのだけど、通常は「建物32」と呼ばれているようです。

アパートみたいな外観なのでドミトリーかと思ったらそうではなくて研究施設。
ここにはAI研究ラボもはいってるそうです。こんな童話みたいな建物の中にねえ。

しかし使いやすさはどうなのだろうか。

完成後、水回り支障が出たり、寒冷期に一部が崩落したりしたためにゲーリーさんはMITに訴えられ、のちに和解したそうですが。ゲーリーさん……。


メディアラボのすぐ先にある「MIT List Visual Arts Center」(視覚芸術センター )。

無料のギャラリーがあります。

Alicija Kwadeさんというアーティストの作品展をやっていた。ベルリンを拠点とする女性。

弥生式土器みたいな、壺?とおもってよく見ると、これは樹脂製。

なんと、iPhoneを粉砕し、樹脂でかためた壺でした。



こちらは「Computer」(2017年)。
Power Macを粉砕してかためてつくった壺です。
近づいてみると、チップや筐体だった金属片がキラキラしている。

ほかにも、自転車を粉砕してつくった椅子など、日常につかわれるものをまったく違うかたちに変身させたオブジェたち。

最初はふーん、ご苦労さまです、とあまり積極的に興味をもたず眺めただけでしたが、かつてコンピュータや自転車だったものをじっと眺めていると、とても不思議な気持ちになってくる。

諸行無常的な。

諸行無常を英語でなんというか、ふとおもいついて英辞郎くんに聞いてみたら

the impermanence of all things

だという。ふーん。どうしてもこう、四文字熟語のインパクトはなくなるよねー。
漢字の情報量ってすごい。



 こちらは、一方の端に球体、反対側の端に立方体があり、その間にいくつかの天然石や人工の物体が置かれている「Trans-For-Men 11 (Fibonacci)」 (2019年)。

各オブジェクトの間には鏡が置かれ、ちょうど隣のオブジェクトと半分ずつ形をわけあって、変化していくように見える。

こちらのサイトにもっとよい写真があるので見てみてね。



球から立方体へ、曲線から直線へ。端から端へゆっくり歩きながら見ると、そのトランスフォーメーションが実際に起きているように見えて、とてもおもしろい。



こちらはビーズのカーテンでつくられた、ある種の宇宙のモデルのようなインスタレーション。

コンセプチュアルなだけでなくて動きがあって、詩的で、「もの」として面白い作品ぞろいでした。


廊下の反対側に第2ギャラリーがあり、Farah Al Qasimiさんというアラブ首長国連邦出身の女性アーティストの作品が展示されてました。とても若い人です。

こちらも痛烈な作品が多くて、ビデオ作品もじっくり見たかったけど、情報を咀嚼しきれず。
 
小さなギャラリーだけどとてもおもしろかった。しかもタダ。MITは太っ腹でオープンですね。隣のハーバードにくらべてはるかに。


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2019/12/05

なにかと話題のMITメディアラボ


10月のボストン、MITさんぽの続きです。

なにかと話題のMIT Media Lab

わたくし、ここの所長の伊藤氏が例のエプスタインから資金提供を受けていた責任をとって辞職したことも知らなかったのです。CTちゃんから聞いて初めて知った。

それで冷水を浴びているメディアラボですが、ここはうちの息子の憧れの職場のひとつ。

ロクな成果を上げてないなんて批判もあるけど、こういう機関を工学大が持っていて潤沢な予算がついてるのはすごいことだと思う。

…それでも足りなくて怪しい人から援助を受けたりしてしまったのだね…。


1階は一般公開されていて、小さなギャラリーがあります。

吹き抜けのロビーから、上層階のラボの一部が見えるようになっている。まんなかに透明エレベーターが。



オフィスの中にカオナシさんがいた。

このラボにはいろいろな研究室があるのだけど、うちの息子のヒーローは、その中のNeri Oxman(ネリ・オックスマン)。

イスラエル出身。医学部から建築に転向した人で、「マテリアル・エコロジー」という分野を一人で切り拓いている。

Netflix のドキュメンタリー「ABSTRACT」にもフィーチャーされてます。


メディアラボの紹介によると、ネリ・オックスマンさんは

「Oxman’s goal is to augment the relationship between built, natural, and biological environments by employing design principles inspired and engineered by Nature, and implementing them in the invention of novel design technologies」

「自然によりインスパイアされたデザイン原理と自然のつくり出すデザイン原理をとおして、人がつくる環境、自然環境、生物学的環境のあいだの関係をより高める」ことをめざしている。

うん、よく意味がわからない。

「マテリアル・エコロジー」は、「演算、ファブリケーション、素材そのものをデザインから切り離せない次元のものとして」とらえ、製品や建物を「生物学的情報をとりこみ、自然によって、そして自然のために、デジタルな手法で設計する」そうです。

ともかく、自然に存在するデザイン原理と素材を、建築やデザインの場に大胆に取り入れていくことで、マテリアルやデザインに対する考え方そのものを問う。というところにこの人の面白さがあるようです。

特定の先端技術を開発するというような具体的なことよりもむしろ、アイデアの斬新さ、視点の切り替え、そしてその手法の鮮やかさ、が高く評価されてるのではないかとおもう。

『Abstract』で紹介されていたのは、蚕を何千匹もつかって「ビルド」した巨大なシルクの「建造物」や、3Dプリンターで「印刷」したガラスの器など。


ネリさんは、まるでVictoria's Secretのモデルみたいな美女でもある。まったくどういうことなのよ。ブラピの彼女だったという噂もあるそうです。

うちの息子はシューズのデザインをやっているので素材開発にとても興味があり、彼女のラボがやってることが強烈に面白くうつるようです。

で、彼はこのメディアラボを見物しに行った3週間後くらいに、ボストン美術館のカフェで、インスタグラムでお互い顔だけ知っていた友人の友人に偶然はち合わせして、話をしているうちにその子がなんとメディアラボで仕事をしているのがわかり、後日ちゃっかり遊びに行って、このOxmanラボの素材もまぢかで見てきたそうです。

その子はOxmanラボじゃなくて、CRISPRを扱っているべつの研究室に所属する生物学のリサーチャーなんだけど、ラボ同士はオープンに行き来してるらしい。

そんな簡単に見せてくれるのか!てちょっとビックリ。民間のR&Dだったらまず部外者は入室できないよね。

その子の所属する研究室も、Netflixの別のドキュメンタリーでフィーチャーされてました。

犬もあるけばいろいろなものにあたるのが都会の面白さ。面白がってるだけじゃなくて自分もどんどん結果を出せるようにね〜。



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2019/12/04

生存にかかわる。


にゃを子さんのサラダガーデンからいただいたとれとれ野菜とサフラン。


サフラン雄しべは採取してすこし乾燥させてご飯にいれて炊いてみましたが、少なすぎてサフランライスにはならず、まだらに黄色のごはんができた。お湯に放ってから入れたんだけど、やり方が悪かったのか。

こんなちょびっとしか採れないんだから、サフランて高いわけだわね。

ねこ任務もまもなく終了。

ところでそれとはなんの関係もないけど、Dictionary.com が選んだ「今年の言葉」は existential だそうです。



 これまた翻訳しづらい単語ですにゃ。

「生存にかかわる」かな。

気候変動などの文脈で最近よくつかわれているそうですが、今年のワードになったのは、 ジョー・バイデンがトランプのことを「existential threat to America」と呼んだのが決め手になったようです。

「アメリカの存続にかかわる脅威」。

うん。気候変動級だわ。たしかに。


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2019/12/03

雪景色とサンタ


ボストンは雪景色だそうです。こんな写真が送られて来た。わー寒そう。


無事、ユニクロで「ロングジョン」買えたって。すべって転ぶなよー。

シアトル近郊は今日はそれほどの寒さでもなく、 10度C台に戻りました。


しかし!いつの間に12月も3日になっている!

サンクスギビング以来初めて世の中に買い物に出たらすっかりクリスマスソング一色になっていて、サンタが町にやってきていた。

ひゃー。自分はもしかして2、3日気を失っていたのか?と思うほど時間の流れが早い。

ワールドマーケットにて。ちょっと懐かしいかんじのサンタチョコつめあわせ。



ダブル香箱。 じっくりと時の流れをかみしめる。 もぐもぐ。


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ねむる役とケンカする役


よくねむるねこ。1日16時間は眠っている。
世界がいますぐ終わっても君は幸せなままだな。

眠りの世界でものすごくはたらいているのかもしれない。



今年も子ども2匹、母1匹で登場したアライグマ親子。
去年の親と同じなのか、去年の子どもが母になったのか。

NORAちゃんのしっぽが壜洗いブラシのようになっている。

「ちょっとアンタたち、あたしのシマでなんのおつもり」と、どすのきいた声で威嚇していたNORAお姐さん。



自分より身体の大きい3匹相手に勝てる気まんまんでケンカを売りに出ていこうとする、男前な少女である。

この国の平和はオレが守る!という使命感に燃えている。

あなたが人間だったらきっとわたしはあなたに惚れている。

アライグマたちが花壇をほじくりかえしはじめたので追い払うべくドアをあけようとすると、特攻NORAが飛び出しそうになってあせった。やめてーお願い(涙)


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2019/12/01

友人とは一緒にほかの人をジャッジする人


寒ぅ。きのうの朝は、零下4度Cでした。クルマのフロントガラスにもびっしり霜がはっていた。

きのう朝8時過ぎにワシントン湖の橋をシアトル方面にわたっていたら、滑ってスピンしちゃったピックアップトラックが車線をひとつふさいでいました。
うちのプリCちゃんはまったくトラクションないので気をつけないと。

ボストンは今日から雪だそうです。いまごろユニクロにヒートテックを買いに走っている息子。もー、先々週から言ってたのに。大雪予報なのでトレジョにも行列ができてるそうです。


11月お誕生日のCTちゃんにあげたカード。

Metropolitan Marketでみつけて、ププッとなって即決。

「真の友人はお互いをジャッジしたりしない。(かわりに)一緒に他の人をジャッジするのよ」
…真実ですな。ふふふ。

JUDGEという単語も日本語にしにくい言葉。

「人をジャッジする」というときのジャッジは意味的には「決めつける」「批判する」が近いと思うけど、「ジャッジ」という言葉のもつ有無をいわせない感じがすくない。

重さとしては「裁く」が一番なんだけど、「人を裁く」はちょっと文語調になりすぎる。

前にここで紹介した(もう4年前)バイロン・ケイティの「WORK」も最近ウェブサイトに新しい日本語訳ができていて、「Judge your neighbor 」は 「まわりの人をジャッジする」と訳されてました。

うん、それがいちばん正しいとは思う。でも仕事で受けた翻訳では、たぶんよほどのことがないかぎり、訳文に「ジャッジ」は使わないなあ。

たとえばアメリカ国内の消費者むけサービス関連の翻訳などで、読み手が在米の日本人の方だということが分かっている場合には使っています。でも短期滞在者やツーリストむけの記事などには使わない。



 なにもジャッジしないお嬢さん。箱入りのべっぴんさんですが、…



…姉妹ふたり揃うと、なにか犯罪現場をみつかったような表情に。



ねこと朝食会議。いろいろな意見をお持ちのNORAちゃんです。


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2019/11/29

大感謝祭


Happy Thanksgiving!  今年の感謝祭も、よい一日でした。

息子がいないサンクスギビングは初めてだ。

サンクスギビングは4日しか休みがないし、空港は激混みで東海岸からのチケットがバカ高いので、息子は今年はボストンで「friendsgiving」。

同僚やその友人たちと、ターキーじゃなくて「鍋」をしたといってました。おもにアジア系の子8人くらいで集まったそうです。
 
家族や親戚ではなく友人たちとすごすサンクスギビングのことを「フレンズギヴィング」っていうの、初めて知った。



息子とFacetimeで話しながら、今年もカラードグリーンとコーンブレッドを作る。

カラードグリーンはきのこ狩りのできるピカピカのQFCで購入。グリーンに不可欠なソルテッドポークは、庶民派のQFCかFredMeyerにしかないのよ。高級系のMetropolitan MarketやWhole Foodsにはありません。今年は3束使用。

レドモンドのQFCで入手したグリーンがあまりに貧弱で鮮度も悪かったたので翌日ピカピカQFCで書い直した。同じ値段でどうしてこんなに違う!と驚きの立派な束が売ってました。もしかして新店舗は仕入れが優遇されてるのか。



サンクスギビングディナーはYさんちにおまねきいただき、ミスターCTが焼いた七面鳥、スタッフィングに、Yさんちのマッシュポテト、グリーンビーンズ、クランベリーソースなどトラディショナルなメニュー。

ターキーはこんがりジューシーでみごとな焼き加減でした。


ティーン・エイジャーのお嬢さんと3人家族のYさんち、CT夫妻、その友人のご夫妻に、わたし含めシングル女性2名。人間9名、いぬ1匹でした。CT3号は腹痛で欠席。

たのしかった。仕事で中国に行ったり取引している人がおおかったので、話が何度もチャイナ(の怖い話)に戻っていく。こええよー。

それからソメイヨシノの話、ねこの話、いぬの話、Boomersの話、CT夫妻のギリシャ旅行での大惨事の話など。


少なめにとって、おかわりをする。これは第1弾。


一座のアイドル。ハッピーちゃん。


デザートはトラディショナルなパイでなく、四角くて黄色いものがあつまった。
Yさんの悪魔的においしいチーズケーキと自家製カステラ!
さらに香港出身のKさんのアーモンドもち。
そしてYさんご主人がサイフォンで淹れてくれたコーヒーが美味しくて、夜なのにおかわりしてしまうのだった。

今年も、まあいちおう病人なのだけどとりあえず元気で感謝祭が迎えられ、おいしくごはんが食べられて、機嫌よく過ごせていることにスペシャル大感謝。

そして心優しくゆかいな友人たちが、遠くや近くにいてくれることにも超感謝。

うちの息子も、将来の保証などは一切なんにもないけど、とりあえず元気で大好きな仕事に邁進できていることに爆大感謝。

いろいろ困った世の中ですが、とりあえず平和でとりあえず政治も社会も(まだ今のところ)機能していて、水も電気もあたりまえに使える、何一つ不自由のない生活ができていることにもほんとうに感謝です。こんなのあたりまえだと思っちゃいけないことをすぐ忘れてしまいがちですけど忘れちゃいけないよね。

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