無事、大統領就任式が終わりましたねー。
Qアノン信者の方がたの間では、本日正午に戒厳令が発布されトランプが頭首に返り咲くというファンタジーが駆け巡っていたそうですが(うちの青年の同僚でQアノン信者くん28歳も、最後までクーデターにのぞみをかけていたようですが、今日は返信がないとのこと……)、パラレルワールドではどうだか知りませんが、こちらの世界では、さいわい、血なまぐさいことは起こりませんでした。
そもそもトランプが全軍を掌握できると、なぜ思うのか……。
全軍(トランプ就任中につくられた宇宙軍も)の旗が就任式にはひるがえっていましたよ。
就任式は午前中だったのでもちろんリアルタイムでは見ず。
今日は治療の日だったので、クリニックで点滴を受けながら、YouTubeで録画を見てました。
こちらの「ジョー・バイデン委員会」の動画にて。
レディ・ガガ様が国歌を独唱。
LGBTQの先鋭的な代弁者であるガガさんの国歌……「同性愛者は神に背いている」とかたくなに信じる一部の戦闘派クリスチャンさんたちは、さぞやイラッとしたことでしょう。
心の貧しき人に幸いあれ。平和を祈ります。
キラキラしたパワフルなパフォーマンスでした。
とっても気持ちよさそうに熱唱してた。
ドレスはスキャパレリだそうです。VOGUEマガジンの解説はこちら。
胸につけた金色の鳩。
オリーブの枝をくわえている鳩は、旧約聖書のノアの方舟の話にも出てくる「和解」と平和のシンボルです。
カントリーの大御所ガース・ブルックスが黒いカウボーイハットとジーンズであらわれて『アメージング・グレース』を歌ったのも象徴的でした。
トランプサポーターの本拠地である中西部カルチャーに「和解」を呼びかけるジェスチャーでしょうか。
ジェニファー・ロペスは真っ白なパンツスーツで登場、第二の国歌と言われる『アメリカ・ザ・ビューティフル』を歌いました。
祈りと祝福を捧げたのは、カソリック教会の司祭と、アフリカン・アメリカンの牧師(エピスコパル派)。これも一部の原理主義戦闘派クリスチャンの方がたには、気に入らないかもしれませんね。
なんといっても素晴らしかったのは22歳のアフリカン・アメリカン詩人、アマンダ・ゴーマンさん。
これもVOGUEから
。
カナリアイエローのジャケットと真紅のヘッドドレスが似合う、かしこい王女のようないでたち。
知的で明るい希望に満ちた、力強い言葉と落ち着いたエネルギーあふれるパフォーマンス。
アメリカの希望と栄光は過去にあるのではなく、建国以来まだまだ理想にむかって絶賛建設中であると、ポジティブな言葉で朗々と、音楽的な言葉をつむぐ。
過去を見据え、民主主義の輝かしい希望を歌い上げる力強い言葉でした。
落ち着いていて他者への深い思いやりがあり、感情に振り回されない冷静さと、コミュニケーション力と、繊細さと、広範な知識と実行力を持つ若い世代の人たちがたくさんいる。
この世代は軽やかに新しい社会を作っていくだろうと思います。
カマラさんはパープルのアンサンブル、ミセス・バイデンはティールとターコイズ。
スカートの丈が揃っている…。クラシックですね。
バイデンさんのスーツはラルフ・ローレン。
ヒラリーさんもパープルのパンツスーツでした。
ヒラリーのは赤みが強い江戸紫、カマラのは青みが強い紫。ジル・バイデンはティール、と、グラデーションになっている。
レッド・ステーツ(赤い州・共和党優勢)とブルー・ステーツ(青い州・民主党優勢)の統合ということで、赤と青をまぜた色、融和を意図したパープルなのか?
なんて深読みをしたりしてw。
しかしどうしても目立ってしまうのはオバマ夫妻。
就任式会場に登場したときも、バイデンよりも拍手が大きかった……
ミシェルのパンツスーツは(これも限りなく赤に近いけどパープル系のワインレッド。やっぱりカラーのプレゼンテーション、打ち合わせがあったのかな)アフリカン・アメリカンのデザイナー、
セルジオ・ハドソンのデザインだそうです。
カマラさんのスーツも、ルイジアナに本拠を置くアフリカン・アメリカンのデザイナークリストファー・ジョン・ロジャーズさん、パールのネックレスはプエルトリカンのデザイナー、
ウィルフレッド・ロサドさんの作だそうです(
by VOGUE)。
そして、バーニー・サンダース議員の出で立ちも注目されてました。
「ちょっとそこまで買い物に」というような、シアトルの人がよく着てるかんじのジャケットに、ウールのミトン(かわいい)。
「民主的社会主義」者にふさわしい、ぶれないスタンス。
ミトンがバズってます。
学校の先生がリサイクル素材でつくったミトンだそうで、バーニーさんはキャンペーンのときからずっと愛用してるそうです。
就任式のあとの花火、これはバーチャルじゃなかったのね(笑)。
みごとな花火でした。
この日に爆発した火薬が花火だけで、ほんとうによかった。
閣僚にも初めてトランスジェンダーが登場し、有色人種と女性が多くなるバイデン政権は、これからのアメリカの実像を反映したもの。
バイデンにはオバマやクリントンのようなカリスマはないけれど、威勢のよいウソをばらまいてきた大統領が国の感情を真っ二つにしてしまったあとでは、かえってこのような、自信満々にアジテートしない、実直な大統領に期待をすべきなのだと思います。
「わたしに票を入れなかった人びとのためにも働く」という、この教科書どおりの当たり前のことが言えなかった前任者とは違い……。ちゃんと政治家らしいスピーチが聞けたことをまるで奇跡のように感じてしまうこのPTSD。
自分のことしか考えていなかった前任者とは違い、人を立てていく大統領に期待したいです。
就任一日目、さっそく、トランプが作っていた役に立たない壁の建設を取りやめ(土建業者がトランプ政権末期に追い込みで無駄に自然破壊をしていたやつ)、パリ協定に復帰しました。
国はとんでもない危機に面していますが、ゆっくりと、しかし本格的に、本当の実効性を持つ癒やしが始まることを素直に信じて喜びたいと思います。