2020/07/08

かえってきた青年の自主隔離



ジェニファーちゃんにもらった紫陽花、パープルがほんとうに綺麗です。


バスルームの鏡が曇ったところに映ったボケ効果があまりキレイだったのでちょっと写真に撮ってみました。 紫色って、むかしは(子どもの頃から20代始めくらいまで)好きじゃなかったのだ。むしろわりと積極的にソリがあわない色と感じて排斥していた。どうしてだろう。


色の好き嫌いって面白いですね。 とくに若いときの好きな色って、自分自身についての感じ方にシンクロしている気がします。
わたしは10代のころ、パープルな人ではなかったんですねー。
プリンス様のファンになったのはかなり年とってからでした!




シアトルでは、7月なのに肌寒い日がつづいてます。毎朝、午前中は14度Cくらい。爽やかです。

先週、ボストンから息子が帰ってきました。


1年間のインターンシップ期間が終了して、さらに半年間おなじ待遇での延長をオファーされたのだけど、どちらにしてもオフィスは9月まで閉鎖されているので、遠隔勤務を条件にしてもらって、シアトルからボストンの会社に勤務してます。

時差があるのでかなりの朝型生活。午前6時から会議とか。でもそのぶんがっつり昼寝しているようです。

例年ならばインターンの半数以上が正式雇用されていたそうですが、今年はコロナ禍のあと一人も正社員としては雇用されず、数名が半年間の延長をオファーされたのだとか。
それでもこの状況下で毎月お給料がきちんともらえる仕事につけてるのはたいへんありがたいこと。


それに正社員ではないので競合禁止条項にサインしなくてよいため、身軽に仕事ができるので逆に正式雇用でなくてラッキーな面もあるのだと。


シアトルは「水も空気もおいしい」と喜んでます。

息子はシアトルに帰ってきてすぐPCR検査を受け、ネガティブでしたが、念のため自主隔離中。検査の結果は48時間でわかったそうです。

最初の1週間はAirBnBに宿泊し、いまはCT家の地階のゲストルームにお世話になっています。

ちょうどわたしがまた化学療法を再開することになったので、この帰還はまことにベストなタイミングでした。





これもジェニファーちゃんがくれたプランター栽培のレタス。グレープフルーツと合わせてミントとバジルの葉も足したら、うまうまな夏らしいサラダになって3日間リピート。
ドレッシングはバルサミコとオリーブオイルと塩だけ。

ジェニファーちゃんは人の世話を焼くのが生き甲斐の人なので、病人にはいろいろ甲斐甲斐しくものをくれる。
コスコから大量に買っちゃったから、といって、エコバッグいっぱいの野菜と果物もくれました。





ベランダ青シソも大豊作で、だんだん消費が追いつかなくなってきました(汗)。
やけくそのような青じそパスタ。



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2020/07/06

無理解とがさつさを自慢する


独立記念日でしたね。

これは、先週ベランダで見た太陽の暈。

太陽を隠しているのは、上の階の人が1年中だしっぱなしにしているのでボロボロになりつつある星条旗。
偶然ながら、なにか今のこの国を暗示しているようなちょっと不気味な図柄が撮れました。
洒落にならねえ!!!

先週金曜日にマウント・ラシュモアでトランプが集会を開いてました。

感染者数が拡大している中で、もちろん、「マスク着用はご随意に」なので、7,500人の参加者がほとんどマスクなしという、カミカゼ集会です。

この時機にラシュモア山でイベントを開くというのは、全国で起きている反レイシズムのプロテストに対する全面戦争の布告といったところ。

ラシュモア山というのは、ごぞんじのとおりネイティブ・アメリカン(このばあいはラコタ族)の聖地に白人が勝手に白人の大統領の顔を彫ってしまった観光地です。いってみれば、明治神宮を戦後占領軍がディズニーランドに改造して門の前にマッカーサーの像を立てたようなもの。

ラコタ族の人々はもちろん抗議のデモをしてましたが、トランプ支持者がラコタの人々に「Go Home」って言っていたという報道を見て噴きました。いやそこ、彼らのホームだから。ゴーホームって言われるのはそっちだから。

1)ほんとうに歴史を知らないのか、2)その歴史をフェイクだと信じているのか、3)知っていたうえで暴言を吐いているのか。

どれが一番怖いでしょうか。

さらにトランプが#blacklivesmatterを「ヘイトの象徴」と言い出したというのを聞いて、どっひゃー!とまた驚きを新たにしましたよ。

この大統領は、とにかく「まさかこれ以上悪いことはないだろう」という予想をさくさくと覆してくれるという、その一点だけでは裏切らない人ですね。



FOXがライブ中継したラシュモア山でのスピーチの内容、さらっと読み流したけど、まーほんとうにヘイトと恐怖をあおることに必死になっている。

NYタイムズの記事で世論調査の専門家が「トランプは自分の支持者層拡大にもすでに興味を持っておらず、離れていった支持者を取り戻そうともしていない」って言ってました。
今までの、二期目を狙う大統領だったら、国内のカルチャー戦争を中和してなんとか自分の陣営を広げようとするものだけど、トランプは「どちらにつくか」の選択を強要している、と。

共和党内でもかなり離反が進んでいるし、しかもトランプサポーターだったカニエくんが!自ら大統領選に出馬するっていいだしたし! コロナの感染者増えてるし経済はたぶん徹底的に駄目だし、支持基盤は減少しつつあるのだけど、それでも!まだ!現時点で4割のアメリカ人がこの人を支持しているのですね……。だからぜんぜん予想できない。

自分の無知や、なにかを理解していないこと、人に気遣いをしないがさつさを自慢にすることって、何か名前があったっけ?それこそ「ゴロツキ」的なメンタリティだと思うんだけど。

それはつまり、相手を理解しないことを誇っているってこと、相手の大切にしているものの価値をゼロだと認定していること、だよね。
「オレはこんなつまらないことを理解する必要はないんだ」

やっぱり、相手にラベルを貼ってしまったらそこで話は終わってしまう。

トランプサポーターの言動を見ても、むやみに腹を立てるのはやめようと思うようになりました。彼らが発散している気が強烈にネガティブなことが多いので、ちょっと見ただけで気持ちが悪くなってむずかしいんだけど。

どうしてこの人たちがトランプをすごい人だと思ってしまうのかが知りたい。

そしてあのホワイトハウス広報官とかFOXニューズのアンカーとかは、本当に自分で喋っていることを真実だと思っているのか、ある程度は欺瞞だと思っているのか、そういうことじゃなくて「これが正しい仕事の仕方だ」と仕事モードで思考停止してしまっていて個人としての価値判断は置き去りにされているのか、知りたい。

わたしは、リベラルな人やなんならアナーキストの心情も個人的な体験=感情として共有できると思うけど(信条に同意するかは別です)、いわゆる保守派の人の心情は本当によくわからないのです。ウェーイ!っていう一体感の楽しさや帰属意識の嬉しさはまあ感情として理解できるけど、リクツに結びついたところの心情がよくわからない。ヘイトと怖ればかりが見えてしまうのだけど、それだけじゃなくて何かポジティブなものが彼ら自身には感じられているはずなのだろうし。

価値体系のどこが決定的に違うのか、もしかして思考のしかたがどこか決定的に違うのか。

まあそんなに人のことが簡単にわかったら苦労しませんけどね。



近所では、マーガレットが盛りです。こんなに咲いてたっけか、マーガレットってこんなに大きな花だっけ? 

わからないことばかりです。



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2020/07/05

家の前にシカが…


けさ、 9時頃に散歩に出たら、家の前にシカがいました。

この公園はときどき犬をオフリーシュにしてる人もいるので、ずいぶんおおきな犬だなー、とおもったら、シカだった。


マーサーアイランドとかなら驚かないけど、さすがにこの辺でシカは初めて見ましたよ!
同じ町内に住んでるCT家の旦那さんはこのあいだ、近くでコヨーテを見たそうだけど。

コロナの影響で人間の経済活動が静かになっている間に、活動場所がひろがったのでしょうか。それにしてもどこから来たんだー!このへんでシカの家族が住めそうな森って、橋のむこうのディスカバリーパークくらいだと思うんだけど。



子鹿です。「あれえー?おかあさんはどこ?」的な顔をして、バラード高校のほうにとことこ歩いていった。土曜で休日の朝なので車も人もほとんどない町内を、キョロキョロしたり草食べたりしながら。

ちょっとあとをつけてみたけど、高校の近くで見失った。今頃どうしているだろうか。
車に轢かれたりしてないといいけど…。



散歩のつづきで、ハミングバードが巣にすわるところも目撃しました。



この盃のような巣は、自分でつくったものなのだろうな。
巣に座ったあとは微動だにしませんでした。

飛んでるときは毎秒80回羽ばたいてるというハチドリ。充電ステーションで充電してるみたいですね。

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2020/07/04

再オープンの動物園


ひゃー、7月ですね。

独立記念日の週末、3連休。 ことしはシアトルでも大きな花火はないけれど、花火がやたらに売れているそうです。
うちの近所ではあまり上がってないけど(打ち上げ花火はもちろん禁止ですが)。



7月1日からウッドランドパーク動物園が再オープンしたので、ジェニファーちゃんとキリコちゃんと一緒に、遠足にいってきました。

入場の人数を制限するために、入場時間を指定した前売りチケットをオンラインで購入するシステムになってます。

入園後の制限時間はありませんが、順路にしたがって歩き、あとから来る人のためにあまり一か所に長く立ち止まらないように、という注意書きがあります。もちろん、ソーシャルディスタンスを守ってね、という立て札もあちこちに。
ところどころにサニタイザーも用意されていました。

来てる人は、当然ながら子どもたちも皆ちゃんとマスクを着用してました。


すぐ近所に10年ちかく住んでるのに、一度も行ったことなかった。

けっこう広くてびっくり。ホノルル動物園より広いな。のんびり一周して2時間半くらい。


息子が小さいときは、ホノルル動物園の年間パスを買って、暇さえあれば動物園に連れてってました。キリコちゃんとお姉ちゃんも、小さいときはやっぱり年間パスを利用して、この動物園に通ってたそうです。



やる気ないライオン。「ここんとこ静かだったのに、また今日はうるさいわねー」



このカラスのベンチは、キリコちゃんの小さいころからのお気に入りなのだそうだ。



落ち着きのないカワウソ君たちは人気もの。楽しそうです。


 グリズリーたち。ちょっとアラスカっぽい、小さな川が流れている広めの囲い。
とはいってもアラスカにくらべたら、狭いよね。

動物園を一周したらけっこう疲れたし、入り口はバラ園とは反対側のほうだけが開いていて、かなり遠かったので、バラ園には今回は行かずに帰ってきました。



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2020/06/27

いちごマフィンとバラと親バカの思い出


きょうは一日雨。日本の梅雨みたい。こういう天気、落ち着きます。

お天気のよい週末だと近所がワヤワヤうるさくって落ち着かない。きのうの夕方は、週末が雨の予報だったからか、散歩に出たらあっちこっちの庭やベランダから大騒ぎが聞こえてきました。

苺がやすかったのでどーんと大きなパックを買ってしまい、消費しきれなくて、いちごマフィンを作りました。甘いものは減らそうとおもいつつ…。3分の2は冷凍しましたよ!




レシピは粉2カップにつき砂糖1カップ。砂糖は半量でもよかったなー。
いちごは刻んで2カップ。こんなに入れていいのか?と思う量だったけど、焼き上がったらいちごたっぷりで酸味がいい感じでした。




スーパーにあった地元産の小さな花束10ドルなりを買おうかどうしようか迷ったあげく、やっぱりやめて代わりにアボカドを買ってきた翌日、ジェニファーちゃんがお庭の花を持ってきてくれました。なんと豪華な!
目の覚めるようなムラサキと黄色。なんて綺麗な色なんだ。

そうだ、神代植物公園のバラ園の遠足の話につづきがありました。

担任の大川先生が私の作文を印刷して学年だかクラスだかの全員に配ってくれたというのをうちの父がやたらに喜んで、会社の人にも配っていたのでした。江戸川区にあった小さな自動車修理と販売店の取締役だったのでしたが、月に一度くらいの感じでよく私たち子どもを連れて週末遊びに行っていた。ディーラーは週末も営業するので、きっと仕事してたんでしょうね。

「親ばかだねえ」と会社の人に笑われてるのをきいて、子ども心に大変恥ずかしかったのをよく覚えている。ほんとに親バカw お父さん、その後期待に添えず申し訳なかったです。



近所にBlackLivesMatterのサインが増えた。真っ赤なバラが狙ったみたいによく似合っています。


こちらは手作り感あふれる、畑のサイン。

「ブラック・ライヴズ・マタ―」って、「黒人の命「だけ」が大切なの?」とか、「オール・ライヴズ・マタ―」だよね、とか、「白人に殺された場合だけ問題なのは変じゃない?(黒人が黒人を殺すのは問題にしないのか、という意味)」とかまだ言ってる人はいるのだけど、そういうのにさくっと反論しているこの動画が、今日はバズってました。キューピーちゃんみたいなこの人、かわいいw






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ローズガーデンへ&感染者増えすぎ


超快晴の木曜日、ジェニファーちゃんと近所のローズガーデンに行きました。

Woodland Park Zoo(ウッドランド・パーク動物園)のとなりにある小さな無料のバラ園です。 こんなところにバラ園があるなんて、この近所に10年ちかく住んでて全然知らなかった。


…だが閉まっていました (´;ω;`) 。



無人の園に、バラが今を盛りと咲き誇っています。もったいなーい。

動物園は7月1日から再開するそうなので、きっと同時に開くのでしょう。
来週、リベンジだ。



せめてものなぐさめに、柵のそとに咲いていた白バラのニオイを思う存分くんくんかいで帰る。

小学校1年か2年のとき、遠足で神代植物公園のバラ園に行き、あまりにもたくさんのバラがあるのに仰天しました。そのとき書いた作文を担任の先生が褒めてくれて、クラスに配布してくれた。あれが今までで一番褒められた経験かもしれないw
大川先生、とってもいい先生でした。

カナダのヴィクトリア島の有名なバラ園にも行ってみたいけど、国境はまだ閉まってます…。


バラ園の近くの小道には、白い花が何種類も満開でした。右の大きな花はジャスミンのような香り。



シャンデリアのような花。豪華です。名前は知りません。卯の花(ウツギ)の仲間かな。


ほんとに爽やかな一日でした。今年はじめてサンダルを履いてでかけた。くるぶしに解放感。

夏はたけなわ、フェイズ2に移って床屋さんやブリュワリーも開き、みんな解放感を感じていると思いますが、 しかしアメリカのコロナ感染者はまた急増してますー。

アリゾナの辣腕翻訳者Nさんが、州別の実効再生産数(Rt)をリアルタイムで(毎日)更新しているページをおしえてくれました。The Covid Tracking Projectというサイトです。

こちらです。



これで3か月前、2か月前、先月、現在を比べてみると、各州とも3月〜4月にはロックダウンの効果が現れたものの、規制が緩みはじめた先月からまた急増しているのがよくわかります。

そして今、患者急増で再びブレーキがかかったフロリダとテキサスはじめ、南部の州の伸び方がやはりかなり急で恐ろしい。州別に見ると、ロックダウン解除のあとの伸び具合がすごくよくわかる。
 
ワシントン州では今日から屋内の公共の場でマスク着用が義務化されました。(屋外でも6フィートの距離を保てない場合は着用義務あり)。

公共の場ってもちろん、お店やレストランや、会社もです。一日じゅうデスクでマスクして仕事するのって辛いですよね…。もちろん医療従事者の方や公共機関でお仕事されている方はすでにずっとその体制なわけですが。

ほかの州や自治体でもマスクを義務化しているとこはあるけど、マスク着用義務化反対のデモが起きているのをニュースで見ました。アリゾナのスコッツデールという町の政治家がこともあろうに「I can't breathe」というフレーズを口にして、大炎上しています。いったいどういう神経があったら、今、この国で、政治家という立場で、公の場所で人の前に立って、その言葉を冗談にできるのだ。無神経ではなくて、悪意なのか。

別の宇宙が隣り合わせに口をひらいているような、そこなしの闇をのぞいているようでクラクラします。ホワイトハウスのニュースを見れば毎日のことだけど。まあこういう政治家がいるということは、国のかなりの部分はこういう人でできているということだよね。


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2020/06/24

テディさん退場



近所の、これはカシワバアジサイ(oakleaf hydrangea)かな。

緑に埋もれた緑の消火栓が気持ちよさそうです。
ここ数日、シアトルはほんとうに爽やかな初夏の日々。空は青く湿度は風は涼しく、緑がわさわさで、緑陰に薔薇が咲き匂う、まさに天国です。



3日ほど前、ニューヨークの自然史博物館の前にあるテディことセオドア・ルーズベルト大統領の騎馬像が撤去されることが決定した、というニュースを読みました。写真はニューヨーク・タイムズ紙

先月からの#blacklivesmatterの抗議活動の流れで、全米各地で、奴隷制時代や植民地時代の人の銅像が抗議の人々によって壊されたり、自治体によって撤去されたりしています。
アメリカだけでなく、ヨーロッパにも飛び火していますね。

ジョージ・フロイド殺害事件以来、世界で沸騰しつづけている抗議活動について、今日配信のデジタルクリエイターズ(メルマガ)に書かせていただきました。
NOTEのほうにも転載したので、よろしければご笑覧くださいませ。
こちらです。

ここ数週間はこの件で、コロナ以上に精神的にゆさぶりをかけられていました。社会全体が揺さぶられていたので当然なのですが。きっと日本に住んでいる人にはそのライブ感は伝わりにくいだろうと思います。

構造的差別って、この国にとってそれこそ「実存的」な問題だし、もちろんすぐに解決するような問題ではなく、まだこの先、社会が何世代もかけて向き合っていかなければならないことだろうけれど、いま、少なくともかなりの人々の意識が切り替わったのは瞠目すべきことだと思ってます。これから揺り戻しもあるだろうけれど。




自然史博物館前のこのルーズベルト騎馬像は1940年に設置されたもので、意外とあたらしい。

3年前にはじめてニューヨークに行ったとき、滞在最終日にお目にかかりました。(そのときの日記

わたしはメトロポリタン美術館をじっくり見たかったので、自然史博物館を見に行ったマダムMと別行動をとって、夏の夕方、セントラルパークをのんびり横切ってこの博物館前で待ち合わせしたのでした。

西部劇のヒーローのように馬にまたがって西方をめざす大統領。その両脇にネイティブアメリカンと黒人男性がつき従う構図。まんま、19世紀の世界観をそのままあらわしてます。これが1940年のものだっていうのはちょっと意外だった。まあでも、時代精神は大きく変わってなかったってことですね。

ルーズベルト大統領の時代というのはまさにアメリカが帝国主義デビューをした時代といえます。

このあいだハーバードの自然史博物館を見に行ったときに実感したのだけど、自然史博物館とか博物学っていうカテゴリーそのものが、文明国の視点で世界のあれこれを収集するっていう時代の産物なんですよね。シカゴ博覧会をはじめとする万国博覧会の流れ。その視点は、当時は誰一人疑わなかったであろう、圧倒的に優位な立場にいる支配階級(白人社会)のものです。

だからルーズベルトが馬に乗ってて「さあ、未開の兄弟たちよ、わたしについてきなさい」とでもいうように、明らかに下の位置に「インディアン」と黒人を従えている構図が、20世紀をとおしてスタンダードに受け入れられていたのですね。

この像の撤去は博物館が決定して、ニューヨーク市が了承したそうです。

上記の記事で、博物館の館長さんはインタビューにこう答えています。

“Over the last few weeks, our museum community has been profoundly moved by the ever-widening movement for racial justice that has emerged after the killing of George Floyd. We have watched as the attention of the world and the country has increasingly turned to statues as powerful and hurtful symbols of systemic racism.”

「この数週間にわたり、当博物館のコミュニティは、ジョージ・フロイド殺害に端を発し、人種間の正義を求めてますます高まっている運動に深く心を動かされてきました。我が国の人々と世界中の人々の間で、構造的なレイシズムのパワフルで心に傷を残すシンボルである様々な像への関心がますます高まっていくのを、私たちは目の当たりにしてきました」

この像を撤去する理由は、差別的構造をあらわにしているこの構図が問題なのであって、ルーズベルト大統領その人を問題視するものではない、と館長さんは言ってます。





『ナイトミュージアム』のテディさんも、「引退の潮時だわな」と言っていることでしょう。



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